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瓦礫に花を咲かせましょう?
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オリオーン・スラム街を取り仕切る闇ギルドの許可を受けて、スラム街南方地域は大規模な取り壊しが始まっている。
騒音がすごいのだが、そもそもスラムの奥で起きていることなので、一般市街区の人々は気にはなるなだが近寄ることはない。
そして取り壊しが起きているという事は、大勢の人が働いているという事で、それが慣れない土木現場となると怪我人も頻発する。
「……なんで今日は、こんなに怪我人が多いのじゃ?」
定期診療でスラムを訪れた日。
いつもよりも怪我人が多いことに玄白は気がつく。
それも、打身や捻挫などが多く、なかには単純骨折したものもやってきている。
その怪我人たちを一人、また一人と治療していくのだが、いつもよりも数が多すぎる。
「いや、この先の区画の建物を壊して、畑を作ってある最中で。冒険者崩れの奴らが中心になって建物を取り壊しているんだが、慣れない仕事が多すぎてな」
「大工とかはおらんのか? そんなに取り壊しには時間がかかるものなのか」
「流石になぁ、基礎もしっかりと作られてあるし、この街は石造りの建物が多いからさ」
「石造り? ははぁ、なるほど」
玄白の故郷の江戸は、基本的には木造造りの建物しかない。
お城の石垣などでは石を組み上げて作るものの、オリオーンのようにほとんどが石造の民家など存在していなかった。
玄白も、患者の話を聞いて、改めて周囲の建物を見渡す。
「こりゃあ、骨が折れる仕事じゃなぁ」
「まあ、それでも予定の半分ぐらいは解体が終わったし、その辺りは瓦礫を片付けるだけだから。もう畑になった場所もあるからなぁ」
「そりゃあすごいな。まあ、何事も安全に頼むぞ。せっかくの畑ができても、怪我をして動けなくなったら元も子もないからな」
「そうだよなぁ……そうだ、俺たちの仲間の一人が、屋根から落ちて体が動かなくなったんだが、それを治す事はできるか?」
高いところから落ちた?
「それを先に言え!! 往診するから案内せい!!」
「あ、ああ、こっちだ」
かつての玄白の診療所にも、屋根の葺き替え作業中に屋根から落ちて、腰から下が痺れて動かなくなったという人が運ばれてきたことがある。
今回もその類だろうと思って、往診に向かったのだが。
予想外に酷い怪我であった。
「……よお、アラン。俺はもう死ぬのか? 神のみ使い様が訪れたようだが」
「そんなはずがあるか。ランガクイーノさんが往診してくれたんだよ、先生、お願いします」
「どお~れ。すまんが触るぞ」
解体新書を開いて患者に触れる。
するとページが開いて、怪我の度合いなどが表示されるのだが。
「脊髄損傷……ふむ、こりゃあ大変じゃな。ちょっと待つが良い、治療術を調べてみるか」
蘭学医としては、脊髄損傷の完全治癒などまだ未知の領域。
だが、解体新書ならば、なんとかなるかもしれないと考える。
その玄白の予想は正しく、手術式により患部を開き、エリクシールを直接損傷部位に浸透させる事で治癒は可能となる。
これはエリクシールを飲んでも効果は出るのだが、玄白としては、手術式を試したくなってしまった。
「よし!!緊急手術を始める。すまないが部屋から出ていてくれるか?」
「緊急手術? それは何をするんだ?」
「良いから部屋から出てくれ。あとはこっちで上手くやるからな」
グイグイと案内してくれた男を部屋から押し出し、早速手術式を開始する。
解体新書により室内を浄化し、麻酔を施し、魔力によって具現化した手術道具を使って、患部をゆっくひと開いていく。
「これは、予想外に難しいな……」
精密作業を行うので、玄白の右目の部分には拡大鏡が作られている。
それを駆使しつつ、余計な部分に傷をつけないように切り開いていくと、損傷した脊髄の治癒を開始する。
「エリクシール……。これを浸透させるために、噴霧器? それで塗布するのじゃな」
──シュッシュッ
軽く吹きかけて様子を見る。
脊髄が淡く輝き損傷が修復される。
そして解体新書を確認して傷が塞がり再生されたのを確認すると、傷の縫合を開始した。
………
……
…
──スラム街耕作地
近くには、建物を解体した時に出た瓦礫がうずたかく積み上げられている。
初めての畑仕事に腰が痛くなったマルコは、腰を伸ばしながら瓦礫の山を見上げる。
「これ、何かに使えないのかなぁ?」
「さあな。でも、あまり近づくなよ。また追加の瓦礫が届いたらしいからな」
一緒に畑仕事をしている奴が、マルコに話しかける。
当然ながら、その程度のことはマルコも理解しているし、迂闊に近寄るようなことはない。
事実、今もなお、この瓦礫の山には壊したての瓦礫が次々と運び込まれていた。
──バラバラハラッ
すると、なにもしていない瓦礫の山の上から、小さな瓦礫の破片が落ちてくる。
マルコは気づいていなかったが、ちょうどマルコから見た反対側では、瓦礫を山に向かって放り投げる作業が行われている。
そしてて手押し車の中の瓦礫が空になったとき。
──ゴゴゴゴゴゴゴ
爆音を上げて、瓦礫の山が崩壊した。
その麓で作業をしていた2人の男性を飲み込みつつ、瓦礫は瞬く間に周囲に広がっていった。
………
……
…
「な、なんじゃこの音は!! 地震が来たのか!!」
ちょうど縫合も終えて一休みしていた玄白。
すると突然、地響きのような音が周囲から広がり、足元が、家具が大きく振動する。
「こ、これはまた大きな地震じゃな」
「ヒッ!! スギタ先生、これは一体なんですか? ま、まるでスタンビートが起きた様な音ですが!!」
「スタンビートとはなんじゃ?」
「ダンジョンが飽和状態になって、魔物が一斉に噴き出してくるって奴ですよ。このオリオーンは、幾度となくダンジョンスタンビートに襲われていますから!!」
そう叫ぶ患者をよそに、振動がゆっくりと落ち着き、やがて停止する。
建物の外では未だ、大勢の人々の声が聞こえてきて、何かあったのかと野次馬がどこかに向かっている。
「地震ではないな。スタンビートとやらも、こんなに早く終わるのか?」
「いえ、そんな事はありません。ダンジョンコアが破壊されるまでは、永遠に続くと言われていますから」
「では、この様子はなんじゃ?」
玄白も外の様子が気になり、建物から出て行く。
そして人々が走っていく先を見て、思わず絶句した。
「が、瓦礫の津波が起きたのか?」
いくつもの建物が崩れた瓦礫に押し潰されている。
何故、このようなことが起きているのか、玄白にも全く理解できない。
ただ、その瓦礫はまるで生き物のように、あちこちに触手のようなものを伸ばしてウネウネと蠢いていた。
そしてその蠢く瓦礫に対して、幾人もの冒険者らしき男女が攻撃を繰り返していた。
「チッ!! どこのどいつがゴーレムコアなんて隠し持っていたんだよ!!」
「大方、貴族の屋敷から掠め取ったものを隠していたんじゃないか?」
「まったく。普通のゴーレムコアなら、水なり大地なり金属なりで体を構成すりゃあ良いものを」
必死に繰り出す剣戟やら魔法が、ゴーレムの体表を傷つける。
だが、それらは致命的ではなく、すぐに周囲の瓦礫を吸収して再生した。
「ミ、ミヅチさま。このままでは埒があきません」
「とはいえ、放っておいたら建物が飲み込まれて、さらに大きくなっちまうだろうが……なにか手はないのか」
間合いを取るために後ろに飛ぶミヅチとその配下たち。
ちょうどそこには、玄白の姿があった。
「やあ、ランガクイーノ先生。こんなタイミングで自己紹介になってしまって申し訳ない。私はミヅチ、このあたりを取り仕切っている奴だと思ってくれ」
「ほう、噂の闇ギルドの棟梁か。これはどういうことなんじゃ?」
「瓦礫の中にゴーレムコアが混ざっていたらしくてな。いきなり覚醒して暴走したらしい……このままでは、スラムが全滅するだけでなく、このオリオーンがゴーレムに飲み込まれてしまう」
その説明を聞いて、玄白は解体新書を開く。
だが、解体新書は触れたもののデータしか解析できない。
「可能性がないわけではないが。あの、ゴーレムとやらの体を、少し傷つけて回収できないか?」
「あぁ? なんとかできるのかよ?」
「分からん。分からんから調べたい」
「そういうことか。ちょっと待っていろ、傷つける程度はできるから、削ぎ落としてやる」
──ガチッ
両手に構えたショートソードに魔力を注ぎ込み、ミヅチが瓦礫ゴーレムに向かって走りだした。
騒音がすごいのだが、そもそもスラムの奥で起きていることなので、一般市街区の人々は気にはなるなだが近寄ることはない。
そして取り壊しが起きているという事は、大勢の人が働いているという事で、それが慣れない土木現場となると怪我人も頻発する。
「……なんで今日は、こんなに怪我人が多いのじゃ?」
定期診療でスラムを訪れた日。
いつもよりも怪我人が多いことに玄白は気がつく。
それも、打身や捻挫などが多く、なかには単純骨折したものもやってきている。
その怪我人たちを一人、また一人と治療していくのだが、いつもよりも数が多すぎる。
「いや、この先の区画の建物を壊して、畑を作ってある最中で。冒険者崩れの奴らが中心になって建物を取り壊しているんだが、慣れない仕事が多すぎてな」
「大工とかはおらんのか? そんなに取り壊しには時間がかかるものなのか」
「流石になぁ、基礎もしっかりと作られてあるし、この街は石造りの建物が多いからさ」
「石造り? ははぁ、なるほど」
玄白の故郷の江戸は、基本的には木造造りの建物しかない。
お城の石垣などでは石を組み上げて作るものの、オリオーンのようにほとんどが石造の民家など存在していなかった。
玄白も、患者の話を聞いて、改めて周囲の建物を見渡す。
「こりゃあ、骨が折れる仕事じゃなぁ」
「まあ、それでも予定の半分ぐらいは解体が終わったし、その辺りは瓦礫を片付けるだけだから。もう畑になった場所もあるからなぁ」
「そりゃあすごいな。まあ、何事も安全に頼むぞ。せっかくの畑ができても、怪我をして動けなくなったら元も子もないからな」
「そうだよなぁ……そうだ、俺たちの仲間の一人が、屋根から落ちて体が動かなくなったんだが、それを治す事はできるか?」
高いところから落ちた?
「それを先に言え!! 往診するから案内せい!!」
「あ、ああ、こっちだ」
かつての玄白の診療所にも、屋根の葺き替え作業中に屋根から落ちて、腰から下が痺れて動かなくなったという人が運ばれてきたことがある。
今回もその類だろうと思って、往診に向かったのだが。
予想外に酷い怪我であった。
「……よお、アラン。俺はもう死ぬのか? 神のみ使い様が訪れたようだが」
「そんなはずがあるか。ランガクイーノさんが往診してくれたんだよ、先生、お願いします」
「どお~れ。すまんが触るぞ」
解体新書を開いて患者に触れる。
するとページが開いて、怪我の度合いなどが表示されるのだが。
「脊髄損傷……ふむ、こりゃあ大変じゃな。ちょっと待つが良い、治療術を調べてみるか」
蘭学医としては、脊髄損傷の完全治癒などまだ未知の領域。
だが、解体新書ならば、なんとかなるかもしれないと考える。
その玄白の予想は正しく、手術式により患部を開き、エリクシールを直接損傷部位に浸透させる事で治癒は可能となる。
これはエリクシールを飲んでも効果は出るのだが、玄白としては、手術式を試したくなってしまった。
「よし!!緊急手術を始める。すまないが部屋から出ていてくれるか?」
「緊急手術? それは何をするんだ?」
「良いから部屋から出てくれ。あとはこっちで上手くやるからな」
グイグイと案内してくれた男を部屋から押し出し、早速手術式を開始する。
解体新書により室内を浄化し、麻酔を施し、魔力によって具現化した手術道具を使って、患部をゆっくひと開いていく。
「これは、予想外に難しいな……」
精密作業を行うので、玄白の右目の部分には拡大鏡が作られている。
それを駆使しつつ、余計な部分に傷をつけないように切り開いていくと、損傷した脊髄の治癒を開始する。
「エリクシール……。これを浸透させるために、噴霧器? それで塗布するのじゃな」
──シュッシュッ
軽く吹きかけて様子を見る。
脊髄が淡く輝き損傷が修復される。
そして解体新書を確認して傷が塞がり再生されたのを確認すると、傷の縫合を開始した。
………
……
…
──スラム街耕作地
近くには、建物を解体した時に出た瓦礫がうずたかく積み上げられている。
初めての畑仕事に腰が痛くなったマルコは、腰を伸ばしながら瓦礫の山を見上げる。
「これ、何かに使えないのかなぁ?」
「さあな。でも、あまり近づくなよ。また追加の瓦礫が届いたらしいからな」
一緒に畑仕事をしている奴が、マルコに話しかける。
当然ながら、その程度のことはマルコも理解しているし、迂闊に近寄るようなことはない。
事実、今もなお、この瓦礫の山には壊したての瓦礫が次々と運び込まれていた。
──バラバラハラッ
すると、なにもしていない瓦礫の山の上から、小さな瓦礫の破片が落ちてくる。
マルコは気づいていなかったが、ちょうどマルコから見た反対側では、瓦礫を山に向かって放り投げる作業が行われている。
そしてて手押し車の中の瓦礫が空になったとき。
──ゴゴゴゴゴゴゴ
爆音を上げて、瓦礫の山が崩壊した。
その麓で作業をしていた2人の男性を飲み込みつつ、瓦礫は瞬く間に周囲に広がっていった。
………
……
…
「な、なんじゃこの音は!! 地震が来たのか!!」
ちょうど縫合も終えて一休みしていた玄白。
すると突然、地響きのような音が周囲から広がり、足元が、家具が大きく振動する。
「こ、これはまた大きな地震じゃな」
「ヒッ!! スギタ先生、これは一体なんですか? ま、まるでスタンビートが起きた様な音ですが!!」
「スタンビートとはなんじゃ?」
「ダンジョンが飽和状態になって、魔物が一斉に噴き出してくるって奴ですよ。このオリオーンは、幾度となくダンジョンスタンビートに襲われていますから!!」
そう叫ぶ患者をよそに、振動がゆっくりと落ち着き、やがて停止する。
建物の外では未だ、大勢の人々の声が聞こえてきて、何かあったのかと野次馬がどこかに向かっている。
「地震ではないな。スタンビートとやらも、こんなに早く終わるのか?」
「いえ、そんな事はありません。ダンジョンコアが破壊されるまでは、永遠に続くと言われていますから」
「では、この様子はなんじゃ?」
玄白も外の様子が気になり、建物から出て行く。
そして人々が走っていく先を見て、思わず絶句した。
「が、瓦礫の津波が起きたのか?」
いくつもの建物が崩れた瓦礫に押し潰されている。
何故、このようなことが起きているのか、玄白にも全く理解できない。
ただ、その瓦礫はまるで生き物のように、あちこちに触手のようなものを伸ばしてウネウネと蠢いていた。
そしてその蠢く瓦礫に対して、幾人もの冒険者らしき男女が攻撃を繰り返していた。
「チッ!! どこのどいつがゴーレムコアなんて隠し持っていたんだよ!!」
「大方、貴族の屋敷から掠め取ったものを隠していたんじゃないか?」
「まったく。普通のゴーレムコアなら、水なり大地なり金属なりで体を構成すりゃあ良いものを」
必死に繰り出す剣戟やら魔法が、ゴーレムの体表を傷つける。
だが、それらは致命的ではなく、すぐに周囲の瓦礫を吸収して再生した。
「ミ、ミヅチさま。このままでは埒があきません」
「とはいえ、放っておいたら建物が飲み込まれて、さらに大きくなっちまうだろうが……なにか手はないのか」
間合いを取るために後ろに飛ぶミヅチとその配下たち。
ちょうどそこには、玄白の姿があった。
「やあ、ランガクイーノ先生。こんなタイミングで自己紹介になってしまって申し訳ない。私はミヅチ、このあたりを取り仕切っている奴だと思ってくれ」
「ほう、噂の闇ギルドの棟梁か。これはどういうことなんじゃ?」
「瓦礫の中にゴーレムコアが混ざっていたらしくてな。いきなり覚醒して暴走したらしい……このままでは、スラムが全滅するだけでなく、このオリオーンがゴーレムに飲み込まれてしまう」
その説明を聞いて、玄白は解体新書を開く。
だが、解体新書は触れたもののデータしか解析できない。
「可能性がないわけではないが。あの、ゴーレムとやらの体を、少し傷つけて回収できないか?」
「あぁ? なんとかできるのかよ?」
「分からん。分からんから調べたい」
「そういうことか。ちょっと待っていろ、傷つける程度はできるから、削ぎ落としてやる」
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