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【悲報】俺の部屋の「安全地帯(セーフエリア)」設定が解除された件
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朝起きたら、視界の左上に半透明のウィンドウが浮いていた。
『システム同期完了。これより「チュートリアル」を開始します』
寝ぼけているのかと思った。目をこすっても、その青い文字は消えない。
最近流行りのAR(拡張現実)ゲームだろうか? 勝手にインストールされた覚えはないけれど。
とりあえず無視して、顔を洗いに洗面所へ向かった。
すると、廊下を歩くたびに、ピコン、ピコンと電子音が鳴り、新しいログが流れる。
『マップ:自宅廊下 を移動中』
『スキル:【寝癖 Lv.5】 が発動しています』
「なんだこれ、邪魔だな……」
俺は苦笑いしながら、リビングのドアを開けた。
いつも通りの散らかった部屋。飲みかけのコーヒー、脱ぎ捨てた服。
しかし、視界のウィンドウに表示された文字を見て、俺の動きが止まった。
『警告:エリア属性が変更されました』
『【安全地帯(セーフエリア)】 ⇒ 【ダンジョン(危険区域)】』
は?
意味がわからず立ち尽くしていると、部屋の空気が変わった気がした。
いつもなら朝日が差し込む明るいリビングなのに、なぜか薄暗い。
そして、部屋の隅、カーテンの陰に、「赤いカーソル」が浮いているのが見えた。
カーソルの下には、こう表示されている。
『Lv.3 彷徨う影』
「……影?」
俺が呟いた瞬間、カーテンの陰から、黒いモヤのようなものが這い出してきた。
人の形をしているが、目も口もない。ただ、殺意だけがビリビリと伝わってくる。
「うわっ!」
後ずさりすると、システム音が鳴り響く。
『戦闘開始(エンカウント)』
『あなたの装備:パジャマ(防御力 1)』
『勝率:0.00%』
ふざけるな。勝率ゼロってなんだよ。
俺は慌ててキッチンへ走り、包丁を掴んだ。
『武器:ステンレス包丁(攻撃力 5)を装備しました』
『勝率:0.02%』
「たったの2パーセントかよ!」
黒い影が、ゆっくりと、しかし確実に距離を詰めてくる。
俺は恐怖で足が震えながらも、包丁を構えた。これは夢だ。夢に決まってる。
その時、視界のウィンドウに新しいメッセージがポップアップした。
『救援要請(ヘルプ)が可能ですが、実行しますか?』
『YES / NO』
「イエス! イエスだ! 誰か助けてくれ!」
俺は空中の「YES」を必死で連打した。
『マッチング成功。プレイヤーが接続しました』
安堵した。警察か、それともこのゲームの運営か。
誰かが助けに来てくれる――。
しかし、次の瞬間。
俺の体は、俺の意志とは無関係に、勝手に動き出した。
包丁を持った右手が、スッと持ち上がり、自分の首元へ向けられる。
「え……?」
なんで? やめろ、動くな!
視界のログが高速で流れる。
『プレイヤー「KILLER_777」が、アバター「あなた」の操作権を取得しました』
『コマンド入力:自決』
俺の腕に、ありえないほどの力が込められる。包丁の切っ先が喉に食い込む。
痛い。熱い。
目の前の黒い影(モンスター)が、まるで観客のように立ち止まり、俺を見ている気がした。
薄れゆく意識の中で、最後に表示されたログは、あまりにも無慈悲なものだった。
『ログ:このエリアは、プレイヤー同士がNPCを操作して戦わせる「対戦ステージ」です』
『あなたの役割:使い捨ての駒(ポーン)』
『GAME OVER』
『システム同期完了。これより「チュートリアル」を開始します』
寝ぼけているのかと思った。目をこすっても、その青い文字は消えない。
最近流行りのAR(拡張現実)ゲームだろうか? 勝手にインストールされた覚えはないけれど。
とりあえず無視して、顔を洗いに洗面所へ向かった。
すると、廊下を歩くたびに、ピコン、ピコンと電子音が鳴り、新しいログが流れる。
『マップ:自宅廊下 を移動中』
『スキル:【寝癖 Lv.5】 が発動しています』
「なんだこれ、邪魔だな……」
俺は苦笑いしながら、リビングのドアを開けた。
いつも通りの散らかった部屋。飲みかけのコーヒー、脱ぎ捨てた服。
しかし、視界のウィンドウに表示された文字を見て、俺の動きが止まった。
『警告:エリア属性が変更されました』
『【安全地帯(セーフエリア)】 ⇒ 【ダンジョン(危険区域)】』
は?
意味がわからず立ち尽くしていると、部屋の空気が変わった気がした。
いつもなら朝日が差し込む明るいリビングなのに、なぜか薄暗い。
そして、部屋の隅、カーテンの陰に、「赤いカーソル」が浮いているのが見えた。
カーソルの下には、こう表示されている。
『Lv.3 彷徨う影』
「……影?」
俺が呟いた瞬間、カーテンの陰から、黒いモヤのようなものが這い出してきた。
人の形をしているが、目も口もない。ただ、殺意だけがビリビリと伝わってくる。
「うわっ!」
後ずさりすると、システム音が鳴り響く。
『戦闘開始(エンカウント)』
『あなたの装備:パジャマ(防御力 1)』
『勝率:0.00%』
ふざけるな。勝率ゼロってなんだよ。
俺は慌ててキッチンへ走り、包丁を掴んだ。
『武器:ステンレス包丁(攻撃力 5)を装備しました』
『勝率:0.02%』
「たったの2パーセントかよ!」
黒い影が、ゆっくりと、しかし確実に距離を詰めてくる。
俺は恐怖で足が震えながらも、包丁を構えた。これは夢だ。夢に決まってる。
その時、視界のウィンドウに新しいメッセージがポップアップした。
『救援要請(ヘルプ)が可能ですが、実行しますか?』
『YES / NO』
「イエス! イエスだ! 誰か助けてくれ!」
俺は空中の「YES」を必死で連打した。
『マッチング成功。プレイヤーが接続しました』
安堵した。警察か、それともこのゲームの運営か。
誰かが助けに来てくれる――。
しかし、次の瞬間。
俺の体は、俺の意志とは無関係に、勝手に動き出した。
包丁を持った右手が、スッと持ち上がり、自分の首元へ向けられる。
「え……?」
なんで? やめろ、動くな!
視界のログが高速で流れる。
『プレイヤー「KILLER_777」が、アバター「あなた」の操作権を取得しました』
『コマンド入力:自決』
俺の腕に、ありえないほどの力が込められる。包丁の切っ先が喉に食い込む。
痛い。熱い。
目の前の黒い影(モンスター)が、まるで観客のように立ち止まり、俺を見ている気がした。
薄れゆく意識の中で、最後に表示されたログは、あまりにも無慈悲なものだった。
『ログ:このエリアは、プレイヤー同士がNPCを操作して戦わせる「対戦ステージ」です』
『あなたの役割:使い捨ての駒(ポーン)』
『GAME OVER』
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