私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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235話 この二人の関係ってなんですか!?

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「……おほぉ! 賑わっておるのぉ!」
「全くだ。しばらく人付き合いから離れていた僕はね、ついついここにハマってしまったんだよ。それに興味深い人間もたくさん居るし!」


 門を開けて出てきたのは少し顔を赤くしたおじいさんと、その隣に並んで立っているナイトさんだった。
 どうやら何軒か回ってきているみたいで、顔が赤いのはそのせいだと見られるけど……。
 え、なにこれ、どういう状況?


「んー、どれ。空いてる席はあるかな?」
「割と人が多いからね、どうだろう……」


 門前から目立ちにくい場所に居るからか、おじいさんは私には気がついていないようだ。酔いも入ってるから尚更だろう。
 よく自分からナイトさんに絡んでる人が、おじいさんとナイトさんに向かっていった。


「いよぅ、ナイト! そのじーさんは……! えっ……あっ……その……じーさんは……」
「ん? ああ君か。彼は僕の旧友だよ。二人用の席は空いてるかな? みんなとワイワイやるのも悪くないんだけどね、今日は旧友と一緒に飲みたい気分なんだよ」
「えっと……その……じーさん……えっと……その……」


 おじいさんの顔をよく見てからあの人の様子がおかしい。それどころか私と年代が近い人以外……そうね、20代前半を超えたくらいの人たちは皆んな顔色が変わったわ。
 いやー、すごい人とは知ってたけどこんなあからさまに変わるものなのかしらね?


「知ってる人?」
「ええ。ロモンちゃんとリンネちゃんのお爺さんですよ」
「……ってことはあのノア騎士団長の父親?」
「そうそう、そうです。母方の祖父ですね、二人からすれば。やはり世間から見てすごい人なんですか?」
「あ……うん、俺も話で聞いただけで詳しくはわからないんだけど、なんともいえない気分だよ。なにから突っ込めばいいのか」


 若い年代の人たちも周りから話を聞かされ始めたのか顔色を変え始めている。そんな中、当の本人たちは首を傾げてその様子を見ていた。


「あー、あの……席空いてるの、かな?」
「えっ……あ、はい! 空いてます空いてます……えーっと、一つお聞きしたいことがあるのですが」
「どうしたんだい、いつもの気さくな君らしくない」
「お隣にいる御老人は『ドラゴンテイマー』のジーゼフ氏でしょうか?」


 なんでしょうかその二つ名。私は初耳です。
 でもその名前を聞いた途端かなりの人がさらに顔がおかしなことになりはじめていた。
 え、ほんとに私、おじいさんが今のお母さんとお父さんよりはすごいことしてきたって漠然なことしか知らないからイマイチこの驚きの波に乗り切れないんだけど。
 そんなことより、おじいさんがナイトさんと仲よさそうにギルドにお酒を飲みに入ってきたことのほうがインパクト大きい。あの二人の接点って何だろう。


「そうじゃが? はて、どこかで会いましたかね?」
「いえいえ、貴方様ほどの人物を知らない人は滅多にいないでしょう!」
「相当な有名人なのはしってけどね、ジーゼフ! ここまでなんだね……。直に君の名声の凄みを見るのは初めてだ! さすがは僕が見込んだ男」
「ほっほっほ……そういえばそうじゃったの。酔いがいい感じになっててちょっとボケちまったようじゃわい。……さて、座らせていただこうかの」


 おじいさんとナイトさんは二人用の席にそれはそれは仲が良さそうに座った。それを見届けてるとさっきまで相手をしてた人は逃げるようにこちらに戻ってくる。
 聞き耳を立てて見ると、周りの冒険者に「で、伝説のあの人と話しちまった! クゥ!!!」といってるみたいだった。


「なに頼もうかのー」
「どうせ金はたんまりもってるんだろう? 好きなやつ頼みなよ」
「いやー、老後のために残しておきたいんじゃよ……」
「今がその老後じゃないのかい?」
「おっといけない、はっはっはっ……」


 やっぱり普段の紳士的なおじいさんとは違うおじいさんがすごく新鮮。ロモンちゃんとリンネちゃんに見せてあげたいような気すらしてくる。
 もうすやすや寝てるし起こすような真似はしないけど。


「……何事だ」


 何か仕事をしていたのか、この場にいなかったギルドマスターがあいかわらずお酒を片手に私たちの元へやってきた。どうやら騒ぎが彼の下まで届いたみたい。


「ぎ、ギルドマスターっ! あれ、アレ見てよ!」
「なに、アレだと? お、おぅ……おぉう!?」


 ギルドマスターの目にもすぐにおじいさんとナイトさんが入ったみたい。いつもひっさげているお酒瓶をできる限り近くのテーブルの上に置くと、身だしなみを整え、彼らのもとに向かう。


「えー、こほん。ジーゼフさんですよね?」
「ん……なんじゃ? まだオーダーはしとらんぞ?」
「ああ、ジーゼフ。彼はウェイトレスじゃなくて……」
「えー、俺はここのギルドマスターをしとる者ですが」
「……ここ、酒場じゃなくてギルドだったかね」
「見た目に反して相当酔ってるようだね……。わかってて入ってるんだと思ってた」



 やっぱりいつもの紳士おじいさんと違った一面がすごく面白い。他の人はそれどころじゃないみたいだけど。


「こほん。ギルドマスターをしとるもんですがね、お久しぶりです。『雷拳の茶髭』といえば思い出してくださりますかねぃ?」
「ちゃひげ……ああ、ああ、君か!」


 おや、どうやらギルドマスターとおじいさんも知り合いだったみたいね。この短時間で一気に人の関係が流れ混んできて把握しきれるかわからないわ。


「あの若僧がギルドマスターかね!」
「ええ、おかげさまで」
「立派になったもんじゃのう……!」
「ジーゼフ、マスターと知り合いだったんだね」
「うむ、ワシが騎士団に就任したてのころに冒険者としてなお馳せ始めていた者じゃよ」


 二人の年齢的にもそれで合致する。
 ギルドマスターはいつもより下手な態度に出ながら話を続けた。


「実はですね、ジーゼフさん」
「今日はよく懐かしい顔と会う。で、なんじゃ?」
「お孫さんのリンネとロモン、うちのギルドに通ってくれているんですよ」
「なんとなんと! そうかそうか……お前さんのところのギルドじゃったか! 知り合いのところに通ってると言うのなら、それは安心じゃのう!」


 あー、そういえば私やロモンちゃんやリンネちゃんがおじいさんの詳しい世間からの評価を知らない代わりに、私たちからも自分たちの詳細をおじいさんに話してないんだった。話をしておくのって大事なんだけどなぁ……。
 ロモンちゃんとリンネちゃんは一人立ち(二人?)した気満々でいるからね。


「昔のよしみで、再会したばかりで悪いんじゃが一つお願いをしたい。ここだけの話、可愛い孫娘に悪い虫がつかんように目を光らせておいてくれんか?」
「……既に。騎士団長の両親がいることはわかってますんでな」


 彼氏がいるって伝えた時の反応といい、おじいさんはかなりジジバカよね。……もしかして今、ガーベラさんといるところ見られたら相当まずい空気になるんじゃ……。


「実は今、アイリスもこの場にいるんですがね……」
「なに、アイリスが!?」


 ちょっ、ギルドマスター……!
 なんで、なんでそれ言っちゃうの!?
 ど、どうしよう。おじいさんにとって私がここにいることは想定の範囲外だろうし……一応ガーベラさんに覚悟しておくように言っておこう。


「ガーベラさん、覚悟しておいてください」
「え? なにを……」
「おーい、アイリス!」
「はーーい!」


 呼ばれた。


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