チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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五章 探し求める少女

サンドワーム戦

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 ーカナー

「『ウォーターサモナー』っ!!」

 翌日……、私は街の外でウォーターサモナーの練習をしていた。

 こんな水を出すだけの魔法が何の役に立つのかと言われればそうなのかも知れないけど、これもサンドワームを倒すための立派な練習なのだ……!

 しかし、どう頑張っても出せる範囲は精々10メートルが限度……。

 魔力の高いエルフが使えばまだ違うのかもしれないけど、私が考えている作戦を実行するには出来るだけ近づいてからじゃないとサンドワームには効果がなさそうだ……。

 そもそも私がやっているのは仮説の仮説な訳で、本当にサンドワームに通用するかどうかも実際怪しい……。

 そんな与太話にも似た作戦を代わりにやってくれと頼んでも誰もしないだろうからこれは自分でやらなければならない。

 でも、うまく行けばサンドワームの甲殻をぶち抜くどころか、倒すことも出来る……はず……!

「あとは一か八か……、ぶっつけ本番、出たとこ勝負……ね」


 ◆◆◆


 意を決した私は、街を出て一人砂漠へとやって来た。

 一応フィーリエにはサンドワームと単身挑んでくるとは伝えたが、当たり前のように反対された……。
 その反対を押し切り、私は一人ここにいる。

 本当は誰かの援護は欲しいところだけど、言えば必ず反対されるし、私の作戦に賛同してくれる人もまずいないだろう……。

 それに、もし失敗したら多くの犠牲者が出るかもしれない……。
 でも、一人なら最悪犠牲者は私一人……。


 これからサンドワームとの戦いに思わず息を呑む……。
 正直言うとかなり怖い……。

 本当に勝てるかどうかもわからない……。
 脚も少し震えている……。

 私はそっと目を閉じる……。
 周囲の気配を探るもサンドワームの気配は今のところない……。

 なら、おびき出すしか……!

「『ファイヤーボール』っ!!」

 ファイヤーボールを唱えて街とは反対方向へと適当に放り投げる……!
 ファイヤーボールの着弾地点に爆音と砂埃が舞い上がる。

 サンドワームは音に敏感なのだと言う……。
 ならこの爆音を聞きつけやってくる可能性はある。

 ある程度ファイヤーボールを投げてから再び目を閉じると……、サンドワームが近付いてくる気配を感じた……。
 すぐ近くにいる……!

「『ギガインパクト』っ!!」

 砂に手を付き、ギガインパクトを唱える……!

 すると凄まじい轟音と振動が砂漠の砂を激震させる!

 それに驚いたのか、サンドワームは大きな鳴き声と共に私のすぐ近くで姿を表したっ!

 いよいよ作戦開始だ!
 私の仮説が行けるかどうか、試してやる……っ!!

「『ウォーターサモナー』っ!!」

 サンドワームがギガインパクトの衝撃で怯んでいる隙にサンドワームの甲殻と身の間に水を貯めるイメージでウォーターサモナーを唱える……!

 実際に狙った所に水を召喚出来たかはわからないけど、少なくとも外にはこぼれ落ちていないらしい。

 怯んでいたサンドワームが大きな咆哮をあげながら大きな口を開き襲いかかる……!

 私はそれを全力で走って避けると、サンドワームに噛みつかれた砂が大きく抉られている。

 あんなものをまともに噛みつかれたら一瞬でミンチにされてしまいかねない……!

「『ウォーターサモナー』っ!!」

 サンドワームの噛みつきを避けると再び同じ場所を目掛けてウォーターサモナーを唱える。

 サンドワームは何をされているのか全く分かっていないようだが、私を食べようと攻撃の手を緩めようとしない。

 サンドワームは大きく息を吸い込む……。
 たぶん、サンドブレスを吐きかける気なのだろう。

「く……っ!『ファイヤーボール』っ!!」

 ファイヤーボールを唱えるとサンドワームの大きく開けられた口へと目掛けて投げつける。

 それはサンドワームの口の中で爆発するとブレスを吐こうとしていたサンドワームは怯み、その隙にまたウォーターサモナーを唱え、同じところへと水を発生させる。

 ファイヤーボールを食べさせられ激怒したのか、サンドワームが轟音の咆哮をあげる!

「うあぁ……っ!!?」

 私はその轟音に思わず耳を塞ぎ、動きが止まる。

 動きが止まった私の足元からサンドワームの身体が砂の中から勢いよく現れ、私の身体は勢いよく上空へと打ち上げられる……!

「きゃあ……っ!?」

 私はサンドワームの丁度口の高さまで打ち上げられていたのだった……っ!


 ◆◆◆


~サイドストーリー~

 ーフィーリエー

「はあ……!はあ……っ!」

 あたしは冒険者ギルドへと……ジョンソンさんの所へと走っていた……!

 カナが一人でサンドワームとの戦いに行ってしまった……!
 一人では危険だと言うあたしの説得も聞かず……!
 このままではカナは死んでしまう……!

 街の外から冒険者ギルドへの道が物凄く遠く感じる……っ!
 心臓が破れてしまうのでは無いかというくらい全力で走っているが中々たどり着かない……っ!


 ◆◆◆


 走り始めてから数分、十数分……、もしかしたら数十分も経っているのかも知れない……っ!
 ようやく冒険者ギルドが見えてきた……っ!

「ジョンソンさん……っ!!」

 あたしは息を切らせながら冒険者ギルドへと駆け込む。

「どうしたんだ?フィーリエ……、そんなに息を切らせて……?」

「じ……実はカナが……っ!!」

 あたしはカナがあたしの説得も聞かずに一人でサンドワームと戦いにいったことを伝える……!

「何だって……っ!?一人で行っちまったのか……!」

「何かいい作戦が思いついたとかで……!お願い……!お金ならいくらでも払うから力を貸して……っ!!」

「フィーリエ……、なぜそこで金の話が出る……?俺がエルフで君がドワーフだからか?仲間を助けたいのならただ一言、"俺の力が必要だ"と言えばいいだろ?」

「ジョンソンさん……!カナを助けるのに力を貸して……っ!!」

「分かったっ!フィーリエ、携行式の大砲くらいは扱えるなっ!?ファイヤーボールを込めた弾倉をセットすれば誰でも撃てるっ!」

「う……うん……っ!」

 それくらいなら魔法が苦手なあたしでも扱える……!
 ……当てられるかどうかは別の話だけど。

「なら出撃と行こうか……っ!!」

 あたしとジョンソンさん、さらにダグというオーガを含めた数人の冒険者と共にカナの援護へと向かうのだった……!
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