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リフレッシュしてきました
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「アルリアー!」
「ご機嫌うるわしゅう殿下」
「うるわしくない! なぜ! 貴様がここにいる!」
「なぜってここ私のお家ですもの」
「お家ですもの、じゃない! お前の家は修道院だろうが!」
「還俗しました」
「げんぞく?」
「シスターであったものが、それをやめて俗世に帰ることを言いますわ」
「そ、そんなことは知っている! なぜ還俗しているんだ!? 私は修道院へ追放だと言っただろう!」
「ええ、ですから、不承不承わたくしは行く気もなかった修道院で数日過ごしましたわよ。シスターとして」
「数日だと!? それでは追放ではないではないか!」
「この書類」
バサリ、とわたくしは机の中からお父様がラブレターのようにわたくしへ渡した書類を出して、殿下の前に置きました。
「書かれているのは、修道院に入りそこで暮らすこと。ですね」
「そうだ! お前は一生そこにいなければならん! わかったらここから出て行け!」
「あらあら? 殿下、一生、なんてどこに書いてあります? それに還俗してはいけない。とも書いてありませんわよ? ねぇ、わたくしなにも悪いことしてないわ? どうしてそんなに責めますの? 殿下こわい」
お父様も弱腰ながら最低限(還俗はできるように)はがんばったのだと思うの。そこは評価しますわ。
「こ、こわ、はぁ!? お、お前、そんな、へ理屈じゃないか!!」
「へ理屈だろうとなんだろうと沙汰はもうくだりましたし。わたくしは実行致しました」
バサリ、と今度は修道院に入ったことを示す書類と、還俗したことを示す書類を重ねて出す。
「陛下のご命令に従ったわたくしへの言葉がなぜ罵倒なのかしら? これは国王陛下と殿下の署名付き。陛下と殿下は1度言ったことを反故になさいますの? わたくしとの婚約を一方的に破棄したように」
「きさま……!」
殿下が怒りのオーラを放っていますが、わたくしも負けません。わたくし怒ってますの。殿下にも、陛下にも、丸め込まれたお父様にも。
絵にしたなら二つのオーラがしのぎを削ってばちばち干渉しあう光景が描かれたことでしょうけれど、描くならわたくしのオーラの方を大きくしなさいね。
「そもそも殿下とわたくしの婚姻は、隣国王室の血をひくサーバン公爵家が力をつけ過ぎたのを危惧してのものです。王都に近い公爵家であり国内派である我が公爵家に力をつけさせようという意図あってのもの。東のサーバンに対抗して西のトウレー公爵家にミレーナ男爵令嬢を入れて均衡をはかったおつもりのようですけれど、さてそううまく行くかしら?」
「何が言いたい」
「トウレー公爵家もまた西の、王族ではないものの伯爵家の血を引くお家。西のイーハー、東のセンロン。我が王家は西をとったとセンロン王国およびサーバン公爵家の方々は思ってらっしゃいますわよね。これ、昨今の民間で絵物語として広く興行(ストーリートミュージシャンのように紙芝居を語って聞かせる娯楽)されている話の元になっている本ですが。【古くからパーティに尽くしてきた主人公を切り捨て、新たに美貌と胸しか取り柄のない女を仲間に入れた冒険者パーティが、主人公の恩恵を失ってまたたくまに瓦解していき、反対に主人公は周囲に認められて最後に昔の仲間に勝って終わる】という話が描かれていますわ」
「そんな庶民向けの本がなんだというのだ。しょせん作り話だ。夢を見るのは勝手であるし、我が王家はサーバンを捨てたわけではない」
「これ、センロン国から入ってきた話ですのよ」
「なに?」
「他にも似た話がたくさん入ってきていますわ。逆にイーハーからは《かわいらしい女の子が、いじめっ子のいじめに耐え抜いて素敵な王子様と結婚する》というストーリーが入ってきていますね。どちらも人気ですけど。ふふ。まるで誰かの人生のようですわね?」
「……何が言いたい」
「作者の違う物語は決して交錯することはありませんけれど、現実はどうかしら? 強いのはどっち? 恋に恋するお姫様? それとも復讐に燃える元メンバー?」
「そんなもの作り話だ!」
「ふふ、そうですか。どう思おうとご自由に。わたくしには関係ありませんもの」
「は? あるだろう! お前だってこの国の公爵令嬢だろう!」
「ふふ。その身分を捨てさせようとしたくせに。わたくしにそれを言うんですの? 殿下が?」
ぐっと歯を食いしばって、殿下が視線をそらした。
勝った。
「わたくしが守るのはわたくしの領民と関係者のみ。もはやわたくしは未来の王妃ではありませんので。殿下はお姫様とご相談なさったら? きっと素敵なストーリーが展開しますわ」
「ちっ……お前の還俗は認めてやる。ダンジョン運営だのもうかっているようだしな。その成果は認めてやる。その調子で国に尽くせ。だが忘れるなよ。公爵家は王家の下だ。命令には逆らえない。決してな」
「心得ております」
「ふん」
ふふふ。
ちゃお。殿下。
わたくしはセンロン派になりましたのよ。
ま、国を売るつもりもないので教えて差し上げましたけど、そういう危機的状況ですのでね、わたくしにかまっていないでそっちでてんやわんやしてなさいな。
さて、次はどれに手をつけようかしらね。
どの国に属そうとも、大事なのは地の力。民の暮らしが繁栄しているか否かですわ。
金は力なり。
金は民なり。
我が国に伝わるこの言葉、かんちがいして民から搾取する貴族が多いですけど、本来の意味は
だから民を育み慈しみ大きく育てよ。
というものですからね。
目を向けるべきは隣国? それとも愛する人?
いいえ、足元ですわ。
「ご機嫌うるわしゅう殿下」
「うるわしくない! なぜ! 貴様がここにいる!」
「なぜってここ私のお家ですもの」
「お家ですもの、じゃない! お前の家は修道院だろうが!」
「還俗しました」
「げんぞく?」
「シスターであったものが、それをやめて俗世に帰ることを言いますわ」
「そ、そんなことは知っている! なぜ還俗しているんだ!? 私は修道院へ追放だと言っただろう!」
「ええ、ですから、不承不承わたくしは行く気もなかった修道院で数日過ごしましたわよ。シスターとして」
「数日だと!? それでは追放ではないではないか!」
「この書類」
バサリ、とわたくしは机の中からお父様がラブレターのようにわたくしへ渡した書類を出して、殿下の前に置きました。
「書かれているのは、修道院に入りそこで暮らすこと。ですね」
「そうだ! お前は一生そこにいなければならん! わかったらここから出て行け!」
「あらあら? 殿下、一生、なんてどこに書いてあります? それに還俗してはいけない。とも書いてありませんわよ? ねぇ、わたくしなにも悪いことしてないわ? どうしてそんなに責めますの? 殿下こわい」
お父様も弱腰ながら最低限(還俗はできるように)はがんばったのだと思うの。そこは評価しますわ。
「こ、こわ、はぁ!? お、お前、そんな、へ理屈じゃないか!!」
「へ理屈だろうとなんだろうと沙汰はもうくだりましたし。わたくしは実行致しました」
バサリ、と今度は修道院に入ったことを示す書類と、還俗したことを示す書類を重ねて出す。
「陛下のご命令に従ったわたくしへの言葉がなぜ罵倒なのかしら? これは国王陛下と殿下の署名付き。陛下と殿下は1度言ったことを反故になさいますの? わたくしとの婚約を一方的に破棄したように」
「きさま……!」
殿下が怒りのオーラを放っていますが、わたくしも負けません。わたくし怒ってますの。殿下にも、陛下にも、丸め込まれたお父様にも。
絵にしたなら二つのオーラがしのぎを削ってばちばち干渉しあう光景が描かれたことでしょうけれど、描くならわたくしのオーラの方を大きくしなさいね。
「そもそも殿下とわたくしの婚姻は、隣国王室の血をひくサーバン公爵家が力をつけ過ぎたのを危惧してのものです。王都に近い公爵家であり国内派である我が公爵家に力をつけさせようという意図あってのもの。東のサーバンに対抗して西のトウレー公爵家にミレーナ男爵令嬢を入れて均衡をはかったおつもりのようですけれど、さてそううまく行くかしら?」
「何が言いたい」
「トウレー公爵家もまた西の、王族ではないものの伯爵家の血を引くお家。西のイーハー、東のセンロン。我が王家は西をとったとセンロン王国およびサーバン公爵家の方々は思ってらっしゃいますわよね。これ、昨今の民間で絵物語として広く興行(ストーリートミュージシャンのように紙芝居を語って聞かせる娯楽)されている話の元になっている本ですが。【古くからパーティに尽くしてきた主人公を切り捨て、新たに美貌と胸しか取り柄のない女を仲間に入れた冒険者パーティが、主人公の恩恵を失ってまたたくまに瓦解していき、反対に主人公は周囲に認められて最後に昔の仲間に勝って終わる】という話が描かれていますわ」
「そんな庶民向けの本がなんだというのだ。しょせん作り話だ。夢を見るのは勝手であるし、我が王家はサーバンを捨てたわけではない」
「これ、センロン国から入ってきた話ですのよ」
「なに?」
「他にも似た話がたくさん入ってきていますわ。逆にイーハーからは《かわいらしい女の子が、いじめっ子のいじめに耐え抜いて素敵な王子様と結婚する》というストーリーが入ってきていますね。どちらも人気ですけど。ふふ。まるで誰かの人生のようですわね?」
「……何が言いたい」
「作者の違う物語は決して交錯することはありませんけれど、現実はどうかしら? 強いのはどっち? 恋に恋するお姫様? それとも復讐に燃える元メンバー?」
「そんなもの作り話だ!」
「ふふ、そうですか。どう思おうとご自由に。わたくしには関係ありませんもの」
「は? あるだろう! お前だってこの国の公爵令嬢だろう!」
「ふふ。その身分を捨てさせようとしたくせに。わたくしにそれを言うんですの? 殿下が?」
ぐっと歯を食いしばって、殿下が視線をそらした。
勝った。
「わたくしが守るのはわたくしの領民と関係者のみ。もはやわたくしは未来の王妃ではありませんので。殿下はお姫様とご相談なさったら? きっと素敵なストーリーが展開しますわ」
「ちっ……お前の還俗は認めてやる。ダンジョン運営だのもうかっているようだしな。その成果は認めてやる。その調子で国に尽くせ。だが忘れるなよ。公爵家は王家の下だ。命令には逆らえない。決してな」
「心得ております」
「ふん」
ふふふ。
ちゃお。殿下。
わたくしはセンロン派になりましたのよ。
ま、国を売るつもりもないので教えて差し上げましたけど、そういう危機的状況ですのでね、わたくしにかまっていないでそっちでてんやわんやしてなさいな。
さて、次はどれに手をつけようかしらね。
どの国に属そうとも、大事なのは地の力。民の暮らしが繁栄しているか否かですわ。
金は力なり。
金は民なり。
我が国に伝わるこの言葉、かんちがいして民から搾取する貴族が多いですけど、本来の意味は
だから民を育み慈しみ大きく育てよ。
というものですからね。
目を向けるべきは隣国? それとも愛する人?
いいえ、足元ですわ。
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