【完結】聖女レイチェルは国外追放されて植物たちと仲良く辺境地でサバイバル生活します〜あれ、いつのまにかみんな集まってきた。あの国は大丈夫かな

よどら文鳥

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2話 レイチェルはみんなに別れを告げる

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 私は馬車に乗ろうとしたとき、ザッソウに声をかけられた。

『レイチェル様~、どこへ行っちゃうのですかぁ?』
「ごめんね。国外追放されたから、もうここには戻ってこれないの……。みんな元気でやっていってね」
『そんなぁ……みんな悲しみます』

 だからと言って、この子たちは馬車に乗ることができない。
 どうすることもできないのだ。

 それに、この地からみんなを連れ出したら、王都が大変なことになってしまうかもしれない。
 ここは心を鬼にするしかないのだ。

「本当にごめんね。今までありがとう。水の飲み過ぎに気をつけるんだよ」
『ううぅ……、レイチェル様……』

 私は涙をこぼしながら馬車に乗り込んだ。
 すると、待機していた御者からひどいことを言われてしまった。

「バカかてめぇは。独りごとを言って泣くなんてイカれすぎだろ」
「だって……、悲しくて……」
「そんな暇はねーんだよ。これから辺境伯様すら避難するくらい危険な場所へ行こうとしているんだぞ。こっちは命がけでヒヤヒヤしてんだよ。さっさと行くぞ」

 どうやら、私が思っていたよりもひどいところらしい。
 今になって、ザッソウたちに助けを求めたくなってきた。
 だが、もう遅い。
 馬車は動きだしてしまった。

「ザッソウくんーーーー……!!」
『レイチェル様ぁぁぁ~!! どうかお元気で、ううぅぅ……』

 違う、助けて欲しかったの。
 これはもうどうしようもできない。
 馬車の外から、友達の悲しむ声が聞こえてくる。

  バラ『レイチェル様、行かないでくださいませ……』
ジュモク『あなたのいない国なんて、俺たち生きていく意味がありませんよ』
キャベツ『レイチェルさんの力がなかったら、元気でねーよ!』

「みんな……」

 私は座席から立ち上がり、窓から身を乗り出して挨拶しようとした。
 しかし、御者は突然慌てながら怒鳴ってきた。

「おい、あぶねーだろ! お前のことは嫌いだが、事故られたら御者としての立場がねーんだよ!!」
「すみません……でもみんなが……」
「誰も声かけてねーだろうが。そんだけお前はこの国で嫌われてんだからな。税金泥棒が。少しは自覚しろ」
「キャベツー……ザッソウー……あぁ、もうみんなの声が聞こえない……」

 私の人生は終わった。
 ……と、辺境地に到着するまではそう思っていたのだ。
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