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フェルディナとの対決(1)
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エルンは気配を感じて空を見上げた。遥か上空、太陽の中に黒い姿があった。
「あなたは?」
「私? 私はフェルディナ」
「あなたが復活したというフェルディナさんですか?」
「わたしが魔女のグロス・フェルディナ。お見知りおきを。あなたがエルンね」
「ハッソさんをなぜ?」
「もう、用済みですからね。もはやじゃまの域でした」
「なにも殺さなくても……人の命を何だと思ってるんですか」
「ハッソから聞いてますよ。なかなかのガキだそうですね」
「……僕にとってはあなたがじゃまです。せっかく蘇ったところ申し訳ありませんが、元の柩に戻ってくれませんか?」
「ご免こうむりますわ。ガキめ! 三七七年閉じ込められていたんですよ。もう地獄でしたわ」
「では力ずくで戻っていただきますが、それでもよろしいですか?」
「面白いことをお言いになるガキですこと。やってみてごらんなさい。オホホホホホホホホホホホ……」
フェルディナは口元に手を当て、身をくねらせて笑った。小指が立ってるのが無性に腹が立つ。
「エルンとやら、あなたも柩でしょ。運のいいことに肉体の柩。でも私が解除して差し上げましょうか? ただの肉の塊になっちゃいますわよ」
「私が相手をさせてもらうわ。この子はまだ子供です」
ゾフィーが割り込んだ。
「先生には関係ないことです。僕がなんとかします」
「あなたにあの魔女の相手は無理。あなたが想像もできない化け物なのよエルン」
「あなたがゾフィーさん? たかだか魔法学校の先生。魔法隆盛期最強と謳われたこのグロス・フェルディナ様を衰退期三流魔法使いが相手するとはちゃんちゃらおかしな話ではございませんか」
「どうであれ、私には、この子を守る義務があるの。全力で戦わせてもらうわ」
「美しき師弟愛ですこと。涙がちょちょぎれますこと」
エルンは封印することと、封印を解くことには自信がある。この国で一位とは言わないが十位くらいには入るつもりだ。
——しかも、あの物言い、すごく腹が立つんですけど——
「じゃあ、僕の方から行きます」
「何をしてくれるのかしら。楽しみだわ」
エルンはフェルディナに向かって両手を挙げた。
「ディヴァイネ・クラフト・ファンゲ・ディ・シュヴァルツ・ヘクセ・イン・デム・ザンクト・ゲヴェルベ。(神聖なる力よ、黒き魔女を聖なる箱に捕らえよ)」
「ほー、どこかで聞いたような呪文ね。神から授けられたのかしら? でもね、私ほどともなると同じ魔法は二度と効かないのよ。知ってた?」
——えっ——
エルンの両腕から放たれた魔法の光柱はフェルディナへと向かって放たれたが、フェルディナはそれをあっけなく跳ね返す。
跳ね返された光柱はそのままエルンへと帰ってきた。
強力な反射魔法によるものだ。
まさかこれを返されるとは思わなかった。
危険を感じたゾフィーがエルンを跳ね飛ばした。
間一髪のところで外れ、直撃を免れた。
直撃していたら、魂が解除されるところだった。すなわち死だ。
「じゃましてくれるわねゾフィー先生。あれを直撃させればエルンを肉の塊にできたのに。あなたもただじゃすまないわよ」
「エルン、あなたでは、まだあの魔法使いには太刀打ちできないわ。下がってなさい」
「そうこなくっちゃね、先生。エルンは後でゆっくり……」
フェルディナは嬉しそうだ。
「なぜエルンを狙うのかしら、それだけ教えてくださらない?」
「そのことね、いいわ。ハッソも余計なことしゃべっちゃったし、教えてあげる。ただし、これはあくまでも六百年前の伝説によるもの。真実かどうかは私も知らない。それでいいかしら?」
「いいわ、それで」
「時間稼ぎかしら?……まあ、いいわ。……それによれば、この時代に現れたエルンは反逆者となるわけ。特に我々魔法使いにとってはね。……神は当時、魔法の世界を創造するか、それとも別の世界を創造するか迷っていた。様々な世界を検分し、さんざん迷った挙句、魔法の世界を造ると決めたが、それに反対する者がいた。当時、神の側近であり大魔法使いであったヴェリカ・イゾルテ。イゾルテは魔法というものを自分だけのものにしておきたく、神に進言した。「魔法は特別なもので特別な者だけが使用し、大衆にその能力を与えるべきではない」と。しかし、神はその進言を無視し、大衆へもその能力を広げようとした。それにより神とイゾルテとの間に亀裂が生じ、壮絶な戦争へと発展した。結果、当然のように神が勝利し、怒りを買ったイゾルテは柩へと封印された。神の勝利により人々は魔法という能力を得、魔法の真理を解き明かすこととなった。それが千八百年前のこと。真理が解き明かされてから約千二百年で今の魔法の大部分が開発され、その後はほぼそれを継承するだけとなった。……それくらいは知ってると思うけど……継承するだけで魔法に頼る堕落した人間たちを見た神はそれをよく思っていないわけよ。神は、自らの過ちを後悔した。そこで神は考慮の末決断した。過去の時代に戻すことを」
「だからイゾルテの魂を閉じ込めた箱は、神からすると罪業の柩というわけ?」
「神は、その柩の探索と解除をエルンに託した。そうよねエルン」
「よくわからないけど、託されたことは事実です。だけどその封印を解除するとどうなるかは、僕は聞かされてません」
フェルディナは笑った。
「わからないのかしら? 魔法が支配する世界が終わると……科学が支配する世界になるのよエルン。あなたが生きていた世界がはじまるの」
エルンはあの神の顔を思い出した。
あのひょうひょう爺ぃさん、一体何を考えているのか……
「あなたは?」
「私? 私はフェルディナ」
「あなたが復活したというフェルディナさんですか?」
「わたしが魔女のグロス・フェルディナ。お見知りおきを。あなたがエルンね」
「ハッソさんをなぜ?」
「もう、用済みですからね。もはやじゃまの域でした」
「なにも殺さなくても……人の命を何だと思ってるんですか」
「ハッソから聞いてますよ。なかなかのガキだそうですね」
「……僕にとってはあなたがじゃまです。せっかく蘇ったところ申し訳ありませんが、元の柩に戻ってくれませんか?」
「ご免こうむりますわ。ガキめ! 三七七年閉じ込められていたんですよ。もう地獄でしたわ」
「では力ずくで戻っていただきますが、それでもよろしいですか?」
「面白いことをお言いになるガキですこと。やってみてごらんなさい。オホホホホホホホホホホホ……」
フェルディナは口元に手を当て、身をくねらせて笑った。小指が立ってるのが無性に腹が立つ。
「エルンとやら、あなたも柩でしょ。運のいいことに肉体の柩。でも私が解除して差し上げましょうか? ただの肉の塊になっちゃいますわよ」
「私が相手をさせてもらうわ。この子はまだ子供です」
ゾフィーが割り込んだ。
「先生には関係ないことです。僕がなんとかします」
「あなたにあの魔女の相手は無理。あなたが想像もできない化け物なのよエルン」
「あなたがゾフィーさん? たかだか魔法学校の先生。魔法隆盛期最強と謳われたこのグロス・フェルディナ様を衰退期三流魔法使いが相手するとはちゃんちゃらおかしな話ではございませんか」
「どうであれ、私には、この子を守る義務があるの。全力で戦わせてもらうわ」
「美しき師弟愛ですこと。涙がちょちょぎれますこと」
エルンは封印することと、封印を解くことには自信がある。この国で一位とは言わないが十位くらいには入るつもりだ。
——しかも、あの物言い、すごく腹が立つんですけど——
「じゃあ、僕の方から行きます」
「何をしてくれるのかしら。楽しみだわ」
エルンはフェルディナに向かって両手を挙げた。
「ディヴァイネ・クラフト・ファンゲ・ディ・シュヴァルツ・ヘクセ・イン・デム・ザンクト・ゲヴェルベ。(神聖なる力よ、黒き魔女を聖なる箱に捕らえよ)」
「ほー、どこかで聞いたような呪文ね。神から授けられたのかしら? でもね、私ほどともなると同じ魔法は二度と効かないのよ。知ってた?」
——えっ——
エルンの両腕から放たれた魔法の光柱はフェルディナへと向かって放たれたが、フェルディナはそれをあっけなく跳ね返す。
跳ね返された光柱はそのままエルンへと帰ってきた。
強力な反射魔法によるものだ。
まさかこれを返されるとは思わなかった。
危険を感じたゾフィーがエルンを跳ね飛ばした。
間一髪のところで外れ、直撃を免れた。
直撃していたら、魂が解除されるところだった。すなわち死だ。
「じゃましてくれるわねゾフィー先生。あれを直撃させればエルンを肉の塊にできたのに。あなたもただじゃすまないわよ」
「エルン、あなたでは、まだあの魔法使いには太刀打ちできないわ。下がってなさい」
「そうこなくっちゃね、先生。エルンは後でゆっくり……」
フェルディナは嬉しそうだ。
「なぜエルンを狙うのかしら、それだけ教えてくださらない?」
「そのことね、いいわ。ハッソも余計なことしゃべっちゃったし、教えてあげる。ただし、これはあくまでも六百年前の伝説によるもの。真実かどうかは私も知らない。それでいいかしら?」
「いいわ、それで」
「時間稼ぎかしら?……まあ、いいわ。……それによれば、この時代に現れたエルンは反逆者となるわけ。特に我々魔法使いにとってはね。……神は当時、魔法の世界を創造するか、それとも別の世界を創造するか迷っていた。様々な世界を検分し、さんざん迷った挙句、魔法の世界を造ると決めたが、それに反対する者がいた。当時、神の側近であり大魔法使いであったヴェリカ・イゾルテ。イゾルテは魔法というものを自分だけのものにしておきたく、神に進言した。「魔法は特別なもので特別な者だけが使用し、大衆にその能力を与えるべきではない」と。しかし、神はその進言を無視し、大衆へもその能力を広げようとした。それにより神とイゾルテとの間に亀裂が生じ、壮絶な戦争へと発展した。結果、当然のように神が勝利し、怒りを買ったイゾルテは柩へと封印された。神の勝利により人々は魔法という能力を得、魔法の真理を解き明かすこととなった。それが千八百年前のこと。真理が解き明かされてから約千二百年で今の魔法の大部分が開発され、その後はほぼそれを継承するだけとなった。……それくらいは知ってると思うけど……継承するだけで魔法に頼る堕落した人間たちを見た神はそれをよく思っていないわけよ。神は、自らの過ちを後悔した。そこで神は考慮の末決断した。過去の時代に戻すことを」
「だからイゾルテの魂を閉じ込めた箱は、神からすると罪業の柩というわけ?」
「神は、その柩の探索と解除をエルンに託した。そうよねエルン」
「よくわからないけど、託されたことは事実です。だけどその封印を解除するとどうなるかは、僕は聞かされてません」
フェルディナは笑った。
「わからないのかしら? 魔法が支配する世界が終わると……科学が支配する世界になるのよエルン。あなたが生きていた世界がはじまるの」
エルンはあの神の顔を思い出した。
あのひょうひょう爺ぃさん、一体何を考えているのか……
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