【完結】婚約相手は私を愛してくれてはいますが病弱の幼馴染を大事にするので、私も婚約者のことを改めて考えてみることにします

よどら文鳥

文字の大きさ
11 / 12

11 バズドド視点

しおりを挟む
 どうもおかしいぞ。
 何がいけなかったのだ。
 俺たちはしっかりと説明だってできたはずだし、バカと呼ばれる筋合いなどない。それに、言っちゃ悪いが『バカという奴がバカだ』とどこかで聞いたことがあるぞ。

 まさか陛下もバカなのか。

「其方ら、本気でそう考えているのか!?」
「「はい!」」

 偉そうな椅子に座っていた陛下は偉そうに立ち上がり、更に偉そうな顔が怖い顔になった。

「今日其方らを呼んだのは逆だ! この場でキチンと謝罪し和解できるように、特別に時間を設けたのだぞ!」
 そういうと、先日のお茶会で文句ばかり言ってきた公爵が出てきた。

「陛下、やはりこの者達には無駄かと……。話も聞いていましたが、国王に対し『解析力がない』だのと良く言えるもんだと呆れました」
 あれ、俺そんなこと言ったっけ。

「ふむ……せっかく貴族剥奪の刑を少しは軽くしようと試みたのだが無駄だったようだ」
「え!? 今なんと言いました?」

「其方らの行為、貴族に相応しくなさすぎるのだ。あまりにも無礼な振る舞い、ここで謝罪をすれば考える余地もあったがその必要もあるまい。其方ら二人の一家揃って貴族を取り上げよう。平民となれ」

「そ……そんな……」
 リリノアは絶望したような顔をしているが、俺は内心でラッキーだと思っている。
 もちろん目の前にいるオッサン達にはバレるとマズいから、俺も困った顔を演じているが。

 よし、これで多額の慰謝料と共に、リリノアと王都を出れる。そしてゆっくりとスローライフを満喫できるぞ。
 貴族の人間どもめ、ざまぁだな。俺をどん底にしようと企んでいたようだが、おかげで俺たちは幸せなスローハッピーライフが待ってるのだよん♪
 ……浮かれすぎて普段使わない口調になってしまったな。

「それから……バズドドだったか、其方は婚約破棄を言い渡され多額の慰謝料を受け取ったと聞いているが……」
「えぇ、婚約していた相手から突然婚約破棄を言い渡されたんです。別に不倫もしていないし、法律的に俺に過失はないはずですけど」

 法律は詳しくないがきっとそうなんだろう。でなければジュリアーナが慰謝料を払ってくるとは思えないし。

「ふむ。確かに我が国の法律だけで考慮すれば、この件に関しては其方の言い分に間違いはない。性格の不一致や軽微なものに関してが理由であれば宣言した方に慰謝料を払わせる義務があるのだ」

 よし、国王もしっかりと認めた。
 これで俺に慰謝料が入ってくるのは確定になったわけだ。

「だが!」

 なんだこの流れは……。

「其方の数々のふざけた行為や発言、国王の私自らしかと見届けた。私の権限により、この度の其方らの慰謝料は相殺とする。受け取った金は全額返還するのだ」
「は!? 何でですか!? 法律があるのでしょう?」

 そればかりはマズい!
 死ぬほどマズい!
 これからのスローハッピーライフが不可能になってしまうではないか。

「法律のとおりに従っておるぞ。第七七七条『現国王の判断により、第七七六条までの法律を無視し、指示または誘導を可能とする』となっておる」
 なんだって!?

「俺のどこに過失があるというのだーーーー!」
「これでも軽くしているのだぞ。周りからは慰謝料を上乗せして払えと願い出るものが多数いたのだからな」

 俺が慰謝料を払うだと!?
 何故みんなして俺たちをこんなに悪くいうんだ。

「身分剥奪になる以上、其方が受け取った慰謝料以外の財産は全て国に没収される。追加で払えと言っても其方らには不可能であろう……。払えず逃げ回りすぐに牢獄に入ってしまうのがよくわかる」

 陛下は俺たちを哀れに見るような表情で、ごちゃごちゃ言ってくるのだ。

「一度平民に成り下り、仕事をして己の情けなさを痛感するがよい。当然この王都には貴族の目が行き届いている。王都で仕事が見つかるはずもないぞ」

「じゃあ俺たちはどうしろと……!?」
「それ含め、今後は自ら考えどうしたらいいか考えるのだな」

「なんでみんなして俺たちのことをこんなに……」
「おっと……先に言っておく。今までは目をつぶってはいたが、これ以上の王族への犯行や無礼は牢獄行きとなるから心得ておくのだ」

 くそう……。
 くそう…………。

 俺の何が悪いというのだ……。


 ふと、横を向いたらリリノアが全身固まったような状態で、全く動かずに呆然としているようだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)私が貴方から卒業する時

青空一夏
恋愛
私はペシオ公爵家のソレンヌ。ランディ・ヴァレリアン第2王子は私の婚約者だ。彼に幼い頃慰めてもらった思い出がある私はずっと恋をしていたわ。 だから、ランディ様に相応しくなれるよう努力してきたの。でもね、彼は・・・・・・ ※なんちゃって西洋風異世界。現代的な表現や機器、お料理などでてくる可能性あり。史実には全く基づいておりません。

(完結)あなたが婚約破棄とおっしゃったのですよ? 

青空一夏
恋愛
スワンはチャーリー王子殿下の婚約者。 チャーリー王子殿下は冴えない容姿の伯爵令嬢にすぎないスワンをぞんざいに扱い、ついには婚約破棄を言い渡す。 しかし、チャーリー王子殿下は知らなかった。それは…… これは、身の程知らずな王子がギャフンと言わされる物語です。コメディー調になる予定で す。過度な残酷描写はしません(多分(•́ε•̀;ก)💦) それぞれの登場人物視点から話が展開していく方式です。 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定ご都合主義。タグ途中で変更追加の可能性あり。

(完結)婚約解消は当然でした

青空一夏
恋愛
エヴァリン・シャー子爵令嬢とイライジャ・メソン伯爵は婚約者同士。レイテ・イラ伯爵令嬢とは従姉妹。 シャー子爵家は大富豪でエヴァリンのお母様は他界。 お父様に溺愛されたエヴァリンの恋の物語。 エヴァリンは婚約者が従姉妹とキスをしているのを見てしまいますが、それは・・・・・・

(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。 なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと? 婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。 ※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。 ※ゆるふわ設定のご都合主義です。 ※元サヤはありません。

(完結)婚約者の勇者に忘れられた王女様――行方不明になった勇者は妻と子供を伴い戻って来た

青空一夏
恋愛
私はジョージア王国の王女でレイラ・ジョージア。護衛騎士のアルフィーは私の憧れの男性だった。彼はローガンナ男爵家の三男で到底私とは結婚できる身分ではない。 それでも私は彼にお嫁さんにしてほしいと告白し勇者になってくれるようにお願いした。勇者は望めば王女とも婚姻できるからだ。 彼は私の為に勇者になり私と婚約。その後、魔物討伐に向かった。 ところが彼は行方不明となりおよそ2年後やっと戻って来た。しかし、彼の横には子供を抱いた見知らぬ女性が立っており・・・・・・ ハッピーエンドではない悲恋になるかもしれません。もやもやエンドの追記あり。ちょっとしたざまぁになっています。

(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?

青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。 けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの? 中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。

[完結]だってあなたが望んだことでしょう?

青空一夏
恋愛
マールバラ王国には王家の血をひくオルグレーン公爵家の二人の姉妹がいる。幼いころから、妹マデリーンは姉アンジェリーナのドレスにわざとジュースをこぼして汚したり、意地悪をされたと嘘をついて両親に小言を言わせて楽しんでいた。 アンジェリーナの生真面目な性格をけなし、勤勉で努力家な姉を本の虫とからかう。妹は金髪碧眼の愛らしい容姿。天使のような無邪気な微笑みで親を味方につけるのが得意だった。姉は栗色の髪と緑の瞳で一見すると妹よりは派手ではないが清楚で繊細な美しさをもち、知性あふれる美貌だ。 やがて、マールバラ王国の王太子妃に二人が候補にあがり、天使のような愛らしい自分がふさわしいと、妹は自分がなると主張。しかし、膨大な王太子妃教育に我慢ができず、姉に代わってと頼むのだがーー

(完)婚約破棄ですか? なぜ関係のない貴女がそれを言うのですか? それからそこの貴方は私の婚約者ではありません。

青空一夏
恋愛
グレイスは大商人リッチモンド家の娘である。アシュリー・バラノ侯爵はグレイスよりずっと年上で熊のように大きな体に顎髭が風格を添える騎士団長様。ベースはこの二人の恋物語です。 アシュリー・バラノ侯爵領は3年前から作物の不作続きで農民はすっかり疲弊していた。領民思いのアシュリー・バラノ侯爵の為にお金を融通したのがグレイスの父親である。ところがお金の返済日にアシュリー・バラノ侯爵は満額返せなかった。そこで娘の好みのタイプを知っていた父親はアシュリー・バラノ侯爵にある提案をするのだった。それはグレイスを妻に迎えることだった。 年上のアシュリー・バラノ侯爵のようなタイプが大好きなグレイスはこの婚約話をとても喜んだ。ところがその三日後のこと、一人の若い女性が怒鳴り込んできたのだ。 「あなたね? 私の愛おしい殿方を横からさらっていったのは・・・・・・婚約破棄です!」 そうしてさらには見知らぬ若者までやって来てグレイスに婚約破棄を告げるのだった。 ざまぁするつもりもないのにざまぁになってしまうコメディー。中世ヨーロッパ風異世界。ゆるふわ設定ご都合主義。途中からざまぁというより更生物語になってしまいました。 異なった登場人物視点から物語が展開していくスタイルです。

処理中です...