どうやら俺は、魔王を倒した英雄の両親より強いらしい。~オリハルコンを斬ってくっつけたら試験無しで王立学園に入学、いろいろやらかすハメに

試運転中

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Ⅰ 両親が英雄だなんて聞いてない

1-7.

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 実家でも文献なりで見ていたし、入学前のパンフレットでもわかってたつもりだったが……この学園、めちゃくちゃ広いし施設が多い。なのにあんな無用のバトルで時間を使ってしまい、皆にはただただ申し訳なく。

 というわけで、あっという間に太陽は真上に。利用体験も兼ね、学生食堂で昼食タイムとなった。
「食堂前の看板『今日のメニュー』を見て、俺はAランチ───唐揚げとポテサラのセットにした。

「ケイは『ハイカラセット』にしたんだねっ」
「剣帝様と聖姫様が考えた料理らしいよ。王国じゃ新しすぎて〝ハイカラ〟って名前になったんだって」

 俺にとっては家庭の味。唐揚げとポテサラだけは、おかんが唯一バスチァンに勝てる料理って言ってたし、実際ウマい。
 
「はい、おかず交換タイム~。チャッポ君のお肉もちょうだいねっ」
「こうやって食べるの、楽しいね」
「取り分けが上手いな」
「小さい頃よく学園長おじいちゃんにしてもらったんだ。パパには『はしたない』って言われるけど」

 いつの間にか俺たち三人組になっている。同世代の人間と食事なんて初めてで、確かに楽しい。

 
 突然、学食内がざわめき立った。
 皆が皆、注目する先に目をやると、光のオーラを放つ(ように見える)威風堂々たる集団が。俺はその先頭を歩く、いっそうきらびやかな女子に目を奪われた。
 
 (セラフィナ=ヴァルグレイン……!)

「出ました、〝奇跡の集団〟生徒会一同。相変わらず全員、整ってるわ~」
「聞いたことあるよ。みんな魔武両道を往く才子才媛で、家柄も含め揃いすぎだって」

 魔武両道……う~ん。俺の見立てはさておき、全員、気品と知性に満ちているのはわかる。

「まあ、同い年で競い合う相手がいるのはいいことだよな。俺は今までそういうのがなかったから」

 なんて感慨深く唐揚げを頬張っている時だった。
 
「そこの黒髪の男っ、こっちを向けっ」

 背後で声を荒げるやつがいる。
 突然勢いよく肩をつかまれたもんで、反射的に手首を捻り上げてしまった。

「───ぐあっ」
「対話の順序を知らないやつが多いなあ。何なんだお前」
「放せ下賤げせんが、よくも姉上のっ……」
「言いたい放題だが、姉って何のことだ」
 
「ケイ、それ以上はだめぇ───っ!」
「け、ケイ君っ、その手を早く離してっ」
 
 血相を変えて慌てふためくミルマリとチャッポが、締め上げる俺の腕をつかむ。
 従って手を離すと、慌てて態勢を整えながらも、俺を睨みつける男子。
 
 あれ、こいつ。ブロンドの短髪に……みどりの瞳。

「そこの者っ、ノエルに何を……あっ!」

 駆けつけたセラフィナが、同じく﹅﹅﹅翠の瞳で俺を捉えて驚く。次いで生徒会面々がわらわらと集まって来た。学食内、一気に騒然。そして概ね察した俺。

「お前ぇっ、白昼堂々、王族に狼藉とは何事だあっ」

 筋肉質な赤髪がデカい声を出す。俺は両手を挙げて他意が無いことを示した。

「この人が突然後ろから俺の肩をつかんだので。反射的に防御しました」
「ごご、ごめんなさいっ。ケイはその、お二人のことをよく知らないんですっ」

 割って入ってくれるミルマリに、かまわず激昂する赤毛。
 
「その方は王族だっ。直ちに謝罪せよっ」
「俺が無礼を受けたほうなのに謝るのか? どうなってるんだこの国の法は」
「おやめなさい」

 静やかに場をいさめるセラフィナ。

「ノエル。今のお話に、間違いはありませんか」
「無礼などっ。呼んだのに応えませんでしたので、やむなく肩をつかんだだけです」
「『黒髪の男』って言われてもな。俺にはケイって名前がありますから」
「そうなのですか、ノエル」
「くっ、それは……」

 セラフィナは嘆息をついて、俺に頭を下げた。

「礼をしっしたのは、こちらのようですね。代わってお詫び申し上げます」
「いえ。俺のほうこそ〝先日の件〟でお詫びに参じようと思っておりましたので」

 俺の返しに一瞬はっとしたものの、セラフィナはすぐに目を逸らした。

「と、とにかく……皆さま、お食事中にお騒がせして、申し訳ございませんでした」

 美しい所作でまっすぐに伸びた背中を見せ、去っていくも……耳が真っ赤になってる。
 生徒会連中も併せて撤収していくが、ノエルってやつだけはずっと俺を睨んでいた。
 
「ちょちょちょっ……ケイってば! 王族と揉めるなんて、何を考えてるのっ」
「そうだよっ。学園を退学どころじゃなくなっちゃうよ!」

 悲壮感いっぱいのミルマリとチャッポ。さすがにマズいのはわかるが……当人の俺よりこれって。
 いや、二人には迷惑をかけてしまった。そして俺は、俺自身を脅かすものに容赦がなさすぎる。しかし反射で動いてしまうのは、どうすればいいのかと。

「とりあえず邸の書庫で、処世術の本でも探してみるか」

 軽口をたたいてみる一方で、普通の生活が刻々と遠のいていくのを感じた。
 
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