【完結】婚約者にウンザリしていたら、幼馴染が婚約者を奪ってくれた

よどら文鳥

文字の大きさ
78 / 87

64 マーレット様のお見合いとミーナの親戚5

しおりを挟む
「僕が極端に心配性だということを忘れないでくれよ」
「うむ、確かにそうだったが」
「それに、こんなにも美しき方と二人きりになってしまったら緊張して何も喋れなくなってしまう……」
「私もライアンさんがいてくれないと喋れませんわ」

 思ったよりも大変だな。
 お互いに緊張しすぎていて、私たちがそばにいないと何もできないらしい。

「サイファー様は──」
「マーレットさん、僕のことは名前で呼んでほしい」
「いきなりですかっ!?」
「兄上たちの婚約者からはサイファー様と呼ばれているので。できればマーレットさんはそのように呼んでくれると……」
「わ……わかりましたわ! オービットさま……」

 見ている私のほうが恥ずかしくなってきてしまった。
 二人の会話に新鮮味があって、こっちまで見ているだけでドキドキしてしまう。
 オービット様は極端に心配性と言っていたが、マーレット様は全く気にしていないようだ。

「ところで、先ほどから言いたかったことがあるのだがいいか? つい最近僕が婚約解消をせざるをえなくてそういった手続きをしたばかりだということはご存知で?」
「いえ、初耳ですわ」
「すまない……。先に伝えてもらうべきだった。実は婚約者がいたのだよ。しかしながら、その相手の親族がつい最近不正を働き爵位奪還の可能性があるという情報を聞いてな。失礼ながら婚約者のことも調べていたら本人も裏で悪さをするような方だったので……」

 オービット様が申し訳なさそうな態度で話している。
 幼馴染のオズマやミーナ以外の貴族でもそういう悪さをする家柄があったのか……。
 マーレット様の表情が次第に険しくなっていく。

「オービットは必死に説得して二度と悪の道へ進むなと誘導をかけていたそうだ。だが、彼女はバレたことに腹立ち逆上して何度も暴行を加えてきたそうだ」
「ひどすぎですわ! そんな家柄の者とは関わりたくありませんね」

 サバス様は、マーレット様の発言を聞いてピクリと顔を動かした。

「少なくともライアンは関わっているが……」
「「え!?」」

 私とマーレット様が揃って反応してしまった。

「ミーナ=ワインド男爵令嬢の従姉妹にあたる者だったのだよ」
「な……!?」

 私は思わず固まってしまう。
 返答にも悩む。

 ミーナの血筋の方々は揃いも揃って問題だらけなのか!?

「オービット様は大変な苦労をされていたのですね。お気持ち察しますわ」
「むろん、過去のことには向き合わないつもりだが、このことだけはいずれ知ると思い先に伝えたかった」
「いえ、お心遣い感謝いたしますわ」

 オービット様がカミングアウトしてから、彼がよそよそしい雰囲気になっている。
 これはもしかして、マーレット様のことを意識しているのではないだろうか。

「オービット様……、私でよければこの後も深く話をしたいと思っていますわ」
「是非に!!」

 どうやらマーレット様にも幸せな季節がやってきたようだ。

「ライアンさん、サバス様。私はお二人のおかげで今、とても幸せですわ。ありがとうございます」
「うむ、其方らに幸あれ。ところでこんなに幸せな空間の中で言ってしまうのは心苦しいことだが……。実は明日オービットの前の者とミーナの容疑に関して、証拠が浮上したそうで捕まえ連行するそうだ」

 本当にこんなにいい雰囲気の中で言わないでくれ!
 はぁ、ついにミーナがどうにかなってしまうのか。
 幼馴染とはいえ、同情の余地もないのでどうすることもできないけれど。
 オズマはどうなるのだろうか。

 どちらにしても、今はマーレット様たちがいい雰囲気なので、あまり深くは聞かないでおいて、帰り際にでもサバス様に聞いておくか。

ーーーーーーーーーー
【後書き】
ここまで読んでいただきまして本当にありがとうございます。
今回の章ではかなり脱線してしまいましたが、次話から急展開します。

また次話からは、ほんの少しだけ執筆にも変化があります。

この作品はあともう少しだけ続きますが、お付き合いいただければ幸いです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼なじみと再会したあなたは、私を忘れてしまった。

クロユキ
恋愛
街の学校に通うルナは同じ同級生のルシアンと交際をしていた。同じクラスでもあり席も隣だったのもあってルシアンから交際を申し込まれた。 そんなある日クラスに転校生が入って来た。 幼い頃一緒に遊んだルシアンを知っている女子だった…その日からルナとルシアンの距離が離れ始めた。 誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。 更新不定期です。 よろしくお願いします。

諦めていた自由を手に入れた令嬢

しゃーりん
恋愛
公爵令嬢シャーロットは婚約者であるニコルソン王太子殿下に好きな令嬢がいることを知っている。 これまで二度、婚約解消を申し入れても国王夫妻に許してもらえなかったが、王子と隣国の皇女の婚約話を知り、三度目に婚約解消が許された。 実家からも逃げたいシャーロットは平民になりたいと願い、学園を卒業と同時に一人暮らしをするはずが、実家に知られて連れ戻されないよう、結婚することになってしまう。 自由を手に入れて、幸せな結婚まで手にするシャーロットのお話です。

【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ

水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。 ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。 なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。 アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。 ※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います ☆HOTランキング20位(2021.6.21) 感謝です*.* HOTランキング5位(2021.6.22)

わたしのことはお気になさらず、どうぞ、元の恋人とよりを戻してください。

ふまさ
恋愛
「あたし、気付いたの。やっぱりリッキーしかいないって。リッキーだけを愛しているって」  人気のない校舎裏。熱っぽい双眸で訴えかけたのは、子爵令嬢のパティだ。正面には、伯爵令息のリッキーがいる。 「学園に通いはじめてすぐに他の令息に熱をあげて、ぼくを捨てたのは、きみじゃないか」 「捨てたなんて……だって、子爵令嬢のあたしが、侯爵令息様に逆らえるはずないじゃない……だから、あたし」  一歩近付くパティに、リッキーが一歩、後退る。明らかな動揺が見えた。 「そ、そんな顔しても無駄だよ。きみから侯爵令息に言い寄っていたことも、その侯爵令息に最近婚約者ができたことも、ぼくだってちゃんと知ってるんだからな。あてがはずれて、仕方なくぼくのところに戻って来たんだろ?!」 「……そんな、ひどい」  しくしくと、パティは泣き出した。リッキーが、うっと怯む。 「ど、どちらにせよ、もう遅いよ。ぼくには婚約者がいる。きみだって知ってるだろ?」 「あたしが好きなら、そんなもの、解消すればいいじゃない!」  パティが叫ぶ。無茶苦茶だわ、と胸中で呟いたのは、二人からは死角になるところで聞き耳を立てていた伯爵令嬢のシャノン──リッキーの婚約者だった。  昔からパティが大好きだったリッキーもさすがに呆れているのでは、と考えていたシャノンだったが──。 「……そんなにぼくのこと、好きなの?」  予想もしないリッキーの質問に、シャノンは目を丸くした。対してパティは、目を輝かせた。 「好き! 大好き!」  リッキーは「そ、そっか……」と、満更でもない様子だ。それは、パティも感じたのだろう。 「リッキー。ねえ、どうなの? 返事は?」  パティが詰め寄る。悩んだすえのリッキーの答えは、 「……少し、考える時間がほしい」  だった。 ※この作品は、小説家になろう様にも掲載しています。

王家の面子のために私を振り回さないで下さい。

しゃーりん
恋愛
公爵令嬢ユリアナは王太子ルカリオに婚約破棄を言い渡されたが、王家によってその出来事はなかったことになり、結婚することになった。 愛する人と別れて王太子の婚約者にさせられたのに本人からは避けされ、それでも結婚させられる。 自分はどこまで王家に振り回されるのだろう。 国王にもルカリオにも呆れ果てたユリアナは、夫となるルカリオを蹴落として、自分が王太女になるために仕掛けた。 実は、ルカリオは王家の血筋ではなくユリアナの公爵家に正統性があるからである。 ユリアナとの結婚を理解していないルカリオを見限り、愛する人との結婚を企んだお話です。

【完結】精神的に弱い幼馴染を優先する婚約者を捨てたら、彼の兄と結婚することになりました

当麻リコ
恋愛
侯爵令嬢アメリアの婚約者であるミュスカーは、幼馴染みであるリリィばかりを優先する。 リリィは繊細だから僕が支えてあげないといけないのだと、誇らしそうに。 結婚を間近に控え、アメリアは不安だった。 指輪選びや衣装決めにはじまり、結婚に関する大事な話し合いの全てにおいて、ミュスカーはリリィの呼び出しに応じて行ってしまう。 そんな彼を見続けて、とうとうアメリアは彼との結婚生活を諦めた。 けれど正式に婚約の解消を求めてミュスカーの父親に相談すると、少し時間をくれと言って保留にされてしまう。 仕方なく保留を承知した一ヵ月後、国外視察で家を空けていたミュスカーの兄、アーロンが帰ってきてアメリアにこう告げた。 「必ず幸せにすると約束する。どうか俺と結婚して欲しい」 ずっと好きで、けれど他に好きな女性がいるからと諦めていたアーロンからの告白に、アメリアは戸惑いながらも頷くことしか出来なかった。

新しい人生を貴方と

緑谷めい
恋愛
 私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。  突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。  2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。 * 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。

前世の旦那様、貴方とだけは結婚しません。

真咲
恋愛
全21話。他サイトでも掲載しています。 一度目の人生、愛した夫には他に想い人がいた。 侯爵令嬢リリア・エンダロインは幼い頃両親同士の取り決めで、幼馴染の公爵家の嫡男であるエスター・カンザスと婚約した。彼は学園時代のクラスメイトに恋をしていたけれど、リリアを優先し、リリアだけを大切にしてくれた。 二度目の人生。 リリアは、再びリリア・エンダロインとして生まれ変わっていた。 「次は、私がエスターを幸せにする」 自分が彼に幸せにしてもらったように。そのために、何がなんでも、エスターとだけは結婚しないと決めた。

処理中です...