【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音

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第64話 陛下への報告 ★カミル SIDE

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 普段なら、僕はもう寝ている時間だった。しかし、デュークがこれから作るのであろう『車椅子』を出来上がる前に、陛下へ報告しなければならないので、時間が遅いのを承知で陛下の下を訪れた。

「陛下、カミルです」
 
「お?入れ」
 
「失礼します」
 
「こんな遅くにどうした?」
 
 僕がこんなに遅くに来る事は珍しいからか、少し不安そうな顔をしている。不安を拭うためにも、先ずは嬉しいお知らせから報告しようかな。

「婆やが歩ける様になる可能性があると、耳にしました」
 
「は?な、何だと!もう何十年も歩けなかっただろう?」
 
「えぇ、僕が生まれる前からと聞いていますので、少なくとも50年以上ですね。それが……リオが精霊のカケラ?が膝に刺さってるのを見つけたらしく、精霊のソラと一緒に治した様なのです」
 
「あぁ、なるほど……」
 
「陛下はそれで分かるのですね……?」

 陛下は何か知っている様だとは思っていたが、婆や達が知られたく無いと思っているのであれば、それを尊重したいと思う。だから、敢えて深くまで聞く気も無い。
 
「これは、私と爺さんと宰相ぐらいしか、詳しくは知らん話だからな……」
 
「そうでしたか。まぁ、僕は報告に来ただけですので」
 
「悪いな。ただ、本当に良かった……」

 陛下も婆やの事を、とても気に掛けていらっしゃったからね。これで安心なさったのであれば、報告して良かったと思うよ。おっと、肝心の報告をしていないや。これが本題なのだから、早めに終わらせよう。
 
「陛下、報告はそれだけではありません。またリオが発明したのですが、許可を頂きたく」
 
「お?今度は何を作るのだ?」

 陛下はリオの作る物に興味津々で、前のめりで聞いていらした。まるで、『練習装置』の話を開いた時のデュークみたいだね。
 
「『車椅子』と言う乗り物です。あちらの世界では、歩けない足の不自由な者が使うそうで、椅子に車輪がついていて、後ろから人が押して移動する事も、自分の腕の力で移動する事も出来るのだそうです」
 
「ほぉ!それは凄いな。足に怪我を負って歩けない者達が欲しがるだろう」
 
「えぇ。婆やの物より簡易的で、材料費も安く済む物が作れるなら、一般に発売する事も視野に入れて研究したいと思うのですが」
 
「許可する!当然だ。貴族や金持ちだけで無く、行動を制限されていた者達の光となるだろう」
 
「同感です。既にデュークが設計図を持って、やる気になっておりますが……」
 
「婆さんのはデュークに作らせてやれ。見本があった方が、技術者達も分かりやすくて良いだろうしな」
 
「御理解いただき、ありがとうございます」
 
「うむ。それにしても、彼女は本当に凄いな……婆さんの足を治しただけでも、凄い功績だと言うのに」
 
「恐らくリオは功績や名誉なんてものは関係無く、純粋に婆やが自由に動けたら良いなと思ったから行動しただけでしょう。自力で歩ける様になるには半年掛かると言っていましたから、その間も外へ自由に出られる様に、車椅子を作って欲しいと頼みに来たのだと思います」
 
「本当に心根の優しい娘だな。そうであるからこそ、精霊も懐いておるのだろう」
 
「ええ、本当に。この国には精霊は居ないと言われてますからね」
 
「信仰する者が少ないからな……」
 
「そうですね。この国では女神信仰が盛んです」
 
「異世界から来たからこそ、女神と精霊、両方の加護を持つんだろうからなぁ……」
 
「リオは、今日の出来事を詳しく話そうとはしませんでした。恐らく、何か婆や達から感じるものがあったのだと思われます。リオは賢いですから、僕が知っておくべき事は「秘密なんだけど」と言って教えてくれますから、リオ本人が言うべきでは無いと考えたのでしょう」
 
「そうじゃな……お前も賢いから、報告は抜かり無い。私を揺さぶろうとはしないでおくれよ?」
 
 ハハハと陛下が声を出してわざとらしく笑った。これ以上は聞くなと言う事なのだろう。
 
「はい。では僕は、部屋に戻ります」
 
「ん?飲んで行かんのか?」
 
「リオに早く寝るように言われたので、戻って寝ます」
 
「早速尻に引かれとるな。うむ、良い事だ」
 
「それでは失礼します。おやすみなさい」
 
「あぁ、おやすみ」

 陛下は上機嫌で、空いたグラスにお酒を注いでいた。婆やの足が治りそうだと言う事をとても喜んでいたから、これから飲み直すのだろうね。

 それにしても、リオは本当に凄いなぁ。婆やが歩ける様になると言う、不可能を可能にしたのもそうだけど、人のために行動する姿は、王族としても好ましい。僕は、そんなリオを支えてあげられる、頼りになる王太子になろうと思ったのだった。
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