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第11話
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田辺は、そこで思考を止めて一拍の間をあけた。
また、自身の正義感に振り回され始めている。どうしても助けたい、そんな気持ちが専攻してしまっている。田辺は息を呑んで、薄く吐き出した。
「......申し訳ありません、少しばかり意識をしすぎてしまっていました。岡島さん、僕の話しを聞いて頂けますか?」
「......ようやく、胸襟を開いて話しがてきるのか?」
浩太は、唇に指を当てて一同を見回した。充電はあと、60パーセントは残っていることを確かめて言った。
「話しを聞くよ。なんだ?」
「ズバリ、九州地方感染事件は何故、起きたのか......です」
その言葉に、全員が心臓を鷲掴みにされたように大きく目を見開いた。
生唾を飲み込んだ浩太は、締まった喉を無理矢理に抉じ開けたような痛みを伴いながら先を促す。
「では、まず、感染事件の概要から説明を始めます。始まりは、とある連続殺人鬼の凶行でした。彼の名前は東、日本史上、類を見ない凶悪な殺人狂です」
東、と口の中に含んで眉間に深い皺を刻んだのは、達也と祐介だった。
「過去に東が東京に潜伏しているという情報を得た僕は、奴を追い詰める寸前、とある事件で傷心してしまい、取り逃がす失態を犯してしまいました。その事件とは、その場にいる皆さんも覚えていると思います」
「......どんな事件だ?」
浩太がそう尋ねると、田辺は、間を置かずに息を吸い込んだ。
「池袋の公園で、女性のバラバラ死体が発見された未解決事件です。あの犠牲者は、僕の近しい女性でして......名前は野田涼子......野田さんの奥様にあたる女性でした」
「ちょっと待て......つまりそれは......」
「はい。あなた方の救助を申し出ている我々の内の一人です」
その事件ならば、はっきりと覚えている。当時は、大きく世間を騒がせていた。様々な憶測が飛び交ったにも関わらず、報道の内容や進展もなく、いつの間にか、誰も口にしなくなった凄惨な事件だった。父親が警察官だということもあるのだろうが、若い祐介ですらも渋面しているような一件、その被害者と関わりのある人物と会話をしている違和感は、突如、火の勢いを増した対岸の火事が間近に迫ってきているような感覚に似ていた。
「話しを続けますが、その後、僕は福岡の警察と連絡をとり、東の情報を伝え逮捕となりましたが、ここで一人の男が、とてつもない憎悪を募らせていました。それが、ここにいる野田さんです」
一言も発さず、一言も聴き逃すことなくと、耳を澄ましている為か、廓寥とした室内に、田辺の声だけが響いている。
「復讐心が塑性した物質のように戻らなかった彼は、東の死を強く願うようになり、やがて、ある薬品を作り出しました。それが......」
また、自身の正義感に振り回され始めている。どうしても助けたい、そんな気持ちが専攻してしまっている。田辺は息を呑んで、薄く吐き出した。
「......申し訳ありません、少しばかり意識をしすぎてしまっていました。岡島さん、僕の話しを聞いて頂けますか?」
「......ようやく、胸襟を開いて話しがてきるのか?」
浩太は、唇に指を当てて一同を見回した。充電はあと、60パーセントは残っていることを確かめて言った。
「話しを聞くよ。なんだ?」
「ズバリ、九州地方感染事件は何故、起きたのか......です」
その言葉に、全員が心臓を鷲掴みにされたように大きく目を見開いた。
生唾を飲み込んだ浩太は、締まった喉を無理矢理に抉じ開けたような痛みを伴いながら先を促す。
「では、まず、感染事件の概要から説明を始めます。始まりは、とある連続殺人鬼の凶行でした。彼の名前は東、日本史上、類を見ない凶悪な殺人狂です」
東、と口の中に含んで眉間に深い皺を刻んだのは、達也と祐介だった。
「過去に東が東京に潜伏しているという情報を得た僕は、奴を追い詰める寸前、とある事件で傷心してしまい、取り逃がす失態を犯してしまいました。その事件とは、その場にいる皆さんも覚えていると思います」
「......どんな事件だ?」
浩太がそう尋ねると、田辺は、間を置かずに息を吸い込んだ。
「池袋の公園で、女性のバラバラ死体が発見された未解決事件です。あの犠牲者は、僕の近しい女性でして......名前は野田涼子......野田さんの奥様にあたる女性でした」
「ちょっと待て......つまりそれは......」
「はい。あなた方の救助を申し出ている我々の内の一人です」
その事件ならば、はっきりと覚えている。当時は、大きく世間を騒がせていた。様々な憶測が飛び交ったにも関わらず、報道の内容や進展もなく、いつの間にか、誰も口にしなくなった凄惨な事件だった。父親が警察官だということもあるのだろうが、若い祐介ですらも渋面しているような一件、その被害者と関わりのある人物と会話をしている違和感は、突如、火の勢いを増した対岸の火事が間近に迫ってきているような感覚に似ていた。
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一言も発さず、一言も聴き逃すことなくと、耳を澄ましている為か、廓寥とした室内に、田辺の声だけが響いている。
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