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第12話
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仲間の同意を受け、浩太は腰にあるナイフの柄を握る。あとは、合流した二人が信用に足りる武器の回収に成功していることを祈るだけだ。
住宅街を抜け、四人が車に乗り込むと、背後からトラックの排気音が聞こえた。
※※※ ※※※
「マジか......それ......信じられないぜ……」
「ああ、こんな嘘を吐いても意味ないだろ」
合流後、全員の無事を確認したのちに、起きた出来事を伝えあう。その中で、一番の衝撃は、やはり達也のことだった。
ありのままを話したのは、彰一だ。真一にとって浩太から聞くよりも、脚色をされないという意味では妥当な流れといえるだろう。
がっくりと項垂れた真一とは違い、祐介は至って冷静に訊いた。
「その達也って人が殺したっていうのは確実なんですか?」
彰一が、ちらり、と浩太に視線を送る。
「......ああ、ほぼ確定してると考えてもらって良いだろうな」
諦念の息を吐き、浩太が答える。さきほどのような言い逃れをしないかどうかを彰一は確認したのだろう。
一息空け彰一が言った。
「で、どうする?俺は、正直、合流するのは危険だとは思う。もしも、イカれたままだったらこっちに被害が出る可能性だってある。なにより、一番の問題は信用出来ないって点だ」
真一の目付きが鋭くなるが、譲る気はないとばかりに、彰一は目線を向け続けている。住宅での一件のように険悪な雰囲気が流れ始める中、真一を右腕で制したのは祐介だった。
「彰一の言い分もよく分かるけどさ、やっぱり一度は顔を合わせてみるべきだと思うよ。こんな世界だし、人に疑いをもたなきゃならないけど......」
そこで区切ると、祐介は彰一と目を合わせ一息に言った。
「人間として生きているのに、そんなの寂しすぎるだろ」
彰一は、まばたきを数回繰り返すと、途端に身体を震わせる。祐介の発言に怒りを堪えているのかと身構えたが、顔をあげると同時に笑い声をあげた。祐介は戸惑いつつ、一歩下がる。
「......彰一?」
「いや......あまりにも予想通りすぎてよ。お前ならそう言うだろうとは思ってたよ」
背後にいる阿里沙へ振り返れば、軽くウインクを飛ばされ彰一は苦笑すると、祐介の胸を小突く。
「お前がそう言うなら、俺からは何もない。この話しは終わりにするとして......そっちからはなにかあるか?」
そこからは、祐介が下がり真一が前に出た。
「こっちもいろいろと収穫はあったぜ、良くも悪くもな。どっちから聞きたい?」
さっ、と阿里沙が挙手をする。
「あたしは、悪いほうから聞きたいかな......せっかく気分を持ち直しても、また落ち込むのは嫌だし......」
真一は、分かった、と前置きしてから言う。
「生き残りが少なくなってきているせいか、死者が狙う対象が広がっているみたいだぜ」
浩太が、すかさず疑問を呈示する。
「どういう意味だ?」
「警察署での一件だ。あらかた、武器を回収した俺達は、一匹の犬に出くわしたんだが......」
「まさか、犬が......?」
彰一の若干、震えた声に、真一は何も言わずにただ頷いた。
それだけで全てを理解できた阿里沙は、胸元に加奈子を抱き寄せた。
「つまり、あたし達にとって警戒しなきゃいけない対象が増えたって意味ですよね?」
阿里沙の言葉に一同は沈黙した。それは、詰まるところ生き残れる確率の低下を示唆する余りにも重い一言だった。
住宅街を抜け、四人が車に乗り込むと、背後からトラックの排気音が聞こえた。
※※※ ※※※
「マジか......それ......信じられないぜ……」
「ああ、こんな嘘を吐いても意味ないだろ」
合流後、全員の無事を確認したのちに、起きた出来事を伝えあう。その中で、一番の衝撃は、やはり達也のことだった。
ありのままを話したのは、彰一だ。真一にとって浩太から聞くよりも、脚色をされないという意味では妥当な流れといえるだろう。
がっくりと項垂れた真一とは違い、祐介は至って冷静に訊いた。
「その達也って人が殺したっていうのは確実なんですか?」
彰一が、ちらり、と浩太に視線を送る。
「......ああ、ほぼ確定してると考えてもらって良いだろうな」
諦念の息を吐き、浩太が答える。さきほどのような言い逃れをしないかどうかを彰一は確認したのだろう。
一息空け彰一が言った。
「で、どうする?俺は、正直、合流するのは危険だとは思う。もしも、イカれたままだったらこっちに被害が出る可能性だってある。なにより、一番の問題は信用出来ないって点だ」
真一の目付きが鋭くなるが、譲る気はないとばかりに、彰一は目線を向け続けている。住宅での一件のように険悪な雰囲気が流れ始める中、真一を右腕で制したのは祐介だった。
「彰一の言い分もよく分かるけどさ、やっぱり一度は顔を合わせてみるべきだと思うよ。こんな世界だし、人に疑いをもたなきゃならないけど......」
そこで区切ると、祐介は彰一と目を合わせ一息に言った。
「人間として生きているのに、そんなの寂しすぎるだろ」
彰一は、まばたきを数回繰り返すと、途端に身体を震わせる。祐介の発言に怒りを堪えているのかと身構えたが、顔をあげると同時に笑い声をあげた。祐介は戸惑いつつ、一歩下がる。
「......彰一?」
「いや......あまりにも予想通りすぎてよ。お前ならそう言うだろうとは思ってたよ」
背後にいる阿里沙へ振り返れば、軽くウインクを飛ばされ彰一は苦笑すると、祐介の胸を小突く。
「お前がそう言うなら、俺からは何もない。この話しは終わりにするとして......そっちからはなにかあるか?」
そこからは、祐介が下がり真一が前に出た。
「こっちもいろいろと収穫はあったぜ、良くも悪くもな。どっちから聞きたい?」
さっ、と阿里沙が挙手をする。
「あたしは、悪いほうから聞きたいかな......せっかく気分を持ち直しても、また落ち込むのは嫌だし......」
真一は、分かった、と前置きしてから言う。
「生き残りが少なくなってきているせいか、死者が狙う対象が広がっているみたいだぜ」
浩太が、すかさず疑問を呈示する。
「どういう意味だ?」
「警察署での一件だ。あらかた、武器を回収した俺達は、一匹の犬に出くわしたんだが......」
「まさか、犬が......?」
彰一の若干、震えた声に、真一は何も言わずにただ頷いた。
それだけで全てを理解できた阿里沙は、胸元に加奈子を抱き寄せた。
「つまり、あたし達にとって警戒しなきゃいけない対象が増えたって意味ですよね?」
阿里沙の言葉に一同は沈黙した。それは、詰まるところ生き残れる確率の低下を示唆する余りにも重い一言だった。
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