【完結】捨てられた聖女は王子の愛鳥を無自覚な聖なる力で助けました〜ごはんを貰ったら聖なる力が覚醒。私を捨てた方は聖女の仕組みを知らないようで

よどら文鳥

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【公爵Side】シャインの報告

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 シャインはなんの手柄も出せず、憂鬱な気分で帰宅する。
 期待に胸を寄せていた公爵は、すぐにシャインを出迎えた。

「おかえり。どの王子と婚約を結べたのかね?」
「あ……えぇと、ただいま戻りました。その……実は……」

 シャインは誤魔化しきれるものではないと分かっていた。
 そのため、婚約は誰からもされなかったことを正直に話したのだった。
 それを黙って聞いていた公爵は、残念な表情を浮かべながらその場でしゃがみ込んでしまう。

「一世一代の大チャンスを逃してしまったか……。これでお前も良いところに嫁げる可能性は激減してしまったな……」
「まだわからないんじゃないですか? 私ってまだ社交界に出たばかりですし」
「あまり期待はしないほうが良いかもしれぬぞ……」
「そうでしょうか? 私のようなしっかりとしてるし顔も美形ですからそのうち王子の誰かが求婚してきても不思議ではないかなぁと思いますけど。でも今日は低級貴族から挨拶はされましたけどね。しっかりと公爵令嬢として立ち振る舞いましたわ」

 公爵がシャインにしてきた教育では、王族以外には常に威厳を保つようにしたほうがいいと教えていた。
 だが、シャインは威厳ではなく、上から目線で見るようにするものだと勘違いしてしまっていたのだ。
 そのため、シャインはマーレット伯爵令嬢たちに対してバカにしたような態度しかできなかったのである。

「そうか、ところで今回のお茶会にディラップ伯爵の娘はいなかったか?」
「あぁ……そんなような名前の子から挨拶されましたね」
「もちろん、彼女とはしっかりと交流をとったのだな?」
「いえ、急いでいましたし、伯爵令嬢と名乗っていたのでしっかりと威厳を見せつけておきましたよ」
「な……なんということだ……」

 公爵はさらに顔を落として愕然としていた。
 シャインはその様子を見て、なにかマズいことでもしてしまったのかと思いすぐ公爵にどういうことなのか聞いた。

「マーレット=ディラップ伯爵令嬢は、聖女なのだよ。今はまだ公にはあまり知られてはいないが、聖女という力を評価され、第二王子との婚約が決まろうとしている。その令嬢にはしっかりと挨拶をしてほしかった……」
「そんなこと言われても……。まぁ次のお茶会で会ったらしっかりと挨拶しますわ」
「はやり……、私も同行すべきであったな……。まだシャインだけでは荷が重い」

 シャインは悔しそうに膨れっ面をしていた。
 もう自分一人で立派にやっていけると思っていたのだから。

「そういえば、なぜかルリナがお茶会にいましたけど?」
「は!?」
「しかもマーレット令嬢と一緒に」
「バカな! そんなことはあり得ぬ。あのゴミはもう貴族でもなんでもない。お茶会に参加する資格などないはずだ」
「でも実際にいたんですよ?」
「どういうことだ……」

 公爵はわけがわからず頭を抱えていた。
 シャインの将来が不安になったことと、捨てたはずのルリナが王宮にいたこと、二つの不安で押し潰されそうな状況になっていた。

「いや……、そう深く心配することもないか……。私の評価と信頼を考えれば、たとえルリナがあの場にいて告げ口をしたとしても本気で信じる者はおそらくいないだろう……」
「お父様?」
「いや、なんでもない。独り言だ。シャインよ、次はお茶会ではなく社交界がある。私はあまり関与していなかったが、ダンスはしっかりできるようになっているのだろう?」
「え? えぇ……。まぁそこそこは」
「ならば良い。社交界で婚約相手を見つけよう。当然、その場には私も行く」
「でしたら、第一王子と婚約できるように、お父様からも頼んでくださいね」
「あぁ。幸い第一王子と第三王子はまだ婚約者が決まっていない。私からも強く頼んでみよう」
「あ、第三王子のニルワーム様は遠慮します。変な趣味を持っているので……」

 シャインはお茶会のできごとで、『ニルワームが公爵家の秘密の一部を知っている』という一番大事な情報は言わなかった。
 もしも対策をしてシャインに大変な教育や指導があったらたまったものではないと思っていたからである。
 だが、なにも言わなかったことで次の社交界で大変な状況になってしまうことを公爵家の誰もが知る術などなかった。
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