私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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10話 双子の姉の実力でございます!

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 リンネちゃんは、剣のように木を削った練習用の棒を二本持っている。
 よく見ると、彼女の体は部活女子みたいになかなか引き締まった身体をしてる。
 毎日鍛錬しているんだろうね。


「ふぅ……じゃあプロの冒険者を倒したその実力、ぼくに見せてよ」


 そう言いながら、二本の木剣を握ってる腕を、一本は前に突き出し、もう一本は顔の横を防ぐように、足は右足を少し前に出して膝を曲げるようにして構えた。
 まるで太鼓を叩くときの構えのようだ。
 彼女の身長は私の1.7倍ほどだろうか、2倍近くある。
 身体差的に、すこし部が悪いかな?


【私も、最初ですから、怪我しない程度に全力でいきます】


 私は棍棒を侍が鞘から刀を抜く時の…居合のように構える。
 実際、するつもりでいた。
 なんとなく、この世界に居合があるかどうか知りたかったし。


「じゃあいくよ……フッ!」


 一息吐くと同時に、右手を上段に構え、左手は腹部を受けられるように中段に構えてこちらに勢いよく突撃してきた。

 私は数歩後ろに歩いて間合いをとり、右手を振り下ろしてくるリンネちゃんの剣にむかって、素早く弾くような感覚で居合を打ち込む。

 思惑通り、しっかり握っていたかと思われる剣を弾き飛ばし、そのままその居合の勢いを殺さぬまむ、体を半回転させて、フェンシングで上段を突くときのように、棍棒をみぞおちにむかって突き上げた。
 勿論寸止めで。

 私と彼女の動きがピタリと止まり、リンネちゃんの額から、ポタリと一滴の汗が流れこう言った。


「ま……参りました……」

 
 そこで私は棍棒を収め、一礼をする。


「つ……強い……本当に、トゥーンゴーレム……?」


 リンネちゃんは率直な感想を述べたんだろうね。
 顔が、信じられないと言いたげな感じだった。


【まぁ、こんな感じでございます。次は打ち込みの練習をしましょうか。私、受けをしますよ】
「ま……、その前にすこし待って!」
【なんでしょう?】


 すこし息を切らせながら、木の剣を拾いつつこう、真剣な顔で聞いてきた。


「その、あのぼくの剣を弾いた技、あれどうやったの? 教えて…」


 なんだ、そんなことか。
 やっぱりこの世界に居合はないんだね。
 日本の技術を異世界に持ち込むのってなかなか楽しい。


【よろしいですよ、まず、こうして剣を鞘にですね____】


 一つ一つ、自分の中では丁寧な方でゆっくり実演しながら教えてあげる。
 リンネちゃんの目は、彼女がお父さんの話をしたとき同様、キラキラしていた。


「な、ならほど……だからうまく距離がつかめなかったんだ!」
【そうなんです。説明は以上ですよ】
「あ、ありがとう! もう一つお願いがあるんだけどいいかな?」
【なんなりと】


 リンネちゃんが一呼吸おき、私の目らしき穴をじっと見つめてすこし真剣目な声で、お願いしてきた。


「アイリスちゃんも、ぼくと練習する時は二刀で練習して欲しいの……。君の動き、技を、ぼくは必死に覚えたいから……それと、わからないことがあったら聞くかもしれない。教えて欲しい。お願いできないかな? ワガママかもしれないけれど……お願いします!」


 そう言いながらぺこりと頭を下げる。
 そんなにお願いされちゃあしょうがない。
 正直双剣使いなんてしたことないけど、まぁ、なんとかなるかな?


【わかりました。しかし、私も双剣は初心な故、そこまではうまくないかもしれませんがよろしいですか?】
「うん! うん! 大丈夫、ありがとう!」


 そう言って彼女は私を抱きしめる。
 人の温もりって良いものだね、私は体感がないから温度なんて感じないけれど、なんとなくそう感じたような気がしたんだ。

 抱きつかれてから数秒後、家の戸がガチャリと開き、中からガーナさんが出てきた。
 一体、ヘビがどうやって戸を開けたというんだろう? 気になる。


【リンネ、ゴハンよ】
「あ、はい! 今行く! じゃあ家の中に入ろっか」


 私はコクコクと頷き、一緒に家に入った。

 食卓には美味しそうな料理、主にスープ系やパンが並べられていて、それぞれみんな席についていた。

 ケル君やガーナさんは床に置いてあるお皿で食べるようだね。ペットの扱いは日本と同じ。


「アイリスちゃんはどうするの? ご飯」


 そう、ロモンちゃんが聞いてきた。


【私は飲み食い、睡眠は不要ですから、ここでMP回復でもします。椅子、お借りしますよ】
「本当にそれでいいの?」
【ハイ】


 まぁ、これしかやることないんだし、仕方ないだろう。
 不要ってだけで実は食欲はあるんだけど、口がないし、仕方ないね。
 早く人間になりたい。


「そっかぁ…じゃあ食べるよ?」
「うむ、食材に感謝を込めて、いただきます」
「「【【いただきます】】」」


 カチャリカチャリと、ご飯を食べる音がする。
 耐えろ、耐えるんだ私、この苦痛を乗り越えたら悟りを開ける。そう信じて!
 私は心の中を無にしてひたすら瞑想にふけった。
 心を無にして見つけたこともあるの。

 なんと! 私は小石の時同様、前を向いたまま全方位を観れるのだ。
 顔は前を向いてるのに、実は後ろを見てるなんてこともできるみたい。

 いやいや、有用な情報を得たのはいいけど、とにかく瞑想しないとね、瞑想。
 集中しなきゃ瞑想の意味がないもんねー。
 

【行動ボーナス! MPと魔力がとても上がりやすくなった!】


 あ、どうも。
 ほらね、瞑想したらいいことあった、とてもだって、とても。きっとかなり上がるに違いない。
 私は食欲に打ち勝てたんだ!


「「ごちそうさま!」」
「相変わらず食べるのが早いのぉ……」

 
 二人が夕飯を食べ終わったみたいだね、私も瞑想をやめよう。


「アイリスちゃん! ちょっといいかな?」

  
 そう、ご飯を食べ終わったばっかりのロモンちゃんが私に声をかけてきた。
 私は椅子から降りて、返事をする。


【はい、なんでしょうか?】
「一緒に…お風呂入らない?」


 お風呂か……確かに、身体は清潔にしないといけない、特に私は土塊だし。
 私はそれに承諾することにした。


【そうですね、お風呂は入ります】
「うふふふ、それじゃあ浴室はこっちだよー。お姉ちゃん、おじいちゃん、先お風呂入るね?」
「あぁ、ゆっくりしなさい」
「じゃあその次はぼくが入るね」


 私はロモンちゃんに手を引かれ、浴室まで向かった。
 バサ、バサ、と浴室に着くなりロモンちゃんが服を脱ぎだす。
 その若々しくみずみずしさがある、白い柔肌があらわになる。
 綺麗だなぁ……いやぁ眼福眼福。
 まだそこまでの歳じゃないのか、見た目相応の胸の大きさ。大体A後半~B中盤のカップぐらいだね。
 そういえばスポーツブラ越しのリンネちゃんの胸も小さかったな……。
 いや、スポーツブラって胸が押さえ付けられるから、そこまで小さくも…。


「どこみてるの? アイリスちゃん」
【え? ロモン様ですが?】
「えー、なんでじっくり見てるのー」
【別にやましい気持ちなどありませんよ? だいたい私、メスですし】
「むー? ……まぁいいけど」


 やっべ、なんで変な目で見てるのばれたんだろ?
 こうなったら小石視点を生かして後ろ向きながら見まくってやる!



「ゴーシゴーシ、気持ちい? アイリスちゃん」
【ええ、私が綺麗になってゆくのがなんとなくわかります】
「そう! よかったぁ…ふふっ」

 
 ロモンちゃんに私は身体を洗われている。
 身体の隅々までね。
 生まれて初めてのお風呂だし…やっぱりお風呂は気持ちいいなぁ。


「私ね、こうして自分の仲魔とお風呂に入ること、憧れてたの! ケル君とは何回か一緒に入ったことあるんだけどね」
【そうなんですか、満足していただけました?】
「えへへー、うん、満足だよ!」
【そうですか。よかった……】


 そうだ、ここで少し、この娘たちについて聞いてみるかな。こののんびりした空間だと聞きやすいかもしれないね。歳とか。


【そういえば、ロモン様とリンネ様はお歳はおいくつなのですか?】
「うーんとね、私たちはね今13だよ! 来月に14になるんだ」


 まだ中1、中2ぐらいの歳しかないのか……。


【そうなのですか、お若いですね】
「そういうアイリスちゃんは生後何日なの?」
【それってどういう……】


 そうだ、そういえば私はトゥーンゴーレムの生まれ方を知らない! 
 だって身体を乗っ取っただけだもの。


「トゥーンゴーレムは岩から自然発生するんだよ? 何日まえに産まれたの?」


 そ、そうだったのか……覚えてないことにしとこっと。


【申し訳御座いません、思い出せないのです】
「そうなんだ、じゃあ無理に思い出さなくてもいいよ! はい、洗い終わったよ」
【ありがとうございます。私もロモン様のお身体を洗いましょうか?】
「いいけど……変なとこいじらないでね?」

 ロモンちゃんは可愛らしいく、私をジト目で見てくる。


【ですから、私はメスですってば。変なことしませんよ】
「なら、洗って」
【承知しました】


 私は丁寧かつスピーディにロモンちゃんの身体を洗っていく。
 お肌すべすべですわ、羨ましいなぁ本当に。


【洗い終わりました】
「ありがとー! じゃあそろそろ泡を落としてお風呂を出ようね」
【ハイ】


 私たちはお風呂をでた。
 ロモンちゃんはピンク色の寝間着に着替えて、一つあくびをした。
 こちらを振り向き、話しかけてくる。


「ネムィ……ねえ、アイリスちゃんは眠くならないんでしょ? みんなが寝てる間どうするの?」
【私はこの後、外で鍛錬しようかと思ってます。魔物を倒してレベル上げたり】
「そう…………………」


 あれ? 少し残念そうな顔してるなぁ…。
 なんでだろ?
 もしかして一緒に寝たかったり、とかかな? そうならそうと言えばいいのに。


【ロモン様、もしや私と一緒に寝たいのですか?】
「いいの? それも私の憧れの一つだったの」
【このような土塊である私でよろしければ】
「わーい! ありがと。一緒に寝よ!」
【御心のままに】


 そうして私たちは浴室から出るやいなや、起きてる皆さんにお休みと言い、寝床に行った。
 ロモンちゃん曰く、いつもより寝る時間が3時間ほど早いそうだけど。


「はい、隣にきて?」


 私はその言葉通りに彼女の隣に寝転がる。
 温かい……やはり、そう感じる。
 もしかしたら温もりは感じるのかもしれない。

 彼女は私に片手を添える。


「今日は本当にありがとね。助けてくれて……仲魔になってくれて……今後ともよろしくね」
【はい、ロモン様、今後ともよろしくお願いします】
「じゃあおやすみ」
「お休みなさいませ」


 私はあと1時間くらい起きて、この娘の寝顔をバッチリみることにした。
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