316 / 419
第21話
しおりを挟む
※※※ ※※※
工場の一室に集まった一同は、浩太の話しを訊いて様々な感覚を持っていた。浩太、真一、達也、新崎、祐介、阿里沙、加奈子、それぞれが生き残る為に動き出さなければならないことを否応なく自覚する。
期限は僅か一日と差し迫っており、一刻も無駄にはできない。誰もが口を重くする中、切っ掛けを作ったのは真一だった。
「......どっかの大国からやってくるデカブツと、爆弾や銃弾が入り乱れてのパーティータイム......まったくもって笑えない冗談だぜ。連中、戦争でもおっ始めようってのか、クソッタレ」
不意に真一が言いながら鼻を鳴らした。
それに、浩太が同意するように頷く。
「ああ、だが、事実はどうあれ、この機会を逃す手はないと思う。みんなはどうだ?」
まず、浩太は阿里沙へ視線を投げ、察した阿里沙は、鳩首の場ということもあってか、遠慮がちに口を開いた。
「......あたしは、浩太さんに賛成です。その東京の人達を信用は出来ないけど、彰一君ならそう答えると思いますから......」
その返答に、人知れず影を落としたのは達也だった。
隣に座る真一は、さっ、と一瞥したが、何も言わずに目線を戻して、意見を述べる。
「俺も阿里沙ちゃんに同意するぜ。けど、やっぱり不安材料は、しっかりと取り除いておきたい」
不安材料との言葉と共に、全員の目は自然と新崎へ向いた。凶悪な三拍眼を携えて、真一が詰め寄っていき、芋虫のような状態で横たわる新崎の胸ぐらを掴みあげた。
「新崎、そろそろ、手を借した理由を話さないとマズイことになるぜ?九州脱出の段取りはついたんだ。言うなれば、お前は蟻の巣穴に連れ込まれた虫だ。俺には、その程度の価値しかお前に見いだせないぜ」
両手足を縛られたまま、呼吸をしようともがく様は、まさにその通りだと、達也は納得しつつ、真一を制するように右手を突きだした。
怪訝そうに目を細めた真一だが、新崎を解放せずに振り返る。
「なんだ、達也?」
「真一、ひとまずは新崎を放したほうがいい。そいつ、窒息しちまうぞ」
真一は、新崎を睨目つけると、一拍だけ空けて乱暴に胸ぐらから手を放し、噎せ返る新崎を俯瞰して、一旦、その場から退く。
涙目で咳き込み続けている新崎に対して、聞こえてるか、と尋ねたのは浩太だった。首肯が見えると、少しだけペースを落として言う。
「悪いが真一の言う通り、今のアンタは全く立場がない。俺達はアンタを置いていくことも、外で死者の大群と出くわした際に囮にすることも出来る」
工場の一室に集まった一同は、浩太の話しを訊いて様々な感覚を持っていた。浩太、真一、達也、新崎、祐介、阿里沙、加奈子、それぞれが生き残る為に動き出さなければならないことを否応なく自覚する。
期限は僅か一日と差し迫っており、一刻も無駄にはできない。誰もが口を重くする中、切っ掛けを作ったのは真一だった。
「......どっかの大国からやってくるデカブツと、爆弾や銃弾が入り乱れてのパーティータイム......まったくもって笑えない冗談だぜ。連中、戦争でもおっ始めようってのか、クソッタレ」
不意に真一が言いながら鼻を鳴らした。
それに、浩太が同意するように頷く。
「ああ、だが、事実はどうあれ、この機会を逃す手はないと思う。みんなはどうだ?」
まず、浩太は阿里沙へ視線を投げ、察した阿里沙は、鳩首の場ということもあってか、遠慮がちに口を開いた。
「......あたしは、浩太さんに賛成です。その東京の人達を信用は出来ないけど、彰一君ならそう答えると思いますから......」
その返答に、人知れず影を落としたのは達也だった。
隣に座る真一は、さっ、と一瞥したが、何も言わずに目線を戻して、意見を述べる。
「俺も阿里沙ちゃんに同意するぜ。けど、やっぱり不安材料は、しっかりと取り除いておきたい」
不安材料との言葉と共に、全員の目は自然と新崎へ向いた。凶悪な三拍眼を携えて、真一が詰め寄っていき、芋虫のような状態で横たわる新崎の胸ぐらを掴みあげた。
「新崎、そろそろ、手を借した理由を話さないとマズイことになるぜ?九州脱出の段取りはついたんだ。言うなれば、お前は蟻の巣穴に連れ込まれた虫だ。俺には、その程度の価値しかお前に見いだせないぜ」
両手足を縛られたまま、呼吸をしようともがく様は、まさにその通りだと、達也は納得しつつ、真一を制するように右手を突きだした。
怪訝そうに目を細めた真一だが、新崎を解放せずに振り返る。
「なんだ、達也?」
「真一、ひとまずは新崎を放したほうがいい。そいつ、窒息しちまうぞ」
真一は、新崎を睨目つけると、一拍だけ空けて乱暴に胸ぐらから手を放し、噎せ返る新崎を俯瞰して、一旦、その場から退く。
涙目で咳き込み続けている新崎に対して、聞こえてるか、と尋ねたのは浩太だった。首肯が見えると、少しだけペースを落として言う。
「悪いが真一の言う通り、今のアンタは全く立場がない。俺達はアンタを置いていくことも、外で死者の大群と出くわした際に囮にすることも出来る」
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
【1分読書】意味が分かると怖いおとぎばなし
響ぴあの
ホラー
【1分読書】
意味が分かるとこわいおとぎ話。
意外な事実や知らなかった裏話。
浦島太郎は神になった。桃太郎の闇。本当に怖いかちかち山。かぐや姫は宇宙人。白雪姫の王子の誤算。舌切りすずめは三角関係の話。早く人間になりたい人魚姫。本当は怖い眠り姫、シンデレラ、さるかに合戦、はなさかじいさん、犬の呪いなどなど面白い雑学と創作短編をお楽しみください。
どこから読んでも大丈夫です。1話完結ショートショート。
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
怪奇蒐集帳(短編集)
naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。
怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——
どれもがただの作り話かもしれない。
だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。
本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。
最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる