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第二話 夏の屋敷と過去からのメッセージ
④
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……翌朝……
縁は自宅の自分の部屋で、考え事をしていた。写真の裏に書かれていた詞を……。
縁は作治の残した詞を呟いた。
「『我が道は茨なれど…我子孫には花道を歩かせる…』か……」
縁は一人で呟いた。
「これにも何か意味があるはずなんだけどな……ん?そういえば、今って……」
その時下の階から、縁の母親が縁を呼んだ。
「縁っ!桃ちゃんが来てるわよーっ!」
どうやら桃子が迎えに着たようだ。
縁はドアを明けて母親に叫んだ。
「今行くよ!」
縁はそう言うと出かける準備をした。
準備をして下の階に行くと、リビングで桃子はモーニングコーヒーを飲んでいた。
縁は言った。
「おはよう、桃子さん……」
桃子は縁の顔を見て言った。
「おはよう……珍しいな……起きたてではないのか?表情がハッキリしている」
「ああ……今朝は早めに起きたんだ…」
「ふっ……いつもこうなら良いのにな」
縁の母親が桃子に言った。
「桃ちゃん、クッキーはいかが?」
「いえ、お母様……頂きたいのは山々ですが、すぐに行かないといけませんので……」
「あら……残念ね……」
「後日また……」
縁の母親は何故か桃子を気に入っている。
縁は言った。
「早く行こうぜ……」
縁がそう言うと桃子は立ち上がった。
それを見て縁の母親が言った。
「桃ちゃん……縁をお願いね」
「任せといて下さい……」
二人は縁の自宅のを出た。
縁の自宅を出た二人は、瑠璃の家に向かった。
瑠璃は今日は予定があったらしく、同行出来ないので、屋敷の鍵を借り、車を走らせて屋敷に向かった。
……雨家作治の屋敷……
縁と桃子は屋敷に入ると、すぐさま作治の書斎へ向かった。
縁は本棚を調べている。
本棚は3つ並べられていて、古い物だが高さはそれぞれ150cm程あり、かなり大きい。
縁は言った。
「血痕の付いた本は一番上の段に入っていたようだな……」
血痕の付いた本は縦30cmはあった。あのサイズの本が入るのは一番上の段しか入らない……3つの本棚は全て同じタイプの本棚なので。
つまり血痕の付いた本は3つある本棚の上の段のどれかだ。
縁は呟いた。
「この段の本に血痕の……そして、この段の本だけが床に散乱していた……」
縁は顎をさすりながら険しい表情をしている。
桃子は呟いた。
「それにしてもきれいに掃除されてるな……床に付いた染み以外は目立った汚れは無いな……」
桃子の言葉に縁は反応した。
「きれいに?……」
縁は何かを思い立ったように部屋のドアを調べだした。
「ドアはきれいだ……なるほど……」
次に縁は作治が倒れていたとされる場所と、そこから一番近い本棚の距離を見た。
「そう言う事か……後は……」
縁の行動を見て桃子は言った。
「どうしたんだ?縁……」
縁は言った。
「後は写真の意味だ……」
そう言うと縁はスマホを取り出し、誰かに電話をかけた。
「もしもし……有村さん?……調べてほしい事があるんだけど……事件後の作治さんの家族の事を…………ああ、わかった……また、連絡をくれ……」
縁が電話を終えると、桃子が言った。
「警視殿か?……何を頼んだ?」
縁はブツブツ呟いている。
「密室、血痕の付いた本……会社の売却………」
「縁?………」
縁は言った。
「桃子さん、もうすぐ謎が解けるぜ……」
「本当か?」
「ああ……有村さんからの連絡で、全てがわかる……」
しばらくすると、有村から連絡があった。
「ああ……やっぱり……わかった……ありがとう、有村さん……じゃあ、また……」
桃子が言った。
「縁……」
縁は口角を上げた。
「ああ……ピースは揃ったよ……」
縁は桃子に言った。
「桃子さん……明日この場所で、当時何が起こったのか……雨家さんに説明しようと思う……」
「この部屋でか?」
「ああ……彼女にとっては……辛い話になるかもしれない……」
「どう言う意味だ?」
「全ての情報を整理してからでないと……今は言えない……」
「では何故……今私に言った?」
「小説のネタにするなって事……」
桃子は納得した。
「わかったよ……瑠璃が傷付くかも知れないんだ……仕方ない」
桃子が納得したところで、縁は言った。
「とにかく明日までには、整理するから……今日は帰ろう……」
二人は着たばかりだったが、明日のために今日は帰ることにした。
……翌日午後……
桃子の車で縁、桃子、瑠璃の3人は作治の屋敷に向かっていた。
車内の空気は少し重い雰囲気だった。
「良い天気だが……今日も暑いな」
桃子は車内の重い雰囲気を明るくしようと言ったつもりだったが……気のきいた言葉が他に浮かばなかった。
縁は桃子に合わせるように言った。
「確かに……こう暑い日が続くと、ほんとに干からびそうだよ……」
縁と桃子はルームミラーで瑠璃の反応を確かめたが……瑠璃はどこか緊張感のある表情で、外の方を向いている。
瑠璃は縁から祖父の話をための、心の準備をしているのだろうか……。
桃子車は再び沈黙を乗せて、目的地に向かって走った。
山道に近くなってきたせいか、信号待ちの度に蝉の鳴き声が耳に響いた。
……屋敷…作治の書斎……
作治の書斎は空調機器がないので、相変わらず蒸し暑かった。
縁は鉄格子の付いた窓を開けた。
瑠璃は言った。
「新井場君……」
縁は言った。
「部屋をみる限り……俺の見解だと……作治さんは仕事や趣味、自分の時間を大切にする人だったみたいだね」
瑠璃は黙って頷いている。
縁は続けた。
「この屋敷には書斎にしか鍵がない。わざわざ鍵を付けているのは、仕事や趣味に集中するため……外部からの接触を避けるために、鍵を付けたと考えられる」
桃子は言った。
「なるほど……」
縁はさらに続けた。
「つまり作治さんは、この書斎を使う時……鍵を掛けて使うのが当たり前だったんだ」
瑠璃が言った。
「じゃあ……おじいちゃんは……」
縁は言った。
「事件のあった日も、この部屋に鍵を掛けていた事になる……」
桃子は言った。
「では犯人が予めこの書斎に潜んでいて、作治氏を刺したのか?」
縁は首を横に振った。
「それは違う……事件のあった時、この部屋には作治さんしか居なかった……」
桃子が言った。
「では犯人は、どうやって作治氏を殺害したのだ?……そうか、犯人は顔見知りで、作治氏の書斎にやって来て……書斎に招き入れた後に背中を刺された……」
縁はまたもや首を横に振った。
「前にも言ったけど……密室トリックを使うのは無理だよ……」
瑠璃は目を見開いた。
「もしかして……おじいちゃん……」
縁は言った。
「作治さんは自殺したんだ……」
縁の言葉に桃子は驚き、瑠璃の表情には悲壮感がただよった。
桃子は言った。
「縁……お前も言っていただろ?……自ら包丁を持ち、上から下に向けて背中を刺す事は、不可能だと……なのに、自殺とは……」
縁は言った。
「俺も最初はそう思ったよ……。でも、ある物を使えば……密室トリックは出来なくても、自殺を他殺に見せかけるトリックは出来る。これを見てくれ」
そう言うと縁はスマホの写真を、二人に見せた。
それを見て瑠璃が言った。
「本?……」
縁は言った。
「そうだ……この5冊の本を使ったんだ……」
桃子は言った。
「この血の付いた本でどうやったんだ?」
縁は5冊ある本の内、1冊だけ血の付いていない本の写真を見せた。
「この本には血が付いてはいないが……血の代わりに別の物が付いている……」
桃子は写真を観察しながら言った。
「表面、中央に……丸いへこみがある……」
縁は頷いて、本棚に向かった。
縁は本棚の最上部を指して言った。
「この本のサイズだと、この一番上の段にしか、並べる事が出来ない……」
二人は本棚を見つめて頷いた。
縁は続けた。
「まずこの写真の、丸いへこみが付いている本を棚の奥に横向きに入れて、残りはそれを被せるように、普通に並べる……おそらく当時は、普通に本が並んでいたはずだ……」
二人は想像したのか、黙って頷いた。
縁は続けた。
「丸いへこみの付いた本は、厚さが5cm程あるから……本の並びに出っ張りが出来る……本4冊文の……」
桃子は言った。
「まさか……そこに……」
縁は言った。
「そうだ……出っ張り部分の、本と本の間に包丁の刃を外に向けて挟んで固定したんだ……」
桃子が言った。
「作治氏の身長は160cmの前半……本棚の高さは150cm程……その位置だと丁度背中に合う……」
縁は言った。
「作治さんは……それに背中を向けて、勢いよく背中を刺した……その時の衝撃で横向けに置かれた本に……包丁の柄の跡が本に付いた……」
桃子が言った。
「本の丸いへこみは、包丁の柄の跡か……」
縁は言った。
「作治さんは、本棚に痕跡を残すわけにはいかなかったので……本棚から包丁を離すときに、本も抜き取った。本に血が付いたのはその時だろう……そして、本を抜き取った時の勢いで、奥にあった横向きに置かれた本も一緒に落ちた」
桃子が言った。
「これで他殺に見せる事が出来る」
縁は言った。
「しかし、作治さんは背中を刺した後に気付いたんだ……いつもの癖で部屋に鍵を掛けてしまったのを……」
桃子は言った。
「だから、密室殺人の様になってしまったのか……」
縁は言った。
「ああ……強盗犯はわざわざ密室トリックなんか使わない……。作治さんは鍵を解除しようと、ドアに向かったが……」
桃子が言った。
「途中で力尽きた……。だからドアの付近で死んでいたのだな……」
作治の死の真相が明らかになった。
すると、今まで黙っていた瑠璃が口を開いた。
「どうして?……どうしておじいちゃんは自殺したの?……」
瑠璃の表情は混乱と悲壮感が入り交じり、とても一人にする事ができる様子ではなかった。
縁は瑠璃から預かっていた、写真を取り出した。
「それはこの写真だよ」
縁の取り出した写真は、裏に作治の詩が書いてある写真だった。
『我が道は茨なれど……我子孫には花道を歩かせる……』
縁は自宅の自分の部屋で、考え事をしていた。写真の裏に書かれていた詞を……。
縁は作治の残した詞を呟いた。
「『我が道は茨なれど…我子孫には花道を歩かせる…』か……」
縁は一人で呟いた。
「これにも何か意味があるはずなんだけどな……ん?そういえば、今って……」
その時下の階から、縁の母親が縁を呼んだ。
「縁っ!桃ちゃんが来てるわよーっ!」
どうやら桃子が迎えに着たようだ。
縁はドアを明けて母親に叫んだ。
「今行くよ!」
縁はそう言うと出かける準備をした。
準備をして下の階に行くと、リビングで桃子はモーニングコーヒーを飲んでいた。
縁は言った。
「おはよう、桃子さん……」
桃子は縁の顔を見て言った。
「おはよう……珍しいな……起きたてではないのか?表情がハッキリしている」
「ああ……今朝は早めに起きたんだ…」
「ふっ……いつもこうなら良いのにな」
縁の母親が桃子に言った。
「桃ちゃん、クッキーはいかが?」
「いえ、お母様……頂きたいのは山々ですが、すぐに行かないといけませんので……」
「あら……残念ね……」
「後日また……」
縁の母親は何故か桃子を気に入っている。
縁は言った。
「早く行こうぜ……」
縁がそう言うと桃子は立ち上がった。
それを見て縁の母親が言った。
「桃ちゃん……縁をお願いね」
「任せといて下さい……」
二人は縁の自宅のを出た。
縁の自宅を出た二人は、瑠璃の家に向かった。
瑠璃は今日は予定があったらしく、同行出来ないので、屋敷の鍵を借り、車を走らせて屋敷に向かった。
……雨家作治の屋敷……
縁と桃子は屋敷に入ると、すぐさま作治の書斎へ向かった。
縁は本棚を調べている。
本棚は3つ並べられていて、古い物だが高さはそれぞれ150cm程あり、かなり大きい。
縁は言った。
「血痕の付いた本は一番上の段に入っていたようだな……」
血痕の付いた本は縦30cmはあった。あのサイズの本が入るのは一番上の段しか入らない……3つの本棚は全て同じタイプの本棚なので。
つまり血痕の付いた本は3つある本棚の上の段のどれかだ。
縁は呟いた。
「この段の本に血痕の……そして、この段の本だけが床に散乱していた……」
縁は顎をさすりながら険しい表情をしている。
桃子は呟いた。
「それにしてもきれいに掃除されてるな……床に付いた染み以外は目立った汚れは無いな……」
桃子の言葉に縁は反応した。
「きれいに?……」
縁は何かを思い立ったように部屋のドアを調べだした。
「ドアはきれいだ……なるほど……」
次に縁は作治が倒れていたとされる場所と、そこから一番近い本棚の距離を見た。
「そう言う事か……後は……」
縁の行動を見て桃子は言った。
「どうしたんだ?縁……」
縁は言った。
「後は写真の意味だ……」
そう言うと縁はスマホを取り出し、誰かに電話をかけた。
「もしもし……有村さん?……調べてほしい事があるんだけど……事件後の作治さんの家族の事を…………ああ、わかった……また、連絡をくれ……」
縁が電話を終えると、桃子が言った。
「警視殿か?……何を頼んだ?」
縁はブツブツ呟いている。
「密室、血痕の付いた本……会社の売却………」
「縁?………」
縁は言った。
「桃子さん、もうすぐ謎が解けるぜ……」
「本当か?」
「ああ……有村さんからの連絡で、全てがわかる……」
しばらくすると、有村から連絡があった。
「ああ……やっぱり……わかった……ありがとう、有村さん……じゃあ、また……」
桃子が言った。
「縁……」
縁は口角を上げた。
「ああ……ピースは揃ったよ……」
縁は桃子に言った。
「桃子さん……明日この場所で、当時何が起こったのか……雨家さんに説明しようと思う……」
「この部屋でか?」
「ああ……彼女にとっては……辛い話になるかもしれない……」
「どう言う意味だ?」
「全ての情報を整理してからでないと……今は言えない……」
「では何故……今私に言った?」
「小説のネタにするなって事……」
桃子は納得した。
「わかったよ……瑠璃が傷付くかも知れないんだ……仕方ない」
桃子が納得したところで、縁は言った。
「とにかく明日までには、整理するから……今日は帰ろう……」
二人は着たばかりだったが、明日のために今日は帰ることにした。
……翌日午後……
桃子の車で縁、桃子、瑠璃の3人は作治の屋敷に向かっていた。
車内の空気は少し重い雰囲気だった。
「良い天気だが……今日も暑いな」
桃子は車内の重い雰囲気を明るくしようと言ったつもりだったが……気のきいた言葉が他に浮かばなかった。
縁は桃子に合わせるように言った。
「確かに……こう暑い日が続くと、ほんとに干からびそうだよ……」
縁と桃子はルームミラーで瑠璃の反応を確かめたが……瑠璃はどこか緊張感のある表情で、外の方を向いている。
瑠璃は縁から祖父の話をための、心の準備をしているのだろうか……。
桃子車は再び沈黙を乗せて、目的地に向かって走った。
山道に近くなってきたせいか、信号待ちの度に蝉の鳴き声が耳に響いた。
……屋敷…作治の書斎……
作治の書斎は空調機器がないので、相変わらず蒸し暑かった。
縁は鉄格子の付いた窓を開けた。
瑠璃は言った。
「新井場君……」
縁は言った。
「部屋をみる限り……俺の見解だと……作治さんは仕事や趣味、自分の時間を大切にする人だったみたいだね」
瑠璃は黙って頷いている。
縁は続けた。
「この屋敷には書斎にしか鍵がない。わざわざ鍵を付けているのは、仕事や趣味に集中するため……外部からの接触を避けるために、鍵を付けたと考えられる」
桃子は言った。
「なるほど……」
縁はさらに続けた。
「つまり作治さんは、この書斎を使う時……鍵を掛けて使うのが当たり前だったんだ」
瑠璃が言った。
「じゃあ……おじいちゃんは……」
縁は言った。
「事件のあった日も、この部屋に鍵を掛けていた事になる……」
桃子は言った。
「では犯人が予めこの書斎に潜んでいて、作治氏を刺したのか?」
縁は首を横に振った。
「それは違う……事件のあった時、この部屋には作治さんしか居なかった……」
桃子が言った。
「では犯人は、どうやって作治氏を殺害したのだ?……そうか、犯人は顔見知りで、作治氏の書斎にやって来て……書斎に招き入れた後に背中を刺された……」
縁はまたもや首を横に振った。
「前にも言ったけど……密室トリックを使うのは無理だよ……」
瑠璃は目を見開いた。
「もしかして……おじいちゃん……」
縁は言った。
「作治さんは自殺したんだ……」
縁の言葉に桃子は驚き、瑠璃の表情には悲壮感がただよった。
桃子は言った。
「縁……お前も言っていただろ?……自ら包丁を持ち、上から下に向けて背中を刺す事は、不可能だと……なのに、自殺とは……」
縁は言った。
「俺も最初はそう思ったよ……。でも、ある物を使えば……密室トリックは出来なくても、自殺を他殺に見せかけるトリックは出来る。これを見てくれ」
そう言うと縁はスマホの写真を、二人に見せた。
それを見て瑠璃が言った。
「本?……」
縁は言った。
「そうだ……この5冊の本を使ったんだ……」
桃子は言った。
「この血の付いた本でどうやったんだ?」
縁は5冊ある本の内、1冊だけ血の付いていない本の写真を見せた。
「この本には血が付いてはいないが……血の代わりに別の物が付いている……」
桃子は写真を観察しながら言った。
「表面、中央に……丸いへこみがある……」
縁は頷いて、本棚に向かった。
縁は本棚の最上部を指して言った。
「この本のサイズだと、この一番上の段にしか、並べる事が出来ない……」
二人は本棚を見つめて頷いた。
縁は続けた。
「まずこの写真の、丸いへこみが付いている本を棚の奥に横向きに入れて、残りはそれを被せるように、普通に並べる……おそらく当時は、普通に本が並んでいたはずだ……」
二人は想像したのか、黙って頷いた。
縁は続けた。
「丸いへこみの付いた本は、厚さが5cm程あるから……本の並びに出っ張りが出来る……本4冊文の……」
桃子は言った。
「まさか……そこに……」
縁は言った。
「そうだ……出っ張り部分の、本と本の間に包丁の刃を外に向けて挟んで固定したんだ……」
桃子が言った。
「作治氏の身長は160cmの前半……本棚の高さは150cm程……その位置だと丁度背中に合う……」
縁は言った。
「作治さんは……それに背中を向けて、勢いよく背中を刺した……その時の衝撃で横向けに置かれた本に……包丁の柄の跡が本に付いた……」
桃子が言った。
「本の丸いへこみは、包丁の柄の跡か……」
縁は言った。
「作治さんは、本棚に痕跡を残すわけにはいかなかったので……本棚から包丁を離すときに、本も抜き取った。本に血が付いたのはその時だろう……そして、本を抜き取った時の勢いで、奥にあった横向きに置かれた本も一緒に落ちた」
桃子が言った。
「これで他殺に見せる事が出来る」
縁は言った。
「しかし、作治さんは背中を刺した後に気付いたんだ……いつもの癖で部屋に鍵を掛けてしまったのを……」
桃子は言った。
「だから、密室殺人の様になってしまったのか……」
縁は言った。
「ああ……強盗犯はわざわざ密室トリックなんか使わない……。作治さんは鍵を解除しようと、ドアに向かったが……」
桃子が言った。
「途中で力尽きた……。だからドアの付近で死んでいたのだな……」
作治の死の真相が明らかになった。
すると、今まで黙っていた瑠璃が口を開いた。
「どうして?……どうしておじいちゃんは自殺したの?……」
瑠璃の表情は混乱と悲壮感が入り交じり、とても一人にする事ができる様子ではなかった。
縁は瑠璃から預かっていた、写真を取り出した。
「それはこの写真だよ」
縁の取り出した写真は、裏に作治の詩が書いてある写真だった。
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