チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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三章 旅立つ少女

手掛かりの欠片

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「はあ~……」

 あれから数日後……、私は冒険者ギルドのカウンターで大きなため息を付いていた……。

 鍛冶屋に研ぎ直しを頼んでおいた剣は帰ってきたので、剣が理由というわけではない。

 私も女として産まれたからには月に一度はやって来るものがある……。

 いわゆる「あの日」だ……。

 なんでこんなのがあるのか皆目わからない……。

 いや、理由は元いた世界の学校の授業で習ったから知ってるんだけど、実際やって来るとかなり憂鬱だ……。
 お腹が痛いし、腰は重いし、ダルいし、イライラするし……。

「カナ……、カウンターで盛大にため息を付くのは止めてくれないかな……?」

 カウンター越しにミシェルさんが顔を引きつかせていた……。

「ああ、すみません……」

「今日は何かあったのかい……?」

 ミシェルさんは、ヤレヤレと軽くため息をつきながらもカウンター越しに身を乗り出してきた。

「いえ、そう言う訳ではないんですけど……。その……」

「ん~……、ハッキリしないね……。あ、もしかして"あの日"かい……?」

「は……はい……」

「ああ~……、成る程ね……。それはため息も出るね……。今何日目だい?」

「2日目です……」

「結構きつい時期だねぇ~……」

 私の話を聞いてミシェルさんは苦笑していた。
 こればかりは女性でなければ分からない問題だ……。

「そう言えば、今日はバッシュとミーナとは一緒じゃないんだね」

「ミーナはなんか発情期だって言ってましたね……。バッシュさんはその相手をしています」

「ミーナは発情期か……。あの子の発情期は激しいけど、鬼族のバッシュなら、まあ問題ないだろうね」

「あの……、発情期ってなんですか……?」

 私は前から気になっていた発情期というのをミシェルさんに聞いてみる事にした。

「女性の獣人族のあの日の前に必ず訪れる現象で、何日か続くけど、あの日自体は短いんだよ。子孫を残そうとする本能みたいなヤツだね」

 種族によってそう言うのも色々あるようだ……。

「そう言えば、カナはどうして冒険者をやってるんだい?いい機会だから、もしよければカナのことを色々と聞いてもいいかな?」

 ミシェルさんは私の前へとジュースを差し出して、私のすぐ横の椅子へと座った。
 どうやら私の話を聞きたいらしい。

「分かりました、それでは……」

 私はミシェルさんにこことは違う世界から来たことやラウルで過ごした日々、ミリアさんやジェストさんとの冒険の話、そして元の世界に帰るための手掛かりを探すための旅をしている事も話した。

「う~ん……、異世界から来たと言われてもいまいちピンとは来ないね……」

 私の話を聞いて、ミシェルさんは訝しげな表情で聞いていた。
 私も他の人が「異世界から来た」、と言われてもまず信じないだろうから、当然といえば当然の反応だ。

「まあ、カナが本当に異世界から来たかどうかは置いといて、どんな魔法をも使いこなせるという大賢者がいるという話は聞いたことがあるね……」

 どんな魔法でも使いこなせる大賢者……っ!?

 もしかしたらその人に頼めば元の世界に帰れるかもしれない……っ!

「その人はどこにいるんですか……っ!?」

「それはあたしにも分からないよ……。ランザに魔導都市があるって話だから、もしかしたらそこにいるのかも知れないけど……」

 魔導都市か……。
 ランザと言ったらバッシュさんが目指している所と言うことだろう。

「ランザって、アルアナ教の聖地があるんですよね……?その街が魔導都市なんですね」

「ん……?ランザは大陸の名前であって街の名前じゃないよ?」

 ……え?街の……名前じゃない……?

「え……?え……っ!?ぅええぇぇぇぇぇーーーー………っ!!!」

「その様子じゃ知らなかったみたいだね……。ちなみにここはナベル島という大陸と比べたら小さな島みたいな所だよ。バッシュもランザに行くみたいだから一緒に行ったらどうだい?」

「そうですね……」

 バッシュさんが前言っていた、旅は道連れではないけど、それもいいかもしれない。

「その代わり、旅立つ前に冒険者ランクを上げてもらうよ。それがランザに行く条件だ」

「分かりました……」

 険しい顔をしていたミシェルさんの言葉に私は圧倒される感じで頷いた。
 しかし、この冒険者ランクを上げるための試験がとんでもない物だとはこの時の私は知る由もなかった……。
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