私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

文字の大きさ
185 / 378

184話 上級魔法と唐突の呼び出しでございます!

しおりを挟む
 この大きさ、この魔力…今私たちに向かって飛んできているのは『リファイム』。
 私は瞬時にゴーレムに変身し、そのリファイムを受けた。少しまともなダメージが入るけど、なんの問題もない。


【アイリス…! ゾ、ヨカッタゾ……】


 ケル君はホッとしたような言葉をあげると同時に、その場にへたり込んだ。
 

【……これはケル君が放ったのですか?】
【ソうダゾ。ユックリ ツクッテタラ カンセい シタンダゾ。 デモ 3ニン ノ ホウニ トンジャッタンダゾ。ゴメンナサいゾ】


 教えてからまだ10分経っていないはず。もう完成させたというのかしら。……本当にあそこで詰まってただけで、解きほぐしてあげれば簡単に完成させられたのね。
 

【ケルすごいっ! すごいよっ!】


 ロモンちゃんがケル君をぎゅっと抱きしめた。当たり前だけど大きくなってるから少し抱きしめずらそう。中型犬サイズだからできないことはないけど。


【デモ、マダ マホウ トシテ トうロク サレテ いナいンダゾ。 モウナンカイカ ヤルゾ】
【うんっ、うん! 頑張ろうね!】


 というわけでケル君の魔法の練習が再開された。次に魔法陣を作った時はさ不発。しかしさらにその次は成功した。
 それから10回ほど作成を試みていたんだけど、だいたい成功確率は二分の一かしらね。
 あともう一歩で完全に習得できそう。
 でも。


【ゾ……MPガ…ナクナリソウ…ダゾ】
【あちゃー】


 そりゃそうだ、忘れてた。
 魔法陣を作るだけでも、そして不発だったとしてもMPは消費される。だいたい成功した時の十分の一から二分の一くらい。
 さらにケル君は魔法の理解を早めるため、ずっと魔流の気をまとっているわけだから、当たり前よね。


「むーん、じゃあお昼ご飯食べて休憩しよっか」
「賛成! どこで食べる?」
「久しぶりにギルドなんてどうかな?」
「ギルドかぁ…じゃあそうしよっ!」


◆◆◆


「ぼくは…えーっと、ベーコンとチーズピザとキノコピザを1枚ずつください。飲み物はアイスティーで」
「私はシーフードピザとベジタブルピザ1枚ずつ。私も飲み物はアイスティーで」
「私はサンドイッチランチセットとアイスティーをお願いします。それと取り皿3枚に、犬の魔物用の餌肉2匹分ください」
「は、はい畏まりました」


 ……2人で食べること前提のピザを2枚ずつ頼むロモンちゃんとリンネちゃん。
 そしてケル君もMPを少しでも多く回復するためにガツガツ食べてほしいから、二匹分頼んだ。
 ギルドだからゴーレム用の石材や草食の魔物用の草など数多く取り揃えてるのが有難い。

 しばらくして頼んだものが全てきた。
 たった3人の女がこれだけのものを食べるのに注目…されたりはしない。さすがにみんな慣れ始めている。見た目によらず大食いだってことに。


「よお、双子ちゃんとアイリス。今日もいい食べっぷりだな」
「あ、ギルドマスター。ええ…でもお金がだいぶたまってるのでこのくらいの贅沢はできるんですよ」
「確かに3人は冒険者初めてまだ1年経ってないのにダンジョンクリアしたりしてるからな。今は…トカゲが沢山出るダンジョンか何かを攻略してるんだろ? あっちの店のやつからきいたぞ」


 冒険者の店とギルドは情報交換している。
 私たちがトカゲを最近たくさん売ったことはもう知られていたのね。


「そうなんです! この子の訓練も兼ねて探索してるんですよ!」
「ロモン、そいつぁ…また新種か?」
「はいっ!」


 得意げな顔でそう答えたロモンちゃん。魔物の新種を作るってのは魔物使いにとって名誉なことだからね。ドヤ顔してもいい。


「たしか、ノアの仲魔の息子のケルだったけか。黒毛じゃなくて白毛になってんな」
「火属性や雷属性みたいな光物の魔法を覚えさせたらこうなったんですよ」
「へぇ…んじゃあヘル(地獄)ドッグじゃなくて、ヘヴン(天国)ドッグだったりするのか?」
「すごい! 正解ですよ!」
「まじか」


 ギルマスってば何気に答えて当てちゃったよ。でもまあ、確かにケル君の見た目からその名前は推測しやすいと思う。
 ……って、もうロモンちゃんとリンネちゃんの前からピザが1枚ずつ消えてる。
 たしか、4枚頼んだピザをそれぞれ半分ずつ食べるんじゃなかったかしら。
 いったいいつやり取りして、いつ食べたのやら。


「ま、ダンジョン探索もいいが、クエストの方もやってくれよ。ランク上げもしなきゃな」
「そうだった、全然ランク上げしてないじゃん!」
「まあまあ、それは今抱えてるものが終わったらで良いじゃないですか」


 もう生活には絶対困らないし、なんなら一軒家だって土地ごと買えてしまう。武器だって勝手に再生し続けるし効果も上等だから下手したら一生買い換えなくていい。
 そしてまだ私たちは若いから焦る必要もない。

 ロモンちゃんはお母さんに、リンネちゃんはお父さんに辿り着くために頑張ればいいの。


「「それもそうだね」」
「そうか。そういや案外受けた仕事の数って少ないものな。ま、自分たちのやり方で頑張ってくれや」

 
 ギルドマスターはなぜか私の頭をポンポンと撫でてからガハハハと笑いながら後ろを向いて立ち去ろうとした。


「ん…?」


 その時、ギルドの扉が勢いよく開かれる。


「はぁ…はぁ…はぁ…」


 あまりの大きな音に、皆んな、その場に固まってそちらを見た。居たのは1人の息を切らした王国兵士。
 慌ててる様子なのは一目見たらわかるわね。
 何があったのかしら。
 そう考えていたら、彼、今度は叫びだしたの。


「あい…アイリス! アイリス殿は居ませんか!」
「え、私?」


 今度は私の方にみんなの視線が寄せれた。
 な、なな、何なんだろう。ちょっと流石の私も怖いんだけど。あ、兵隊さんと目があった。


「あ、居ましたねっ!」
「は、はいっ!」


 彼はその場にとどまり、叫び続ける。


「急用でございます! すぐに私についてくるようにお願いします! できればリンネ・ターコイズ様、ロモン・ターコイズ様のお二人にもご同行願いますよう」
「「はいっ!」」


 しかしご飯食べてる最中……あ、もうロモンちゃんとリンネちゃんは食べ終わってるのね。そうですか、ケル君もほとんど食べ終わってるし、私だけですか。

 ロモンちゃんはケル君に事情を話し、封書の中にしまい込んだ。
 間近にいるギルマスに直接飯の代金を支払い(ついでにできれば食べかけのサンドイッチは保存して残してもらえるように頼み)、私たち3人は兵士さんの元へ駆ける。


「何事ですか?」
「いえ、怪我人が多数出てしまう事案が起こり、回復の手が足りないのです! 中には並みの回復魔法では治らない者がいて……ああ、申し遅れました、お二人のお父様の騎士団の者です」
「となると、村を壊滅させたというのの調査で何かあったんですね?」
「はい。標的に不意打ちを食らってしまい、被害が出たので上に相談したところ、アイリス殿を呼べと通達が」
「なるほど、わかりました」


 そういう契約だもんね、仕方ない。
 まあこなしたらお金もらえるし、お父さんの率いる部隊だし助けに行かなければ。

 兵士さんは転移魔方陣をお父さん達がいる先まで展開できるようで、私たちは城下町より外に出て、彼の肩に捕まって瞬間移動した。

 
「ついてきていただき、誠に有難うございます」
「あ、あの、お父さんは…大丈夫なんですか?」
「怪我とかしてますか?」
「グライド騎士団長は無傷ですので、安心してください……それでは患者達の方にご案内します」


 私たちは常駐地に入った。テントが沢山張ってある。
 壁なしテントにはたくさんの包帯巻きにされてる人がいた。……これは全員治すのに骨が折れそうだ。



#####

次の投稿は11/4です!
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...