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乙女ゲーム始動
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「あ、アルリア」
「あらお父様、来てましたの? いかがなさいました?」
「あー、その、公演、私も観たよ。人気みたいだね?」
「ええ! 開催のたびに満員御礼ですわ!」
「あー、そ、そうか。よかったな」
「ええ!」
「あー、その」
「どうしましたの?」
「い、いやぁ。うん。私ももう一度みてから帰ろうかな? はははは」
と言いながら出て行くお父様。あやしい。
次の日、執務室の机のひきだしを見たら、やはりありましたわ。
[即刻《アルリアの悲劇》の公演を中止せよ!]
王命でしたわ。王命つかいすぎではなくって? レア度落ちますわよ。
ま、別によろしくってよ。第三者の意見が欲しいというわたくしの目的は達成されましたからね。
では即刻、中止いたしましょう。ふふふ。
明日公演予定だった会場に、中止とチケット代返却のむねを書いた紙を貼り付けさせました。
《公演中止のお知らせ。
誠に勝手ながら、公演を中止いたします。再開のめどはございません。
すでに販売された本日以降の公演チケットにつきましては、代金を返却いたしますのでチケット売り場までお持ちくださいませ。
長らくのご声援ありがとうございました》
わたくしはなーんにも言っていませんけれど?
王家からの圧力がかかったに違いない! という憶測がまことしやかにヒソヒソヒソヒソ話されて、さらには【アルリアの悲劇】を観たものの数も多いようで少ない人数だったこともあいまって、観に行きたかった人や知らなかった人たちに、自慢げに公演の話を語って聞かせる人が続出。
【アルリアの悲劇】はもみ消された名作として、名に恥じぬ悲劇だとそれはもう人々の中に浸透していきましたわ。
センロン王国などでは【アルリアの悲劇の悲劇】と題して公演中止に追い込まれた話を、続きまで加えて新たに作成しなおし(わたくしは手を出していませんわよ?)公演するなり大盛況!
殿下達の不貞は世に知らしめられることとなりましたわ。
陛下も殿下もバカよね。これから! っていうときに急にやめたら人々の関心をひくに決まっているじゃない。
まぁ放っておいても有名になっただろうから何にせよ後手後手だったのだけどね。
慰謝料もなく、謝罪もなく、わたくしに全ての罪を押し付けた形で終わったこの物語。
観た人はどう思うかしら。
わたくしは殿下とあの女へ向かって、大分しっぺ返しできたのでそろそろもういいかなぁって思いますけれど。この余波がどこまで影響するか、それが楽しみなくらいにはまだ不完全燃焼ではあるわね。
この国を売るつもりもないけれど
王家への忠誠ももう絶え果てた今、この国と民のためを思うならどこを目指せば良いのかしらね。
王家直系のお子はマイヘル殿下の他は、姉君のミーヤ王女殿下のみ。その王女殿下はレーガー侯爵家に輿入れ済みで、今は侯爵夫人ね。
王位継承権順で語るなら、レーガー侯爵家に男児がおうまれになられたならその子がマイヘル殿下に次いで第2位の継承者となられるけれど、先日女児がうまれたばかりでそれを望むのは酷よね。
となると現在の第2位、二大公爵家(我が家は除外されている)がひとつトウレー公爵家の公爵様が、殿下失脚となったなら出てくるわね。
トウレー公爵家はあの女を養子にした私にとっても気分の良くない相手ではあるし、国民感情はどうなるかしら。
王家主導で王都や各都で殿下とあの女の純愛物語が公演されているけれど、ありきたり、アルリアの悲劇をみてからだと臭いものに蓋をしたのがよくわかって薄っぺらい、アルリアの悲劇のが面白かった、ということで恋愛ものが好きな人にしか人気がないと聞くわ。うふふ。
でも、殿下に痛い目にはあって欲しいけど、国を荒らすのはやりすぎよね。
「これ以上の嫌がらせはやめますわ。でもこのまま殿下が次期国王で、この国大丈夫かしら……?」
王妃があの女で大丈夫なのかしら??
まぁ賢王のが少ないからこそ賢王が輝くわけですし、周りが優秀なら問題ないのでしょうけど、側近達もあの女に夢中だったわよね。
「……この国大丈夫かしら」
東のセンロン王国は今のところ我が国をのっとろうとかそういう意図は持っていなくて、ただ我が国が西寄りに方向転換したことで交流が減ってきているだけなのだけど
西のイーハー国王はなかなかご気性の荒いお方だと聞くわ。
もし西が我が国の覇権を狙っているなんてことになったら、めんどうなことになるわね。
ちょっと調べてみましょう。
わたくしには領民を守る義務がありますからね。
数日後、トウレー公爵家の養女となったあの女が、イーハー王国に呼び出されてイーハーの王城へ登城することになった。という情報を得た。イーハー縁故の人間が隣国の次期王妃となるのであれば、イーハー国王と面識なくてはいけないだろう。ということだそうです。
「なんだか嫌な予感がするのは気のせいかしら?」
と、思ったわたくしは相変わらず勘がよかった。殿下の心があの女にうつるのを察したくらい勘がよかった。
でもさすがにあの女がイーハー国王と恋仲になるなんて予想だにしませんでしたわ。
バカなの?
ねぇバカなの?
脳みそに神経通ってるのかしらあの女。理解不能すぎるわ。でもこれだけは言いたい。
「捨てられ殿下いい気味ね!」
おほほほほほほ!
あの女、ちょっとだけよくやったわ! 応援はしないし理解不能ですけど!
本当にこの国どうなるのかしら。
「あらお父様、来てましたの? いかがなさいました?」
「あー、その、公演、私も観たよ。人気みたいだね?」
「ええ! 開催のたびに満員御礼ですわ!」
「あー、そ、そうか。よかったな」
「ええ!」
「あー、その」
「どうしましたの?」
「い、いやぁ。うん。私ももう一度みてから帰ろうかな? はははは」
と言いながら出て行くお父様。あやしい。
次の日、執務室の机のひきだしを見たら、やはりありましたわ。
[即刻《アルリアの悲劇》の公演を中止せよ!]
王命でしたわ。王命つかいすぎではなくって? レア度落ちますわよ。
ま、別によろしくってよ。第三者の意見が欲しいというわたくしの目的は達成されましたからね。
では即刻、中止いたしましょう。ふふふ。
明日公演予定だった会場に、中止とチケット代返却のむねを書いた紙を貼り付けさせました。
《公演中止のお知らせ。
誠に勝手ながら、公演を中止いたします。再開のめどはございません。
すでに販売された本日以降の公演チケットにつきましては、代金を返却いたしますのでチケット売り場までお持ちくださいませ。
長らくのご声援ありがとうございました》
わたくしはなーんにも言っていませんけれど?
王家からの圧力がかかったに違いない! という憶測がまことしやかにヒソヒソヒソヒソ話されて、さらには【アルリアの悲劇】を観たものの数も多いようで少ない人数だったこともあいまって、観に行きたかった人や知らなかった人たちに、自慢げに公演の話を語って聞かせる人が続出。
【アルリアの悲劇】はもみ消された名作として、名に恥じぬ悲劇だとそれはもう人々の中に浸透していきましたわ。
センロン王国などでは【アルリアの悲劇の悲劇】と題して公演中止に追い込まれた話を、続きまで加えて新たに作成しなおし(わたくしは手を出していませんわよ?)公演するなり大盛況!
殿下達の不貞は世に知らしめられることとなりましたわ。
陛下も殿下もバカよね。これから! っていうときに急にやめたら人々の関心をひくに決まっているじゃない。
まぁ放っておいても有名になっただろうから何にせよ後手後手だったのだけどね。
慰謝料もなく、謝罪もなく、わたくしに全ての罪を押し付けた形で終わったこの物語。
観た人はどう思うかしら。
わたくしは殿下とあの女へ向かって、大分しっぺ返しできたのでそろそろもういいかなぁって思いますけれど。この余波がどこまで影響するか、それが楽しみなくらいにはまだ不完全燃焼ではあるわね。
この国を売るつもりもないけれど
王家への忠誠ももう絶え果てた今、この国と民のためを思うならどこを目指せば良いのかしらね。
王家直系のお子はマイヘル殿下の他は、姉君のミーヤ王女殿下のみ。その王女殿下はレーガー侯爵家に輿入れ済みで、今は侯爵夫人ね。
王位継承権順で語るなら、レーガー侯爵家に男児がおうまれになられたならその子がマイヘル殿下に次いで第2位の継承者となられるけれど、先日女児がうまれたばかりでそれを望むのは酷よね。
となると現在の第2位、二大公爵家(我が家は除外されている)がひとつトウレー公爵家の公爵様が、殿下失脚となったなら出てくるわね。
トウレー公爵家はあの女を養子にした私にとっても気分の良くない相手ではあるし、国民感情はどうなるかしら。
王家主導で王都や各都で殿下とあの女の純愛物語が公演されているけれど、ありきたり、アルリアの悲劇をみてからだと臭いものに蓋をしたのがよくわかって薄っぺらい、アルリアの悲劇のが面白かった、ということで恋愛ものが好きな人にしか人気がないと聞くわ。うふふ。
でも、殿下に痛い目にはあって欲しいけど、国を荒らすのはやりすぎよね。
「これ以上の嫌がらせはやめますわ。でもこのまま殿下が次期国王で、この国大丈夫かしら……?」
王妃があの女で大丈夫なのかしら??
まぁ賢王のが少ないからこそ賢王が輝くわけですし、周りが優秀なら問題ないのでしょうけど、側近達もあの女に夢中だったわよね。
「……この国大丈夫かしら」
東のセンロン王国は今のところ我が国をのっとろうとかそういう意図は持っていなくて、ただ我が国が西寄りに方向転換したことで交流が減ってきているだけなのだけど
西のイーハー国王はなかなかご気性の荒いお方だと聞くわ。
もし西が我が国の覇権を狙っているなんてことになったら、めんどうなことになるわね。
ちょっと調べてみましょう。
わたくしには領民を守る義務がありますからね。
数日後、トウレー公爵家の養女となったあの女が、イーハー王国に呼び出されてイーハーの王城へ登城することになった。という情報を得た。イーハー縁故の人間が隣国の次期王妃となるのであれば、イーハー国王と面識なくてはいけないだろう。ということだそうです。
「なんだか嫌な予感がするのは気のせいかしら?」
と、思ったわたくしは相変わらず勘がよかった。殿下の心があの女にうつるのを察したくらい勘がよかった。
でもさすがにあの女がイーハー国王と恋仲になるなんて予想だにしませんでしたわ。
バカなの?
ねぇバカなの?
脳みそに神経通ってるのかしらあの女。理解不能すぎるわ。でもこれだけは言いたい。
「捨てられ殿下いい気味ね!」
おほほほほほほ!
あの女、ちょっとだけよくやったわ! 応援はしないし理解不能ですけど!
本当にこの国どうなるのかしら。
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