憧れの彼は一途で優しくて時々イジワル

RIKA

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一章

21.もっと奥まで埋め尽くして

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香澄は急いでシャワーを浴びていた。
急ぐのには理由がある、あと数分もすれば永瀬が入ってくるからだ。

お互いの熱が引いた後も二人はしばらく抱き合っていたが、お風呂に入りたいと言った香澄に永瀬は頷いてくれた。
が、あろうことか一緒にお風呂に入ると言い出したのだ。

抱き合っている時は部屋が薄暗かったし理性も飛んでいたので、最後の方は特に恥ずかしいなどと感じることがなかった…というより感じる余裕すらなかったが、お風呂となると話は別だ。
灯りを消して入るわけにはいかないし、裸前提なので、いかにも何か致します、という雰囲気が恥ずかしくて仕方がない。
数時間前、帰りたくないと口にした自分が言える台詞ではない気がするが、あれはあれで感情が昂っていたのである意味冷静な状態ではなかった。

それに、と化粧を落とした素顔が映る鏡を見ながら香澄は思う。
彼にすっぴんを見られるのも正直抵抗がある。
だが化粧したまま寝るわけにはいかない。敏感肌で、すぐに肌が荒れてしまうのだ。
くすみも気になるし、クマもある。
そんな素顔を堂々と見せられるわけもなく、こんなことなら普段からしっかりと肌の手入れを入念にしておくべきだったと後悔したが、今更言っても仕方がない。
覚悟を決めなければ、と思っていると、脱衣所から永瀬が服を脱ぐ音が聞こえてきた。
押し問答の末、10分だけ先に香澄一人で入らせてもらうことで妥結したのだが、色々考えているうちにタイムリミットが近づいてきているらしい。
香澄は慌てて身体に纏ったボディーソープを流すと、湯を張った浴槽の中に逃げ込んだ。

「――いや今更じゃない?」

背中を向けて浴槽の端で縮こまる香澄を見て、永瀬は苦笑した。
香澄は何も答えずそのまま浴室の壁を見つめ続けていたが、身体を洗い終わって浴槽に入ってきた永瀬に「こっちにおいで」と優しく背後から腕を引かれると大人しく従った。
ただし最後の抵抗と言わんばかりに、顔を両手で覆っている。
後ろから抱きかかえられる形になると、すぐに永瀬が耳や首筋にキスしてきた。

「なんで顔隠してんの」
「…素顔なので」
「見たい、香澄の素顔」
「こ、心の準備というものが!」
「無駄な抵抗だな」
「分かっていますが、もう少し時間をくださいっ」
「俺、裸眼の視力悪いから大丈夫だよ。既に結構ぼやけてるし」
「え…そうなんですか?」

香澄は振り向き、指の隙間からちらりと彼を見上げた。
濡れた髪をオールバックのように後ろに流している彼はいつもより艶やかさが増している。
その色気に見とれていると、永瀬が香澄の手をとって強引に左右に開いた。

「――って言っても、さすがにこの距離なら見えるけどね。…なに、全然可愛いじゃん。隠さなくていいのに」

永瀬はにやりと覗き込むと困惑顔の彼女をぐっと引き寄せ、そのまま唇を奪った。
彼にしてやられたと気付いた時にはもう手遅れで、あっという間に深いキスで抵抗も奪われていく。
その傍らで、大きな手が胸を弄り始めた。長い指でその先端を挟まれ愛撫されて、無意識のうちに甘ったるい声が香澄の口から零れた。

「ふ…っ、ん、んん…っ」

たった一度身体を重ねただけだというのに、香澄の身体は彼の愛撫をしっかり覚えていて、あっという間に反応していく。
首筋をキスがなぞる、それだけで背筋がぞくっとして下半身が疼いた。
あんなにコンプレックスに思っていたのが嘘のように、もはや意思すら関係ない。ただほんの少し性的に触れられただけで身体の奥が濡れ始めた。

「…綺麗な肌。キスマークつけていい?」
「えっ?あの…っ」
「大丈夫、服着たら見えないところにするから」

香澄の答えも聞かないまま、永瀬は香澄の肩口にキスすると、そのまま強く吸い上げた。鋭い痛みが一瞬走ったが、慰めるように永瀬がそこに最後口づけたから、その痛みさえ愛しくなる。

「好きだよ」

耳元で突然そんなことを言うものだから、香澄はそれ以上何も抵抗できなくなった。
胸を触る傍らで彼のもう片方の手が下に伸びて、秘所に届いた。
撫で回すように愛芯に触れられて、お腹の奥が甘く疼き出す。
香澄は必死で堪えたが、躊躇なく中に入り込んだ指に中をひっかかれると、たまらず背中を反らした。

「ああ…んっ、そこ、ダメ…っ」
「香澄のダメは、止めちゃダメって意味だったよな」

悪戯っぽく笑う永瀬は、容赦なく彼女を高みへと押し上げていく。
違う、と言えなかったのは、彼の愛撫にそんな余裕がなかったからか、それとも…――。

「香澄、こっち向いて」

永瀬は香澄の脇の下に手をやると持上げるようにして、振り向くよう彼女を促した。
向かい合わせになった香澄を自分の膝の上に載せると、彼は目の前にある胸の膨らみに舌を這わせた。

「あ…っ、んっ、やあ…っ」

口先で丹念に胸を愛撫しながら、大きな手が彼女の身体を優しくなぞる。
背中、腰、お尻と辿って、再び蜜壺へと届いた。
愛芯も一緒に手加減なく攻められたらどうしようもなく気持ちよくて、そのうち我慢できなくなる。
やがて香澄は限界を感じて、甘く喘ぎながら彼にぎゅっとしがみ付いた。

「なに、もっとって誘ってる?」

にやりと永瀬が笑ったが、既に息を荒くする香澄には何も言い返す余裕がない。

「沈黙は肯定と解釈するけど、いいよな」

答える間もなく、ぐっと愛芯を押しつぶされて、香澄の白い喉が震えた。
目の前に白い光がちらついて、意識が飛びそうになる。

「あっ、やぁ、待…っ、ああ…っ」

永瀬は香澄の弱いところ、ひいては感じるところを既に完全把握しているようだ。
彼の指は的確に彼女を追い詰めて、さっきまでそこにあったはずの理性をあっという間に散らしてゆく。

「あん、んん、は…っ、そんな、したらっ、ダメ…っ」

容赦ない愛撫に、体の奥から痺れるような、言葉にならない衝動が駆け上ってきて、香澄は今にも達してしまいそうだった。
それが分かっているはずなのに、彼の指はギリギリのところまで追い立てては離れ、また容赦なく外側を攻めてくる。
でもあと一歩のところで不意に止めて――どこまでも焦らすような彼に、彼女はついに不満の声を上げた。

「ああん…っ、いじわる…っ」
「ん?なにが?」

見上げるその瞳は明らかに楽しんでいる。
こっちはもう余裕なんてひとかけらも残ってないのに、本当にずるい。

「も、やだぁ…っ」
「泣きそうな顔もすげえ可愛いんだけど、ちゃんと言ってくれないと」
「分かってる、くせに…っ!」
「認識合わせは大事だよ?」

ほら、と催促するように愛芯をこねられて、「あんっ」と淫らな喘ぎ声とともに香澄の身体が跳ねた。素直な反応に永瀬はにやりと笑う。
悔しいけれど、どうしようもない。事実、今にも破裂しそうな欲望を満たしてくれるのは、目の前の彼以外にはいないのだ。
香澄は彼の首に腕を巻きつけると、ついに降参した。

「もっ、おねが…っ、我慢できない…っ!」
れて欲しいってこと?ゴム持ってないからここじゃ突っ込めない、ベッド戻ろうか?」

あからさまな言い方に、香澄の顔がみるみる真っ赤になった。

自分からそうなるよう仕向けておいて最後の決断はこちらに委ねるなんて、なんとも腹黒い人だ。
自分だって、明らかにその劣情を尖らせているくせに。
さっきから秘所に擦り付けられているその欲望が何よりの証拠だろう。
まさか気付かれていないとでも思っているのだろうか。否、気付いた上でそうしているのだ。これを意地悪以外のなんと言えばいいのか。
それでも宙に浮いたまま燻っている本能を、このままにはできない。香澄は思い通りに転がされていると分かっていながらも、頷くことしかできなかった。


***


「――はっ、ああん…っ」

性急にタオルで身体を拭かれた香澄は、寝室に連れ込まれると、ベッドに押し倒されるなり後ろから永瀬に貫かれた。
浴室で押しとどめられていた快楽があっという間に勢いを増して、たちまち理性も羞恥心も奪っていく。

「あっ、んんっ、あっ、やだっ、それ、ヘンになっちゃう…っ!」

後ろから容赦なく突かれながら愛芯も指で愛されて、香澄は甘く泣いた。
胸も揉みしだかれて、あっという間に高みへと押し込められる。
そんな自分が情けなくて、でも抗う術などなくて。けれどそれもいいと思えてしまう。ただ一人、彼がそう望むのなら。

「うん、俺も気持ちいい、良すぎてあんま持ちそうにないかも」

言われた直後、奥の方までぐっと押し込まれて、香澄は堪らなくなった。
擦られるようにされたら思考が溶け出して、自分で自分を制御できない。

「はっ、あんっ、あっ、やぁ…、そん、な奥…っ、突いちゃだめえ…っ」
「その割には吸い付いて放してくんないじゃん。どんだけエロいんだよ、こんなん飽きろって方が無理だわ」

いつもの彼らしくない、ぞんざいな言い方が、その余裕のなさを証明している。
永瀬は白い肌に手を這わせて腰を掴むと、後ろから更に追い込むように香澄を激しく突き始めた。

「ほんと可愛いすぎ、たまんない。もっと喘いで、俺ので気持ちよくなって」
「あんっ、あっ、だめっ、ああ…っ!」

執拗に穿たれながら快楽の階段を確実に上り始める香澄は、必死にシーツにしがみ付いている。
それがなんだか気に食わなくて、永瀬は一度自身を引き抜くと彼女をひっくり返した。

「な、んで…っ!」

突然快楽を取り上げられ、香澄は不満顔だ。
潤んだ瞳で詰るように彼を見上げたが、生憎それは彼の征服欲を煽っただけだった。

「しがみつくなら、俺にしなよ」

そう勝手なことを言うと、永瀬は正面から再度彼女の中に押し入った。
そのまま手加減なく、熱を取り戻すように激しく攻め立てる。腰がぶつかって、繋がったところから卑猥な音が響いた。

「あんっ、は、あんっ、ああ…っ」

迫りくる快楽を今度こそ手にしたくて、香澄は永瀬の背中に手を伸ばすとぎゅっと抱き着いた。
だけどそれだけじゃ全然満足できなくて、揺さぶられながらなんとか言葉を紡ぐ。

「あ、おねが…っ、キス、して…っ」

ねだったらすぐに願いは叶えられて、微笑んだ彼から落ちてきた甘いキスが視界を覆った。
唇から、繋がるところから、彼の確かな愛情が伝わってきて、幸せで胸が苦しくなる。

なんて温かくて愛しいのだろう。
心地良いこの場所から、二度と離れたくない。
永遠にこのまま、彼と一つになれたらいいのに――。

「あっ、はぁ…っ、やぁっ、そ、んな激し…の、ああっ、だめだめっ、――もうイっちゃうっ!」
「いいよ、俺も限界。イきたい、イかせてよ香澄、一緒にイこう」

余裕なく呟いた直後、彼の動きが一層激しくなった。間もなく二人は絶頂を迎えると、ほぼ同時に果てた。
彼にぎゅっと強く抱きしめられたその瞬間、垣間見えた彼の表情はあまりに艶やかで。
今まで見たどんな景色よりも、香澄の心を奪った。
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