私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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5話 人とお話

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 私はさっき助けた水色の長髪の可愛らしい女の子について行ってもらっている。
 私のえっちらおっちら歩きにわざわざ合わせてくれるのは評価できるポイント。
 いや、ケルとかいう犬を私が抱えてるんだし、私の歩幅に合わせるのは当然か。

 あーあ、他者の意思を奪う奇怪な小石なんかじゃなくて、こんな美少女に生まれ変わりたかったなー。

 ところで、私が今抱きかかえているこの犬は、さっきまで起きてたんだけど、今じゃ寝ちゃってる。
 血を流しすぎたんだね。
 それにしても、止血をなんとかできて助かった。絶対危なかったよね。


【もうすこしで、私の住んでる村だよ】


 テレパシー的に脳に直接会話が送られてくる。
 これはなかなか慣れないなー。
 私は返事ができないから、代わりに女の子の顔をじぃっと見つめて頷いてあげる。

 あ、ふふって優しく笑ったよ、今。
 いいなーそのかわいい顔、羨ましい。


【ここだよ】


 また脳に直接メッセージが送られてきた。
 どうやらこの女の子の村に着いたようだ。
 私は目の前の村を見てみる。
 
 私達が入ってきた入り口以外、この村は木の柵のようなもので囲われていて、家が数十件あるし、すこし大きめの屋敷のようなものもあるし、なにかの道場のようなもの、学校のようなもの、畑とかが点々と建っていた。

 私が村の情景を眺めながら、入り口に突っ立っているとメッセージが頭に来る。


【私の家まで行くから、ついてきて】


 私は頷いてその通りにする。
 また、女の子の隣をえっちらおっちらついていくんだ。

 女の子は、周りの家よりはすこし高級感があふれる家の前に立ち止まった。
 さっき見えた少し豪華なお屋敷だね。


【ここが私の家よ、中に入って】


 女の子はその、シンプルかつ目を引くようなデザインの装飾がさらた木でできたドアを開け、中に入った。
 続けて私も中にいれてもらう。


「ただいま………おじいちゃん……」
「ん? おかえり」


 女の子の声の後に、老人の声が聞こえる。
 その声がすると一緒に、この家の奥から一人、さっきの声の主であろう白髪の老人が出てきた。
 老人といっても、背筋がぴーんとしていているからか、それなりに若く見える。
 どっかの老執事とかにいそう、セバスチャンとかいう名前のやつ。
 さらに、老人の隣には白い蛇のようななかなか容姿がすぐれた魔物がいる。


「あれ? 冒険者さん達に森を案内してたんじゃなかったのかい? ロモン」
「う……うん、そうなんだけどね、おじいちゃん……」
「む?、それはあの冒険者さんの一人が着ていた服じゃないか!? 一体なにがあったんだ?」


 そんなに一気に聞かなくてもいいじゃないですね? おじいちゃんさん。
 この娘ね、相当辛い目にあったんですよ?
 説明させるの、かわいそうなんどけど…私が代わりに説明できればなー。


「言いにくいか?」
「………ん……」
「わかった。ケルに聞こう。ケルっ、おいケル?
ロモンや、ケルはどこいったんだ?」


 ケルに聞く? そんなことできるの?
 だってその子、犬だよ?
 もしかして、さっきのテレパシーみたいなので聞くのかな?
 だとしたらテレパシーすごくない?

 ロモンと呼ばれた女の子は私の抱えている、ケルと呼ばれている犬を指差した

「そこの……トゥーンゴーレムさんが抱えてくれてるの」
「トゥーンゴーレム? なんでトゥーンゴーレムがここにいる? 新しく仲間にしたのか? でもトゥーンゴーレムは知能が低いし、身体がもろいしで、スライムと同レベルで弱い魔物だぞ? あまりお勧めはせんが?」


 ひどい。この世界のゴーレムってそんな扱いなんだね。
 あの髭面も言ってたけど。
 私、すこし心外。泣きたい。


「ううん、違うの。私とケルはトゥーンゴーレムさんに助けてもらったの……でも仲間ではないよ」
「それは一体どういう……」
「今からそれを説明するね……おじいちゃん」

 
 女の子は私を半ば放置している状態で、おじいちゃんにあったことを話し始めた。
 私の知らない、なぜあの森にいたかとかも1から話してたね。
 まぁ、簡単に言うとこうだ。

 王国とかいう場所から、この村の抱えていた、モンスターが関連する悩みを解決するため、冒険者とかいう職業に頼んで、あのクズ二人を派遣してもらった。
 で、そのクズを、この子……ロモンだったかな?
 そのロモンちゃんがその問題の場所まで案内することになって、一応、護身としてケルちゃんを連れて行ったのはいいけど、ロモンちゃんは二人に弄そうになり、護身のケルちゃんでも一匹では二人に勝てなくてナイフにさされ、ついに性的に危なかったってところに、私が参上して助けた……という話だね。


「ふむ……ケルの傷を見る限り、本当なのだろうな…それにしてもトゥーンゴーレムがか……ところでそ奴らはどうした」
「あの…トゥーンゴーレムさんが、その人達の衣服を裂いて紐を作って、それで彼らを縛って、森の中に放置したよ」
「ほう? 面白い。先ほどから聞く限り、そこにいるトゥーンゴーレムはまるでトゥーンゴーレムではないみたいな行動をするのだな…魔物使いとしては興味が……………それよりいまはロモンのことだな。人の欲を見抜けず辛い思いをさせてしまった。ロモン。本当にすまなかった」


 おじいさんはぺこりと頭を下げた。


「ううん……いいの、トゥーンゴーレムさんのおかげでなんとかなったから……」
「そうか……」


 そう言いながら彼は私の元に近づいてきて、私の目線に合わせてしゃがんだ。


【孫と、うちのケルを助けてくれてありがとう】


 この人も直接脳内に……。
 まぁ、ありがとうなんて言われても私はジェスチャーすることしかできないけどね。
 
 私は手のひらを広げ、よく劇とかの終わりに劇団員さんとかがやる、手を心臓に近めにお腹に当てたお辞儀の仕方でとりあえず頭を下げた。


「な!? いったいそんなのどこで覚えたのやら……興味深い。」


 そんなこと言われてもねぇ……。
 このくらいで驚かれるとか、トゥーンゴーレム本当にどんだけ知能低いんだか。
 

「ところでおじいちゃん、お姉ちゃんはどこ?」


 ロモンちゃんの問いに、おじいさんは立ち上がりつつそちらを向いて答えた。


「ん? リンネか? あ、そうだった。お前がやっぱり心配だとかであの後、すぐに後を追ってだな………」


 おじいさんがそう言うや否や、バーンと音がしてこの家のドアが勢いよく開かれた。

 全員そちらを見る。
 そこに居たのは、ロモンちゃんと同じ髪の色のショートカットの女の子がいた。
 腰に剣を二本も携えている。


「はぁ……はぁ……ロモン! 戻ってたの! いったいどゆこと? 森の中で冒険者達が半裸で縛られて………」

 
 そうとう息をきらしているみたいだね。
 この娘がロモンちゃんに、お姉ちゃんと言われてた……えっと……リンネちゃんか。
 見た目の歳的に双子かな?
 髪型と目の角度が違うけど、それ以外は酷似してるし。

 リンネちゃんとやらは、ロモンちゃんと私を交互に見て驚く。


「ロモン! なんであの冒険者の服を着ているの? それになんでトゥーンゴーレムがここにいるの? どうゆうこと?」
「それはな、リンネよ……」

  
 おじいさんがさっきロモンちゃんがした説明をした。


「そ、そうだったの……何かあったんじゃないかって思って、そいつらそのまま放置したんだけど…………。でもさすがにトゥーンゴーレムは冗談よね? だってこいつら、スライムに次いで最弱候補だし、頭が良い方の個体でも掛け算もわかんないじゃないの。2×2だってわかんないんでしょ? たしか……」
「ふむ、そのハズなんだが……」
「冗談じゃないよ! ちゃんと見たもん」


 失礼な。
 もうでてってやろうかな。
 せっかく助けてあげたというのに周りの仕打ちが酷すぎる。
 もうちょっと歓迎してくれたっていいじゃない!
 そのくらいわかるという意を込めて、私は4回その場で拍手をしてみせた。


「えっ……………」
「ほう、これはこれは」
「うそ……」


 そんな、掛け算できたくらいでそんなに驚かなくても良いじゃん。
 傷つくわ~。本当に傷つくわー。

 でも私の考えは違ったようで、女の子二人はハモってこう言った。
 

「「人の言葉を理解した!?」」


 え、そっち?
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