1 / 11
1
しおりを挟む
「今まではお前が一番美人だと思っていたけれど、もっと美人な女がいたんだ。だからお前はもういらない。婚約は破棄しておくから」
ヘンリー様にそう言われたのが、つい昨日のことのように思い出されます。別に思い出したくもないのですが、彼が我が家に押しかけてきたせいで思い出してしまいました。
婚約破棄されたのは半年も前ですのに、我が家に一体何の用があるのでしょうか。
「ローラ、お前は一体何をしたんだ?!フィンレー家の領地は何の特産品もない不毛な土地だったはずなのに……!」
第三王子のくせにマナーがなっていませんね。挨拶もないし、支離滅裂だし、言葉遣いもなっていません。それに我がフィンレー家の領地を馬鹿にするなんて……。
「何って……おっしゃっている意味が分かりませんわ。我が領地の繁栄が、そんなに気に食わないのですか?それに私が何をしようと、ヘンリー様と私はもう無関係ですよね?話がそれだけなら、私からお答えすることは何もありません」
こんな失礼な方に礼を尽くす必要はないでしょう。さっさとお引き取り願いたいです。
「それだけじゃない!俺との婚約がなくなった後、何があったんだ?あの悪魔の大公がお前に結婚を申し込むなんて……!」
「悪魔の大公?あぁ、チャールズ様のことですか?お耳が早いですこと」
悪魔の大公だなんて……チャールズ様はこの国の四割近い領地を治める大公で、最近親しくさせていただいている方です。第一王子よりも次期国王に近い人物なんだとか。実は、最近婚約したのです。なんだか思い出すだけで口元が緩んでしまいますね。
「なんでお前なんかが……この数ヶ月の出来事は全て偶然なのか?どうしてお前ばかり良い目にあうんだ!」
「本当に不思議ですねー。あなたに婚約を破棄されてから、良いことばかり起きるんですの。ご存じの通り、我が領地は急激な発展を遂げ、私にも素敵な婚約話が来たのです。とてもありがたいですわ」
ヘンリー様は下を向いて震えています。今日は暖かい日ですのにお寒いのかしら?
「ご用件はそれだけですか?ではお帰りくださいませ。この後、チャールズ様との約束がありますので。私、こう見えて結構忙しいのです」
深々とお辞儀をすると、ヘンリー様はきまりが悪そうに帰っていかれました。
本当に何しに来たのでしょう。なんだかげっそりしていましたが。そう言えば、最近ヘンリー様が教会に送られるという噂がありましたね。彼の兄達のように、王位に就く予定がある訳でもなく、騎士団で活躍する訳でもない。学者の道に進む気もないようですから、仕方がないでしょうに。今更何を焦っているのでしょうか。
私との婚約を破棄した時には、あんなに輝いていらっしゃったのに……人生とは分からないものですね。
ヘンリー様にそう言われたのが、つい昨日のことのように思い出されます。別に思い出したくもないのですが、彼が我が家に押しかけてきたせいで思い出してしまいました。
婚約破棄されたのは半年も前ですのに、我が家に一体何の用があるのでしょうか。
「ローラ、お前は一体何をしたんだ?!フィンレー家の領地は何の特産品もない不毛な土地だったはずなのに……!」
第三王子のくせにマナーがなっていませんね。挨拶もないし、支離滅裂だし、言葉遣いもなっていません。それに我がフィンレー家の領地を馬鹿にするなんて……。
「何って……おっしゃっている意味が分かりませんわ。我が領地の繁栄が、そんなに気に食わないのですか?それに私が何をしようと、ヘンリー様と私はもう無関係ですよね?話がそれだけなら、私からお答えすることは何もありません」
こんな失礼な方に礼を尽くす必要はないでしょう。さっさとお引き取り願いたいです。
「それだけじゃない!俺との婚約がなくなった後、何があったんだ?あの悪魔の大公がお前に結婚を申し込むなんて……!」
「悪魔の大公?あぁ、チャールズ様のことですか?お耳が早いですこと」
悪魔の大公だなんて……チャールズ様はこの国の四割近い領地を治める大公で、最近親しくさせていただいている方です。第一王子よりも次期国王に近い人物なんだとか。実は、最近婚約したのです。なんだか思い出すだけで口元が緩んでしまいますね。
「なんでお前なんかが……この数ヶ月の出来事は全て偶然なのか?どうしてお前ばかり良い目にあうんだ!」
「本当に不思議ですねー。あなたに婚約を破棄されてから、良いことばかり起きるんですの。ご存じの通り、我が領地は急激な発展を遂げ、私にも素敵な婚約話が来たのです。とてもありがたいですわ」
ヘンリー様は下を向いて震えています。今日は暖かい日ですのにお寒いのかしら?
「ご用件はそれだけですか?ではお帰りくださいませ。この後、チャールズ様との約束がありますので。私、こう見えて結構忙しいのです」
深々とお辞儀をすると、ヘンリー様はきまりが悪そうに帰っていかれました。
本当に何しに来たのでしょう。なんだかげっそりしていましたが。そう言えば、最近ヘンリー様が教会に送られるという噂がありましたね。彼の兄達のように、王位に就く予定がある訳でもなく、騎士団で活躍する訳でもない。学者の道に進む気もないようですから、仕方がないでしょうに。今更何を焦っているのでしょうか。
私との婚約を破棄した時には、あんなに輝いていらっしゃったのに……人生とは分からないものですね。
89
あなたにおすすめの小説
貧乏令嬢の私は婚約破棄されたので、優雅な生活を送りたいと思います。
coco
恋愛
「お前みたいな貧乏人は、もういらない!」
私との婚約を破棄し、金持ちの女に走った婚約者。
貧乏だなんて、いつ私が言いました?
あなたに婚約破棄されたので、私は優雅な生活を送りたいと思います─。
【完結】醜い豚公爵様と結婚することになりましたが愛してくれるので幸せです
なか
恋愛
自分の事だけが大好きで
極度のナルシストの婚約者のレオナード様に告げた
「婚約破棄してください」と
その結果お父様には伯爵家を勘当され
更には他貴族達にも私のあらぬ噂をレオナード様に広めまれた
だけど、唯一
私に手を差し伸べてくれたのは
醜い豚公爵と陰で馬鹿にされていたウィリアム様だけだ
彼の元へと嫁ぐ事になり馬鹿にされたが
みんなは知らないだけ
彼の魅力にね
双子の妹は私に面倒事だけを押し付けて婚約者と会っていた
今川幸乃
恋愛
レーナとシェリーは瓜二つの双子。
二人は入れ替わっても周囲に気づかれないぐらいにそっくりだった。
それを利用してシェリーは学問の手習いなど面倒事があると「外せない用事がある」とレーナに入れ替わっては面倒事を押し付けていた。
しぶしぶそれを受け入れていたレーナだが、ある時婚約者のテッドと話していると会話がかみ合わないことに気づく。
調べてみるとどうもシェリーがレーナに成りすましてテッドと会っているようで、テッドもそれに気づいていないようだった。
「華がない」と婚約破棄されたけど、冷徹宰相の恋人として帰ってきたら……
有賀冬馬
恋愛
「貴族の妻にはもっと華やかさが必要なんだ」
そんな言葉で、あっさり私を捨てたラウル。
涙でくしゃくしゃの毎日……だけど、そんな私に声をかけてくれたのは、誰もが恐れる冷徹宰相ゼノ様だった。
気がつけば、彼の側近として活躍し、やがては恋人に――!
数年後、舞踏会で土下座してきたラウルに、私は静かに言う。
「あなたが捨てたのは、私じゃなくて未来だったのね」
地味令嬢の私ですが、王太子に見初められたので、元婚約者様からの復縁はお断りします
有賀冬馬
恋愛
子爵令嬢の私は、いつだって日陰者。
唯一の光だった公爵子息ヴィルヘルム様の婚約者という立場も、あっけなく捨てられた。「君のようなつまらない娘は、公爵家の妻にふさわしくない」と。
もう二度と恋なんてしない。
そう思っていた私の前に現れたのは、傷を負った一人の青年。
彼を献身的に看病したことから、私の運命は大きく動き出す。
彼は、この国の王太子だったのだ。
「君の優しさに心を奪われた。君を私だけのものにしたい」と、彼は私を強く守ると誓ってくれた。
一方、私を捨てた元婚約者は、新しい婚約者に振り回され、全てを失う。
私に助けを求めてきた彼に、私は……
地味で役に立たないと言われて捨てられましたが、王弟殿下のお相手としては最適だったようです
有賀冬馬
恋愛
「君は地味で、将来の役に立たない」
そう言われ、幼なじみの婚約者にあっさり捨てられた侯爵令嬢の私。
社交界でも忘れ去られ、同情だけを向けられる日々の中、私は王宮の文官補佐として働き始める。
そこで出会ったのは、権力争いを嫌う変わり者の王弟殿下。
過去も噂も問わず、ただ仕事だけを見て評価してくれる彼の隣で、私は静かに居場所を見つけていく。
そして暴かれる不正。転落していく元婚約者。
「君が隣にいない宮廷は退屈だ」
これは、選ばれなかった私が、必要とされる私になる物語。
婚約破棄、ありがとうございます。どうぞお幸せに。
有賀冬馬
恋愛
「君のような地味な女は、僕の隣にいるにはふさわしくない」――そう言って、婚約者のエリックは私を捨て、美貌の令嬢を選んだ。
社交界で“風景”と呼ばれた私は、絶望の淵に突き落とされる。
だが、森で怪我をした旅の男を助けたことで、私の人生は一変した。
その男の正体は、なんと変装した若き国王陛下ヴィクトル!
「君は私の王妃にふさわしい。誰よりもね」国王陛下に見初められた私は、王妃候補として注目の的に。
一方、舞踏会で再会したエリックは、選んだ令嬢の放蕩に苦しみ、見る影もなく落ちぶれていた。
今更、私に縋りついてくるなんて、遅すぎます。
婚約破棄、本当にありがとうございました!
虐げられたアンネマリーは逆転勝利する ~ 罪には罰を
柚屋志宇
恋愛
侯爵令嬢だったアンネマリーは、母の死後、後妻の命令で屋根裏部屋に押し込められ使用人より酷い生活をすることになった。
みすぼらしくなったアンネマリーは頼りにしていた婚約者クリストフに婚約破棄を宣言され、義妹イルザに婚約者までも奪われて絶望する。
虐げられ何もかも奪われたアンネマリーだが屋敷を脱出して立場を逆転させる。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる