最弱種族に異世界転生!?小さなモッモの大冒険♪ 〜可愛さしか取り柄が無いけれど、故郷の村を救う為、世界を巡る旅に出ます!〜

玉美-tamami-

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★ピタラス諸島第五、アーレイク島編★

663:我に続けぇえっ!!

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 なっ!? 何あれっ!!?
 どっから湧いてっ!?!?
 てか……、数が多過ぎっ!!?!?

「キィッ! キィッ!! キィイィィィーーー!!!」

 甲高い奇声を上げながら、此方に向かってくる小鬼の群れ。
 言葉を使わない非言語種族故に、その声は猿などの獣の鳴き声のようにしか聞こえない。
 ただやはり、普通の獣よりかは少しばかり知性があるのだろう。
 棍棒を手にしている事もそうだが、みんな腰回りには下半身を隠す為のボロ布が巻かれている。

 その数およそ……、うん、多過ぎて分からん。
 多分、ゆうに百は超えていると思われる。
 体長は30センチほどなので、1体ずつならば俺でもなんとかなりそうだけど……
 あんなにも沢山、ワラワラと群がられては、とてもじゃないがどうにもならない。
 醜い顔にニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべながら、全力疾走してくる小鬼の大群に、俺は背筋がゾクゾクするほどの寒気を感じた。

「ねぇ! こっちで合ってるのかしら!?」

 走りながら、唐突に問い掛けるグレコ。
 こっちで合ってる……、とは?

「分からん! だけど、どう考えても、ありゃ興奮状態トランスだ!!」

 そう言ったカービィは、真っ直ぐに前を向いている。
 その視線の先にあるのは、轟々と燃え盛る青い炎。

「興奮状態の奴に道など分かりゃせんじゃろっ!?」

 背負っている荷物が重いのだろう、既にツルツル頭が汗だくのテッチャが叫んだ。

 なるほど、そういう事か。
 つまり、今先頭を突っ走っているマシコットの、燃え盛るあの青い炎は、彼が興奮状態である事を意味しているわけだ。
 そして、興奮状態故に、彼には道が分かってないと……

「えぇっ!? それってやばくないっ!!?」

 ようやく事の重大さに気付いた俺。
 ここは、幾つもの通路が入り組んでいる、迷路の様な洞窟なのだ。
 下手すりゃ迷って一生出られない、なんて事も起こり得る。
 というか……、そもそも、出口が何処にあるのかすら、俺達の誰も知らないのでは?

「モッモ、お主が行く先を指示せねば!」

 俺の体を小脇に抱えたまま走り続けているギンロがそう言った。

「はっ! それねっ!!」

 そうだよ!
 こういう時こそ、望みの羅針盤の出番じゃないか!!
 またピクシスに小馬鹿にされるところだったぜ!!!
 
 俺は、首から下げている望みの羅針盤を手に取って、方角を確かめる。
 銀の針が北を示し、金の針が俺の望むものを示す、のだが……

「ゲッ!? 後ろを指してるっ!!?」

 羅針盤の金色の針は、明らかに、俺達の後方を指している。
 つまりは、来た道を戻らなくちゃならない!

「何ぃいっ!?!?」
 
 お得意の変顔で驚いて、急ブレーキをかけるカービィ。

「ノリリア! そっちじゃないわ!!」

 前を行く騎士団メンバーに慌てて声を掛けるグレコ。

「ポッ!? こっちじゃないポか!??」

 グレコの言葉に、ノリリア達も急ブレーキ。
 しかしながら、先頭を行くマシコットは……

「マシコット! 止まれっ!! そっちじゃないっ!!!」

 興奮状態故に、ロビンズの制止も耳に届かず、更に先へと突っ走って行くではないか。

「くそっ!」

「ポポゥ!? まずいポッ!??」

 焦ってマシコットを追い掛けようとするノリリア。
 しかし、その体をライラックにガシッと掴まれて……

「駄目でさっ! 諦めやしょう!!」
 
「ポウッ!?!?」

 俺と同じ様な格好で、ライラックに小脇に抱えられてしまう。

「諦める!? そんなっ!!? マシコット~!!!」

 ノリリアの叫ぶ声も虚しく、マシコットである青い炎は、遥か遠くへと消えていってしまった。

「モッモ! 方向を指示するのだ!!」

 そう言ったギンロは、俺を自分の肩にヒョイと乗せた。

「ひゃあっ!? はっ! はいぃっ!!」

 突然の肩車に、俺はギンロの頭にしがみつく。
 落ちないようにと、逞しくて太い首に足をガッチリ回して、三角に尖った耳をぎゅっと握りしめた。
 するとギンロは、腰に装備していた二本の魔法剣を鞘から抜き出し、振り向いて、後方から迫っていた小鬼達に向かって……

「グルルルル……、ガルルラァアァァァッ!!!」

「ひぃいぃぃ~~~!?!!?」

 威嚇するかの如く、吠えた!
 洞窟中に響き渡りそうなほどの、魔獣の咆哮。
 驚いた俺は小さく悲鳴を上げて、周りのみんなは思わず耳を塞いだ。
 小鬼達はビックリして動きを止め、中には腰を抜かして地面に這いつくばっている奴もチラホラいる。

「皆の者! 我に続けぇえっ!!」

 若干中二病な掛け声と共に、ギンロは走り出した。
 二本の魔法剣で、前方に迎え撃つ小鬼達を次々に斬り捨てながら。

 きゃあぁぁ~!?
 虐殺っ!!?
 小鬼の大量虐殺!!??

「キィッ!? キィイィィィーーー!!?」

 悲鳴を上げながら、ギンロの魔法剣の餌食となっていく小鬼達。
 切り裂かれる胴体、空を舞う手足、苦痛に歪む顔。
 飛び散る血飛沫は濃い紫色で、なんとも言えない悪臭を放っている。

 いっつぁ……、ベリーベリー、グロテッスクゥウッ!!!

 目を覆いたくなるのを我慢して、俺は望みの羅針盤に視線を向ける。
 すると、金色の針は少しばかり、進行方向より右側へとズレている。

「やべ……、ギンロ! こっちだよ!!」

 そう言って俺は、ギンロの右耳をグイグイと引っ張った。
 するとギンロは、ロボットのようにグルン! と、勢いよく体を右へと回した。

 ……何その動き、面白い。

 そして、目の前で枝分かれしている通路の右側を選び、突進して行く。
 道の先にはまたもや小鬼が待ち構えていた、が……、大丈夫、問題無い。
 世界最強の魔獣フェンリルには、敵など存在しないのであ~る!

「行け行けぇ~!」

 背後から聞こえる、ノリノリなカービィの声。
 ふと後ろを振り返ると、凄く楽しそうな顔でキャッキャ言いながら走っているカービィと、引き攣り笑いをしながら走るグレコの姿が見えた。
 バラバラになった小鬼の残骸を避けつつ、はぐれてしまったマシコット以外は、皆ちゃんと着いてきているようだ。
 ただ、すぐ後ろにいたはずのテッチャは、何故だかノリリアを抱えて走るライラックよりも更に後ろ、隊列の最後尾を、汗だくだくでヒーヒー言いながら走っていた。
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