43 / 47
circus man
5
しおりを挟む
虚しいかな、7日しかない命なのにその鳴き声をテーマパークの軽快なメロディにかき消されるセミにすこし同情した。7月も5日をすぎたころ、なぜか俺は、政宗さんと政宗さんと愉快な仲間たちとテーマパークに来ていた。
「…なんで?」
「どしたの冰澄くん」
「尚也くん…おかしいと思わない?」
「?」
「明らかにカタギじゃない人がテーマパークに」
「ああ!ん~もうおれはなれたからね!」
「ああ…うん…うん。俺も慣れた…」
全力でテーマパークを楽しむつもりであろう尚也くんは、さっそく北谷さんを財布、ではなくお願いしてキャラクターが催されたポップコーンを買っていた。
「冰澄」
「はい?」
「ん」
言葉少なに俺に園内の地図とパンフレットを渡した政宗さんの装いは、もちろんカジュアルだ。隠しきれていない何かが漂ってはいるが、実は俺はいつもの黒シャツスーツの方が好きだったりする、絶対言わないけど。
俺がにこにこ政宗さんを見たせいか政宗さんは訝しげに口を開いた。
「どうした、んな可愛い顔してよ」
「可愛くないです。かっこいいって言ってください」
「かっこいいかっこいい、お前は本当にかっこいいよ」
「愛が感じられないですね」
「愛は感じてくれよ?」
安っぽいリップ音付きのキスを額に受けながら俺はパンフレットを開いた。かわいいというより闇を感じる虚ろな目をしたパークのキャラクターの写真を見ていると、やけに周りがさっきより静かになった。
「あれ?尚也くんたちは?」
「北谷は、片桐弟に引っ張られて行った、片桐は……クソ、最悪だ」
「えっ?」
急な暴言に驚いて振り向くと、政宗さんの機嫌を損ねた原因がわかった。
「あれ!?片桐さんと高梨さん、…と?」
「冰澄く~ん!」
何故かいる高梨さんとその近くにいた男の人が俺に手を振った。タレ目がちで口元のほくろがなんだか、魅力的な男の人。俺を知っているようだし知り合いだと思うが、この声には聞き覚えがある。
いやいやそんなまさか。
「楓さん!?!?!?」
「あらすっごいびっくりしてる、この姿は初めてね。はじめまして!前園楓です!」
語尾にハートが着きそうな勢いに、ちょっとめまいがしたけどよくよく見ればなんとなく楓さんだ。
「びっくりしました、」
「だろうな」
「なんか言いたげだなおいくそヤクザ」
「んだと化け物よォ…」
「ちょっとちょっとやめてくださいって」
今にも喧嘩しそうな2人も間に入って止めていると楓さんの後ろから何かを感じた。きらきらしている、第一印象だ。
大きな双眼が俺を羨望の交じった視線で貫いた。
「えっと、この子は?」
「あっ初めましてね!冰澄くん、この子うちの息子君。中学三年生」
「楓さんのむす…」
「冰澄さん!!!!!」
「はい!!!??」
飛び出した少年は俺に詰め寄ると双眼を余計に輝かせた。じっと見つめ返す、はたと気づいた。
この子、誰かに似てる気がする。
楓さんは前に息子は義理の息子で血縁はないと言っていた。
楓さんじゃない誰かだ。
あっ。
ピタリとハマった解答に正解を求めれば彼は細長い瞳をもっと細くしてにこやかに笑った、口元の人差し指の意味だけが俺を待っていた。太陽の光に反射した短い金髪が、穏やかに笑う。
「冰澄さん!!!」
「えっ…あっ…はい!」
「俺俺!俺!前園桜介っていいます!!!!!」
「おーすけくん?」
「はい!おれあの…!冰澄さんの大ファンで!俺!うわマジで本物だやばい…」
ぴょんぴょんと俺の目の前で跳ねる新キャラ(は失礼かもしれないが)に俺は、たじろいだ。
「…なんで?」
「どしたの冰澄くん」
「尚也くん…おかしいと思わない?」
「?」
「明らかにカタギじゃない人がテーマパークに」
「ああ!ん~もうおれはなれたからね!」
「ああ…うん…うん。俺も慣れた…」
全力でテーマパークを楽しむつもりであろう尚也くんは、さっそく北谷さんを財布、ではなくお願いしてキャラクターが催されたポップコーンを買っていた。
「冰澄」
「はい?」
「ん」
言葉少なに俺に園内の地図とパンフレットを渡した政宗さんの装いは、もちろんカジュアルだ。隠しきれていない何かが漂ってはいるが、実は俺はいつもの黒シャツスーツの方が好きだったりする、絶対言わないけど。
俺がにこにこ政宗さんを見たせいか政宗さんは訝しげに口を開いた。
「どうした、んな可愛い顔してよ」
「可愛くないです。かっこいいって言ってください」
「かっこいいかっこいい、お前は本当にかっこいいよ」
「愛が感じられないですね」
「愛は感じてくれよ?」
安っぽいリップ音付きのキスを額に受けながら俺はパンフレットを開いた。かわいいというより闇を感じる虚ろな目をしたパークのキャラクターの写真を見ていると、やけに周りがさっきより静かになった。
「あれ?尚也くんたちは?」
「北谷は、片桐弟に引っ張られて行った、片桐は……クソ、最悪だ」
「えっ?」
急な暴言に驚いて振り向くと、政宗さんの機嫌を損ねた原因がわかった。
「あれ!?片桐さんと高梨さん、…と?」
「冰澄く~ん!」
何故かいる高梨さんとその近くにいた男の人が俺に手を振った。タレ目がちで口元のほくろがなんだか、魅力的な男の人。俺を知っているようだし知り合いだと思うが、この声には聞き覚えがある。
いやいやそんなまさか。
「楓さん!?!?!?」
「あらすっごいびっくりしてる、この姿は初めてね。はじめまして!前園楓です!」
語尾にハートが着きそうな勢いに、ちょっとめまいがしたけどよくよく見ればなんとなく楓さんだ。
「びっくりしました、」
「だろうな」
「なんか言いたげだなおいくそヤクザ」
「んだと化け物よォ…」
「ちょっとちょっとやめてくださいって」
今にも喧嘩しそうな2人も間に入って止めていると楓さんの後ろから何かを感じた。きらきらしている、第一印象だ。
大きな双眼が俺を羨望の交じった視線で貫いた。
「えっと、この子は?」
「あっ初めましてね!冰澄くん、この子うちの息子君。中学三年生」
「楓さんのむす…」
「冰澄さん!!!!!」
「はい!!!??」
飛び出した少年は俺に詰め寄ると双眼を余計に輝かせた。じっと見つめ返す、はたと気づいた。
この子、誰かに似てる気がする。
楓さんは前に息子は義理の息子で血縁はないと言っていた。
楓さんじゃない誰かだ。
あっ。
ピタリとハマった解答に正解を求めれば彼は細長い瞳をもっと細くしてにこやかに笑った、口元の人差し指の意味だけが俺を待っていた。太陽の光に反射した短い金髪が、穏やかに笑う。
「冰澄さん!!!」
「えっ…あっ…はい!」
「俺俺!俺!前園桜介っていいます!!!!!」
「おーすけくん?」
「はい!おれあの…!冰澄さんの大ファンで!俺!うわマジで本物だやばい…」
ぴょんぴょんと俺の目の前で跳ねる新キャラ(は失礼かもしれないが)に俺は、たじろいだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
【完結】期限付きの恋人契約〜あと一年で終わるはずだったのに〜
なの
BL
「俺と恋人になってくれ。期限は一年」
男子校に通う高校二年の白石悠真は、地味で真面目なクラスメイト。
ある日、学年一の人気者・神谷蓮に、いきなりそんな宣言をされる。
冗談だと思っていたのに、毎日放課後を一緒に過ごし、弁当を交換し、祭りにも行くうちに――蓮は悠真の中で、ただのクラスメイトじゃなくなっていた。
しかし、期限の日が近づく頃、蓮の笑顔の裏に隠された秘密が明らかになる。
「俺、後悔しないようにしてんだ」
その言葉の意味を知ったとき、悠真は――。
笑い合った日々も、すれ違った夜も、全部まとめて好きだ。
一年だけのはずだった契約は、運命を変える恋になる。
青春BL小説カップにエントリーしてます。応援よろしくお願いします。
本文は完結済みですが、番外編も投稿しますので、よければお読みください。
不器用に惹かれる
タッター
BL
月影暖季は人見知りだ。そのせいで高校に入って二年続けて友達作りに失敗した。
といってもまだ二年生になって一ヶ月しか経っていないが、悲観が止まらない。
それは一年まともに誰とも喋らなかったせいで人見知りが悪化したから。また、一年の時に起こったある出来事がダメ押しとなって見事にこじらせたから。
怖い。それでも友達が欲しい……。
どうするどうすると焦っていれば、なぜか苦手な男が声をかけてくるようになった。
文武両道にいつも微笑みを浮かべていて、物腰も声色も優しい見た目も爽やかイケメンな王子様みたいな男、夜宮。クラスは別だ。
一年生の頃、同じクラスだった時にはほとんど喋らず、あの日以降は一言も喋ったことがなかったのにどうして急に二年になってお昼を誘ってくるようになったのか。
それだけじゃない。月影君月影君と月影攻撃が止まない。
にこにことした笑顔になんとか愛想笑いを返し続けるも、どこか夜宮の様子がおかしいことに気づいていく。
そうして夜宮を知れば知るほどーー
三ヶ月だけの恋人
perari
BL
仁野(にの)は人違いで殴ってしまった。
殴った相手は――学年の先輩で、学内で知らぬ者はいない医学部の天才。
しかも、ずっと密かに想いを寄せていた松田(まつだ)先輩だった。
罪悪感にかられた仁野は、謝罪の気持ちとして松田の提案を受け入れた。
それは「三ヶ月だけ恋人として付き合う」という、まさかの提案だった――。
500円の願い事
すもも
BL
気づくと扉の前に立っていた、何の変哲のない扉なのに何故かとても惹かれて中に入ると、そこにはあったのは不思議なカフェ。
「願い事をひとつ、書いてください」
そう言われて書いた願い事は
―素敵な恋人が出来ますように―
目を覚ましたその日から、少しずつ変わっていく日常。
不思議な出来事と、恋のはじまりを描く、現代ファンタジーBL。
この作品は別のサイトにも収録しています。
発情期のタイムリミット
なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。
抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック!
「絶対に赤点は取れない!」
「発情期なんて気合で乗り越える!」
そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。
だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。
「俺に頼れって言ってんのに」
「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」
試験か、発情期か。
ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――!
ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。
*一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる