33 / 33
33
しおりを挟む
キーファウス殿下は、ゴルザーフ陛下が生存している限り、毎月王金貨百枚ずつをゴルザーフ個人に対して支払うことを契約しました。
ただし、いくつか条件があり、受け取る際は必ずブブルル王国に滞在し、国の再建に努めることと加えています。
ゴルザーフ陛下は、それでも満足したかのようであっという間に契約を締結させてしまいました。
「ふむ、ではこれにて契約は魔法付与の書類で締結した。書き換えられることはないですな。しかもこれだけ大勢の証人がいる前ですので」
「あぁ、わかっている。話のわかるキーファウス殿で助かった」
「ではこれにてゴルザーフ国王との対談は終了とします」
ゴルザーフはそのまま玉座の間から出ようとしましたが、ふと、停止しました。
「なぜ皆ともに戻ろうとしない?」
「「「「「…………」」」」」
「なぜ無視をする。大臣よ。なにか言ったらどうなのだ?」
「いえ、我々はメビルス王国に助けを求める所存でここへ来ましたので、まだキーファウス殿下に謁見を望んでおりますゆえ」
「な!? 話は済んだだろう。ブブルル王国へ戻らねば」
しかし、残った人たちはゴルザーフ陛下の話を聞こうともしませんでした。
「またいつ危険なモンスターがでるかもわからない場所に戻っても、民たちが納得しないでしょう。しかも王都は完全に壊滅しています。ならば、安全なこちらで暮らしたほうが得策でしょう。たとえ我々の地位が平民になったとしても」
「ふざけるでない。私はブブルル王国の国王だ。私の命令を聞くのが当然のことだろう」
「いえ、もう再建は無理かと……」
「もうよい。貴様など聖女同様解雇だ。私の元でしっかりと仕えられる有能なものだけ連れて帰る。キーファウス殿よ、約束は守ってもらうぞ」
そう言ってゴルザーフ陛下は出ていきました。
しかし、ゴルザーフは一人で戻ることになってしまったようです。
あとから民も追ってくると想定していたようですが、誰も追いかけることはありませんでした。
ぼっちになったゴルザーフ陛下は大丈夫なのでしょうか……。
♢
「二ヶ月か……。思ったよりも早かったな……」
ゴルザーフ陛下が失踪したのか息を引き取ったのかはわかりません。
毎月の約束である王金貨の引き渡しに現れなかったようです。
あれから私はかなりの負担はかかったものの、聖なる力をメビルス王国、ブブルル王国、そして近隣の国含め、ひとつの大きな大陸全体に結界を張るようにしました。
もちろんブブルル王国にもモンスターは出なくなったため、安全面では保証されたようなものです。
それでもゴルザーフ陛下が姿を消したのは……。
「結局、たった一人ではどんなに身分が高かろうが生きてはいけない。そのことをあの者は理解していなかったようだ。人をゴミのように扱ってきた者の末路だな」
「それでキーファウス殿下はあえてあのような条件を?」
「一年くらいは支払いを覚悟していたのだが。諦めるのも早かったようだ……」
「とんでもないことを提案して、あのときはびっくりしましたよ」
「すまない。ヴィレーナのことを考えていたらロクな扱いをしなかった者に対してなにかしなければと思って」
キーファウス殿下は頬を掻きながら目をそらしました。
これはさすがに反論します。
「国のことでなく私個人のことであのような政策を!?」
「やがては王妃になる予定の私にとって大事なお方だ。それに、ブブルル王国のことも調べていたのでな。あの国王の評判を考えれば、一人になることくらい想定できた。さらに近隣国はブブルル王国の王は入国禁止になっているそうだし」
「では、どこにも逃げられなかったのですね」
「どんなに金貨を持っていても、使い道もない。金貨は人がいるからこそ成立する貨幣であることを理解せぬような者が国の代表だなどありえんことだ」
キーファウス殿下は国のことを一生懸命考えていたからこそ動いていたのですね。
私も、もっともっと国のことを勉強していって貢献できるようにしないと!
「ヴィレーナよ、まさか今、『私も国のことを勉強しないと』などと考えていなかったか?」
「なんでわかるのです?」
「いつもヴィレーナのことを見ているからな。毎日大陸ごと聖なる力を発動し結界を作っている。おまけに所々に訓練用として初級モンスターだけ出るようにしてだ。おかげで騎士団はどんどん強くなり、王都の警備としてもより強力なものになっている。ヴィレーナのおかげだということを忘れるな」
それでも、私は聖女としてだけでなく、キーファウス殿下の妻としてしっかりと支え、笑い者にされないようもっともっと努力しなければですね。
神様からいただいた規格外の魔力と聖なる力のおかげで、私はようやく幸せを掴めたような気がします。
さて、キーファウス殿下を国王になってもらうために、もうひと仕事することにしましょうか。
ーーーーーーーーーーーー
【後書き】
最後まで読んでくださりありがとうございます。
転生チート系は大好きなので、試しに描いてみました。楽しく書いちゃいましたがいかがでしたでしょうか(笑)
またそのうち転生ものも書くかもしれませんが、そのときはまたよろしくお願いいたします。
最後に新作のお知らせです。
『物作りを頑張っている婚約者にベタ惚れしてしまったので、応援していたらなぜか爵位が上がっていきます』
今度は主人公&ヒーロー共に成り上がり系の、徐々に溺愛もの(の予定)です。途中から学園でざまぁがあったり、またまた挑戦系の新作ですが、良かったら是非見てください。
最後までありがとうございました。
ただし、いくつか条件があり、受け取る際は必ずブブルル王国に滞在し、国の再建に努めることと加えています。
ゴルザーフ陛下は、それでも満足したかのようであっという間に契約を締結させてしまいました。
「ふむ、ではこれにて契約は魔法付与の書類で締結した。書き換えられることはないですな。しかもこれだけ大勢の証人がいる前ですので」
「あぁ、わかっている。話のわかるキーファウス殿で助かった」
「ではこれにてゴルザーフ国王との対談は終了とします」
ゴルザーフはそのまま玉座の間から出ようとしましたが、ふと、停止しました。
「なぜ皆ともに戻ろうとしない?」
「「「「「…………」」」」」
「なぜ無視をする。大臣よ。なにか言ったらどうなのだ?」
「いえ、我々はメビルス王国に助けを求める所存でここへ来ましたので、まだキーファウス殿下に謁見を望んでおりますゆえ」
「な!? 話は済んだだろう。ブブルル王国へ戻らねば」
しかし、残った人たちはゴルザーフ陛下の話を聞こうともしませんでした。
「またいつ危険なモンスターがでるかもわからない場所に戻っても、民たちが納得しないでしょう。しかも王都は完全に壊滅しています。ならば、安全なこちらで暮らしたほうが得策でしょう。たとえ我々の地位が平民になったとしても」
「ふざけるでない。私はブブルル王国の国王だ。私の命令を聞くのが当然のことだろう」
「いえ、もう再建は無理かと……」
「もうよい。貴様など聖女同様解雇だ。私の元でしっかりと仕えられる有能なものだけ連れて帰る。キーファウス殿よ、約束は守ってもらうぞ」
そう言ってゴルザーフ陛下は出ていきました。
しかし、ゴルザーフは一人で戻ることになってしまったようです。
あとから民も追ってくると想定していたようですが、誰も追いかけることはありませんでした。
ぼっちになったゴルザーフ陛下は大丈夫なのでしょうか……。
♢
「二ヶ月か……。思ったよりも早かったな……」
ゴルザーフ陛下が失踪したのか息を引き取ったのかはわかりません。
毎月の約束である王金貨の引き渡しに現れなかったようです。
あれから私はかなりの負担はかかったものの、聖なる力をメビルス王国、ブブルル王国、そして近隣の国含め、ひとつの大きな大陸全体に結界を張るようにしました。
もちろんブブルル王国にもモンスターは出なくなったため、安全面では保証されたようなものです。
それでもゴルザーフ陛下が姿を消したのは……。
「結局、たった一人ではどんなに身分が高かろうが生きてはいけない。そのことをあの者は理解していなかったようだ。人をゴミのように扱ってきた者の末路だな」
「それでキーファウス殿下はあえてあのような条件を?」
「一年くらいは支払いを覚悟していたのだが。諦めるのも早かったようだ……」
「とんでもないことを提案して、あのときはびっくりしましたよ」
「すまない。ヴィレーナのことを考えていたらロクな扱いをしなかった者に対してなにかしなければと思って」
キーファウス殿下は頬を掻きながら目をそらしました。
これはさすがに反論します。
「国のことでなく私個人のことであのような政策を!?」
「やがては王妃になる予定の私にとって大事なお方だ。それに、ブブルル王国のことも調べていたのでな。あの国王の評判を考えれば、一人になることくらい想定できた。さらに近隣国はブブルル王国の王は入国禁止になっているそうだし」
「では、どこにも逃げられなかったのですね」
「どんなに金貨を持っていても、使い道もない。金貨は人がいるからこそ成立する貨幣であることを理解せぬような者が国の代表だなどありえんことだ」
キーファウス殿下は国のことを一生懸命考えていたからこそ動いていたのですね。
私も、もっともっと国のことを勉強していって貢献できるようにしないと!
「ヴィレーナよ、まさか今、『私も国のことを勉強しないと』などと考えていなかったか?」
「なんでわかるのです?」
「いつもヴィレーナのことを見ているからな。毎日大陸ごと聖なる力を発動し結界を作っている。おまけに所々に訓練用として初級モンスターだけ出るようにしてだ。おかげで騎士団はどんどん強くなり、王都の警備としてもより強力なものになっている。ヴィレーナのおかげだということを忘れるな」
それでも、私は聖女としてだけでなく、キーファウス殿下の妻としてしっかりと支え、笑い者にされないようもっともっと努力しなければですね。
神様からいただいた規格外の魔力と聖なる力のおかげで、私はようやく幸せを掴めたような気がします。
さて、キーファウス殿下を国王になってもらうために、もうひと仕事することにしましょうか。
ーーーーーーーーーーーー
【後書き】
最後まで読んでくださりありがとうございます。
転生チート系は大好きなので、試しに描いてみました。楽しく書いちゃいましたがいかがでしたでしょうか(笑)
またそのうち転生ものも書くかもしれませんが、そのときはまたよろしくお願いいたします。
最後に新作のお知らせです。
『物作りを頑張っている婚約者にベタ惚れしてしまったので、応援していたらなぜか爵位が上がっていきます』
今度は主人公&ヒーロー共に成り上がり系の、徐々に溺愛もの(の予定)です。途中から学園でざまぁがあったり、またまた挑戦系の新作ですが、良かったら是非見てください。
最後までありがとうございました。
145
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
追放聖女の再就職 〜長年仕えた王家からニセモノと追い出されたわたしですが頑張りますね、魔王さま!〜
三崎ちさ
恋愛
メリアは王宮に勤める聖女、だった。
「真なる聖女はこの世に一人、エミリーのみ! お前はニセモノだ!」
ある日突然いきりたった王子から国外追放、そして婚約破棄もオマケのように言い渡される。
「困ったわ、追放されても生きてはいけるけど、どうやってお金を稼ごうかしら」
メリアには病気の両親がいる。王宮で聖女として働いていたのも両親の治療費のためだった。国の外には魔物がウロウロ、しかし聖女として活躍してきたメリアには魔物は大した脅威ではない。ただ心配なことは『お金の稼ぎ方』だけである。
そんな中、メリアはひょんなことから封印されていたはずの魔族と出会い、魔王のもとで働くことになる。
「頑張りますね、魔王さま!」
「……」(かわいい……)
一方、メリアを独断で追放した王子は父の激昂を招いていた。
「メリアを魔族と引き合わせるわけにはいかん!」
国王はメリアと魔族について、何か秘密があるようで……?
即オチ真面目魔王さまと両親のためにお金を稼ぎたい!ニセモノ疑惑聖女のラブコメです。
※小説家になろうさんにも掲載
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜
ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。
しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。
生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。
それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。
幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。
「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」
初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。
そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。
これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。
これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。
☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆
【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!
白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、
《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。
しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、
義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった!
バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、
前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??
異世界転生:恋愛 ※魔法無し
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります
秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。
そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。
「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」
聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。
偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~
咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】
あらすじ
「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」
聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。
彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。
しかし、エリーナはめげなかった。
実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ!
北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。
すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。
「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」
とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。
以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。
最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる