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第2部 拡大
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上野祐介の日常は、その日を境に消えた。姿を変えたという方が祐介にとって正しいのかもしれない。祐介は、八幡西区市瀬のマンションに住む高校生だ。小学生の頃から始めた野球でスポーツ推薦を貰い、希望が丘高校に入学した。所謂、野球少年だった。そんな祐介は、昨日の飛行機事故により日課のランニングコースにしていた皿倉山に入れず、しばらくはランニングコースを変更しようと、渋々ながら帰宅したのは朝の7時過ぎ。学校に行く準備を終わらせ、家を出て、部活を終えて帰宅、ニュースは相変わらず飛行機事故の話題で一杯だった。
食傷気味に、祐介はチャンネルを次々に回したが、どこも流す映像は同じだ。明日に備えて寝るとしよう、そんな考えが頭を掠めた時、不意にレポーターが生存者がいる、そう叫んだ。
定まらない足取りは、壮絶な事故に巻き込まれ、生き延びた代償かもしれない。だとしたら、神様も随分と酷な事をするものだと、祐介は眉を八の字にした。だが、所詮は他人事だ。気にしたところでどうする事も出来るはずもく、祐介は床についた。
そして、黎明の時、祐介は誰か分からない女性の啼泣に飛び起きた。
まるで腹をくすぐるような、なんともいえない声は、マンションの下から聞こえている。
祐介が住んでいるのはマンションの六階、すぐさまベランダに出た祐介は、その風景に絶句した。一軒家の玄関に群がる人間、仕込みでもしていたのか、馴染みのラーメン屋の店長が店から飛び出した矢先、近場を歩いていた人に押し倒され、首から噴水のように血を噴き出す。それを皿にした手で掬い上げ、数人で囲い飲んでいる。なにより祐介の目をひいたのは、国道二百号線に乱雑に並んだ死体の数と、必死に喰らいつく人間達だ。
祐介は目眩がした。なんだ、これは一体なんなんだ、何が起きてる。
「祐介!起きてるか!祐介!」
聞きなれた声に、祐介は僅かに安堵した。祐介の父親は、警察を生業としている。その父親が狼狽しているのだ。外の凄絶な光景もあって、祐介はただ事ではないと直感した。
「ああ!起きてるよ!」
祐介が返事をすると同時に、部屋の扉が開かれた。
「急いで準備しろ!逃げるぞ!」
「ちょっと待てよ親父!逃げるって何からだ!外にいる奴らと関係あるのか!?」
父親は声を張り上げた。
「大有りだ!良いか?奴らは死んで甦った化け物なんだ!」
「はあ?なんの話しをしてんだよ!」
「とにかく説明はあとだ!早く準備しろ!」
要領を得ない内容に祐介は首を傾げた。しかし、異常事態が起きているのは間違いない。
祐介は手早く着替えを済ませると、なにか武器になりそうなものはないかを探し、部活で使う金属バットを片手に部屋を出た。
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祐介は目眩がした。なんだ、これは一体なんなんだ、何が起きてる。
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