私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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259話 ガーベラさんが疲れた様子なのでございます……。

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 結局今日はお城の人たちは私達を頼りには来なかった。でも見つかったなんて連絡は入ってこなかったし、今さっき私単独でお父さんとお母さんの暮らしてる屋敷を覗いてみたところ明かりはついていなかった。つまりまだ探してる最中なのでしょう。
 噂はされていて町の人たちには伝わっちゃってるかもしれないけど、それでも昼間に走り回っている兵士さんなどは見ない辺り、まだ世間的な大ごとにはしない方針なのかな、お城は。
 それはそうと今日もギルドに入り浸ろうと思う。彼氏に会うためでもあるし、人が集まるからもしかしたらなにか他の冒険者からオーニキスさんの捜索のヒントになるような話が聞けるかもしれない。
 もし宿の方にお城に関係する人が来たら、リンネちゃんにギルドへ私を呼びに来るよう頼んでるし何か緊急事態があってもなんとかなるでしょう。
 

「お、アイリスちゃん今日も来たねぇ……おお!?」


 昨日、ガーベラさんに私の好みのところを聞いてた人だ。驚いた顔で私のことを見てる。たぶん、目線は首元あたりね。


「まさかあの話をしてからそんな服を着てくるとはアイリスちゃんも彼氏思いだねぇ」
「決して露出は多くないのに、普段出してる肌が顔と手くらいしかないアイリスちゃんがそんなの着てると見ちゃいけないもの見てる気がするぜ」
「あそこらへんにいる女冒険者達のヘソ出しや谷間なんかより有難い……」


 そう、昨日はガーベラさんの私に対する好きな部位を聞けた。だからそれにあった服を着てきたの。偶然、前に買ったものの中にある条件にあうのがあったから。鎖骨と肩が見えるような服ね。すらっとした脚や体型も好きだと言ってくれたから、全体的に細い感じでもある。太りにくい体型でよかった。
 彼らの言う通り、私にしてはかなり冒険してる方。でもこの国ではこれでも普通かそれ以下の露出度よ。
 最近、日々の修行に新しい発展と工夫がない代わりに彼氏に合わせた考え方をするようになってきた。恋は人を変えるって本当かもね。


「しかし残念だな。今日はまだあいつきてないぜ」
「いつもならもう30分前には居るのにな」
「ギルドマスター曰く、ここ数日あいつ仕事はなに一つ入れてなかったそうだぜ?」
「なんかここんとこおかしかったよな、あいつ」
「そ、そうなんですか……」


 そんな素振りは見せなかったのに。じゃあ最近はなにをしてたって言うのかしら。私、ガーベラさんは日中仕事しかしてないイメージがあるんだけど。……せっかく、ここ最近で一番の勇気を振り絞って鎖骨を見せにきたのに、見せたい本人が居ないんじゃ意味ないわよ。
 ……心配になってくる。オーニキスさんが居なくなったばかりだし、ガーベラさんもまさか? 単独でダンジョンを制覇してしまうような人だから、何かの企みに巻き込まれて利用させられてしまうなんてことはないわよね?
 あるいは、今まで魔王軍幹部の討伐をしてきた私達に、仕事仲間や大事な人を誘拐して復習しようとしてる新たな幹部がいるとか?
 ちょっと考え始めるとどんどん不安になってくる……。


「目に見えて落ち込んでるなアイリスちゃん」
「気がついたら、いつのまにかこのギルド内でもトップに入ってくるようなラブラブカップルになってたよなこの二人は」
「アイリスちゃんの性格から言って、普通のカップルがするようなことは一切やってないはずなんだがなぁ」


 くよくよしてても仕方ないわ、アイリス。あの人は強いから、信じて待ってましょう。今日は彼氏ができる前までみたいに、ジエダちゃん達なような友人達とおしゃべりすればいいの。そう、その方がオーニキスさんの情報も手に入りやすいだろうし。

 そして私はそれを実行することにした。
 つまり、いつもギルドから宿に帰る時間までたくさんおしゃべりをしたの。結局はみんな、国の重役が居なくなって城内で大騒ぎになってると言うのは知ってたけどそこまでで、誰が行方不明になったのかすらも把握したなかった。そういえば昼間に小耳にはさんだ話も、誰もオーニキスさんなんて言ってなかったっけ。
 これじゃあしばらくは人に聞いて情報収集というのは無理そうね。酒場もギルドも兼ねてるここで二十人近くと話して手がかりゼロなんだから。


「ガーベラさんも来ないですし、いつも帰ってる時間になったので私は帰りますね」
「わかった。アイリスさん、また明日! 明日はガーベラさん来るといいですね」
「まったく、露出嫌いなアイリスちゃんに趣味に合わせたカッコさせたまま待たせて寂しい思いさせるなんて男はダメねー」
「今日が初めてですから、きっと手が離せないような用事があったのでしょう」


 色々心配したけど、やっぱりそう考えるのが一番自然だと思う。
 ……その時、私はふとなにかがギルドの入り口に近づいてくる気配を感じた。勘ってやつだけれど、不思議と確実な気がする。


「アイリスさんどうしたんです?」
「あれよ、時間ギリギリまでアイツを待ってるんだわ」
「健気ね」
「あの期待してる乙女の顔、やっぱり美人さんよねー。こんないい娘待待たせるなんてやっぱダメねー」


 つい特技を使って入り口に耳をすませてみる。たしかに足音がする。何かを引きずるような足音。こんな夜中に引きずる音がするなんてホラーなんだけど。
 ランクの高い冒険者もちらほは気が付き始めたのか、何人か入り口の方を向いた。それに合わせてだんだんと全員が入り口を向いて行く。……この空気で普通に酔っ払いとかだったらしらけるのでしょうね、むしろ。
 ギルドの戸が開いた。


「はぁ……はぁ……ぜぇ……はあっ……はぁ……」
「えっ……」


 現れたのは、私の体を使った盾と槍、そしてアーティファクトの籠手以外体と装備品の全てがボロボロとなっているガーベラさんだった。いや、まって、嘘でしょう?


「が……ガーベラさんっ!?」


 私の身体は思わず動いていた。勝手に脚が駆けだしていて、脳みそは勝手に最上級の回復魔法を唱えてる。今にも倒れそうな彼の身体を支える頃には、身体の方はすっかり傷が癒えていた。私が国内でもかなり強力な回復魔法使いで本当に良かった。


「あ、ありがとうアイリス……」
「なんでそんなにボロボロなんですか!? 魔王軍幹部とでも戦ったのですか!?」
「い、いや、これは個人的な事情だよ。それより心配させて本当にごめん」
「事情って……」
「あとで話すよ」


 さっきまでとは変わり、私の支え無しでガーベラさんはすくっと立ち上がった。そしてギルドマスターの元まで行く。
 ギルドマスターは彼としばらくカウンターの裏に行って何かを話していたあと、驚いたような顔をして戻ってきた。


「通りで、納得したぜ」
「すいません、ここ数日心配をおかけしまして」
「俺よりどう考えてもアイリスちゃんに謝るべきだろ。今日もいると思ってやってきてよ、ずっと待ってて、やっと彼氏が来たと思ったらボロボロなんだぞ? どんな心境してると思う?」
「そうですね」
「とりあえず、事情はわかった。だからとりあえず今はアイリスの元に行ってやれ。詳しい話は明日聞く」


 ギルドマスターの計らいでガーベラさんは私の元まで来た。なんだかとっても申し訳なさそうにしてるけど、私が考えていたような嫌なことではないみたいでそこは安心してる。
 さて、お話を聞いてあげなくちゃ。


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