【完結】婚約者にウンザリしていたら、幼馴染が婚約者を奪ってくれた

よどら文鳥

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18 舞踏会での出来事2-A

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「ライアンさんったら顔色がよろしくないわねー」

 ミーナがニヤニヤしながらそう言ってきた。
 会いたくない人に会っちゃったからいい顔なんてできないんですけど。
 まぁこればっかりは舞踏会に参加した以上は仕方のないことだから、私も気持ちを切り替えなきゃな。

「心配かけてごめんなさい。大したことじゃないので」
「ふふ、もうすぐ今年度の婚約発表の時間だからでしょう?」
「それもあるかもしれない」

 そうなのだ。サバス様との婚約発表が緊張しすぎていて何も食べられないし、飲めない。
 緊張のしすぎで顔色が悪くなっているのもある。
 だが、二人にサバス様の婚約はもちろん教えていないけど、二人のことだ。
 婚約ができない哀れな女とでも思っているのかもしれないな。

「オズマと私が結婚しちゃったから、ライアンに婚約者なんて早々できないものね。でも、応援はしているから頑張るのよ!」
「あぁ。俺が婚約解消の原因でもあるからこんなことを言うのもどうかとは思うが、ライアンならきっといい相手が見つかるはずだ。幼馴染として応援はさせてもらう」

 意外も意外だった。
 二人がこんなに考えてくれているなんて驚いてしまった。
 さっきまで会いたくないなんて思っていた自分がバカらしく情けなく思ってしまう。

 ただ、二人とも何故かニヤニヤしながら応援してきているのが引っかかるが。

「ありがとう二人とも。まだ内密にしてほしいんだけど、実は良い発表もあるから心配しないで」

「……ほう」
「あら」

 二人とも笑ってくれた……。
 二人の性格を考えたら私のことをバカにしてくるか、永遠の嫁げない女とか言ってくるかと思っていたので、婚約解消相手とはいえ嬉しい。
 幼馴染三人組の仲は複雑な関係になってしまっているものの、もしかしたら今後も仲良くしていけるかもしれないと思った。

「幼馴染同士だろう? ライアンの新たな婚約者決まったんだろ? 先に紹介してくれてもいいじゃないか」
「私も見てみたいわ。別に見せられないくらい酷い顔とかってわけじゃないでしょう?」
「いや、もしかしたらミーナは気絶するかもしれないな……」
「そんなに酷い顔なの?」
「逆。私の好みかな」

 なぜかマーヤは笑いを堪えているような感じだ。
 もしかして、サバス様との婚約が決まっている情報が漏れている?
 いや、だとしたら笑うよりも驚くとは思うけど。

 オズマは何か落ち込んでいるような表情だし。
 あ、私がカッコいい相手って言っちゃったからかな。
 ごめんね。
 でも本当にカッコいいの……。
 見れば納得するしかないと思うけど。
 こんな二人に、果たして紹介していいものだろうか。

 冷静に考えると、少々失礼だが男に免疫が強いマーレット様で、ギリのギリで耐えたレベルだ。
 ミーナと直接会わせたら倒れてしまうかもしれない。
 そうなるとオズマにも嫉妬させてしまって悪い気もするから、婚約発表までは教えない方が良さそうだ。

「んーーー、婚約に関しては当たっているから、発表まで待っていて」
「もったいぶらせやがって」
「しょうがないわね。後で盛大に祝ってあげるわよ」
「うん、ありがとう。でも発表のとき、本当に気をつけてね。顔を直視しない方がいいかもしれない」
「わかったわよ」

 ちょうど三人で喋っている最中、その時がきてしまった。

「それでは今年度の新たな婚約成立した者達の紹介を始めましょう。なお、婚約と入籍が同時の組は、後ほどの紹介になりますので」
 司会役のおじ様が挨拶をすると、全員が特設ステージの方に目線を向けた。

 みんなこういうイベントが大好きなのである。
 特に上位貴族は、下級貴族の婚約にケチをつけるような習慣がある。

 私とオズマの婚約発表のときも、そうとうな嫌がらせを言われたとお父様は言っていたっけ。
 今回は嫌がらせを言ってくる貴族はいないだろうから安心だけど。

 サバス様がまだ会場に来ていないようだけど、どうしているんだろう。

 順番に発表が進んでいく。
 そして、最後に名前を呼ばれた。

「最後の組は、皆様驚かれるかもしれないので心の準備をお願いいたします。まずは正妻になるライアン様、ステージの上へお越しください」
「はい……」

「おいおい、そんなに驚くって、あの司会者も婚約相手をバカにしてんのか?」
「とんでもないお顔を見てみんなでライアンを笑ってあげようって考えているのよきっと」

 あれ、なんか私がステージに向かう直前にオズマとミーナは変なことを言っていた気がするが……。
 その後も何か喋っていたようだが私の耳では聞き取れなかった。
 まあいいか、どうせすぐに発表だし。

 ステージの上に登ると、早速ヤジが飛ぶ。

「おいおい、ライアンって婚約破綻したばかりの家柄だろう。もう婚約か」
「よっぽどライアンさんは飢えていたのね。きっと誰でもいいから婚約したかったのよきっと」
「お相手がまだ出てきていないが、なぜこんなにタメを作るんだ? そんなにやばいやつなのか? まさか一般人とか」
「ありえる。皆の者、盛大に笑う準備をしておけ」

 私の方まで聞こえているんですけど……。
 まったく、王族未満の上位貴族って、どうしてこんなに下級貴族を嘲笑うんだろうか。
 サバス様の人柄を見習って欲しいくらいだ。

 一瞬マーレット様の方を向いたけれど、彼女は呆れたような表情をして、文句ばかり言っている貴族の方を見ていた。

「さて、ライアン様のお相手はなんと! サバス=トリコロエル侯爵王子殿下です!!」
「「「「「「「「「「な!?」」」」」」」」」」

 予想どおりの反応だ。
 サバス様は遠慮することもなくステージにその姿を表した。
 顔に仮面を被った状態で……。


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【後書き】

次とその次の更新回は、今回のシーンと全く同じ内容で、オズマとミーナそれぞれの視点になります。

同じエピソードなので少々くどく、しつこく感じられてしまう可能性がありますので、その場合は飛ばして下さいますよう宜しくお願い致します。
(それぞれの視点のお話はほぼ同時刻に更新しておきます)

ーーーーーーーーーー

更に、新作のお知らせです。

『妹が奪った婚約者が嫌だと言われ、私が婚約したら幸せが待っていました~家出のために魔法学を勉強していた結果、凄い魔法が使えるようになっていた~』

こちらも是非よろしくお願いいたします。
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