16 / 47
呑まれた五線譜
4
しおりを挟む
自動販売機の前で、10本ほど飲み物を買って教室に帰る途中で、ポケットの中のスマホが震えた。
ディスプレイに映った名前に少しどきっとした。
「はい、冰澄です、どうかされましたか、政宗さん」
『 …いや空き時間ができたからな。今は、学園祭の準備中か? 』
「え!」
政宗さんが学園祭があることを知っているのに驚いて、つい飲み物を数本落としてしまった。
『どうした?』
「い、え……学園祭って知ってたん、ですね」
『 ああ、北谷が招待券をチラつかしてきたからな 』
北谷さん……。嬉しいような嬉しくないような知らせ方だ。
『……俺としてはお前からもらいたかったんだがな、お前の性格上、仕事がとかで引いたんだろう』
なんでもお見通しだ。
電話の向こうで政宗さんがふっと笑った。
でも電話をくれたことが少し嬉しくて、俺はにやける顔を隠すのに必死だった。
落ちたジュースが転がって、俺はそれを追いかけた。
「軽音部らしくライブするんです」
『 それは見にいかねぇとな 』
「来てくれるんですか!?」
『 ああ 』
わぁーっと俺は嬉しさにその場に立ち止まってしまった。
ジュースはコロコロと転がっていくと思えば、誰かに拾われた。
顔を上げてその人物を見る。
『冰澄、そろそろ北谷がうるせぇから切るぞ?……冰澄?』
「…あ!はい、わかりました」
『……どうした?』
政宗さんの怪訝そうな声が耳元で聞こえた。ジュースを拾ってくれた男の人は俺に近づいてくる。俺はどうすればいいかわからなかった。だってどう見たって、日本人じゃない。
「えっと…」
『冰澄?』
間近にきてついスマホを耳から離した。
「ヒスミ?ハツヒスミくん?」
俺にこんな知り合いいただろうか。
目は細長くてまつげは長い。綺麗な肌に綺麗な顔のパーツ、背もそれなりに高くて、目は青色だ。髪は金色だ。どう考えても日本人じゃない。俺の知り合いじゃない。
『おい…冰澄』
「ああ、ヒスミくん、合ってるね?それ、マサムネでしょ?」
「えっと…どちら様で」
イケメンの外国人は俺のスマホを指差した。
俺の問いに、男の人はにっこり笑った。
「……少し貸してね」
「え?…わっ!ちょっと!やめてください!!」
するっとスマホを取られてしまった。
「Hello!やぁ、マサムネ。そう怒らないで。
なんで?そりゃぁ気になる子がいたからさ。」
政宗さんの知り合いなのか、政宗さんと会話を始める。
俺はどうしていいかわからなくなりとりあえずジュースを拾った。
「そう、ヒスミ!僕も結構気になった!で日本に来てみた!
そしたら綺麗な子だったから。
I abduct him.」
流暢な英語だと思って顔を上げたがその意味をよくよく考えてみた。
I abduct him……私は彼を拉致する?
俺は、男の人を見ると、男の人はにっこりと笑った。男の人の後ろと、俺の後ろに数人、ブラックスーツを纏った外国人がいつの間にか立っていた。
彼の言う、"彼"が誰かなんとなくわかったような気がした。
「I do not hear your opinion from a beginning.」
"君の意見は最初から聞いてない"
俺はそれなりに英語は得意だ。喋るのも聞き取るのも。今この状態だと、なにがなんでも聞き取る必要がありそうだ。
「……だって、マサムネの大切な子なんでしょう?」
天使みたいな風貌の彼が悪魔みたいな笑みを浮かべた。
ディスプレイに映った名前に少しどきっとした。
「はい、冰澄です、どうかされましたか、政宗さん」
『 …いや空き時間ができたからな。今は、学園祭の準備中か? 』
「え!」
政宗さんが学園祭があることを知っているのに驚いて、つい飲み物を数本落としてしまった。
『どうした?』
「い、え……学園祭って知ってたん、ですね」
『 ああ、北谷が招待券をチラつかしてきたからな 』
北谷さん……。嬉しいような嬉しくないような知らせ方だ。
『……俺としてはお前からもらいたかったんだがな、お前の性格上、仕事がとかで引いたんだろう』
なんでもお見通しだ。
電話の向こうで政宗さんがふっと笑った。
でも電話をくれたことが少し嬉しくて、俺はにやける顔を隠すのに必死だった。
落ちたジュースが転がって、俺はそれを追いかけた。
「軽音部らしくライブするんです」
『 それは見にいかねぇとな 』
「来てくれるんですか!?」
『 ああ 』
わぁーっと俺は嬉しさにその場に立ち止まってしまった。
ジュースはコロコロと転がっていくと思えば、誰かに拾われた。
顔を上げてその人物を見る。
『冰澄、そろそろ北谷がうるせぇから切るぞ?……冰澄?』
「…あ!はい、わかりました」
『……どうした?』
政宗さんの怪訝そうな声が耳元で聞こえた。ジュースを拾ってくれた男の人は俺に近づいてくる。俺はどうすればいいかわからなかった。だってどう見たって、日本人じゃない。
「えっと…」
『冰澄?』
間近にきてついスマホを耳から離した。
「ヒスミ?ハツヒスミくん?」
俺にこんな知り合いいただろうか。
目は細長くてまつげは長い。綺麗な肌に綺麗な顔のパーツ、背もそれなりに高くて、目は青色だ。髪は金色だ。どう考えても日本人じゃない。俺の知り合いじゃない。
『おい…冰澄』
「ああ、ヒスミくん、合ってるね?それ、マサムネでしょ?」
「えっと…どちら様で」
イケメンの外国人は俺のスマホを指差した。
俺の問いに、男の人はにっこり笑った。
「……少し貸してね」
「え?…わっ!ちょっと!やめてください!!」
するっとスマホを取られてしまった。
「Hello!やぁ、マサムネ。そう怒らないで。
なんで?そりゃぁ気になる子がいたからさ。」
政宗さんの知り合いなのか、政宗さんと会話を始める。
俺はどうしていいかわからなくなりとりあえずジュースを拾った。
「そう、ヒスミ!僕も結構気になった!で日本に来てみた!
そしたら綺麗な子だったから。
I abduct him.」
流暢な英語だと思って顔を上げたがその意味をよくよく考えてみた。
I abduct him……私は彼を拉致する?
俺は、男の人を見ると、男の人はにっこりと笑った。男の人の後ろと、俺の後ろに数人、ブラックスーツを纏った外国人がいつの間にか立っていた。
彼の言う、"彼"が誰かなんとなくわかったような気がした。
「I do not hear your opinion from a beginning.」
"君の意見は最初から聞いてない"
俺はそれなりに英語は得意だ。喋るのも聞き取るのも。今この状態だと、なにがなんでも聞き取る必要がありそうだ。
「……だって、マサムネの大切な子なんでしょう?」
天使みたいな風貌の彼が悪魔みたいな笑みを浮かべた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】期限付きの恋人契約〜あと一年で終わるはずだったのに〜
なの
BL
「俺と恋人になってくれ。期限は一年」
男子校に通う高校二年の白石悠真は、地味で真面目なクラスメイト。
ある日、学年一の人気者・神谷蓮に、いきなりそんな宣言をされる。
冗談だと思っていたのに、毎日放課後を一緒に過ごし、弁当を交換し、祭りにも行くうちに――蓮は悠真の中で、ただのクラスメイトじゃなくなっていた。
しかし、期限の日が近づく頃、蓮の笑顔の裏に隠された秘密が明らかになる。
「俺、後悔しないようにしてんだ」
その言葉の意味を知ったとき、悠真は――。
笑い合った日々も、すれ違った夜も、全部まとめて好きだ。
一年だけのはずだった契約は、運命を変える恋になる。
青春BL小説カップにエントリーしてます。応援よろしくお願いします。
本文は完結済みですが、番外編も投稿しますので、よければお読みください。
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
不器用に惹かれる
タッター
BL
月影暖季は人見知りだ。そのせいで高校に入って二年続けて友達作りに失敗した。
といってもまだ二年生になって一ヶ月しか経っていないが、悲観が止まらない。
それは一年まともに誰とも喋らなかったせいで人見知りが悪化したから。また、一年の時に起こったある出来事がダメ押しとなって見事にこじらせたから。
怖い。それでも友達が欲しい……。
どうするどうすると焦っていれば、なぜか苦手な男が声をかけてくるようになった。
文武両道にいつも微笑みを浮かべていて、物腰も声色も優しい見た目も爽やかイケメンな王子様みたいな男、夜宮。クラスは別だ。
一年生の頃、同じクラスだった時にはほとんど喋らず、あの日以降は一言も喋ったことがなかったのにどうして急に二年になってお昼を誘ってくるようになったのか。
それだけじゃない。月影君月影君と月影攻撃が止まない。
にこにことした笑顔になんとか愛想笑いを返し続けるも、どこか夜宮の様子がおかしいことに気づいていく。
そうして夜宮を知れば知るほどーー
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
ジャスミン茶は、君のかおり
霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。
大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。
裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。
困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。
その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。
500円の願い事
すもも
BL
気づくと扉の前に立っていた、何の変哲のない扉なのに何故かとても惹かれて中に入ると、そこにはあったのは不思議なカフェ。
「願い事をひとつ、書いてください」
そう言われて書いた願い事は
―素敵な恋人が出来ますように―
目を覚ましたその日から、少しずつ変わっていく日常。
不思議な出来事と、恋のはじまりを描く、現代ファンタジーBL。
この作品は別のサイトにも収録しています。
発情期のタイムリミット
なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。
抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック!
「絶対に赤点は取れない!」
「発情期なんて気合で乗り越える!」
そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。
だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。
「俺に頼れって言ってんのに」
「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」
試験か、発情期か。
ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――!
ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。
*一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる