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G.U.E.S.T-Survival Simulator
今日も死して学ぶ
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「――!!」
目覚めた。硬いベッドの上にスポーンした。
飛び上がってバスルームに向かった。
鏡を見ると――首はくっついてるし頭もちゃんとある。嫌な汗でびっしょりだが。
そもそもあの化け物はなんだ?
犬みたいな狼みたいな……どのみちあれはまともな生き物じゃない。
しかしここは世紀末だから「なんだあれは」も通用しないと思ったほうがいいか。
で、本当にどうしろっていうんだ。
この世界で三回も死んだ。なぜか死ねないのも分かった。過酷な世界も実感した。
それでどうしろと? このまま死に続けろってか?
ゲームの中に転移したとかそういう話は知ってる。
実際タカアキのやつはそういう物語が大好きだったからだ。
神から与えられた何かだとか、ゲーム上の設定を引き継ぐとか、そういった特別な力と共に安泰のスタートだ。
強大な力と共に突っ走り周りからは賞賛が飛び交い、美少女たちには惚れられ褒めちぎられつつ幸せに終わる。
そしてスカッとしたところで物語は幕を閉じるわけだ。
俺だって楽ならそっちのほうがいい。かわいい子にきゃーきゃーいわれたい。
ところが頭がおイカれになったやつらに「ひゃっはー」と追い回された。
死んだはずが生き返り、外へ飛び出してまた無様に死んだ。
死ねないというのは確かに魅力的だがこれは絶対にちがう。
痛みはあるし後味最悪、そして腹も減ったままだ。
つまり何がいいたいって?
俺はいま『詰み』という墓場に片足突っ込んでるってことだ。
もしかしたらその墓は知らず知らずのうちに自分で掘ったのかもしれない。
あれさえやっていなければ、いやアイツがあんなのよこさなきゃ――
そんな考えを少ししたあと、やめた。自己嫌悪がこみあげてくる。
ここにいない親友のせいにしたってなにもいいことなんてない。
けっきょく外には出られず、寒いシェルターで寝込んだ。
やっぱり夜になるとそれはもうひどい寒さだった。
一晩だけ冷蔵庫が冷凍庫に進化したといってもいい。
――ところで人間は水と食料がなくても何日か生きられるそうだ。
実際どうかって? 精神がそれに耐えれるかは別だ、俺はもう無理そうだ。
もしこのまま餓死したらどうなるんだろうか。
これじゃ満腹でリスポンしてくれそうにはない。
それどころか飢えたまま蘇って苦しみ続ける未来が見える。
翌朝、自分が冷凍食品になってないことを祈りながら眠った。
◇
次の日になった。運よく冷凍食品になり損ねたみたいだ。
とはいえ腹が減って喉も乾いてロクに眠れなかったが。
「……よし、やってやる」
起き上がるなりまたあの扉を開けて地上へと出た。
PDAは午前の六時だと教えてくれている。元の世界ならもう少し寝てる時間だ。
とにかく飯だ、食えるものを探そう、今なら犬の餌だって食ってやる。
「タカアキ、悪かった。文句を言うときは直接お前に口で伝えてやるからな」
また道路へ近づいた。空っぽの腹からは悪態しか出てこない。
すると案の定、殺人現場がまた増えていた。
これで加賀祝夜殺害事件の現場はこの世界に二つも存在することになる。
まだ警察がいたら今世紀最大の不可解な事件として扱われたに違いない。
「……くそ。いやなもん見せやがって」
一段と真っ赤に染まったコンクリートをよけながら先へ進んだ。
タイヤからボンネットの中まで根こそぎひん剥かれた車だらけだ。
車列を辿れば、遠くに大きな建物がいくつもあった。
少し視点を変えれば街のずっと向こうに大きな山が見える。
こうして見れば異国に旅した気分だけど、この状況じゃな……。
「外国にはあこがれてたさ。でもよりによってこんな形で来るなんて」
車の間をくぐり抜けた先で、頭上の看板が『ボルタータウンへようこそ!』と歓迎してくれているのが見えた。
「頼むから出ないでくれよ、もう矢も化け物もごめんだ……」
雲の上にいらっしゃる誰かに祈りながら進んだ。
ところが急に違和感を感じた。一台だけボンネットが開きかけてる車があったからだ。
ピックアップトラックとかいうやつか。タイヤもドアももぎ取られてしまっている。
だが、調べれば何か見つかりそうだ。
「……ちょっと見てみるか」
俺は好奇心とかいろいろなものに従ってボンネットを掴んだ。
そのまま持ち上げれば開きそうだ、中に何か入ってると――
ぴんっ。
持ち上げた瞬間、中からそんな音が聞こえた気が。
なんなんだろう、まるで何かのピンが抜けたような……ピン?
「……なあ、まさか――」
今度は内側で何かがしゅうしゅうと音を立てた。
よく見ると空っぽのボンネットの中で空き缶が固定されていた。
それも針金でぐるぐる巻きにされて補強済みの空き缶だ。
問題は穴の開いた底にびっしりと釘みたいなものが詰まっていることか。
そしてそれが、うっかり開いたまぬけに向けられてて、
「しまっ――」
気づいた時には遅かった。爆発して、いっぱいに詰められた釘が襲いかかってきたからだ。
◇
目覚めた。硬いベッドの上にスポーンした。
飛び上がってバスルームに向かった。
鏡を見ると――首はくっついてるし頭もちゃんとある。嫌な汗でびっしょりだが。
そもそもあの化け物はなんだ?
犬みたいな狼みたいな……どのみちあれはまともな生き物じゃない。
しかしここは世紀末だから「なんだあれは」も通用しないと思ったほうがいいか。
で、本当にどうしろっていうんだ。
この世界で三回も死んだ。なぜか死ねないのも分かった。過酷な世界も実感した。
それでどうしろと? このまま死に続けろってか?
ゲームの中に転移したとかそういう話は知ってる。
実際タカアキのやつはそういう物語が大好きだったからだ。
神から与えられた何かだとか、ゲーム上の設定を引き継ぐとか、そういった特別な力と共に安泰のスタートだ。
強大な力と共に突っ走り周りからは賞賛が飛び交い、美少女たちには惚れられ褒めちぎられつつ幸せに終わる。
そしてスカッとしたところで物語は幕を閉じるわけだ。
俺だって楽ならそっちのほうがいい。かわいい子にきゃーきゃーいわれたい。
ところが頭がおイカれになったやつらに「ひゃっはー」と追い回された。
死んだはずが生き返り、外へ飛び出してまた無様に死んだ。
死ねないというのは確かに魅力的だがこれは絶対にちがう。
痛みはあるし後味最悪、そして腹も減ったままだ。
つまり何がいいたいって?
俺はいま『詰み』という墓場に片足突っ込んでるってことだ。
もしかしたらその墓は知らず知らずのうちに自分で掘ったのかもしれない。
あれさえやっていなければ、いやアイツがあんなのよこさなきゃ――
そんな考えを少ししたあと、やめた。自己嫌悪がこみあげてくる。
ここにいない親友のせいにしたってなにもいいことなんてない。
けっきょく外には出られず、寒いシェルターで寝込んだ。
やっぱり夜になるとそれはもうひどい寒さだった。
一晩だけ冷蔵庫が冷凍庫に進化したといってもいい。
――ところで人間は水と食料がなくても何日か生きられるそうだ。
実際どうかって? 精神がそれに耐えれるかは別だ、俺はもう無理そうだ。
もしこのまま餓死したらどうなるんだろうか。
これじゃ満腹でリスポンしてくれそうにはない。
それどころか飢えたまま蘇って苦しみ続ける未来が見える。
翌朝、自分が冷凍食品になってないことを祈りながら眠った。
◇
次の日になった。運よく冷凍食品になり損ねたみたいだ。
とはいえ腹が減って喉も乾いてロクに眠れなかったが。
「……よし、やってやる」
起き上がるなりまたあの扉を開けて地上へと出た。
PDAは午前の六時だと教えてくれている。元の世界ならもう少し寝てる時間だ。
とにかく飯だ、食えるものを探そう、今なら犬の餌だって食ってやる。
「タカアキ、悪かった。文句を言うときは直接お前に口で伝えてやるからな」
また道路へ近づいた。空っぽの腹からは悪態しか出てこない。
すると案の定、殺人現場がまた増えていた。
これで加賀祝夜殺害事件の現場はこの世界に二つも存在することになる。
まだ警察がいたら今世紀最大の不可解な事件として扱われたに違いない。
「……くそ。いやなもん見せやがって」
一段と真っ赤に染まったコンクリートをよけながら先へ進んだ。
タイヤからボンネットの中まで根こそぎひん剥かれた車だらけだ。
車列を辿れば、遠くに大きな建物がいくつもあった。
少し視点を変えれば街のずっと向こうに大きな山が見える。
こうして見れば異国に旅した気分だけど、この状況じゃな……。
「外国にはあこがれてたさ。でもよりによってこんな形で来るなんて」
車の間をくぐり抜けた先で、頭上の看板が『ボルタータウンへようこそ!』と歓迎してくれているのが見えた。
「頼むから出ないでくれよ、もう矢も化け物もごめんだ……」
雲の上にいらっしゃる誰かに祈りながら進んだ。
ところが急に違和感を感じた。一台だけボンネットが開きかけてる車があったからだ。
ピックアップトラックとかいうやつか。タイヤもドアももぎ取られてしまっている。
だが、調べれば何か見つかりそうだ。
「……ちょっと見てみるか」
俺は好奇心とかいろいろなものに従ってボンネットを掴んだ。
そのまま持ち上げれば開きそうだ、中に何か入ってると――
ぴんっ。
持ち上げた瞬間、中からそんな音が聞こえた気が。
なんなんだろう、まるで何かのピンが抜けたような……ピン?
「……なあ、まさか――」
今度は内側で何かがしゅうしゅうと音を立てた。
よく見ると空っぽのボンネットの中で空き缶が固定されていた。
それも針金でぐるぐる巻きにされて補強済みの空き缶だ。
問題は穴の開いた底にびっしりと釘みたいなものが詰まっていることか。
そしてそれが、うっかり開いたまぬけに向けられてて、
「しまっ――」
気づいた時には遅かった。爆発して、いっぱいに詰められた釘が襲いかかってきたからだ。
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