どうしてこんな拍手喝采

ソラ

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8分の1の生き甲斐

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(視点:誓)


「ちっ」

華麗な舌打ちを吐いた冰澄を俺は、ふっと笑ってみた。

「いや、どうしたお前」

「ああ、先輩、衣装合わせできました?」

「え?…ああ、うん。てか早退じゃなかったのか?」

つい先ほど20時まで準備をしようと決定した瞬間、冰澄が少し苛立った様子で教室に入ってきた。

「クソみたいな用事でしたよ。」

珍しく冰澄が憤慨だ。
いつもはゆったりのほほんと生きてる冰澄だが、切れたらそれなりに男子高校生だ。

暴言だって吐くし…。

憤慨のまま衣装決めされてる冰澄に首をかしげた。

「冰澄…どうしたんだ?」

「さぁ、とにかくああなった冰澄は刺激しないほうがいいかも。マジギレしたら怖いし」

「?、わかった」

俺の注意を聞いた明人は、首をかしげたママクラスの輪に入っていった。

クラスの輪から少し離れた場所に冰澄が突っ立っている。

久々に寒気がした。

_____冰澄と初めて会った日、彼は窓の外の人間を見下ろして、ひどく冷たい目をしていた。そして小さく嘲笑したその声はまるで氷だったのだ。

一年にすごい歌が上手い奴がいるというから行ってみたものの、予想を超えたやつだった。冰澄はそういうやつだ。

冷たい目は、限度を知らない。

「……なんだかなぁ」

政宗とかいうやつと出会って、いい方に進むかと思ったのに、まるで悪いのが勢いを増して冰澄を食いつぶそうとしているみたいだ。

___彼の冷たい目に映っていた一台の車を見て俺はガシガシと頭を掻いた。



***********


「誓、冰澄、部室寄っていいか」

準備もそれなりに完了して教室を出たところで、明人が思い出したように声をかけた。

「おー、別にいいけど」

「忘れ物ですか?」

「あぁ……ちょっとな」

頭一個分でかい明人の横顔はどことなく楽しそうだった。



「こういうことね…」

俺は手元の真新しい、いや新品のギターに目をやりつつ、ふっと微笑んだ。

「明人ありがとぉお!!」

「先輩大好きですぅう!!」

俺と冰澄は同時に明人に飛びついた。
そしてひたすら頭を明人になすりつける。
愛情表現だ。

「あぁ、気にするな」

「明人マジ男前!」

「誓先輩の彼氏男前!」

「おい!」

冰澄は、俺と明人に同時に抱きつきながらそう言った。冗談を言えるようになったからもうそこまで憤慨じゃないらしい。

兎にも角にも、冰澄の憤慨が収まったのは、明らかに明人の持ってきたギターにある。

部室に来た瞬間、明人がプレゼントと言っては俺たち二人に一つずつ新しいギターを渡したのだ。

「ああぁ…明人、ところでこのギターはどうやって手に入れたんだ?」

早速アンプに繋いでギュイーンとか鳴らしてる冰澄を横に俺は明人に尋ねた。

「親父がやれって」

「おやっさんー!」

「親父さんありがとうございます!」

俺たちはひたすら感謝の気持ちも込めてギターを鳴らした。
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