私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

文字の大きさ
340 / 378

333話 嫌な再会でございます……!

しおりを挟む
「おじいちゃんがこれだけやったから、次はもう魔王軍幹部を一人一人倒してけばいいんだよね?」
【そうなるゾ。ただ魔王軍幹部は二人一組でいるみたいだからオイラ達もみんな二人一組以上で行動した方がいいゾ】


 幹部じゃないSランクの魔物は、10人近く居るS級冒険者を中心として力のバランスが均等になるように分ければ何とかなる。それに魔王軍幹部の人数より私達勇者軍幹部の方が多いから余った人は兵隊さん達で対処しきれない分を処理していけばいい。
 こうなった場合の組み分けパターンも事前の作戦会議で決めてある。そもそも私達は魔王軍幹部をまともに1対1で倒そうなんて考えていないからね。二人一組になってる時点でそれは向こうも同じ考えみたいだけど。


「そうじゃな。それじゃあ事前に決めたように分かれるとするかの」


 まず、ロモンちゃんとリンネちゃんとケルくんの三人で一組。ロモンちゃんが魔物使いだから実質二人組だけど、ロモンちゃんとケルくんは力を使えばSランクの魔物を二匹同時に相手できる強さを持っているため問題はない。それに双子だけあってコンビネーションは抜群。ただのS級二人組では収まらない強さがある。

 次にお父さんとお母さん、ベスさん。この三人については双子達と使う力も戦い方もコンビネーションのやり方も同じ。違う点があるとすれば、戦闘経験の差。特にお父さんなんてすでに二回も魔王軍幹部にトドメをさしてるわけだし。

 そして最強なのがおじいさんとクロさん、ナイトさんの三人の組。この人たちについてはもう何も言うことはない。正直なところ、勇者の力でないとまともなダメージが与えられない魔王が相手でなかったらこの三人だけでおそらく事態は収束させることができていた。

 さらに私とガーベラさん。私の極至種、賢者の石としての特性とガーベラさんの勇者としての力である未来予知。この二つが掛け合わさって二人とも不死に近い力を持っているこの屈指の不死コンビ。……自分でそう考えるのもあれだけど、事実ではある。
 なによりこのコンビは私がガーベラさんを、ガーベラさんが私を互いに守るという役目がある。

 最後に残りのランスロットさん、ペリドットさん、タイガーアイさん。カップルや兄弟という訳でもなく余ったのでこの三人でトリオを結成したと本人達は言うけれど、それでもこの三人で途方もない強さを誇っている。


「それで、どの組がどこに向かうのがベストだ?」
「そうじゃの。リンネ達とノア達の二組、四人と二匹で東側の四匹、ワシらとアイリス達の二組で西側の四匹、ランスロット達は兵達の指揮とともに残ったSランクの処理をお願いしたいかの」
「では、そのようにしましょ~ね~~」


 私かガーベラさんがやられた時点で終わりだから、おじいさんとナイトさんがついてきてくれるのでしょう。どう考えても戦力過多だけどね。とりあえず私達は一番近くにいる魔王軍幹部二人組目指して進んでいった。

 道中、おじいさんが遠距離攻撃で倒したと思われる魔物の亡骸と五体ほど遭遇する。三匹は天井から生えてきたゴーレムの時の私ぐらいの太さはある巨大な水晶の柱に貫かれ、二匹は辺り一帯に血肉が飛び散り爆散していた。双方の共通点としては地形まで変わっていること。大きく地響きが起こるのもわかる。こんな恐ろしい攻撃を感知だけで対象を捉えて行うなんて、ほんと、化け物染みてるわ。
 ちなみに途中で生きてる魔物にも二匹遭遇したけれど、どうやら先の攻撃で大怪我をしていたみたいでまともに動ける状態じゃなく、ナイトさんが手早く倒してしまった。もしかしたら幹部以外の魔物はもうすでにみんな瀕死の可能性すらある。
 

「ごめんね、二人っきりにしてあげられなくて」
「い、いえ、戦争中ですし……」
「まあ敵地でイチャつく余裕なんてないじゃろうがな」


 この魔王の拠点はダンジョンとしては大して広くはない。私達は歩き始めて十分ほどで魔王軍幹部二人組がいる広場へとたどり着いた。そこに居たのは赤髪オールバックの人物と、私達のよく知っている人……。


「真っ先に私のところに来ると思っていましたよ。久しいですな、総騎士団長ジーゼフ殿」
「よく言うわい。ワシと遭遇するためにわざわざ比較的近場に身を潜めておったくせに」
「アイリス、あの人がオーニキスって人なの?」
「……そうですよ」
「アイリスも久しいな。息災であったか」
「裏切り者が孫娘に気安く話しかけるでないわ。……クロ、行くぞ」
【ああ、叩き潰すぞ】


 移動に不便のないよう幼体化していたクロさんが元の姿に戻った。明らかに怒っている。そりゃ、八年も彼によって不自由を強いられたのだから当然よね。


「孫娘? どういうことかね、アイリス」
「えっと、あの、私正式にあの家の養子になりまして……」
「普通に答えちゃうんだ、アイリス」
「あっ……そうですね。つい……」
「そういうわけじゃ。だが、そんなことこの戦いには関係ないじゃろう。クリスタル・リスドゴドラムじゃ」
「やれやれ、久しぶりに再会したというのに話すらさせてくれないなんて。……頼んだぞ」


 オーニキスさんがそういうと、オールバックの男の人……たしかイフリートサラマンドラの半魔半人で、ジンという名前だったかしら、その人が彼の前に出てきた。
 おじいさんにコテンパンにやられたのを忘れたわけじゃないでしょうに、なぜそんな自信満々そうなのかしらね?


「ふはははは! 等しいな、強き愚族の老人よ。ゴーレムの娘も一緒か」
「貴様に構ってる暇はないわい」
「ジーゼフ殿、まさか我々がなんの準備もなしに貴方をここまでおびき寄せただなんて思っては居りますまい? ジン殿」
「ああ、あの老人相手に手抜きはできん」
「……危ない、みんな避けろ!」


 オーニキスさんに名前を呼ばれたジンは自分の顔の前で拳を握り込んだ。瞬間、私とガーベラさん、おじいさんとナイトさんの二組ずつの間の地面に亀裂が入り、そこから溶岩が噴出された。
 ナイトさん達はどうやら難なく避けたみたいだった。私はガーベラさんに慌てて押しのけてもらった。とりあえず全員今の攻撃からはダメージを受けなかったけど、分断はされてしまったわね。


「アイリスとその……もう一人の君! 聞こえるかな? そっちでは私達ではない別の者が相手をする! せいぜいあがいてくれたまえ」


 私達に呼びかけられたオーニキスさんの声。それと同時に、私達の目の前に二つの魔法陣が現れる。外の魔物を呼び出したものと同じ魔法陣。そこから出現したのは……出現したのは……!


「ひっ……!」
「ははは、怯えたアイリスちゃんもまた可愛いな。久しぶり! 元気にしてた?」


 私は思わず小さく悲鳴を上げた。それどころか身体が勝手にガーベラさんの後ろに隠れてしまう。全身に鳥肌が立ったのがはっきりとわかる。あの男を私の身も心も全力で拒否している。
 格好悪いけれど、私はガーベラさんの後ろに隠れたまま二人の魔王軍幹部の様子を見ることにした。ガーベラさんは後ろに手を回し、私を守るようにしてくれている。


「ずいぶん嫌われたものだね。その心の底からくる恐怖にしかめた眉、そういうのが好きなんだよ」
「あの女の子知ってるよボク、ゴーレムでしょ? グラブア、まさかアイツにも手を出したの?」
「もちろん。あの男のせいで未遂だったけどね」


 もう一人はアルケニスだったはず。私が把握してる限りでは魔王軍幹部の紅一点。この二人が相手か。
 ふと、ガーベラさんの顔を肩越しに見てみると、グラブアに向けて凄まじい表情を浮かべていた。コメカミに血管が浮き出そうな勢いで。



#####

次の投稿は4/13です!
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

神様 なかなか転生が成功しないのですが大丈夫ですか

佐藤醤油
ファンタジー
 主人公を神様が転生させたが上手くいかない。  最初は生まれる前に死亡。次は生まれた直後に親に捨てられ死亡。ネズミにかじられ死亡。毒キノコを食べて死亡。何度も何度も転生を繰り返すのだが成功しない。 「神様、もう少し暮らしぶりの良いところに転生できないのですか」  そうして転生を続け、ようやく王家に生まれる事ができた。  さあ、この転生は成功するのか?  注:ギャグ小説ではありません。 最後まで投稿して公開設定もしたので、完結にしたら公開前に完結になった。 なんで?  坊、投稿サイトは公開まで完結にならないのに。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

処理中です...