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シーズン1 F級の祝福者と、恋する女神の英雄譚
第12話:『城と求婚と、女神様の勝利宣言』
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伝説の海魔クラーケンとの激闘が、まるで遠い昔の出来事のように感じられる数日が過ぎた。俺たち一行を乗せた超巨大豪華客船『グラン・オーシャン号』は、荒れ狂う嵐の海を抜け、今は穏やかな陽光が降り注ぐ紺碧の海原を、女王の如き威厳をもって滑るように進んでいた。船内は、あの一夜を境に、その空気を一変させていた。それは、まるで終わることのない祝祭、あるいは壮大な凱旋パレードの主役を迎えたかのような、熱狂と興奮に満ちたムードであった。
あの夜、深淵より現れた伝説の魔物から船を守り抜いた俺たちは、一夜にして「船上の英雄」という、少々気恥ずかしい称号を冠することになっていた。船のどこを歩いても、乗客たちの感謝と称賛の眼差しが降り注ぐ。プロムナードですれ違う人々は、老いも若きも、男も女も、皆一様に歩みを止めては、割れんばかりの拍手を送ってくれた。レストランに足を踏み入れれば、支配人が飛んできて最上級のテーブルへと案内し、メニューに載っている全ての料理が食べ放題という破格の待遇を約束してくれる。夜、気まぐれにカジノを覗けば、ルーレットのディーラーが俺の姿を認めるや否や、なぜか俺が賭けてもいない場所にチップを山と積み上げ、「お客様の幸運にあやからせていただきます!」と満面の笑みでウィンクしてくる始末。まさに、絵に描いたようなVIP待遇だった。
「へっへっへ。こりゃたまらん! 英雄ってのも、実に悪くねえもんだな!」
ジンは、この熱狂の渦の中心で、人生で最も輝かしい瞬間を心から謳歌していた。彼の周りには常に人だかりができており、特に美しいドレスをまとった貴婦人たちが「まあ、ジン様! あの夜の勇敢なお姿、わたくし、胸が張り裂けそうでしたわ!」「この船を守ってくださって、本当にありがとう存じます」と、甘い香水を漂わせながら次々に声をかけてくる。ジンは得意満面で胸を張り、クラーケンとの戦いを、事実の三倍は脚色して面白おかしく語って聞かせ、その度に貴婦人たちの感嘆のため息を誘っていた。彼の軽薄さは相変わらずだったが、その陽気さが船内の祝祭ムードを一層盛り上げているのもまた事実だった。
「師匠! これもすべて、師匠の偉大なるお力のおかげに他なりません! ああ、このセレスティア、感激で胸がいっぱいです! 私もいつか、師匠のように人々を絶望の淵から救い出す、偉大な魔法使いになってみせます!」
セレスティアは、俺の隣で瞳をキラキラと輝かせながら、その尊敬の念をさらに複雑に、そして熱烈に拗らせていた。彼女にとって俺の存在は、もはや単なる師や恩人という範疇を遥かに超え、信仰の対象に近い何かへと昇華されつつあるようだった。時折、うっとりとした表情で俺を見つめ、何かをぶつぶつと呟いているのは、おそらく俺の偉業を称えるオリジナルの賛美歌でも作っているのだろう。彼女の純粋すぎる崇拝は、少しばかり居心地が悪いが、そのひたむきな向上心は好ましいものだった。
他の仲間たちも、それぞれのやり方でこの船旅の特別な時間を楽しんでいた。リナは食べ放題の恩恵を最大限に享受し、朝から晩まで最高級のスイーツを頬張っては幸せそうな顔をしている。守護騎士であるサラは、この巨大な船を動かす魔導機関の強靭さと構造美に心を奪われたらしく、機関室へ特別に入れてもらい、目を輝かせながら技師たちと熱く語り合っていた。アンジェラは「この船の皆が英雄を称えるのは、その背後に女神様の御加護を感じ取っているからに他なりません!」と独自の解釈で満足げに頷き、布教活動の新たな足がかりを得たと意気込んでいる。そしてマリアは、人々の喧騒から少し離れたデッキの隅で、静かに海を眺めていた。彼女のそばには、いつもソフィアが寄り添っている。
俺自身はといえば、この英雄扱いにいまいち実感が湧かず、どこか他人事のように感じていた。ただ、仲間たちが心から楽しんでいる様子を見るのは、悪くない気分だった。そして何より、この穏やかな時間の中で、ソフィアと二人きりで過ごすひとときが、俺にとっては最高の褒賞だった。デッキの手すりにもたれかかり、潮風に髪をなびかせながら、他愛もない話をする。クラーケンとの戦いの後、彼女の中で何かが変わったのを感じていた。以前よりもずっと、彼女の視線は熱を帯び、俺に向けられる微笑みは甘さを増している。その変化が何を意味するのか、俺はまだ確信を持てずにいたが、その心地よい距離感に、ただただ心を委ねていた。
そんな、少しばかり浮かれ騒いだ非日常的な船旅も、やがて終わりを告げる時が来た。
夜明け前、ひんやりとした空気がデッキを満たす頃、深い霧が立ち込める早朝の静寂の中、誰かが声を上げた。遠く、どこまでも広がる水平線の彼方に、巨大な大陸の影がうっすらと浮かび上がっていたのだ。そこが、俺たちの長く険しい旅の最終目的地、アーレンス王国だった。
船が王都の港『ポート・ロイヤル』へと近づくにつれて、立ち込めていた朝霧はまるで舞台の幕が上がるかのようにゆっくりと晴れていき、その圧倒的な全景が、俺たちの眼前に明らかになっていく。
「……すげえ……」
誰からともなく、感嘆と畏怖の入り混じった呟きが漏れた。デッキに集まった乗客も、船員も、そして俺たち仲間も、誰もが言葉を失い、ただ息を呑んでその光景に見入っていた。
そこは、俺たちがこれまで旅してきた中で見てきた、どの街とも全く異質な空気を纏っていた。自由と混沌の都ポルト・フィオーレのような猥雑な活気はない。代わりに、そこには絶対的な威厳と、寸分の狂いもない規律に満ちた、冷たいほどの美しさが存在していた。
海に面して切り立った巨大な断崖の上に、幾何学的な文様を描くかのように、純白の城壁がどこまでも整然と伸びている。それは自然の地形に合わせたのではなく、むしろ自然を捻じ曲げて人間の意思を体現させたかのような、圧倒的な存在感を放っていた。城壁の中心には、天を衝くほどの高さを誇る白亜の城がそびえ立ち、昇り始めた朝日を浴びて神々しく黄金色に輝いていた。街並みは、まるで神が引いた線に沿って作られたかのように、完璧な碁盤の目状に区画整理されている。赤いレンガで統一された家々の屋根が、寸分の狂いもなく整然と並び、その間を走る街路樹の深い緑が、赤と白の鮮烈なコントラストに、計算され尽くした美しい彩りを添えていた。
港には、これまでに見たどの船よりも巨大な鋼鉄の軍艦が何隻も停泊しており、その甲板では、一糸乱れぬ動きで兵士たちが訓練に励んでいる。規律正しい号令、大地を揺るがすかのような軍靴の音、そして風に乗って微かに聞こえてくる、勇壮でありながらもどこか冷徹な軍楽隊の演奏。活気と喧騒に満ち溢れていたポルト・フィオーレとはまるで違う、洗練され、研ぎ澄まされた力強い空気が、この街全体を支配しているのだった。ここは、商人の街ではない。戦士の国だ。その事実が、街の佇まいそのものから雄弁に語りかけてきていた。
やがてグラン・オーシャン号が、一般の埠頭ではなく、明らかに格上の、王族専用と思われる壮麗な埠頭に接岸されると、そこには既に、緋色のマントを鮮やかに翻した近衛騎士団が、まるで石像のように微動だにせず、ずらりと整列して俺たちを待ち構えていた。その数、百名は下らないだろう。磨き上げられた鎧は朝日を反射して眩い光を放ち、その厳粛な雰囲気は、船上の浮かれた空気を一瞬で凍りつかせた。
そして、その騎士団の中心。緋色の絨毯が敷かれたその先に、凛として立つ一人の少女がいた。
あの日、クラーケン騒動の最中に船上で出会った、快活で、少しお転婆な印象の少女、エリザベートだった。だが、今の彼女は、俺たちが知っている質素な旅人のワンピース姿ではなかった。首元から裾まで、複雑な金の刺繍が見事に施された、目が眩むほど豪奢な純白のドレスをその身にまとっていた。陽光を受けてきらめく柔らかな金髪の上には、小ぶりながらも、そこに込められた権威と威光は誰の目にも明らかな、紛れもない本物の王冠が輝いていた。彼女はもう、ただの旅の少女ではなかった。一国の未来をその肩に背負う、王族の気品と威厳を全身から放っていた。
「……うそ……だろ……」
隣にいたサラが、青い顔でか細く呟いた。彼女の驚きは、俺たち全員の気持ちを代弁していた。
「あの子……まさか、そんな……」
いつもはお調子者のジンも、さすがに顔から血の気が引き、その口をあんぐりと開けたまま固まっている。貴婦人たちにちやほやされていた数分前までの陽気さは、跡形もなく消え去っていた。
そう、彼女こそが、この規律と威厳の国、アーレンス王国の第一王女、エリザベート・フォン・アーレンス、その人だったのだ。
俺たちは、伝説の海魔から王女の命を救った(という壮大な物語に仕立て上げられていた)国家的な英雄として、有無を言わさず、王城へと丁重に、しかし一切の断る隙も与えられずに、招かれることになったのだった。
◇
白亜の王城へと続く道は、一点の曇りもなく磨き上げられた巨大な大理石の板で敷き詰められていた。その両脇には、まるで精密な機械部品のように、一分の隙もなく整列した近衛騎士たちが、瞬き一つせずに直立不動で並んでいる。俺たちはその視線の回廊の真ん中を、この国の主、国王陛下が待つという謁見の間へと、まるで罪人のように歩かされていた。豪華な馬車に乗せられ王城の門をくぐったのだが、謁見の間へ続くこの最後の道のりは、俺たちの功績を称え、同時にこの国の威光を見せつけるための演出なのだろう。
仲間たちは、もはや緊張のあまり、全員が生まれたての小鹿のように足と手が同時に出てしまっていた。そのぎこちない歩き方は、周囲の荘厳な雰囲気と相まって、悲壮なほどに滑稽だった。
「ひいぃぃ……! お、王様って、どんな顔してるんだろう……。もし怒らせたら、ギロチンで首、斬られちゃうのかな……」
リナは、完全に恐怖で顔が引きつり、今にも泣き出しそうな声で呟いている。彼女の頭の中では、おとぎ話に出てくるような、気難しくて残酷な王様のイメージが渦巻いているに違いない。
「お、お、お、お初に、お目にかかり、奉り、候……。あ、ああ、ダメだ、絶対に舌を噛みそう……」
セレスティアは、謁見の場で述べるべき挨拶を必死にぶつぶつと練習しているが、その顔面は蒼白で、声は震えている。偉大なる師匠の弟子として無様な姿は見せられないというプレッシャーが、彼女を極度の緊張状態に追い込んでいた。
マリアに至っては、王城の威圧的な空気に耐えきれず、すでに半分気絶しかけていた。ジンとサラが、とっさに両脇から彼女の体をしっかりと支えていなければ、とっくに大理石の床に崩れ落ちていただろう。
そんな中、アンジェラだけは、少しばかりベクトルの違う意味で緊張していた。その瞳には恐怖ではなく、むしろ神聖な使命感にも似た光が宿っている。
「国王……! 一国の王たる者、当然、我らが女神の教えを、深く、深く、理解しているはず! この私アンジェラが、その信仰心の篤さを、直々に試してしんぜよう!」
彼女は、これから謁見する国王相手に、宗教問答を仕掛ける気満々だった。頼むから、本当にやめてくれ。この国で神聖冒涜罪がどの程度の重罪になるのか、俺は知らないのだ。
やがて、巨大な黄金の扉が、音もなく開かれた。その先に広がっていたのは、俺たちの貧弱な想像力を遥かに絶するほど、壮麗極まる空間だった。
謁見の間は、巨大な教会のドームのように天井が信じられないほど高く、その中央からは、数え切れないほどの宝石が散りばめられた、小島ほどもある巨大なシャンデリアが吊り下がっていた。その一つ一つの宝石が、窓から差し込む光を乱反射させ、空間全体に虹色の光の粒子を舞わせている。壁一面には、この国の建国神話を描いたと思われる、巨大で緻密なタペストリーが掛けられていた。英雄と竜、神々と人々が織りなす壮大な物語が、金糸銀糸をふんだんに使って描かれている。そして、磨き上げられた床は、俺たちの不安げな顔を鏡のようにくっきりと映し込んでいた。
その広大すぎる空間の一番奥。幾段もの階段の上にしつらえられた、純金とビロードでできた玉座に、威厳に満ちた初老の男――国王陛下が、静かに座っていた。白銀の髪と髭を蓄え、その瞳は鷲のように鋭く、それでいて海の底のように深い。彼がただそこにいるだけで、謁見の間全体の空気が張り詰め、重みを増しているのが分かった。
俺たちは、玉座の前まで進み、騎士団長の厳かな号令に合わせて、深く膝をついた。仲間たちは、練習の成果か、あるいは恐怖のあまりか、驚くほどスムーズに跪いてみせた。
俺だけが、いつも通り、そんな厳粛な空気などどこ吹く風と、キョロキョロと天井のシャンデリアを見上げ、あの宝石は一体いくらするんだろうか、などと呑気なことを考えていた。
国王陛下は、朗々とした、しかし有無を言わせぬ威厳のこもった声で、俺たちに労いの言葉をかけ、娘と国民を乗せた船を救ったことへの、深き感謝の言葉を述べた。その言葉は形式的なものではなく、心からの感謝が込められているのが伝わってきた。
「そなたたちの勇気ある行動に、国を代表して心よりの礼を言う。とらせてつかわす」
陛下が手を振ると、家臣たちが重そうな足取りで進み出てきた。
褒賞として、俺たちが一生遊んで暮らしてもなお余りあるほどの莫大な金貨が、樫の木で作られた巨大な箱に山のように積まれて、俺たちの前に差し出された。
さらに、その金貨の山の頂点には、豪奢な白銀の鞘に納められた、一振りの美しい剣が鎮座していた。
「これは我が王家に代々伝わる『退魔の白銀剣』。魔を討ち、闇を払う力を持つとされる伝説の業物だ。クラーケンという深淵の魔物を討ち果たしたそなたにこそ、この剣の主たる資格がある」
国王陛下の言葉に、俺はおずおずと剣を受け取る。手に吸い付くような柄の感触。抜かずとも分かる、尋常ではない力の奔流が鞘越しに伝わってくる。これが、俺の新しい相棒になるのか。Fランク冒険者の俺には過ぎた代物だが、この重みが、俺たちが成し遂げたことの大きさを物語っている気がした。
仲間たちは、その黄金の輝きと伝説の剣を目にした瞬間だけ、極度の緊張を忘れ、目をこれ以上なく輝かせた。特にジンは、よだれを垂らしそうな顔で金貨の山を凝視していた。
すべてが、順風満帆に進んでいた。このまま、ありがたく報奨金をいただいて、丁重にお暇すれば、それでこの謁見は円満に終わりを迎えるはずだった。
だが、その時だった。
玉座の隣、一段低い場所に控えていたエリザベート王女が、すっと一歩前に進み出た。そして、その鈴を転がすような、しかし謁見の間の隅々まで響き渡るよく通る声で、とんでもない爆弾を投下したのだ。
「お父様! そして、この国の未来を担う重臣の皆々様! わたくし、エリザベートは、今、この場において、固く決意を固めました!」
彼女は、一度言葉を切り、集まった全ての視線を一身に浴びながら、高らかに、そして誇らしげに宣言した。
「わたくし、この、英雄ユウキ様を、わたくしのお婿様として、このアーレンス王国に、お迎えいたします!」
シィィィィィィィィィィィィィン……。
謁見の間に、水を打ったような、という表現すら生ぬるい、絶対的な静寂が訪れた。まるで時間が、いや、世界そのものが凍り付いてしまったかのようだった。シャンデリアの宝石が放つ光の粒子さえも、空中で動きを止めたように見えた。
居並ぶ白髭の大臣たちは、全員が同じ角度で口をあんぐりと開け、完全に石化している。微動だにしなかった近衛騎士たちの、鉄の仮面のような表情が、わずかに、本当にわずかにピクついているのが見えた。そして玉座の上の国王陛下は、深く、深いため息をつくと、片手で額を押さえ、まるで神に助けを求めるかのように、ゆっくりと天を仰いだ。
やがて、凍り付いていた時が、爆発的な勢いで動き出す。静寂は、蜂の巣をつついたような大騒動へと変わった。
「ひ、姫様! いったい、何を、何を仰せられるのですか!」 「その方のような、どこの馬の骨とも知れぬ冒険者などを、由緒正しき王家に迎えるなど、前代未聞にございます!」 「断固、反対いたしますぞ! 王家の血筋が乱れることになります!」
大臣たちが、一斉に、顔を真っ赤にして反対の声を上げる。その剣幕は、先程までの厳格な雰囲気が嘘のようだった。
だが、エリザベートは、そんな重臣たちの猛反対にも、一歩も引かなかった。彼女は笏を握りしめ、その美しい顔を毅然と上げて言い放つ。
「うるさい! 静まりなさい! 私の心は、もう決まったのです! あの絶望的な状況の中、彼の見せたあの勇敢な姿、その内に秘めた、我々の想像を絶する底知れぬ力、そして、何よりも、その地位や名誉に驕ることのない、飾らない優しい人柄! このアーレンス王国の王配として、未来の王として、彼以上に相応しい方が、この世界のどこにおいでだというのですか!」
彼女の言葉には、一片の迷いもなかった。その熱のこもった演説に、全ての視線が、渦中の人物である俺へと、まるで槍のように突き刺さる。
俺はといえば、きょとんとした顔で、目の前で繰り広げられている、まるで昼間のメロドラマのような光景を、ただただ眺めていた。婿? 俺が? この国の王様になるってことか? なんだかよく分からないが、大変そうなことだけは確かだった。
「そ、それで、ユウキ殿! 貴公の、ご返答は、いかがかな!?」
一番年嵩の大臣が、震える声で、藁にもすがる思いで俺に尋ねた。おそらく、俺が常識的な判断を下してくれることに、一縷の望みを託しているのだろう。
俺は、そんな大臣たちの必死の形相と、期待と不安に満ちたエリザベートの潤んだ瞳を交互に見てから、にっこりと、人の良さそうな、少し困ったような笑みを浮かべて、答えた。
「えーっと、エリザベートさん? その、お申し出は、すっごく、すっごく、嬉しいんですけど……。本当に光栄なんですけど……ごめんなさい! 俺、お断りします!」
「な……!」
エリザベートが、絶句した。その美しい碧眼が、信じられないものを見るかのように大きく見開かれる。彼女の人生において、自分の望みが、特にこれほど熱烈な望みが、真正面から拒絶されることなど、一度もなかったのだろう。
「な、なぜですの!? わたくしでは、不満だと、そう仰るのですか!? わたくしの美貌が足りないと? それとも、この国の王女という地位が、あなたにとっては些末なものだとでも!?」
彼女は、プライドを傷つけられた怒りと、拒絶された悲しみで涙目になりながら、俺に食い下がってきた。その剣幕に、大臣たちは再び蒼白になっている。
「いえいえ! とんでもない! エリザベートさんは、すっごく綺麗で、太陽みたいに素敵な人だと思います! 本当ですよ! でも、そういうことじゃなくて……俺には、もう、心に決めた人がいるんです!」
「――そ、それは、一体、誰ですのッ!?」
エリザベートの、悲痛な叫びにも似た問いが、謁見の間に響き渡った。 その場にいた全員が、国王も、大臣も、騎士たちも、そして俺の後ろに控える仲間たちも、固唾を飲んで、俺の答えを待っていた。この国の歴史を揺るがしかねない、英雄の選択。その答えを。
俺は、少し照れながらも、しかし、真っ直ぐに、はっきりと、その人のいる方向を、指差した。
謁見の間の、一番隅っこ。俺たち仲間たちが、この壮大な茶番劇を呆然と見守りながら控えている、その場所。
「もちろん、ソフィアさんです!」
俺は、満面の、一点の曇りもない笑みを浮かべて、高らかに言い放った。
「俺、この人を、世界で、宇宙で、一番、愛してるんで!」
◇
再び、静寂が訪れた。しかし、先程までの凍りつくような静寂とは質が違う。それは、あまりにも予想外で、あまりにも純粋な告白の前に、誰もが思考を停止させられた結果としての、驚愕の静寂だった。
大臣も、騎士も、仲間たちも、そして、悲劇のヒロインとなったエリザベート王女も。全員の視線が、まるで一本の強力な光線のように、謁見の間の隅に立つ、ただ一人の女性に、寸分の狂いもなく集中した。
ソフィアは、静かに、そこに立っていた。
突如として物語の渦中に引きずり出されたにもかかわらず、彼女は驚いた様子も、狼狽した様子も見せなかった。ただ、静かに、その全ての視線を、一身に浴びていた。その横顔は、まるで古代の彫刻のように完璧で、感情を読み取ることは難しい。だが、その内に秘めたものは、もはや以前の彼女とは全く違っていた。
恋を、そしてそれがもたらす痛みと喜びを自覚した女神は、もはや、ただ運命の訪れを待つだけの、か弱い存在ではなかったのだ。
ユウキからの、あまりにもストレートで、これ以上ないほど最高のパス。
最大のライバルとなりうる、一国の王女。その彼女が、衆人環視の謁見の間で、完膚なきまでに打ちのめされた、この瞬間。自分の存在を、この国の権力者たちの前で、これ以上なく効果的にアピールできる、絶好の機会。
彼女は、動いた。
これまでの、一歩引いて仲間たちを見守るような、控えめな態度は、そこにはなかった。
優雅に、しかし、大地を踏みしめるような確かな一歩で、彼女は、俺の隣へと、ゆっくりと、しかし一切の迷いなく歩み寄った。その一歩一歩が、まるで女王の戴冠式のように、厳かで、美しい。
そして、茫然自失となって打ちひしがれるエリザベート王女に向かって、完璧な、しかしその奥にどこか挑戦的な色を隠し、そして圧倒的なまでの、勝利の微笑みを、ゆっくりと浮かべた。
「王女殿下。ご紹介が、遅れましたわね」
その声は、静かでありながら、不思議なほど凛として謁見の間全体に響き渡った。それは、この場の支配者は自分であると、暗に告げているかのようだった。
「私が、彼の、パートナーの、ソフィアです」
そして、ソフィアは、その場にいた誰もが息を呑む、驚くべき行動に出た。
ごく、ごく、自然な仕草で。まるで、それが、この世界で最も当たり前のことであるかのように。
彼女は、俺の腕に、そっと、自身の柔らかく、そして驚くほど細い腕を、絡ませたのだ。
その瞬間、俺の体温は、間違いなく沸点を超えた。心臓が喉から飛び出しそうになり、顔から火が出るという比喩が、比喩ではないことを初めて知った。
「ユウキが、いつも、お世話になっておりますわ」
ソフィアは、絡ませた腕の力をわずかに強め、エリザベートから一切視線を外さずに、穏やかに、しかしはっきりと続けた。
「これからも、この人は、少し、いえ、かなり、お人好しで、放っておくとすぐに厄介なトラブルに巻き込まれやすいところがございますが、その時は、私が、彼の唯一のパートナーとして、責任をもって、厳しく監督いたしますので。どうぞ、ご安心くださいませ」
その言葉。 その態度。 その、腕を絡ませるという、誰の目にも明らかな親密な行為。
それは、もはや、ただの自己紹介ではなかった。 それは、言葉には出さない、しかし、誰の目にも明らかな、完璧で、優雅で、そして一切の反論を許さない、絶対的な勝利宣言だった。
――この男は、私のものです。たとえ相手が、この国の王女殿下であろうと、いかなる身分の高い方が相手であろうと、お渡しする気は、微塵もございません。お分かりになりましたか?
俺は、隣で顔を真っ赤にして、カチコチに固まって蒸気機関車のようになっている。
エリザベート王女は、目の前に現れたソフィアの、この世のものとは思えぬ神々しいまでの美しさと、その全身から放たれる圧倒的なまでの「正妻」のオーラに、ぐうの音も出ない。ただ、血が滲むほどに唇を噛み締め、悔しさと嫉妬に燃える瞳で、彼女を睨みつけることしかできなかった。
そして、俺たちの後ろでは。
「「「「うおおおおおお……! ソフィアさん(様)が……攻めたああああああああ!」」」」
ジンも、セレスティアも、リナも、サラも、仲間たちが、興奮と、感動と、そして畏敬の念に、打ち震えていた。彼らは、歴史的瞬間の目撃者となったのだ。
こうして、アーレンス王国第一王女エリザベート様からの、唐突にして壮大な求婚騒動は、恋する女神ソフィアの、華麗なるカウンターアタックによって、その幕を、ひとまずは閉じたのだった。
だが、これは、決して終わりではない。 むしろ、これは始まりだ。
ユウキを巡る、恋の戦いは、この国の、最も権力のある少女を、新たな、そして最強のライバルとして迎え入れ、さらに、さらに、激しく、複雑に、燃え上がっていく。
そんな、とんでもない爆弾をいくつも抱え込んだまま。 俺たちの、波乱に満ちすぎた、王都での生活が、今、始まろうとしていた。
あの夜、深淵より現れた伝説の魔物から船を守り抜いた俺たちは、一夜にして「船上の英雄」という、少々気恥ずかしい称号を冠することになっていた。船のどこを歩いても、乗客たちの感謝と称賛の眼差しが降り注ぐ。プロムナードですれ違う人々は、老いも若きも、男も女も、皆一様に歩みを止めては、割れんばかりの拍手を送ってくれた。レストランに足を踏み入れれば、支配人が飛んできて最上級のテーブルへと案内し、メニューに載っている全ての料理が食べ放題という破格の待遇を約束してくれる。夜、気まぐれにカジノを覗けば、ルーレットのディーラーが俺の姿を認めるや否や、なぜか俺が賭けてもいない場所にチップを山と積み上げ、「お客様の幸運にあやからせていただきます!」と満面の笑みでウィンクしてくる始末。まさに、絵に描いたようなVIP待遇だった。
「へっへっへ。こりゃたまらん! 英雄ってのも、実に悪くねえもんだな!」
ジンは、この熱狂の渦の中心で、人生で最も輝かしい瞬間を心から謳歌していた。彼の周りには常に人だかりができており、特に美しいドレスをまとった貴婦人たちが「まあ、ジン様! あの夜の勇敢なお姿、わたくし、胸が張り裂けそうでしたわ!」「この船を守ってくださって、本当にありがとう存じます」と、甘い香水を漂わせながら次々に声をかけてくる。ジンは得意満面で胸を張り、クラーケンとの戦いを、事実の三倍は脚色して面白おかしく語って聞かせ、その度に貴婦人たちの感嘆のため息を誘っていた。彼の軽薄さは相変わらずだったが、その陽気さが船内の祝祭ムードを一層盛り上げているのもまた事実だった。
「師匠! これもすべて、師匠の偉大なるお力のおかげに他なりません! ああ、このセレスティア、感激で胸がいっぱいです! 私もいつか、師匠のように人々を絶望の淵から救い出す、偉大な魔法使いになってみせます!」
セレスティアは、俺の隣で瞳をキラキラと輝かせながら、その尊敬の念をさらに複雑に、そして熱烈に拗らせていた。彼女にとって俺の存在は、もはや単なる師や恩人という範疇を遥かに超え、信仰の対象に近い何かへと昇華されつつあるようだった。時折、うっとりとした表情で俺を見つめ、何かをぶつぶつと呟いているのは、おそらく俺の偉業を称えるオリジナルの賛美歌でも作っているのだろう。彼女の純粋すぎる崇拝は、少しばかり居心地が悪いが、そのひたむきな向上心は好ましいものだった。
他の仲間たちも、それぞれのやり方でこの船旅の特別な時間を楽しんでいた。リナは食べ放題の恩恵を最大限に享受し、朝から晩まで最高級のスイーツを頬張っては幸せそうな顔をしている。守護騎士であるサラは、この巨大な船を動かす魔導機関の強靭さと構造美に心を奪われたらしく、機関室へ特別に入れてもらい、目を輝かせながら技師たちと熱く語り合っていた。アンジェラは「この船の皆が英雄を称えるのは、その背後に女神様の御加護を感じ取っているからに他なりません!」と独自の解釈で満足げに頷き、布教活動の新たな足がかりを得たと意気込んでいる。そしてマリアは、人々の喧騒から少し離れたデッキの隅で、静かに海を眺めていた。彼女のそばには、いつもソフィアが寄り添っている。
俺自身はといえば、この英雄扱いにいまいち実感が湧かず、どこか他人事のように感じていた。ただ、仲間たちが心から楽しんでいる様子を見るのは、悪くない気分だった。そして何より、この穏やかな時間の中で、ソフィアと二人きりで過ごすひとときが、俺にとっては最高の褒賞だった。デッキの手すりにもたれかかり、潮風に髪をなびかせながら、他愛もない話をする。クラーケンとの戦いの後、彼女の中で何かが変わったのを感じていた。以前よりもずっと、彼女の視線は熱を帯び、俺に向けられる微笑みは甘さを増している。その変化が何を意味するのか、俺はまだ確信を持てずにいたが、その心地よい距離感に、ただただ心を委ねていた。
そんな、少しばかり浮かれ騒いだ非日常的な船旅も、やがて終わりを告げる時が来た。
夜明け前、ひんやりとした空気がデッキを満たす頃、深い霧が立ち込める早朝の静寂の中、誰かが声を上げた。遠く、どこまでも広がる水平線の彼方に、巨大な大陸の影がうっすらと浮かび上がっていたのだ。そこが、俺たちの長く険しい旅の最終目的地、アーレンス王国だった。
船が王都の港『ポート・ロイヤル』へと近づくにつれて、立ち込めていた朝霧はまるで舞台の幕が上がるかのようにゆっくりと晴れていき、その圧倒的な全景が、俺たちの眼前に明らかになっていく。
「……すげえ……」
誰からともなく、感嘆と畏怖の入り混じった呟きが漏れた。デッキに集まった乗客も、船員も、そして俺たち仲間も、誰もが言葉を失い、ただ息を呑んでその光景に見入っていた。
そこは、俺たちがこれまで旅してきた中で見てきた、どの街とも全く異質な空気を纏っていた。自由と混沌の都ポルト・フィオーレのような猥雑な活気はない。代わりに、そこには絶対的な威厳と、寸分の狂いもない規律に満ちた、冷たいほどの美しさが存在していた。
海に面して切り立った巨大な断崖の上に、幾何学的な文様を描くかのように、純白の城壁がどこまでも整然と伸びている。それは自然の地形に合わせたのではなく、むしろ自然を捻じ曲げて人間の意思を体現させたかのような、圧倒的な存在感を放っていた。城壁の中心には、天を衝くほどの高さを誇る白亜の城がそびえ立ち、昇り始めた朝日を浴びて神々しく黄金色に輝いていた。街並みは、まるで神が引いた線に沿って作られたかのように、完璧な碁盤の目状に区画整理されている。赤いレンガで統一された家々の屋根が、寸分の狂いもなく整然と並び、その間を走る街路樹の深い緑が、赤と白の鮮烈なコントラストに、計算され尽くした美しい彩りを添えていた。
港には、これまでに見たどの船よりも巨大な鋼鉄の軍艦が何隻も停泊しており、その甲板では、一糸乱れぬ動きで兵士たちが訓練に励んでいる。規律正しい号令、大地を揺るがすかのような軍靴の音、そして風に乗って微かに聞こえてくる、勇壮でありながらもどこか冷徹な軍楽隊の演奏。活気と喧騒に満ち溢れていたポルト・フィオーレとはまるで違う、洗練され、研ぎ澄まされた力強い空気が、この街全体を支配しているのだった。ここは、商人の街ではない。戦士の国だ。その事実が、街の佇まいそのものから雄弁に語りかけてきていた。
やがてグラン・オーシャン号が、一般の埠頭ではなく、明らかに格上の、王族専用と思われる壮麗な埠頭に接岸されると、そこには既に、緋色のマントを鮮やかに翻した近衛騎士団が、まるで石像のように微動だにせず、ずらりと整列して俺たちを待ち構えていた。その数、百名は下らないだろう。磨き上げられた鎧は朝日を反射して眩い光を放ち、その厳粛な雰囲気は、船上の浮かれた空気を一瞬で凍りつかせた。
そして、その騎士団の中心。緋色の絨毯が敷かれたその先に、凛として立つ一人の少女がいた。
あの日、クラーケン騒動の最中に船上で出会った、快活で、少しお転婆な印象の少女、エリザベートだった。だが、今の彼女は、俺たちが知っている質素な旅人のワンピース姿ではなかった。首元から裾まで、複雑な金の刺繍が見事に施された、目が眩むほど豪奢な純白のドレスをその身にまとっていた。陽光を受けてきらめく柔らかな金髪の上には、小ぶりながらも、そこに込められた権威と威光は誰の目にも明らかな、紛れもない本物の王冠が輝いていた。彼女はもう、ただの旅の少女ではなかった。一国の未来をその肩に背負う、王族の気品と威厳を全身から放っていた。
「……うそ……だろ……」
隣にいたサラが、青い顔でか細く呟いた。彼女の驚きは、俺たち全員の気持ちを代弁していた。
「あの子……まさか、そんな……」
いつもはお調子者のジンも、さすがに顔から血の気が引き、その口をあんぐりと開けたまま固まっている。貴婦人たちにちやほやされていた数分前までの陽気さは、跡形もなく消え去っていた。
そう、彼女こそが、この規律と威厳の国、アーレンス王国の第一王女、エリザベート・フォン・アーレンス、その人だったのだ。
俺たちは、伝説の海魔から王女の命を救った(という壮大な物語に仕立て上げられていた)国家的な英雄として、有無を言わさず、王城へと丁重に、しかし一切の断る隙も与えられずに、招かれることになったのだった。
◇
白亜の王城へと続く道は、一点の曇りもなく磨き上げられた巨大な大理石の板で敷き詰められていた。その両脇には、まるで精密な機械部品のように、一分の隙もなく整列した近衛騎士たちが、瞬き一つせずに直立不動で並んでいる。俺たちはその視線の回廊の真ん中を、この国の主、国王陛下が待つという謁見の間へと、まるで罪人のように歩かされていた。豪華な馬車に乗せられ王城の門をくぐったのだが、謁見の間へ続くこの最後の道のりは、俺たちの功績を称え、同時にこの国の威光を見せつけるための演出なのだろう。
仲間たちは、もはや緊張のあまり、全員が生まれたての小鹿のように足と手が同時に出てしまっていた。そのぎこちない歩き方は、周囲の荘厳な雰囲気と相まって、悲壮なほどに滑稽だった。
「ひいぃぃ……! お、王様って、どんな顔してるんだろう……。もし怒らせたら、ギロチンで首、斬られちゃうのかな……」
リナは、完全に恐怖で顔が引きつり、今にも泣き出しそうな声で呟いている。彼女の頭の中では、おとぎ話に出てくるような、気難しくて残酷な王様のイメージが渦巻いているに違いない。
「お、お、お、お初に、お目にかかり、奉り、候……。あ、ああ、ダメだ、絶対に舌を噛みそう……」
セレスティアは、謁見の場で述べるべき挨拶を必死にぶつぶつと練習しているが、その顔面は蒼白で、声は震えている。偉大なる師匠の弟子として無様な姿は見せられないというプレッシャーが、彼女を極度の緊張状態に追い込んでいた。
マリアに至っては、王城の威圧的な空気に耐えきれず、すでに半分気絶しかけていた。ジンとサラが、とっさに両脇から彼女の体をしっかりと支えていなければ、とっくに大理石の床に崩れ落ちていただろう。
そんな中、アンジェラだけは、少しばかりベクトルの違う意味で緊張していた。その瞳には恐怖ではなく、むしろ神聖な使命感にも似た光が宿っている。
「国王……! 一国の王たる者、当然、我らが女神の教えを、深く、深く、理解しているはず! この私アンジェラが、その信仰心の篤さを、直々に試してしんぜよう!」
彼女は、これから謁見する国王相手に、宗教問答を仕掛ける気満々だった。頼むから、本当にやめてくれ。この国で神聖冒涜罪がどの程度の重罪になるのか、俺は知らないのだ。
やがて、巨大な黄金の扉が、音もなく開かれた。その先に広がっていたのは、俺たちの貧弱な想像力を遥かに絶するほど、壮麗極まる空間だった。
謁見の間は、巨大な教会のドームのように天井が信じられないほど高く、その中央からは、数え切れないほどの宝石が散りばめられた、小島ほどもある巨大なシャンデリアが吊り下がっていた。その一つ一つの宝石が、窓から差し込む光を乱反射させ、空間全体に虹色の光の粒子を舞わせている。壁一面には、この国の建国神話を描いたと思われる、巨大で緻密なタペストリーが掛けられていた。英雄と竜、神々と人々が織りなす壮大な物語が、金糸銀糸をふんだんに使って描かれている。そして、磨き上げられた床は、俺たちの不安げな顔を鏡のようにくっきりと映し込んでいた。
その広大すぎる空間の一番奥。幾段もの階段の上にしつらえられた、純金とビロードでできた玉座に、威厳に満ちた初老の男――国王陛下が、静かに座っていた。白銀の髪と髭を蓄え、その瞳は鷲のように鋭く、それでいて海の底のように深い。彼がただそこにいるだけで、謁見の間全体の空気が張り詰め、重みを増しているのが分かった。
俺たちは、玉座の前まで進み、騎士団長の厳かな号令に合わせて、深く膝をついた。仲間たちは、練習の成果か、あるいは恐怖のあまりか、驚くほどスムーズに跪いてみせた。
俺だけが、いつも通り、そんな厳粛な空気などどこ吹く風と、キョロキョロと天井のシャンデリアを見上げ、あの宝石は一体いくらするんだろうか、などと呑気なことを考えていた。
国王陛下は、朗々とした、しかし有無を言わせぬ威厳のこもった声で、俺たちに労いの言葉をかけ、娘と国民を乗せた船を救ったことへの、深き感謝の言葉を述べた。その言葉は形式的なものではなく、心からの感謝が込められているのが伝わってきた。
「そなたたちの勇気ある行動に、国を代表して心よりの礼を言う。とらせてつかわす」
陛下が手を振ると、家臣たちが重そうな足取りで進み出てきた。
褒賞として、俺たちが一生遊んで暮らしてもなお余りあるほどの莫大な金貨が、樫の木で作られた巨大な箱に山のように積まれて、俺たちの前に差し出された。
さらに、その金貨の山の頂点には、豪奢な白銀の鞘に納められた、一振りの美しい剣が鎮座していた。
「これは我が王家に代々伝わる『退魔の白銀剣』。魔を討ち、闇を払う力を持つとされる伝説の業物だ。クラーケンという深淵の魔物を討ち果たしたそなたにこそ、この剣の主たる資格がある」
国王陛下の言葉に、俺はおずおずと剣を受け取る。手に吸い付くような柄の感触。抜かずとも分かる、尋常ではない力の奔流が鞘越しに伝わってくる。これが、俺の新しい相棒になるのか。Fランク冒険者の俺には過ぎた代物だが、この重みが、俺たちが成し遂げたことの大きさを物語っている気がした。
仲間たちは、その黄金の輝きと伝説の剣を目にした瞬間だけ、極度の緊張を忘れ、目をこれ以上なく輝かせた。特にジンは、よだれを垂らしそうな顔で金貨の山を凝視していた。
すべてが、順風満帆に進んでいた。このまま、ありがたく報奨金をいただいて、丁重にお暇すれば、それでこの謁見は円満に終わりを迎えるはずだった。
だが、その時だった。
玉座の隣、一段低い場所に控えていたエリザベート王女が、すっと一歩前に進み出た。そして、その鈴を転がすような、しかし謁見の間の隅々まで響き渡るよく通る声で、とんでもない爆弾を投下したのだ。
「お父様! そして、この国の未来を担う重臣の皆々様! わたくし、エリザベートは、今、この場において、固く決意を固めました!」
彼女は、一度言葉を切り、集まった全ての視線を一身に浴びながら、高らかに、そして誇らしげに宣言した。
「わたくし、この、英雄ユウキ様を、わたくしのお婿様として、このアーレンス王国に、お迎えいたします!」
シィィィィィィィィィィィィィン……。
謁見の間に、水を打ったような、という表現すら生ぬるい、絶対的な静寂が訪れた。まるで時間が、いや、世界そのものが凍り付いてしまったかのようだった。シャンデリアの宝石が放つ光の粒子さえも、空中で動きを止めたように見えた。
居並ぶ白髭の大臣たちは、全員が同じ角度で口をあんぐりと開け、完全に石化している。微動だにしなかった近衛騎士たちの、鉄の仮面のような表情が、わずかに、本当にわずかにピクついているのが見えた。そして玉座の上の国王陛下は、深く、深いため息をつくと、片手で額を押さえ、まるで神に助けを求めるかのように、ゆっくりと天を仰いだ。
やがて、凍り付いていた時が、爆発的な勢いで動き出す。静寂は、蜂の巣をつついたような大騒動へと変わった。
「ひ、姫様! いったい、何を、何を仰せられるのですか!」 「その方のような、どこの馬の骨とも知れぬ冒険者などを、由緒正しき王家に迎えるなど、前代未聞にございます!」 「断固、反対いたしますぞ! 王家の血筋が乱れることになります!」
大臣たちが、一斉に、顔を真っ赤にして反対の声を上げる。その剣幕は、先程までの厳格な雰囲気が嘘のようだった。
だが、エリザベートは、そんな重臣たちの猛反対にも、一歩も引かなかった。彼女は笏を握りしめ、その美しい顔を毅然と上げて言い放つ。
「うるさい! 静まりなさい! 私の心は、もう決まったのです! あの絶望的な状況の中、彼の見せたあの勇敢な姿、その内に秘めた、我々の想像を絶する底知れぬ力、そして、何よりも、その地位や名誉に驕ることのない、飾らない優しい人柄! このアーレンス王国の王配として、未来の王として、彼以上に相応しい方が、この世界のどこにおいでだというのですか!」
彼女の言葉には、一片の迷いもなかった。その熱のこもった演説に、全ての視線が、渦中の人物である俺へと、まるで槍のように突き刺さる。
俺はといえば、きょとんとした顔で、目の前で繰り広げられている、まるで昼間のメロドラマのような光景を、ただただ眺めていた。婿? 俺が? この国の王様になるってことか? なんだかよく分からないが、大変そうなことだけは確かだった。
「そ、それで、ユウキ殿! 貴公の、ご返答は、いかがかな!?」
一番年嵩の大臣が、震える声で、藁にもすがる思いで俺に尋ねた。おそらく、俺が常識的な判断を下してくれることに、一縷の望みを託しているのだろう。
俺は、そんな大臣たちの必死の形相と、期待と不安に満ちたエリザベートの潤んだ瞳を交互に見てから、にっこりと、人の良さそうな、少し困ったような笑みを浮かべて、答えた。
「えーっと、エリザベートさん? その、お申し出は、すっごく、すっごく、嬉しいんですけど……。本当に光栄なんですけど……ごめんなさい! 俺、お断りします!」
「な……!」
エリザベートが、絶句した。その美しい碧眼が、信じられないものを見るかのように大きく見開かれる。彼女の人生において、自分の望みが、特にこれほど熱烈な望みが、真正面から拒絶されることなど、一度もなかったのだろう。
「な、なぜですの!? わたくしでは、不満だと、そう仰るのですか!? わたくしの美貌が足りないと? それとも、この国の王女という地位が、あなたにとっては些末なものだとでも!?」
彼女は、プライドを傷つけられた怒りと、拒絶された悲しみで涙目になりながら、俺に食い下がってきた。その剣幕に、大臣たちは再び蒼白になっている。
「いえいえ! とんでもない! エリザベートさんは、すっごく綺麗で、太陽みたいに素敵な人だと思います! 本当ですよ! でも、そういうことじゃなくて……俺には、もう、心に決めた人がいるんです!」
「――そ、それは、一体、誰ですのッ!?」
エリザベートの、悲痛な叫びにも似た問いが、謁見の間に響き渡った。 その場にいた全員が、国王も、大臣も、騎士たちも、そして俺の後ろに控える仲間たちも、固唾を飲んで、俺の答えを待っていた。この国の歴史を揺るがしかねない、英雄の選択。その答えを。
俺は、少し照れながらも、しかし、真っ直ぐに、はっきりと、その人のいる方向を、指差した。
謁見の間の、一番隅っこ。俺たち仲間たちが、この壮大な茶番劇を呆然と見守りながら控えている、その場所。
「もちろん、ソフィアさんです!」
俺は、満面の、一点の曇りもない笑みを浮かべて、高らかに言い放った。
「俺、この人を、世界で、宇宙で、一番、愛してるんで!」
◇
再び、静寂が訪れた。しかし、先程までの凍りつくような静寂とは質が違う。それは、あまりにも予想外で、あまりにも純粋な告白の前に、誰もが思考を停止させられた結果としての、驚愕の静寂だった。
大臣も、騎士も、仲間たちも、そして、悲劇のヒロインとなったエリザベート王女も。全員の視線が、まるで一本の強力な光線のように、謁見の間の隅に立つ、ただ一人の女性に、寸分の狂いもなく集中した。
ソフィアは、静かに、そこに立っていた。
突如として物語の渦中に引きずり出されたにもかかわらず、彼女は驚いた様子も、狼狽した様子も見せなかった。ただ、静かに、その全ての視線を、一身に浴びていた。その横顔は、まるで古代の彫刻のように完璧で、感情を読み取ることは難しい。だが、その内に秘めたものは、もはや以前の彼女とは全く違っていた。
恋を、そしてそれがもたらす痛みと喜びを自覚した女神は、もはや、ただ運命の訪れを待つだけの、か弱い存在ではなかったのだ。
ユウキからの、あまりにもストレートで、これ以上ないほど最高のパス。
最大のライバルとなりうる、一国の王女。その彼女が、衆人環視の謁見の間で、完膚なきまでに打ちのめされた、この瞬間。自分の存在を、この国の権力者たちの前で、これ以上なく効果的にアピールできる、絶好の機会。
彼女は、動いた。
これまでの、一歩引いて仲間たちを見守るような、控えめな態度は、そこにはなかった。
優雅に、しかし、大地を踏みしめるような確かな一歩で、彼女は、俺の隣へと、ゆっくりと、しかし一切の迷いなく歩み寄った。その一歩一歩が、まるで女王の戴冠式のように、厳かで、美しい。
そして、茫然自失となって打ちひしがれるエリザベート王女に向かって、完璧な、しかしその奥にどこか挑戦的な色を隠し、そして圧倒的なまでの、勝利の微笑みを、ゆっくりと浮かべた。
「王女殿下。ご紹介が、遅れましたわね」
その声は、静かでありながら、不思議なほど凛として謁見の間全体に響き渡った。それは、この場の支配者は自分であると、暗に告げているかのようだった。
「私が、彼の、パートナーの、ソフィアです」
そして、ソフィアは、その場にいた誰もが息を呑む、驚くべき行動に出た。
ごく、ごく、自然な仕草で。まるで、それが、この世界で最も当たり前のことであるかのように。
彼女は、俺の腕に、そっと、自身の柔らかく、そして驚くほど細い腕を、絡ませたのだ。
その瞬間、俺の体温は、間違いなく沸点を超えた。心臓が喉から飛び出しそうになり、顔から火が出るという比喩が、比喩ではないことを初めて知った。
「ユウキが、いつも、お世話になっておりますわ」
ソフィアは、絡ませた腕の力をわずかに強め、エリザベートから一切視線を外さずに、穏やかに、しかしはっきりと続けた。
「これからも、この人は、少し、いえ、かなり、お人好しで、放っておくとすぐに厄介なトラブルに巻き込まれやすいところがございますが、その時は、私が、彼の唯一のパートナーとして、責任をもって、厳しく監督いたしますので。どうぞ、ご安心くださいませ」
その言葉。 その態度。 その、腕を絡ませるという、誰の目にも明らかな親密な行為。
それは、もはや、ただの自己紹介ではなかった。 それは、言葉には出さない、しかし、誰の目にも明らかな、完璧で、優雅で、そして一切の反論を許さない、絶対的な勝利宣言だった。
――この男は、私のものです。たとえ相手が、この国の王女殿下であろうと、いかなる身分の高い方が相手であろうと、お渡しする気は、微塵もございません。お分かりになりましたか?
俺は、隣で顔を真っ赤にして、カチコチに固まって蒸気機関車のようになっている。
エリザベート王女は、目の前に現れたソフィアの、この世のものとは思えぬ神々しいまでの美しさと、その全身から放たれる圧倒的なまでの「正妻」のオーラに、ぐうの音も出ない。ただ、血が滲むほどに唇を噛み締め、悔しさと嫉妬に燃える瞳で、彼女を睨みつけることしかできなかった。
そして、俺たちの後ろでは。
「「「「うおおおおおお……! ソフィアさん(様)が……攻めたああああああああ!」」」」
ジンも、セレスティアも、リナも、サラも、仲間たちが、興奮と、感動と、そして畏敬の念に、打ち震えていた。彼らは、歴史的瞬間の目撃者となったのだ。
こうして、アーレンス王国第一王女エリザベート様からの、唐突にして壮大な求婚騒動は、恋する女神ソフィアの、華麗なるカウンターアタックによって、その幕を、ひとまずは閉じたのだった。
だが、これは、決して終わりではない。 むしろ、これは始まりだ。
ユウキを巡る、恋の戦いは、この国の、最も権力のある少女を、新たな、そして最強のライバルとして迎え入れ、さらに、さらに、激しく、複雑に、燃え上がっていく。
そんな、とんでもない爆弾をいくつも抱え込んだまま。 俺たちの、波乱に満ちすぎた、王都での生活が、今、始まろうとしていた。
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