Bランク冒険者の転落

しそみょうが

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ヒューゴは宣言どおり本当に『すぐに』ライルを家に連れ帰った。先ほどまでは山の中に居た筈なのに、ヒューゴの腕の中に抱き込まれている間に、気付けば景色が一変していた。

「ヒューゴお前⋯転移魔法も使えるんだな」

転移魔法も、宮廷魔術師などの限られた者しか使えない高度な魔法だ。ヒューゴは呆然とするライルの衣服を整え、洗浄の魔法をライルと自分にかけると、部屋の真ん中に置かれたソファにライルをそっと座らせた。

「うん。便利だしね。だけど転移魔法を習得しておいて良かったって、今日ほど思ったことはないよ」

優しげに微笑むヒューゴは、とてもつい先ほど人ひとりを屠った人物とは思えぬほど柔和で、それがライルには却って怖ろしい。ライルはヒューゴからそっと視線を外すと、部屋の中を見回した。

焦げ茶の無垢材の床と天井に、アイボリーの漆喰が塗られた壁。部屋の真ん中に深緑色のソファとローテーブルが置いてある見知らぬ部屋だ。窓から見える景色は一面の森林で、とても静かな場所だ。

「ここは僕がいま拠点にしている家だよ。村にはすぐにでも帰りたかったけど、色々と落ち着いてからのほうがいいかなって。ライルもどうせ帰るなら身綺麗にして、おばさんにお土産もたくさん買って帰りたいよね?」

「あ、ああ。でも母さんが心配してるんじゃ⋯」

「それなら心配ないよ!前に僕が村に帰った時に、ライルの家に通信の魔道具を設置してきたんだ。お互いの音声だけじゃなくて映像もやり取りできるから、ここで顔を見ながら話せるよ!」

「へえ。そんなすごい魔道具があるんだな⋯って言うかそれ、めちゃくちゃ高いんじゃないか?ただでさえ仕送りを肩代わりしてもらってるってのに、俺の家にそんな高級品まで⋯」

「何度も言うけど気にしないでってば。それにライルの家だけじゃないよ?僕の家にも設置してあるし、村長の家にもまだ置いてあると思う」

村長と聞いて、ライルは村長の娘のメリンダを思い出した。メリンダはヒューゴの婚約者の、勝気で美しい娘だ。

「そう言えばメリンダは元気か?俺がヒューゴを村から連れ出した時も相当怒っていたが、5年も俺を探すのに時間を取られて、とんでもなく怒ってるんだろうな⋯」

「ああ、ライルは知らないよね。メリンダとの婚約は解消したんだ。たしか3年前だったかな?『早く村に戻ってこい』って年々煩くなっていってさ。僕はライルを見つけるまで戻るつもりはないって言ったら、メリンダったらものすごく怒るから、結婚するのは辞めたんだよ」

「はあ!?待てよヒューゴ、それって俺のせいだよな?メリンダにも悪いことしちまった」

「ライルが謝ることないよ。もともと僕が勉強を教えてもらうのと引換えの婚約だからね。メリンダにも婚約する前に『メリンダのこと好きじゃないけどいいの?』って訊いたんだ。それでもいいって言うから婚約したのに、メリンダったらまるで恋人同士みたいに僕の行動を制限しようとするから本当に面倒だったよ」

いくら相愛でなくとも、離れて暮らす婚約者が都会でどんどん出世して男振りも上がっていけば、待っている側は気が気ではないだろう。ライルはメリンダに同情した。

「あの勝気なメリンダがよく婚約解消を受け入れたな。婚期も迫ってたってのに」

「メリンダも村長も最初はすごく怒ってたよ。でも僕は前々から貴族や豪商から縁談を持ち掛けられててね。『故郷に婚約者がいるんです』って断るたびにメリンダに暗殺者が送られていたのを、僕や僕が依頼した冒険者が始末してたんだ。それを教えてあげたらすぐに書類にサインしてくれたよ。あの村でなら何世代かは左団扇で暮らせるくらいの慰謝料も払ったし、それからは音沙汰なしだよ」

「そ、そうか⋯」

ライルやライルとヒューゴの家族の前では、ヒューゴはお節介なほど人の世話を焼くのか好きな心根の優しい男だった。それが悪人とはいえハンクのことは虫でも殺すかの如く消し去り、邪魔になったメリンダを躊躇いもなく切り捨てーー目の前にいる酷薄な男は、本当にライルの知るヒューゴと同じ人間なのだろうか。

「ふぅ。たくさんお喋りしたら喉が渇いちゃったね。そろそろお茶にしようか。ライルの好きな林檎のパイもあるよ!」

ライルと隣に並んでソファに座るヒューゴは《収納》から熱々の紅茶のカップと茶菓子をいそいそと取り出してローテーブルに並べる。端から見ていると何も無い場所から唐突に物体を出現させているように見えるそれも高度な空間魔法で、ライルには逆立ちしても使えない。

ヒューゴは紅茶と林檎のパイを口にするライルを暫くの間ニコニコと眺めたあと、《収納》から何か小さな丸い物と板の様な物を取り出してテーブルの上に置いた。

「これも最新の魔道具なんだ。例えば建物の外壁にこの小さいのを取り付けると、屋内の様子がこっちの板みたいな魔道具に転送されるようになっててね。離れた場所から敵の根城を安全に偵察できる、便利な魔道具なんだよ。こんどライルにも使い方を教えるね」

「え⋯?いや、俺はいいよ。そんな高そうな魔道具、とても怖くて使えねえし。それに⋯⋯」

ライルは近いうちにヒューゴとまた離れて暮らすことになる。

心配をかけた家族に会うために村には帰るが、ライルはまた故郷を離れ、一から冒険者をやり直す気でいるのだが、5年の間に冒険者の資格が抹消されているライルは、ギルドに再登録後は最低ランクからのスタートだ。

SランクとFランクではギルドの規約でパーティーは組めない。それに例えパーティーを組まなくとも、初心者のライルの近くにヒューゴが居ては何かと騒動が起こるのは目に見えている。活動の拠点は別々にして、肩代わりしてもらった仕送りを返す際などに、たまに会って食事でもするくらいの距離感でいるのが互いに良いだろう。

「あのなヒューゴ。村に帰ってからのことなんだが」

「ねえ、ライル。この魔道具、もっとすごい機能があるんだよ」

ライルの話を遮り、ヒューゴが小さな魔道具に魔力を込めた。キュイイ⋯と起動音が鳴ると、クリーム色の漆喰の壁に、巨大な黒っぽい長方形が映し出された。

「⋯何だ?このデカい四角。何かの絵か?」

「よく見てよライル。その四角の中にライルが映ってるでしょ?」

「え?」

ヒューゴに言われて目をこらせば、壁に映し出された巨大な四角の中に、薄暗闇の中で敷布の上に寝かされたライルの姿があった。

「これは⋯昨日の野営地のテントの中か⋯?」

「正解。ライルが僕に会ってすぐ気絶しちゃったでしょ?あの後テントに寝かせたんだけど⋯ライルの顔色が本当に悪くて心配だったから、テントにこの魔道具を取り付けて時々ライルの容態を確認してたんだ。魔道具が起動中の映像は全部この魔道具に記録されていて再生できるんだけど、こんな風に壁に映し出して大きな画面で見ることもできんるだよ」

映像の中では、暗いテントの中で眠っているライルが、時々うなされて寝返りを打っていて、時々テントの外でハンク達が馬鹿騒ぎする声も聴こえる。

「⋯音も記録されるんだな」

もうこの世にいない人間の声がすぐ近くで聴こえ、ライルの身体は畏怖で震えた。隷属から解放されても、長らく染み付いた感覚はすぐには消えない。

「ごめんごめん、怖がらせちゃったね。⋯⋯でもねライル。僕はライルにもちょっとだけ怒ってるんだよ?僕が居ない隙に黙って姿を消すなんて酷いよ。だから罰として、この先の映像を僕と一緒に見ようね」

「この先の映像、って⋯?」

「ふふ。魔道具をうっかり付けっぱなしにしちゃってね。だからテントの中の様子は、朝になって僕が回収するまでの映像が全て記録されてるんだ」

「っ⋯」

ヒューゴがライルに何を見せようとしているのか察したライルはソファから立ち上がろうとするが、その前にヒューゴの逞しい身体に抱き込まれしまう。

「ライルはすぐに僕から逃げようとするね⋯⋯そんな悪い子のライルは、絶対に逃げられないように僕の膝の上で見ようか」

ヒューゴの胸を背もたれにする格好で、ライルは膝に乗せられる。

「見たい箇所まで映像を早送りしたり巻き戻したりできるんだよ。待ってね、いまライルに見てほしいところまで早送りするからね」

ヒューゴが魔道具に触れると、映像の中のテントで寝ている人間が1人から2人に切り変わる。ひとつの敷布に並んで寝ているライルとハンクの姿だった。しばらくしてハンクが身じろぎをすると、ゆっくりと上体を起こした。

『ふぁ~あ。よく寝たな。おい、ライル起きろ!水魔法で水出してくれ。飲み過ぎて喉渇いちまったわ』

『ん⋯ハンクさん⋯わかりました、ちょっと待ってください⋯⋯どうぞ』

水魔法の適正の無いハンクは、喉が渇くとこうやってライルに魔法で水を出させた。

「ずっと探してたライルがようやく見つかった興奮からか、僕は全然眠れなくてね。すぐそばにライルがいるのが嬉しくて、この魔道具で寝ているライルを眺めてたんだ」

『お、わりぃな。あ゛~うめぇ。なんか目ぇ覚めちまったからついでにチンポしゃぶってくれや』

『え!?ハンクさんちょっと待っ⋯むぐっ』


「そうしたらあいつが⋯寝てるライルを叩き起こして水を出させた後、急に性器を出して抵抗するライルの口に突っ込んだから、本当にびっくりしたよ。『酷いことされてるライルを助けなきゃ』って思うのに、驚き過ぎて体が言うことをきかなくて」


『お?なんだよライル、チンコで喉まんこ突かれて興奮してんのか?お前も勃起してるじゃねーか』


「でも⋯あいつのペニスを口に入れてるライルが、手で触られたわけじゃないのにおチンチンを勃たせてるから、もしかして2人は恋人同士なのかなって思って。だから助けるのをやめたんだ」


『オラ!!零さず飲めよ!!』

『ふっ⋯ン゛~~ゲホッゲホッ』

『チッ。零すなっつってんのによ~。顔がちっせえから口も小せえのかな。おー、お前も射精したのか。男のチンポしゃぶってイくなんざとんだ好きモンだなおい』


「恋人同士のセックスを見ちゃいけないって頭では思うのに、僕は見るのを辞められなかったんだ⋯⋯だって、小さな頃は村の子ども達のリーダーだったあのライルが⋯⋯あんな大きなおチンチンをこんな小さいお口で咥えて、すごく上手にしゃぶってるんだよ?しかもおチンチンをしゃぶっただけで興奮して気持ち良くなっちゃって、自分も射精しちゃうなんて」

ヒューゴに耳元で、言葉で嬲るように囁かれ、ライルの瞳から涙がポロポロと零れる。

「ぅ⋯も、やめて⋯映像とめて」

「あああ、泣かないでライル。必死に捜してた大事な幼馴染が、僕が捜してる間ずうっと、見知らぬ男のペニスをしゃぶって悦んでたなんて泣きたいのは僕のほうだよ?」

「っ⋯悦んでないっ!!あれはっ、命令されてただけでっ」

「そうかな?じゃあライルが悦んでないかどうか⋯映像を全部確認しようか?すごく長い時間セックスしてたから、ところどころ早送りしなくちゃね。お腹空かないように林檎のパイを食べながら見よう」

「要らない⋯謝るから⋯ぅ⋯俺が、悪かったからっ⋯」

「え~?ライルの何が悪かったのかな?僕が指名依頼で出張中に黙って居なくなったこと?逃げた先で騙されて奴隷にされて、たくさんの男に抱かれてエッチ大好きになっちゃたこと?それとも⋯これからまた僕のそばから離れようとしてることかな?」

ヒューゴは問い掛けておいて返事を聞く気は無いようで、ライルの口に林檎のパイを押し当てると、唇を押し広げて強引に口腔内に捩じ込む。

「懐かしいな⋯昔もこうやって林檎のパイをあーんしてあげたよね。ああ、ほら、零さないで。ライルのお口はちっちゃいから、このパイは大き過ぎるのかな⋯」

フェラチオの映像になぞらえて林檎のパイを食べさせるヒューゴ。ライルは無理やり押し込まれたパイを咀嚼するのに必死だ。

「あのねライル。ライルも僕も、上にお兄ちゃんがいるでしょ?だから大人になったら家を出て、いつかお隣同士じゃなくなるって母さんから聞かされた時、僕はショックで1週間泣き続けたんだ。ライルには風邪で遊べないって伝えたと思うけど⋯4歳だったから覚えてないかもね。あのとき僕は、どうしたら大人になっても大好きなライルと隣同士のお家に住めるか一生懸命考えて、勉強しようって閃いたんだよ。たくさん勉強した僕が村でお店を開いてライルを雇って、ライルには他の従業員よりお給料をいっぱいあげて⋯そうしたら村の空いてる土地に僕とお嫁さんの家と、ライルとライルのお嫁さんの家を隣同士で建てる。それが僕の夢だったんだよ。メリンダと婚約したのも、その夢を叶えるのに必要だったからだ。ライルが僕の隣に居さえすれば、僕のお嫁さんは誰でも良かったからね」

『アッ、アッ、ンアッ』

『よーし、雌声出てきたな!今日はちんぽ抜かずにハメっぱなしでヤるか。この薄っい腹ぁザーメンで妊婦みてえに膨らませてやる』

「それなのにライルが村を出て冒険者になるなんて言い出すから焦ったよ。僕は村長の家にお婿に行くのが決まってるから、ライルには村に戻って僕ん家の隣に住まなきゃいけないのに。だから僕はライルと早く村に戻れるようにたくさん稼ぐ為に頑張ってランクを上げたのに⋯肝心のライルが居なくなるなんて、この5年間は本当に悪い夢を見てるみたいだったなぁ⋯」

ヒューゴの指ごと捩じ込まれた林檎のパイはライルの口に入りきらず、生地から溢れたフィリングが、ライル口の端から顎を伝って鎖骨に落ちる。

「パイを食べてるだけなのにどうしてそんなにいやらしいの?そんなにエッチだからライルは男に犯されちゃうんだよ。これからは絶対に僕のそばを離れちゃ駄目だ⋯⋯僕が守ってあげないと、ライルはエッチで可愛いからまた男に捕まって犯されちゃうよ?⋯⋯もし次に居なくなることがあったら、ライルを僕の家に閉じ込めて、一生外に出られないようにするからね」
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