感染

宇宙人

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第14話

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    浩太の脳裏に甦った光景は、中間のショッパーズモールでの一件だった。
    まさか、田辺が言っていた偵察機とは、あのアパッチのことだろうか。いや、間違いなくそうだ。
    生き残るための行動が、いつの間にか、破滅への足掛かりとなっていた事実に、愕然としたのは浩太だけではない。祐介も右の拳を震わせて、そんな理不尽な話しがあるかと、地面を強く殴り付けていた。 

「なんで......ここまできて......どうしてこんな......」

    祐介が失意の底に落とされたような目眩を覚える中、ふと、浩太が顔をあげた。

「......なあ、田辺さん、そんなことをしたら、世界から非難を浴びるぞ、と止められないか?」

「......難しいでしょうね。なにぶん、その件に関しては、野田さんが決めたことではなく、戸部総理の独断だったそうです」

    浩太は、眉をひそめる。

「どういう意味だ?」

「戸部総理は九州地方感染事件について、あくまで一つの実験と捉えていたようです。今回の事件が終われば、他国からの助成金を受け取る計画になっていたようですが、証拠を残せば都合が悪い......そこで、交換条件を提示したのではないかと考えています」

「交換条件......?」

「......薬品の売買です。世の中の複雑な情勢は御存じと思いますが、九州地方の現状から察するに、これほど優れたものはありませんし、閉じ込めさえすれば、処理も手早く終わらせることができる。その過程は分かりませんが、こんなところではないかと推察します」

    歯茎に血が滲むほど、浩太は奥歯を締めた。
    明日の18時までに九州地方を脱出しなければ、大規模な空襲に襲われ、更に時間が過ぎてしまえば、最悪の結果を迎えてしまう。四の五の言っている暇は、もう残されていない。 

「田辺さん、もう堅苦しい話しは無しにしよう。簡潔に言ってくれ、俺達はこれからどうすれば良い?」

「そうですね。そうした方が良さそうですし、現在地はどこですか?」

    新崎に一瞥くれ、浩太は声を潜めて言った。 

「遠賀って地区の盆地にある工場内にいる」

    近場の机に地図でも広げているのか、携帯電話の奥から物音が入ってくる。
    やがて、小さな唸り声と共に、田辺が言う。 

「そこから福岡空港へ向かうことは可能ですか?」

「不可能だ。福岡空港へは、天神や博多、隣接する都市部ならば、どこからでも地下鉄で繋がっている。死者の数は膨大だろうな......正直、こっちには武器も少ない。AK74やM16、イングラムや手榴弾、ベレッタとあるけど、弾丸は合わせて百発あるかどうかだ」

「......では、北九州空港はどうでしょう?」
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