10 / 10
エピローグ
しおりを挟む
二次会は、主に学生時代の友人が新郎新婦の周りを囲み、盛り上がっているようだ。
千夏と橘、蓮、そして桐山は、端の方で同じ席に座っていた。
「幸せそうだねー。」
千夏の言葉に、ねー、と蓮が応える。
「あーあ。旭さんがとうとう人妻に・・」
橘は披露宴から何度も同じことを言っている。お酒もまわって自立出来ず、ほぼ蓮にもたれかかっている状態だ。
「桐山さん」
「ん?」
「大丈夫なんですか?」
色々あった(という言葉で済ませていいものか)にも関わらずポーカーフェイスで式に参加する姿に、心配になって聞く。
「大丈夫ではないね。」
その答えに、大丈夫じゃないんだ、と苦笑する。
「次にあいつが彼女を傷つけることがあれば、今度はもう、無理矢理にでも奪うよ。」
なんか、物騒な言葉が聞こえたぞ。
千夏はぶる、と身体を震わせた。
「いや、次は俺です!」
勇気を出してそう言った橘は、桐山に鋭い目で「ふーん」と返され、怯えるように蓮の後ろに隠れた。
ふと、気になって聞く。
「水瀬さんはさ、」
「なんとも思わなかったの?」
旭のこと。
桐山と橘も、ちらりと蓮を見た。
少し間を開けて、答える。
「好きでしたよ。」
「「え!?」」
桐山の目も、丸くなっている。
「正確には、好きになりそうだった、かな。」
驚く3人を可笑しそうに見ながら続ける。
「配属の日に初めて会って、
かわいいし頑張るし、なんか、ちょっと隙もあるし。」
そりゃ、あー、いいなーって思いましたよ。
「でも、鷹みたいな目ぇした上司と、強引な同期と、子犬みたいな後輩が目ぇギラギラさせてるんですもん。」
これは、俺がいったら収集つかないな、と思って。
「まじか。」
旭、あんたはほんとにすごい。
「颯は、気付いてないと思いますけどね。」
内緒にしといてくださいね、と穏やかに言う姿に、もしかしたら一番辛かったのはこの人かもしれない、と思った。
「知らない方が、幸せかもね。」
そんなやり取りがなされているとは知らず、腕を組んで幸せそうに微笑む二人を見る。
絶対、もう手を離しちゃだめだよ。
そう心の中でつぶやき、千夏は美味しそうにワインを飲み干した。
end
千夏と橘、蓮、そして桐山は、端の方で同じ席に座っていた。
「幸せそうだねー。」
千夏の言葉に、ねー、と蓮が応える。
「あーあ。旭さんがとうとう人妻に・・」
橘は披露宴から何度も同じことを言っている。お酒もまわって自立出来ず、ほぼ蓮にもたれかかっている状態だ。
「桐山さん」
「ん?」
「大丈夫なんですか?」
色々あった(という言葉で済ませていいものか)にも関わらずポーカーフェイスで式に参加する姿に、心配になって聞く。
「大丈夫ではないね。」
その答えに、大丈夫じゃないんだ、と苦笑する。
「次にあいつが彼女を傷つけることがあれば、今度はもう、無理矢理にでも奪うよ。」
なんか、物騒な言葉が聞こえたぞ。
千夏はぶる、と身体を震わせた。
「いや、次は俺です!」
勇気を出してそう言った橘は、桐山に鋭い目で「ふーん」と返され、怯えるように蓮の後ろに隠れた。
ふと、気になって聞く。
「水瀬さんはさ、」
「なんとも思わなかったの?」
旭のこと。
桐山と橘も、ちらりと蓮を見た。
少し間を開けて、答える。
「好きでしたよ。」
「「え!?」」
桐山の目も、丸くなっている。
「正確には、好きになりそうだった、かな。」
驚く3人を可笑しそうに見ながら続ける。
「配属の日に初めて会って、
かわいいし頑張るし、なんか、ちょっと隙もあるし。」
そりゃ、あー、いいなーって思いましたよ。
「でも、鷹みたいな目ぇした上司と、強引な同期と、子犬みたいな後輩が目ぇギラギラさせてるんですもん。」
これは、俺がいったら収集つかないな、と思って。
「まじか。」
旭、あんたはほんとにすごい。
「颯は、気付いてないと思いますけどね。」
内緒にしといてくださいね、と穏やかに言う姿に、もしかしたら一番辛かったのはこの人かもしれない、と思った。
「知らない方が、幸せかもね。」
そんなやり取りがなされているとは知らず、腕を組んで幸せそうに微笑む二人を見る。
絶対、もう手を離しちゃだめだよ。
そう心の中でつぶやき、千夏は美味しそうにワインを飲み干した。
end
41
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私の身体を揺らす彼を、下から見ていた。
まさかあの彼と、こんな関係になるなんて思いもしない。
今日は同期飲み会だった。
後輩のミスで行けたのは本当に最後。
飲み足りないという私に彼は付き合ってくれた。
彼とは入社当時、部署は違ったが同じ仕事に携わっていた。
きっとあの頃のわたしは、彼が好きだったんだと思う。
けれど仕事で負けたくないなんて私のちっぽけなプライドのせいで、その一線は越えられなかった。
でも、あれから変わった私なら……。
******
2021/05/29 公開
******
表紙 いもこは妹pixivID:11163077
優しい彼
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私の彼は優しい。
……うん、優しいのだ。
王子様のように優しげな風貌。
社内では王子様で通っている。
風貌だけじゃなく、性格も優しいから。
私にだって、いつも優しい。
男とふたりで飲みに行くっていっても、「行っておいで」だし。
私に怒ったことなんて一度もない。
でもその優しさは。
……無関心の裏返しじゃないのかな。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
完結おめでとうございます!!お疲れ様でした!!
最後まで楽しく読ませて頂きました。
一人一人の立ち場がしっかりしていて共感でき、長さも丁度よく読みやすかったです。でも、少しヒーローがガキでヒロインがチョロい感じがあったので、周りのメンバーがかっこよく見えました。それは有りですかね?www
最後まで読んでいただきありがとうございます♪そうですね、もちろんありありです!(笑)一緒に暮らせる相手って誰でもそうという訳じゃないしっくり感があるからなぁーと思って彼らには寄りを戻してもらいましたが、私は、桐山さん派です。。(・_・;)
表紙が本当に素敵です!すごい好み♡
旭ちゃんのあっさりしつつも内心ではすごい悩んでたり乙女になっているところがすごく共感出来ます!!
元鞘に収まるのが結構好きな方なので颯には頑張ってもらいたいです(*^^*)
なのか様
うわあぁー!早速ありがとうこざいます(*´Д`)!嬉しいです。表紙素敵ですよね!書いてくださったまるぶち銀河さんはTwitterとエブリスタにいらっしゃるので是非♪
また明日更新できると思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします。