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記憶の扉
性的な
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「――音芽に! 俺の彼女に近付くなって、さんざん言ったよな!?」
未練がましく音芽に伸ばされていた川越の手を払い退けると、川越の目にさえ音芽を映させたくなくて、音芽を川越から隠す。
「……はる、まさ」
可哀想なくらい震える足で懸命に立とうとしているんだろう。音芽が俺にギュッとしがみ付いてきた。
「音芽、すまん。遅くなった」
興奮の余り少し息を切らしながら、俺は申し訳なさに苛まれながら音芽に謝罪する。
俺自身は実際にその現場を見たわけじゃない。
ただ音芽が気を失っていた教室内に残っていた嗅ぎ慣れたフローラル系の香りから川越筑紫――その当時は喜多里筑紫と名乗っていた――の関与を疑った俺が喜多里を問い詰めた結果、どうやら音芽はこの女に性的な意味で無理矢理触れられたらしい。
音芽が高校一年生の頃の話だ。
喜多里は、音芽の実兄・鳥飼奏芽と付き合っている頃からこの嫌味なくらい鼻につくフローラル系の香水をつけていた。
俺は奏芽とつるむことが多かったから、イヤでもこの香りを覚えていたのだ。
別につけすぎていたとかそういうわけじゃない。
ただ、何となくいけすかない女だと思っていたからだろう。そんなに喜多里のことを知らない時分から、やけにその香りが鼻についたのだ。
俺でさえそうなのだ。
きっとこの女に望まない形で触れられた音芽にとっては、俺以上に嫌な記憶としてこの香りが記憶に残っているに違いない。
今にも倒れてしまいそうに顔面蒼白になってフラついている音芽を、俺は抱きしめてやることしかできなかった。
せめて川越の視線や香りの呪縛から音芽を隠してやりたい。
その一心だった。
そんな不安定な状態の音芽を前にして、川越はいけしゃあしゃあと続けるのだ。
「私から目を離さないって言ったくせにそばを離れたのは霧島くんよ? 私、言ったわよね? チャンスがあったら逃さないって」
俺が川越の視線から懸命に守っているというのに、まるでそれを貫かんばかりの強い視線で川越が見ようとしているのは、俺の腕の中にいる音芽だったから、俺は音芽を包み込む腕に思わず力を込めた。
と、突然。
未練がましく音芽に伸ばされていた川越の手を払い退けると、川越の目にさえ音芽を映させたくなくて、音芽を川越から隠す。
「……はる、まさ」
可哀想なくらい震える足で懸命に立とうとしているんだろう。音芽が俺にギュッとしがみ付いてきた。
「音芽、すまん。遅くなった」
興奮の余り少し息を切らしながら、俺は申し訳なさに苛まれながら音芽に謝罪する。
俺自身は実際にその現場を見たわけじゃない。
ただ音芽が気を失っていた教室内に残っていた嗅ぎ慣れたフローラル系の香りから川越筑紫――その当時は喜多里筑紫と名乗っていた――の関与を疑った俺が喜多里を問い詰めた結果、どうやら音芽はこの女に性的な意味で無理矢理触れられたらしい。
音芽が高校一年生の頃の話だ。
喜多里は、音芽の実兄・鳥飼奏芽と付き合っている頃からこの嫌味なくらい鼻につくフローラル系の香水をつけていた。
俺は奏芽とつるむことが多かったから、イヤでもこの香りを覚えていたのだ。
別につけすぎていたとかそういうわけじゃない。
ただ、何となくいけすかない女だと思っていたからだろう。そんなに喜多里のことを知らない時分から、やけにその香りが鼻についたのだ。
俺でさえそうなのだ。
きっとこの女に望まない形で触れられた音芽にとっては、俺以上に嫌な記憶としてこの香りが記憶に残っているに違いない。
今にも倒れてしまいそうに顔面蒼白になってフラついている音芽を、俺は抱きしめてやることしかできなかった。
せめて川越の視線や香りの呪縛から音芽を隠してやりたい。
その一心だった。
そんな不安定な状態の音芽を前にして、川越はいけしゃあしゃあと続けるのだ。
「私から目を離さないって言ったくせにそばを離れたのは霧島くんよ? 私、言ったわよね? チャンスがあったら逃さないって」
俺が川越の視線から懸命に守っているというのに、まるでそれを貫かんばかりの強い視線で川越が見ようとしているのは、俺の腕の中にいる音芽だったから、俺は音芽を包み込む腕に思わず力を込めた。
と、突然。
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