私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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135話 まさかの再会でございます!

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「「おじいちゃん、ごちそうさま!」」
「ご、ご馳走になりました…!」


 お昼ご飯を食べ終わった。
 おじいさんったら2人の孫娘のために少しお高いところ連れてくんだから…。
 かくいう私は申し訳ないからゴーレムになってお留守番しようとしたら、おじいさんに半ば強引に連れてかれて一緒にごちそうされちゃったし。


「アイリスちゃん、若い娘が遠慮するのは良くないよ、覚えとくといい」
「わ、わかりました」


 元ゴーレムなんだから娘も何もないのに。
 いや、さらもっと言えば小石だもんね。


「じゃあワシはノア…お母さんの様子でも見てくるとしよう。それから帰るわい。……あ、ケルはしばらくノアとグライド君の家に厄介にさせるからの」
【シバラク、オカアサントイッショ、ウレシインダゾ!】


 尻尾をパタパタさせながら、犬用の器からご飯を食べてたケル君は嬉しそうなしてる。
 これが進化すると双頭に……さらに進化するとベスさんみたいなケルベロスになる可能性があるなんて信じられないよ。


「それじゃあの」
【バイバイダゾ!】
「「うん、じゃあね!」」
「また近いうちに!」


 お店を出てから私達は帰路につく。
 今日も特にすることが無いんだけど________


「……ん?」
「どうしたのアイリスちゃん?」


 あるものを発見した。思わず立ち止まる。
 ……少し小石視点で見てみたところ、どうやらジエダちゃんが誰かに絡まれてるみたいだ。
 後ろ姿しか見えないけど、あの緑色のポニーテールはあの子に違いない。良聴で盗み聞きもしてみよっかな。


『お嬢さん、とても美人だし一目見てもう溺れそうだよ。俺と一回でも食事を…ね?』
『…えっとその…困ります…』


 どうやらナンパ師に絡まれてるみたいだ。
 そのナンパ師の声も聞いたことがある。
 どうやらあの2人とも私の知り合いのようだ。


「すいません、知り合いが変な人に絡まれてるので助けに行って来ますね」
「え、そうなの?」
「私達も行く?」
「いえ、その変な人の方も知り合いなので私が話をつけてきます。お二人は先に宿に戻っていてください」
「わ、わかった……気をつけてね」
「ええ」


 2人へのお別れも軽めにし、私は困ってるであろうジエダちゃんの元へと駆けて行く。
 ……近づくにつれて見えてきた、そのナンパしてる相手の髪の色はやっぱり赤色だし。


「ジエダさん?」
「あわわ……えっ、アイリスさん!」


 後ろから声をかけると、ジエダちゃんは飛び上がって驚いた。と同時に私の顔を見るなりとてつもなく安堵したような表情になる。


「……グラブアさん、また口説いてるんですか」
「えっ……また? 君は……あああ、あのオークションの、アイリスちゃん!」


 どうやら覚えてくれていたようだ。
 光栄…じゃない。
 まあ顔はいいから覚えてもらえてるのはわるい気がしなくも ないけれど。


「覚えてましたか」
「忘れるわけじゃないじゃないか、銀髪が特徴的だからね」
「そうですか」

 
 銀髪で若いのって少ないからね、私は覚えやすいのか。染めようかしら? ……なんか元の身体も変なことになりそうだからやめておこう。


「えっと…アイリスさん、お知り合い…?」
「はい、ある街で会いましてね。その時もこんな感じで口説いてきたんです」
「あははは、つい可愛い子を見ちゃうとね」


 か…可愛い子…。
 そ、それくらいで動揺しないのアイリス!
 相手はナンパ師よ! 気を抜いたらいつ貞操を持ってかれるかわからないわ!
 私は初めては好きな人って決めてるから。
 ……その好きな人がいつできるからわからないんだけど。 
 とりあえずいまはこの目の前の性格チャラ男をどうにかしなければ!


「こ、この子が困ってるのでやめてあげてくださいませんか?」
「ん、そうだね。反応が嫌がってるもんね。…ごめんね」


 案外あっさりと謝った。
 あの時もロモンちゃんとリンネちゃんがあからさまに嫌そうな反応をしてればこうやって謝ったんだろうか。


「え…あ、いえ、その…わかってくだされば…。えーっと…」
「ここは私に任せて、行ってください」
「あっ…はい!」


 ジエダちゃんは私に何回か頭を下げてから、慌てて走ってどこかへ行った。


「……ところでアイリスちゃん」
「嫌です」
「まだ何も……」
「どうせ食事に誘うんでしょう?」
「あ…うん、そうだけど……」

 
 彼はどうしてこんなに女の子を誘うんだろうか、ちょっと訊いてみようか。


「どうして貴方はそうやって女の子を誘うんです?」
「え? ああ、だって可愛い女の子と一緒にいるのって楽しいからさ。それで意気投合できたら彼女になってくれないかなーなんて」


 ああ、やっぱりこの人は彼女持ちじゃなかったか。そんな気はしてたけど。
 それにしても動機が単純すぎる。
 嘘を言ってるように見えない。
 この人はいい景色を見たりするような感覚で女の子と食事をしたがってるようだ。


「……私、そうやってすぐ女の人を誘ったりする軟弱者嫌なんですよね」
「ああ、だからこの間はあんな風に…。いやぁ、可愛いとつい癖でね。アイリスちゃんも可愛いから」


 かっ……かわっ…可愛くないもん!
 私、可愛くないもん!
 うん、良くて普通よ、普通!


「私は可愛くないので、他の人にあたって……いえ、他の人に当たるのも迷惑なのでもうこの街から港町に帰って普通に過ごしてください」
「迷惑かぁ…そっかぁ。アイリスちゃんにとっては迷惑なんだね」


 そんなに悲しそうにしなくてもいいじゃない。
 私のどこがそんなにいいんだろう。


「食事嫌い?」
「ち、違います! その可愛かったら誰でもいい、みたいなのが嫌いなんです!」
「いやぁ、誰でもいいわけじゃないよ。ちゃんと選んでる」
「そ、そうなんですか……」


 ぐぅ…調子を崩されるなぁ。
 話題、話題を変えてしまおう。
 そうしよう。


「と、ところでなんであの町からここへ?」
「ん? 普通に観光だけど?」
「そうでしたか」


 なんか宝探しにでも来たかと思ったけどそんなわけじゃないのね。トレジャーハンターなのに。
 

「でもさっき来たばかりだからお腹も減っててさ、この街の構造もよくわかんないし……案内してくれない? 知り合いがいて本当に助かったよ」
「他に知り合い居ないんですか?」
「この街には居ないね」


 ……うーん、食事じゃないし、こんなに人が多いこの街だったら変なことできないだろうし…案内くらいならささっとやってあげてもいいかもしれないのかな。


「案内….ですか」
「考えてくれるかい?」
「本当に案内だけですか?」
「……まあ良ければ本当に食事を……」


 そう言いながら彼はお腹を抑える。
 本当にお腹が減ってるみたい。
 なんでそう意固地になって女の子を探し続けるのやら。


「そもそも昼食食べてしまったので、私、要らないんですけど」
「……なら、俺が食べてる最中に町のことを教えてくれよ」
「ええっ……!」
「頼むよ」


 ど、どうしよっ。
 でももう案内ならいいよ、みたいな雰囲気出したちゃったし……!


「わかりました……仕方ないですね。折れましたよ」
「よし! じゃあさっそくどこか行こう! ……オススメのお店はないかな?」


 あまりベタベタ触ろうともしてこない。
 普通の距離感でいい感じに保ってくれている。
 この人にとってはナンパは、可愛いものを見ていたいとかそいう意味以外ないのね。
 そういうことでいいか。


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