300 / 419
第5話
しおりを挟む
新崎に危害を加えようとした真一は、古賀達也により背中から羽交い締めにされ勢いを失った。それでもなお、真一は達也の拘束を逃れようと身を捩っている。
「放せ、達也!コイツは......!コイツを二、三発ぶん殴らないと、俺の気が収まらないぜ!」
「落ち着け真一!さっき全員で話し合っただろうが!新崎の携帯で助けを呼べるか確認するってよ!」
「けど、コイツは......!」
「分かってる!俺達だって同じ気持ちだ!けど、ここは堪えろ!」
両肩を大きく震わせていた真一だが、達也の声に、徐々に落ち着きを取り戻していく。しかし、やはり、鼻息だけは荒く、目付きも鋭いままだった。
真一を離さずに、達也は目配せで浩太を見やり、静かに首を振られたことに対して、明らかな落胆を顔に表すと、一拍置いて新崎を睥睨する。
「新崎、テメエは、どこまで卑怯者に成り下がるつもりだ?このままじゃ、ただの屑になっちまうぞ」
横たわった状態で、新崎は短く笑った。
「なんだ……?ショパーズモールで会った時とは、随分な温度差だな……あの時のお前は、がむしゃらに俺を殺そうとする気迫があったぞ」
「......見くびんなよ?テメエが大地を囮にして暴徒から逃げた光景を全て覚えてんだ。俺は、浩太や真一よりも、テメエを殺してやりてえと考えてんだよ。だが、それは今じゃねえ、それだけの理由で生きてるっこと、忘れんじゃねえぞ」
「なら、その狂犬の首輪にでもなってやるんだな……今にも俺に噛み付いてきそうだ」
新崎の一言一句にさえ、真一が過剰に反応していることが、抑えている達也にも伝わっている。
それだけに、新崎は真一から視線を外さずに警戒しつつ、浩太の右手へ神経を預けていた。
命綱ともいえる携帯電話を奪わなければ、新崎の命はないだろう。しかし、そこで一つの懸念がある。三人の会話から察するに、あれから一度も野田は新崎に連絡を寄越していないのだろう。そして、この状態だと新崎よりも先に、浩太が通話に出てしまうことになる。
そうなれば、任務の失敗が露見し、間違いなく野田から見限られてしまう。そんな事態は、なんとしても免れなければならない。その為には、この場の主導権を握る必要がある。
新崎が、ぐっ、と眉間を狭め、改めて口火を切ろうとすると、同時に再び、扉が開いた。入ってきたのは、高校生ほどの少年だ。
「真一さんの声が聞こえたんだけど......大丈夫ですか?」
祐介は、そう言って新崎へ目を移した。
「......ああ、悪かったな。ちょっとゴタゴタしてしまった。安心してくれ、祐介」
浩太の返答に、祐介は何かを察したのか、ほんの少しだけ間を空けて頷いた。続けて、達也が尋ねる。
「阿里沙ちゃんと加奈子ちゃんは?」
「二人とも二階で寝てます。今日は、本当にいろいろありすぎましたから......」
四人は揃って沈痛な面持ちで俯いた。
「放せ、達也!コイツは......!コイツを二、三発ぶん殴らないと、俺の気が収まらないぜ!」
「落ち着け真一!さっき全員で話し合っただろうが!新崎の携帯で助けを呼べるか確認するってよ!」
「けど、コイツは......!」
「分かってる!俺達だって同じ気持ちだ!けど、ここは堪えろ!」
両肩を大きく震わせていた真一だが、達也の声に、徐々に落ち着きを取り戻していく。しかし、やはり、鼻息だけは荒く、目付きも鋭いままだった。
真一を離さずに、達也は目配せで浩太を見やり、静かに首を振られたことに対して、明らかな落胆を顔に表すと、一拍置いて新崎を睥睨する。
「新崎、テメエは、どこまで卑怯者に成り下がるつもりだ?このままじゃ、ただの屑になっちまうぞ」
横たわった状態で、新崎は短く笑った。
「なんだ……?ショパーズモールで会った時とは、随分な温度差だな……あの時のお前は、がむしゃらに俺を殺そうとする気迫があったぞ」
「......見くびんなよ?テメエが大地を囮にして暴徒から逃げた光景を全て覚えてんだ。俺は、浩太や真一よりも、テメエを殺してやりてえと考えてんだよ。だが、それは今じゃねえ、それだけの理由で生きてるっこと、忘れんじゃねえぞ」
「なら、その狂犬の首輪にでもなってやるんだな……今にも俺に噛み付いてきそうだ」
新崎の一言一句にさえ、真一が過剰に反応していることが、抑えている達也にも伝わっている。
それだけに、新崎は真一から視線を外さずに警戒しつつ、浩太の右手へ神経を預けていた。
命綱ともいえる携帯電話を奪わなければ、新崎の命はないだろう。しかし、そこで一つの懸念がある。三人の会話から察するに、あれから一度も野田は新崎に連絡を寄越していないのだろう。そして、この状態だと新崎よりも先に、浩太が通話に出てしまうことになる。
そうなれば、任務の失敗が露見し、間違いなく野田から見限られてしまう。そんな事態は、なんとしても免れなければならない。その為には、この場の主導権を握る必要がある。
新崎が、ぐっ、と眉間を狭め、改めて口火を切ろうとすると、同時に再び、扉が開いた。入ってきたのは、高校生ほどの少年だ。
「真一さんの声が聞こえたんだけど......大丈夫ですか?」
祐介は、そう言って新崎へ目を移した。
「......ああ、悪かったな。ちょっとゴタゴタしてしまった。安心してくれ、祐介」
浩太の返答に、祐介は何かを察したのか、ほんの少しだけ間を空けて頷いた。続けて、達也が尋ねる。
「阿里沙ちゃんと加奈子ちゃんは?」
「二人とも二階で寝てます。今日は、本当にいろいろありすぎましたから......」
四人は揃って沈痛な面持ちで俯いた。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
【1分読書】意味が分かると怖いおとぎばなし
響ぴあの
ホラー
【1分読書】
意味が分かるとこわいおとぎ話。
意外な事実や知らなかった裏話。
浦島太郎は神になった。桃太郎の闇。本当に怖いかちかち山。かぐや姫は宇宙人。白雪姫の王子の誤算。舌切りすずめは三角関係の話。早く人間になりたい人魚姫。本当は怖い眠り姫、シンデレラ、さるかに合戦、はなさかじいさん、犬の呪いなどなど面白い雑学と創作短編をお楽しみください。
どこから読んでも大丈夫です。1話完結ショートショート。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/1/14:『でんしれんじ』の章を追加。2026/1/21の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/13:『こえ』の章を追加。2026/1/20の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/12:『あけてはいけない』の章を追加。2026/1/19の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/11:『みきさー』の章を追加。2026/1/18の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/10:『つかまれる』の章を追加。2026/1/17の朝8時頃より公開開始予定。
2026/1/9:『ゆうじんのかお』の章を追加。2026/1/16の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/8:『ついてきたもの』の章を追加。2026/1/15の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる