最弱種族に異世界転生!?小さなモッモの大冒険♪ 〜可愛さしか取り柄が無いけれど、故郷の村を救う為、世界を巡る旅に出ます!〜

玉美-tamami-

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★ピタラス諸島第三、ニベルー島編★

375:カナリーの、かな〜り長い説明

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   邪術師、通称ソーサラー。
   そう呼ばれる者が、この世には存在する。
   邪な理由で魔法を悪用し、他者に甚大なる損害を与える、悪意ある魔法使いの事である。

「そのさぁ……。前々から思っていたんだけど、魔法使いとか魔導師とか、その邪術師とかの定義っていうか……、違いが今ひとつよく分からないんだよね」

   首を傾げながらそう言った俺は、乾燥させたリリコの実を一欠片、パクリと頬張った。

   馬面人間達がみんな隠れてしまった集落の端っこで、俺たち六人は堂々と焚き火を焚いている。
   無論、昼ご飯の準備の為である。
   馬面人間達はきっと、早く出て行け! って思っているだろうけれど、一応ラーパルに許可はとっているのだ、文句は言わせまい。

   なんとか落ち着いたラーパルは、頭を冷やしてくると言って、一人森の中へと消えて行った。
   危ないからあまり遠くへは行かないでくださいと、ブラーウンが叫んでいた。

「んあ? 魔法使いと魔導師の定義?? ん~……、おいらもよくわかんねぇなっ!! なっはっはっ!!!」

   いつも通りヘラヘラと笑いながら、俺が渡したリリコの実をガジガジとかじるカービィ。

   よくわかんないってあんた……
   白魔導師って名乗ってんだから、そこら辺は理解してないとまずいでしょうよ。

「宜しければ、私が説明致しましょうか?」

   焼き上がった魚の干物の串焼きを俺に手渡しながら、カナリーが言った。

「ありがとう! お願いしまっす!!」

   カービィじゃ話になりませんっ!!!

「まず、この世界には魔力が満ちています。魔力は、魔法を使う際の源となる物です。学術的には【魔素】、もしくは【マギア】と呼ばれます」

   ふむ、一般的に魔力というあれは、正式名称で魔素やマギアと呼ばれる事もあるのか。

「その魔力を体内に有する生命体を、総じて魔物と呼びます。学術的には、【魔素保有生物】と呼ばれ、種族を表す名前の前に【マジク】という言葉が付けられます。例えばですが、ノリリア副団長はむじな族という妖術使いの魔素保有生物ですが、学術的にはマジク・ラコーンと呼ばれています。私は翼人種であるガルーダ族と人間とのパントゥーで、世間的にはガルダリアンと呼ばれていますが、学術的にはガルーダ族と同等と認識されている為に、マジク・ガルーダに含まれます」

   ふむふむ、魔力を持つ魔物は、その種族名にマジクが付くと……、ん?

「魔力がない者は、なんて呼ばれるの?」

   俺、魔力、ないんだけど……

「学会が提示しているのは、この世界に魔力を持たない生命体は居ないという考えです。ですが、魔法を使用しない、もしくは使用出来ない種族がいるのもまた事実。そのような種族は、種族名にマジクが付きません」

   なるほど……
   じゃあピグモルは、学術的にもピグモルなのか。

「あれだよ、魔物と無物だよ」

   リリコの実をガジガジしながら、俺を見てカービィがヘラヘラと笑う。

   くぅ~、馬鹿にしやがってぇ~!
   
「無物というのは、ダリレオ・ダリレイ教授が新しく作った造語ですね? 確か……、学術的には【魔素欠落生物】、もしくは【ティポタ】。古くからの俗語には、無力な者という差別的な意味で、【ディプシー】という言葉もありますね」

   ぬぁあぁぁっ!?
   欠落っ!?? 
   欠落てぇえぇぇっ!?!?

「けど、ダリレオ・ダリレイ教授の論文は未だにフーガの学界では認められていないから、無物という言葉を使うのは一般的ではないよ」

   隣に座るマシコットが、俺にこそっと耳打ちしてくれた。

   ありがとう、マシコット。
   君はなんて優しいんだ。

「話が逸れましたが、魔力を持つ者を魔物と称し、更には魔法を意図的に使う者の事を【魔法使い】、もしくは【マゴス】と呼ぶのです。仮に、一般的に魔物と呼ばれる、言葉を持たない野蛮な種族でも、魔法を使うのならばそれは魔法使いと呼ばれます」

   うぁ~……?
   なんか、頭の中がこんがらがってきたぞぉ~!?

「じゃあ、私やギンロはなんて呼ばれるの? 魔法使いではないわよね??」

   今まで黙って干物をかじっていたグレコが、話に参戦する。

「はい。魔法使いはあくまでも、世間的な個々人の肩書の一つに過ぎませんから、魔力を持つ者でも魔法を使わない者は、魔法使いとは呼ばれませんし、自ら名乗る事も無いです。グレコさんとギンロさんは魔力をお持ちですが、魔法は使われませんよね?」

「えぇ。カービィに言われて、魔法弓を使う時には魔力を操れるようになったけれど……」

「右に同じく。騎士団の皆々のように、魔法を使う事は我には出来ぬ」

   ギンロは何故か、その手にカップケーキを持っている。

   あれはダーラお手製のお菓子!?
 いつの間にそんな物を俺の鞄に入れてたんだぁっ!??

「ならばお二人は、学術的には魔素保有生物となりますが、魔法使いではないという事になります。グレコさんの場合は、弓が主武器という事なので、世間的な肩書きは弓師アーチャーです。ギンロさんは剣闘士グラディエーターでしょう」

   カナリーの言葉に、グレコとギンロは顔をほころばせる。

   いいなぁ~、いいなぁ~!
   アーチャーとかグラディエーターとか、めちゃくちゃカッコいいじゃんかぁっ!!

「モッモさんは精霊を召喚出来るから、召喚師(サマナー)の資格が取れるはずだ。フーガには召喚師専門のギルドも存在するから、とても立派な職業だよ」

   羨ましそうにグレコとギンロを見つめていた俺に対し、マシコットがまたこそっと耳打ちしてくれた。

   そうだった!
   何を隠そう俺は、精霊召喚師なのだった!!
   わっはっはっはっはっ!!!

「そして、魔法使いと呼ばれる者の中にも種類があります。【魔導師】、通称【メイジ】というのは、所謂職業の名前で、広義には魔法使いなのです。魔導師は更に種類が豊富で、治癒魔法専門の白魔導師、攻撃魔法専門の黒魔導師、他にも補助魔法専門の青魔導師や赤魔導師などがあります」

   ほほう? 青と赤もあるのか!?
   ……黄色と緑もあるのかなぁ???

「おいらは全てを凌駕した虹の魔導師だっ!!!」

   デーーーン! と胸を張るカービィ。

   はいはい、分かりました、分かりましたよ。  
   あなたが凄いのは充分わかってますから。

「そして、【邪術師】、またの名を【ソーサラー】。そう呼ばれる者は、魔力を保有し、使用もでき、魔法使いとして生きながらも魔導師の職業資格は取らず、更には他者に損害をもたらす存在。そのほとんどが大国で罪を犯した経験を持つ、いわば指名手配犯なのです」

   ほっ!? 指名手配犯っ!??
   邪術師って、犯罪者の事だったのかっ!!??

   なるほど、これでようやく理解出来たぞ……
   この森にいる白い悪魔は、とってもとっても悪い奴なんだなっ!!?!?

   カナリーの、かな~り長い説明で、ようやく邪術師のなんたるかを理解した俺。
   すると、その直後だった。
   何処からか、荒い息が聞こえてきて、振り返ると……

「ん? あれは~……?? ひぃいっ!!?」

   思わず声を上げた俺に気付き、みんなが一斉にその方角を見やる。

「……えっ!? ラーパルさんっ!??」

「ぬっ!? 何事っ!??」

「おまいっ!? どうしたんだっ!??」

   俺たちは立ち上がって、彼の元へと走り出す。

「フ……、フヒ……、フヒヒ~ン」

   弱々しく鳴きながら、森の中から姿を現したのは、片耳のラーパル。
   その全身は、頭のてっぺんから足の先まで、流れ出る血で真っ赤に染まっていた。
   
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