剣術科の私と魔術科の冴えない僕

ノン・タロー

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結ばれた二人

魔法史の授業

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 ーハルトー


 レオナは3時限目にグラウンドを見てて欲しいと言っていた……。

 そう、確かに言っていた……。

 しかし……僕はその3時限目は眠ってしまっていた……。

 なぜ僕は寝まってしまったのか、それは3時限目の授業である魔法史が原因だ。

 僕は3時限目の最初こそ起きていた。

 僕の席は窓際の席の後ろから2番目。
 夏は日差しこそ暑いけど、窓を開けていればそこそこ涼しい。

 しかも、この位置は教師達からは見にくいらしく、よそ見をするにも最適な場所でもある。

 3時限目が始まってすぐに自分の席からグラウンドの方へと目をやると、剣術科の2年の生徒達がグラウンドに集まっていたのが見えた。

 確かにその中には遠目ではあるけど、レオナの姿も見えた。

 授業の内容から抜剣で巻藁を斬ると言う内容らしい。

 そう、そこまでは見ていた……!

 しかし……、魔法史の教師の声がボソボソと喋り、しかも窓側からは太陽の光が眩しく思わず目を細める……。

 それはまるで催眠術にも似たような効果があるのか、クラスを見渡すと一人、また一人と眠りへと落ちていく。

 僕はどうにか眠らないように、そしてレオナを見るまでは……と思いながら必死に寝ないように頑張った……。

 起きなければ……、起きて……いなければ……、おき……て……お……き……。

 次の瞬間僕の意識は途切れた……。


 次に気が付いた時は3時限目の終了のチャイムが鳴った時……。
 授業は既に終わっており、グラウンドには既にレオナたちの姿がない……。

「ど……どうしよう……」

 僕は頭を抱えた。

 きっとあの巻藁をカッコよく斬るのを僕に見せたかったはずだ。
 しかし、僕は寝てしまっていた……。

「まずい……非常にまずい……」

 彼女の活躍を見ずに、それどころさ居眠りをしていた彼氏なんてレオナが聞いたらガッカリしてしまう……。

「何がまずいんや?」

 頭を抱えていると、エリサが不思議そうな顔をしながらやって来る。

 そうだ……!
 エリサに相談してみよう、何かいいアイデアが貰えるかもしれないっ!

「エリサ!相談があるんだけど……っ!」

「な……何や急に……?」

 僕が机を叩きながら勢いよく立ち上がると、エリサは驚いた表情をしながら数歩後ずさっていた。

「じ……実は……!」

 僕はエリサに3時限目の事を相談することにした……。


「なるほどな……、レオナから3時限目はグラウンドの方を見ておいて欲しいと言われたけど、寝てしもうてたと……、そう言う事やな?」

「うん……そうなんだよ……、何とかレオナをガッカリさせないいい方法は無いかな……?」

「そんな方法あるわけないやろ?逆立ちしても時は戻せへんのや。下手な言い訳考えるより素直に謝ったほうがええんとちゃうんか?」

「はぁ……やっぱりそうか……」

 僕はエリサの答えを聞き、また頭を抱えて大きくため息を付いた。

「まぁ……でも、レオナもそこまで怒らんと思うで?」

「そう……かな……?」

「逆に変な言い訳したほうが怒ると思うで」

「な……なるほど……」

 ここはエリサのアドバイスに従って大人しく本当の事を言おう……。
 僕は心にそう決めたのだった。


 ◆◆◆


 そして迎えた昼休み……遂にその時が訪れた。

「ハルト!学食に行くぞっ!」

 いつも以上にテンションの高いレオナが僕のいる魔術科の教室へとやって来る。

 ああ……遂にこの時間がやって来た……。

 あのテンションから見るに、きっとレオナは僕に見せたい一心で授業に臨んで、そして思った以上の結果を残せたのだろう。

 そのレオナの顔を僕が曇らせてしまう……、そう思うととても心が重くなる。


「ハルト!今日の私の剣術の授業見てくれたかっ!?」

 そして、教室を出て学食へと向かう途中、レオナは満面の笑みを浮かべ、今だ興奮冷めやまないのか目を輝かせながら僕を見てくる。

 レオナの「褒めて褒めて!」と言う心の声が今にも聞こえてきそうで、例えるならご褒美ほしさに尻尾が千切れるくらい振る子犬のようにも見える。

 その表情が僕には眩しすぎ、思わず目を背けたくなる。

 これから僕はこの笑顔を曇らせないといけないのか……。
 ああ……気が重いな……。

「ご……ごめん……3時限目居眠りしちゃってて……見れなかったんだ……」

「なん……だと……?」

 僕は覚悟を込め、大人しく素直に白状した。

 その言葉を言った瞬間、レオナの目から光が消えたのだった……。
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