最弱種族に異世界転生!?小さなモッモの大冒険♪ 〜可愛さしか取り柄が無いけれど、故郷の村を救う為、世界を巡る旅に出ます!〜

玉美-tamami-

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★ピタラス諸島第五、アーレイク島編★

679:あなたが持つべき物なのです

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「いったい、どういう……、はっ!? まさか!!? 空間魔法の多用による時空間の歪みポかっ!!??」

 ノリリアの言葉に、ハッとした表情になる騎士団メンバー達。
 しかしながら勿論、俺、グレコ、ギンロの三人は、なんのこっちゃらさっぱりだ、揃って首を傾げている。

「んだ、その可能性が高いな」

 ニヤリと笑うカービィ。

「すると、塔の中と外では、時間の経過に差があると?」

 ロビンズが問う。

「んだな。おいらの体感だと、塔に入ってから7時間以上は経過しているはずだ。だけど塔の外では、1時間ちょっとしか経ってねぇ。この懐中時計は、時計屋ホルロージョで買ったやつだ。ノリリアのもインディゴのもそうだろう? フーガで懐中時計買うなら、みんなホルロージョに行くもんな。ほんで、ホルロージョの懐中時計は全部魔道式で、太陽の動きに合わせて時間を指すように作られてる。即ち、塔内の時空間の歪みには左右されねぇ。さっき、たまたま海の上でこれを見たんだけど、その時は12時とかそんなんで、思っていたのと全然違ってたから、壊れちまったのかと思ったんだ。けど、こっちに戻ってきたら、あら不思議! 針が逆回転して、時間が戻っちまった。つまり、何が言いたいかと言うとだな……。おいら達が扉の向こうで過ごす時間は、たとえそれが数時間に及んだとしても、実際はたったの数十分程度なんだって事だ」

 ふ~ん……、つまり……、なんだ?

 俺、味付け干し肉を、モグモグモグ。

「じゃあ、塔の中で過ごす1時間が、塔の外では10分にも満たない……、って事なのかしら?」

 意外にも理解が早いグレコ。

「そういう事だよグレコさん。それで……。なぁノリリア、ローズが言ってた魔連(世界魔法連盟の略)のあれな、調査で見つかった時空間の歪みってやつ。もしかすると、この塔が存在しているせいなんじゃねぇかな?」

 カービィの言葉に、ノリリアは目を見開き驚いて、口に手を当てて真剣な眼差しで考え込む。

「ポポポゥ……。確かに、そう考える事も出来るポね。ここまでの三つの試練全てに、空間魔法が使われていたポ。しかも、限られた狭い空間の中に、屋外と見紛うほどの巨大な異空間を作り出すという、とても高度で大規模な空間魔法が……。いくら建物全体が、反魔物質であるマハカム魔岩に覆われているとはいえ、これだけの空間魔法を制御するのは並大抵の事じゃ無いポよ。故に、発生する時空間の歪みは相当なものと考えられるポ。それが魔連の調査に引っかかっても、なんら不思議では無いポね……」

 ふ~ん……、つまり……、だから?

 俺、ライラックから貰った、スライスした果物を挟んだパンを、ムシャムシャムシャ。

「しかし、今までは問題とされていなかったのであろ? その……、時空間の歪みとやらは。なのに何故今になって、問題となっておるのだ?? 塔は、五百余年の昔より、ここにあったはずではないのか???」

 おっとギンロ、まさか君がこの小難しい話題に入ってくるとはね、意外だよ。
 さては、ダーラのマフィンを食べた事で糖分が頭にいって、考える力が発揮出来ている……、とかですか?

「そこが肝なんだよ。時間の流れをも変えてしまう時空間の歪みを作り出すこの塔が、今まで何故問題視されてこなかったのか……。それはきっと、あのキノコマンの言っていた事と関係がある」

 キノコマン? カービィ、それはいったい……??
 あ、蘑菇神リュフトの事かな???

「故アーレイク・ピタラスの、五人目の弟子……。名をユディンという、召喚悪魔の事だな?」

 ロビンズの言葉に、カービィはパチンと指を鳴らす。

「ご名答! キノコマンは、そのユディンとかいう弟子が、この塔の要になったって言ってた。けど最近になって、魔連の言うように、時空間の歪みがこの辺りに発生したとなると……。要となったはずのそいつに、何らかの異変が起きて、塔を守る結界に問題が生じた……、と考えられるわけだよ!!」

 ふ~ん……、つまり……、それで?

 俺、マシコットが温めてくれたポットのお湯で紅茶を作り、静かに口へと運ぶ、コクコクコク……、美味い~。

「五百年間、この塔を守っていたはずの、要となった召喚悪魔のユディンに、何らかの問題が生じた……。その為に結界が緩み、これまで抑えられていた塔の発する時空間の歪みが、塔の外にまで影響を及ぼすようになり、魔連がそれを感知した……。ふむ、確かにそう考える事も出来ますな」

 難しい顔して頷くパロット学士。

「けど、そうなると……、何が原因で? 五百年も続いた安定が崩れた原因はいったい何?? まさかその……、要となっている五番目の弟子ユディンが、死んじゃった……、とか???」

 勝手に死んだ事にしちゃうグレコ。
 まぁたぶん、相手が悪魔だっていう話だから(しかも上級の)、出来れば対峙したくないって思っているのだろう。
 ……うん、俺も同感。

「さぁ、そこまではおいらも分からねぇ。けど……、一つ可能性があるとしたら……」

 わざと言葉を切って、溜めるカービィ。
 
 勿体ぶらずにさっさと言いなさいよ!
 あんた、いっつも演技が入って面倒臭いのよ!!
 ……ん? 何こっち見てんのよ!?

「モッモがここにいる事だ」

 ファッツッ!?!??

「なっ!? ぐっ……、ゴホッ! ゴホッ!!」

 驚いた俺は、豪快に紅茶をむせた。
 
 突然何を言い出すんだカービィめ!
 
「ポポゥ、なるほどそういう事ポね……」

 納得し、険しい表情で俺を見るノリリア。

「つまり、モッモさんの存在が、この塔を守る要であるはずのユディンに何らかの影響を及ぼしている……、という事ですかな?」

 こちらも、難しい顔して俺を見るパロット学士。
 そして、みんなの視線が一斉に俺に向けられる。

 うぅ~……、そんな、見つめられても……
 俺には何の事かさっぱりですよ!?

「おいらの予想はこうだ。モッモが時の神の使者としての力に目覚め、その事が影響して、この塔の要となるユディンに何らかの異変が起き、塔を守る結界の力が弱まった……。果たしてそれは何故か!?」

 な……、何故? 

「あ……、分かった。あれよね、ほら……。コトコ島で、アメフラシが言っていたやつ! 確か……、そう!! 邪滅の書アポクティ・ビブリオ!!!」

 あ……、あぽ……、え??

「んだ! さすがグレコさん!! おいら、さっきのさっきまで、そいつの存在をすっかり忘れてたから、なんでか分かんなかったんだけど……。たぶん、その邪滅の書ってやつを、モッモが手に入れる為に、この塔の結界が緩んだんだと、おいらは睨んでいる!!」

 ドーン! と胸を張って、自信たっぷりに言い切るカービィ。
 なるほどなるほどと、納得する周囲の面々。
 しかしながら、俺にはやっぱり、何のこっちゃらさっぱりで……

「あ、あの……、ちょっといい?」

 弱々しく手を挙げながら、俺は遠慮がちに声を出す。

「仮にその……、僕がその……、原因で、塔の結界が緩んでいたとして……。その、あぽ……、く、なんちゃらっていう書物、を……、僕が手にして、いったい何になるの?」

 俺は、疑問に思っている事を、ゆっくりとだが、しっかりと言葉にした。

 みんな、何やらカービィの仮説に納得しているようだが、俺は違う。
 その、アーレイク・ピタラスの五番目の弟子であるユディンがこの塔の要で、彼に何か異変が起きて、結界の力が弱まって、時空間の歪みが外にまで影響を及ぼしている……、ってとこまでは理解出来る。
 だけど、それが俺のせいっていうのはちょっと……、話が飛躍し過ぎじゃなかろうか?
 あ、あぽく……、えっと、邪滅の書、ってやつも、全てが上手くいって、俺が手にしたとして……、何がどうなるというんだ??
 俺、そんな怪しげな書物、別に欲しく無いんだけど……???

「モッモ、アメフラシのアメコが言っていた言葉、覚えている?」

 グレコに問われて、俺はすぐさま首を横に振る。

 残念ながら……、物忘れの激しい俺が、数週間前に何を言われたかを覚えているなんて事、そうそう無いのである。
 コトコ島で出会った、粗霊アメフラシのアメコ。
 奴が最後に言った言葉は……、うん、やっぱり覚えてないや。
 なんかこう、手がベチョベチョになって気持ち悪かった事だけは覚えているね、うん。

「邪滅の書を手に入れて、奴らと戦え……、再びこの世界に穴を開けるのを阻止する事が、時の神の使者の役目だって……、アメコはそう言っていたわ。モッモ、あなたは……、あなたが邪滅の書を手に入れて、悪魔達が世界に穴を開けるのを防がないといけないのよ。時の神の使者であるあなたがね」

 うわ~お……、マジかよ……
 そんなつもりは全然無かったわよ……?
 なんならさっきまで、邪滅の書の存在なんて、すっかり忘れて……、いや、そもそも知らなかったわよ??
 それなのに、その書物を手に入れて、悪魔と戦わなくちゃいけないのが、この俺だと……???

「ふむ、それでは……、これは、モッモさんにお渡ししておきましょうかね」

 そう言ったのはパロット学士だ。
 自分の鞄をガサゴソと漁って、何かを取り出した。

「それは……、あ、アメコに貰ったやつ?」

 パロット学士が、俺に向かって差し出しているのは、赤銅色の五角形の盤だ。
 盤の上には金色の五芒星ペンタグラムが描かれており、その星の先っちょにはそれぞれ、輝く紫色の宝石が五つ埋め込まれている。
 アーレイク・ピタラスの弟子の一人であるコトコが、粗霊アメフラシのアメコに託した、ピタラス諸島の鍵となる遺産の一つ……、でありながら、他の遺産と違ってそれだけは、ここにくるまで全く使い道が分からずにいた。
 
「きっとこれは、あなたが持つべき物なのです。運命というものを、私はあまり信じておりませんが……。もし運命があるとすれば、塔を攻略すべきはあなたです、モッモさん。恐らく、私達は皆、あなたを塔のてっぺんまで連れて行く為の、いわば護衛のような存在でしか無い。だから、この最後の鍵は、あなたが持っていてください」

 パロット学士の言葉に、俺は緊張しながらそれを受け取った。

 何に使うのか、さっぱり分からない五角形の盤。
 だけど、これは何かとても特別な物であると、俺の第六感的な何かが告げている。
 これが無いと、この先には進めない……、何故だかそう感じていた。

 不思議な魅力を持つその盤を見つめながら、俺はゴクリと生唾を飲んだ。
 
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