美少女仮面とその愉快な仲間たち(一般作)

ヒロイン小説研究所

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④希望は文也の手を引いてドアの方に向かった。
「私も、何がなんだかわかんないの、あの大木先生がぶりっ子コスプレして、あなたと流星を操っていたの、さあ、とにかく出ましょう」
 希望は出る前に、美聖女仮面デビルワールに切られたAIロボットのスイッチを入れた。魔少年を流星に戻し、デビルワールを解き、私たちがいないから帰るように仕向けるようインプットした。
 AIロボットは、魔少年にAI特性の粉をかけて元にもどした。そして、正気に戻ったので、玄関へ誘導して帰した。一方、美聖女仮面デビルワールへ壁からボクシングの腕を出るようにして、ボンボンと顔面、腹、そして、下顎を何度も殴りつける。
「何、えっ、足の痛みがなかくなったら望みの部屋にいて、わっ、ぐふっ、ぐぁあっ、いでいでいでっ、な、ぐっふぅ、ううっ、や、うっ、ぐわ~ん、あっ、いでええってば、あっ、あ~~~~~ッ」
 最後には、窓からアッパーカットで追い出した。
「あ~れぇ~~~~」」
 希望は、家に帰る文也を見送っていると、十字架のペンダントが光り出した。怪人の出現を知らせているのだ。急いで怪人の出現場所に向かった。
「夢ある限り戦いましょう、美少女仮面エスポワール参上!」
 胸の前に持っていた白いマントを、パッと開いた。美少女仮面の全身がキラキラ輝いている。魔法のステッキで構える。
 怪人も美少女仮面エスポワールと同じようにマントで前を隠し、手にもっていた。
「わたくしの真似をなさっているのですか、帽子を被った怪人さん」
「美少女仮面エスポワールの正体を暴くまでたたかうぞ、怪人探偵!」
「これを見たら、ふふふ・・・、美少女仮面エスポワールはどんな顔をするか」

 バッサッ  バッサッ   バッサッ

「きゃぁああっ、そんなものいけません、見せてはいけません、す、すぐに、ぃやあっ、近寄らないで、変態怪人さん、わたくしは見たくありません」
 美聖女仮面デビルワールのミニスカ、細く奇麗な足、胸などを見て、怪人の股間部分が盛り上がっていた。
「おい、美少女仮面エスポワール、見たくないと言っていながら、目を隠している手はチョキになっていて瞳が見えてんじゃん、見たいんだろう、本当は!」
 委員長の健と美咲、健一、進、太の三人の子ども達、さらに、文也もやってきた。
「みなさま、お気をつけください、、この怪人、変態さんですの!」
「えっ、まさか、怪人のマントに隠れているのは・・・」
 美咲が前に出てきた。文也がカメラを構える。
「へえ~、私、動物園のオスのあそこを見るのは平気よ、だ、か、ら、変態怪人さん、見せて~早く!」
 美咲がじっと怪人の股間を見つめる。
「美咲さん、文也君、危ないですわ、近寄っては」
「そこの女、見せてやろう、きゃぁ~って声を出すんだろうな、いてっ、あっ、こら、やめろっ!」
 いたずら三人組がパチンコ玉で怪人の膨らんだマントの頂を打ち始めた。
「へへっ、男の痛さは男でないと分からないからさ~」
「いてっ、こら~やめろ! おまえら、くっちまうぞ!」
「ちょっと、あなたたち、やめなさいよ、私は、怪人の・・見、た、いの!」
 美咲は、いたずら三人組をやめさせた。そして、怪人にマントをとるように促す。
「はい、は~い、もったいぶらないで、とって見せてよ、ほら、早く!」
「みなさん、ここにいるのはテレビに出ている作り物では、ございませんわ。お気をつけなさってください。美咲さん、近寄ってはいけませんわ」
 美少女仮面エスポワールは、美咲と文也に近寄った。その時に、怪人はマントをとろうとした。何かの恐怖を感じ、文也が美少女仮面エスポワールのマントの下に隠れた。
「文也君、わたくしがお守りしますから、大丈夫、離れてください」
 怪人がマントをとって股間を見せた。
「どうだ! 俺様の自慢の肉棒だ!」
「ちっちゃいの、つまんない・・・、美少女仮面エスポワール、文也、相手にしないで行きましょう」
 美少女仮面エスポワールと文也は美咲に手を引かれて怪人の股間に生えているものを見ることができなかった。
「あのう~、わたくしも、見ておか・・・」
「あんな粗末なもの、見たってしょうがないから、美少女仮面エスポワール、動物園のオスを見にいきましょう、あっ、健君、そして、みんなも!」
 流れにのって、美咲に連れられてみんなが去っていく。怪人は、さみしそうにその場にへたり込む。そして、やる気をなくして消えていった。
「美咲さん、お待ちください、わたくしは怪人をたおさなければ・・」
「大丈夫よ、きっと」
 美少女仮面エスポワールは怪人のいた所に行っていないことを確認して戻ってきた。
「美少女仮面エスポワール、ああいう変態には、自信をなくさせれば去っていくの、きっと、今頃トボトボ歩いている頃よ」
 美少女仮面エスポワールは、美咲さんが演技をしていたことに気付いた。怪人を力だけで倒すのではなく、美咲さんみたいに頭を使うことの大切さに気付いた。
「美咲さん、これからわたくしもひるまずに、変態さんが股間を見せようとしたら見て、バカにしてあげますわ」
 いたずら三人組はそれを聞いて美少女仮面エスポワールの白いマントをチョンチョンと引っ張った。
「俺たち、パンツ脱ぐから、美少女仮面エスポワール、見て見て見て~、ちゃんと、感想言ってよ」
「えっ、ダメダメダメッ」
 いたずら三人組がパンツを降ろした。美少女仮面エスポワールは手で顔を隠したが、指をちょっと広げてみた。
「みなさん・・・美味しそうなウインナーですわ、ごきげんよう~」
 美少女仮面エスポワールはマントで身を隠して消えていった。白いマントの裏に文也の付けた盗聴器を着けたまま。
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