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第68話 爺やの愛と宝石店 ★カミル SIDE
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陛下に許可を貰い、城下へ行ける事となった。昨日はあの後、評判の良い宝石店などをリサーチして準備は万端だ。
「さて、準備は良いかのぉー」
師匠が執務室に現れた。師匠の場合、隠密魔法をかけて移動するのが常だから、急に目の前に現れる事が多いのだ。毎回そうなので、もう今更驚く事も無い。
「えぇ、大丈夫です。行きましょうか」
「ここからかけて行くかのぉ?」
「そうですね。恐らくリオは練習場にいるとは思いますが、念のためここからお願いします」
師匠が『認識阻害』魔法をかけてくれた。最初から見ていたキース達には僕が認識出来るが、これから出会う人には僕も師匠も認識出来ないはずだ。師匠と同じスキルを持っていれば別だが『賢者』のスキルなので、問題無いと思われる。
「キース、クリス、行って来るね」
「「いってらっしゃいませ」」
城を出て、街へ向かう。師匠が街の手前まで飛行魔法で行こうと言うので隠密魔法をかけて貰って飛んで行った。
「カミル、どの宝石店に行くか決まっとるのか?」
「一応リサーチはしたのですが……宝石店に行った事が無いので、何処が良いのやら……」
「ふむ……それなら、最初はワシの知り合いの店に行ってみるかのぉ?基準があった方が良かろう」
「お知り合いのお店ですか?それはありがたいですね」
「それならば、その角を左じゃ」
2人で並んで歩く。そう言えば、師匠と出掛けるのは初めてだね。それも宝石店を案内して貰うなんて、少し前だったら考えられなかったよ。
角を曲がって少し進んだ場所に、こぢんまりとした可愛らしいお店があった。『宝石店』とだけ書かれた看板が見える。
店の扉を開くと同時に、カランカランと扉にについたベルが鳴る。中から「いらっしゃいませー!」と声がした。
「ワシじゃー」
「なんだ、爺さんか。今日はどうした?」
奥から茶髪で小柄な男の人が出て来た。師匠が見えていると言う事は、師匠だけ認識阻害魔法を解いたらしい。馴染みの店だから必要無いのかな。
「此奴が今度結婚するでのぉ。プロポーズの為の指輪が欲しいと言うておる」
「結婚前提のプロポーズならお貴族様か。そうだなぁ、やっぱり石がメインになるだろうね?幾つか縁起の良い石を出して来よう」
「お願いします」
店主らしき男はにっこりと笑って奥に石を取りに戻った。飾ってある宝飾品を眺めて待つ事に。
「お主はどんな指輪が欲しいのじゃ?」
唐突に師匠が話し掛けてきた。女性の付けるアクセサリーなんて全く分からないのだが……
「うーん、リオにはシンプルなデザインが似合うと思うのですが、婚約指輪が地味なのってまずいのかなぁ?と思ったりしてますね」
「あぁ、言いたい事は分かった。確かに嬢ちゃんにはギラギラしたのは似合わなそうだのぉ」
「えぇ。かと言ってシンプル過ぎると、あの程度の石しか貰えなかったとか面倒な貴族達に言われるかと……」
「本当に面倒なヤツらじゃのぉ……贈り物ぐらい好きな物を贈らせてやりゃー良いのにと思ってしまうわい」
「えぇ、本当に。贈り物は値段より気持ちだと思うんですけどね……」
「その通りですよ、お兄さん。贈り物は気持ちが籠っている事が大前提ですからね!」
ニコニコと奥から戻って来た店の男が僕の目の前に黒い布を貼った薄い箱を置き、石を並べた。真っ赤なルビーや深い緑のエメラルドなど、パッと見で質が良いと分かる石ばかりだった。
「あまり大きな石じゃ無い方が、普段から付けやすいだろうか?」
「そうですね。婚約者様の瞳の色は?」
「黄金色だよ」
「ふむ……お兄さんの瞳の色は?」
「僕は青紫とか深い紫って言われる事が多いかなぁ?」
「婚約指輪なら、お兄さんの瞳の色に近い方が良いでしょうね?ちょっと待っててくださいね」
男は直ぐに2つの石を持って来た。
「こちらがスピネルで、青紫色は特に珍しく希少な石となります。そしてこちらはアメトリン。紫色のアメシストと黄金色のシトリンが混ざった物で、これほど綺麗に色が出ている物は滅多にお目にかかれませんよ」
「ほぉ……これは綺麗だのぉ」
「これに決めます」
「早っ!どちらですか?」
「アメトリンの方で。僕と彼女の色が両方入ってるなんて、奇跡的な色だ……」
「うむ、ワシもそう思う。彼女にとても似合うじゃろ」
「かしこまりました!お兄さん、とてもタイミングが良かったですよー!この石、今朝入ったばかりなのです」
「それは運が良かったのぉ。昨日なら見られず、夕方には売れていたかも知れんからなぁ。こんなに神秘的な石じゃから、収集家が喜んで買いそうじゃからのぉ」
「えぇ、本当に。この石はお兄さんに買われる為に待っていたのでしょう」
「そんな気がするね。店主、この石で指輪を作ろうと思っていたのだが、指輪には少し大き過ぎるかなぁ?」
「うーん、確かに削るには勿体無いですよねぇ……」
「指輪とネックレスを同じようなデザインで合わせてはどうじゃ?指輪はデザインに拘って、この石でネックレスを作り、土台を指輪と同じデザインにするのじゃ」
「それは良いですね!指輪だと、アメトリンの美しさが半減してしまいますからね。2つで1つのデザインで統一感を出して、特別な贈り物にしましょう!」
「そうなると、また石を選ばなければならないな……」
「先程のスピネルはお気に召しませんでしたか?青紫色のスピネルは珍しいですし、指輪に加工して余った石でイヤリングも作りましょうか?」
「それは良いね。彼女の指は細いから、石は小ぶりで良いと思っていたんだ。加工出来るなら、イヤリングも同じデザインで作れるだろうか?」
「フルセットじゃのぉ……嬢ちゃんはあまり宝石類に喜ぶタイプでは無さそうじゃが……」
「そうなんですよね……なので、渡すのはバラバラにしようと思います。作っておいて、特別な日に分けて渡せば、そこまで気にしないでくれるかと……」
「なるほど、それは良い案じゃの。指輪とネックレスはセットで渡さんと貴族の連中に舐められるかも知れんが、イヤリングはいつでも良いからのぉ」
「えぇ。ネックレスがメインになっちゃいましたけど、どうしてもこの石はプレゼントしたいと思います」
アメトリンに一目惚れしてしまった様だ。僕の色とリオの色がこんなに綺麗に混ざっているなんて、奇跡的な色彩だと思えた。
「ここで決めてしまって良いのか?」
「えぇ。これ以上の石を見つけられるとは思えません」
「確かにのぉ。それじゃあ店主、これで頼むぞ。デザインは石に合わせて幾つか描いて貰うて良いかの?」
「あ!これを見て貰えますか?」
男は作業机の上から紙を2枚出した。
「こちらのデザインは、今朝この石を見て考えた物で、こちらは凝ったデザインをと思って描いた物です」
「ほぉ、どちらも素晴らしいのぉ……ここの店はな、婆さんがお気に入りの店なのじゃ。デザインセンスが合うからと、昔はいつもこの店で強請られたのじゃよ」
「久々に買ってあげたらどうですか?彼女も外に出る機会が増えると思いますし、お祝いとして贈っては?」
「おぉ!そうじゃのぉ。ワシも婆さんに何か贈るかの。店主、そちらの指輪は急ぎで欲しいが、ワシのは後で構わんからな?」
「えぇ、分かりましたよ。爺さんのはいつものデザインで良いのですか?」
「少しだけアレンジ出来るか?ほんの少し華やかにしてやって欲しい。婆さんが気付かない程度にな?」
「今時間はありますか?直ぐに描きますよ。爺さんは石を見ていてくださいね。お兄さんはデザインをどうするか考えておいてください」
師匠と2人して頷いて、師匠は石を、僕はデザインに目を落とした。アメトリンに合わせたデザインは、少し派手な気がするなぁ。凝ったデザインの方がリオのイメージには近い。だが、アメトリンのデザインの方が、やっぱりアメトリンには合う気がするのだ。
「さぁ、爺さん。出来ましたよ」
「おぉ!良いじゃないか!これで頼むぞ。石はこれとこれを周りに散りばめてくれるか?」
「かしこまりました。さて、お兄さんは如何ですか?」
「彼女のイメージはこの凝った方なのだが、石に合わせるならこっち。でもこちらだと、ちょっと派手に感じるんだ」
「なるほど、なるほど……ちょっと待ってくださいね」
店主は作業机に戻ってサラサラと描き始めた。あっという間に描き終えて戻って来る。
「凄いな……イメージ通りだ。こんなに早く描き終える技術も素晴らしいね。このデザインで任せても良いだろうか?」
「えぇ、勿論です。出来上がったら爺さんに連絡しましょうか?彼女には秘密なのでしょう?」
「あぁ。話が早くて助かるよ」
「ありがとうございます。予定では3日もあれば出来上がると思います。指輪とネックレスだけであれば、もう少し早く出来ますが?」
「あぁ、先に指輪は欲しいなぁ。指輪とネックレスだけ先に作って貰えるかい?」
「かしこまりました。出来上がり次第、爺さんに伝えますのでそれまでお待ちくださいね」
「あぁ、よろしく。完成を楽しみにしてるよ」
「ご期待に応えられる様、腕を振るいますからね!」
「店主、任せたぞ。さて、そろそろ戻らんとな」
宝石店を後にする。出来上がりがとても楽しみだ。
「どうじゃ?良い店じゃったろう?」
「えぇ、良い店を教えて頂きありがとうございました。師匠がいてくれてとても助かりました。アクセサリーって奥が深いのですね。初めて女性に贈り物をするので、知らない事だらけでした」
「相手に似合う物をと考えるのも楽しいじゃろう?こうやって悩んで選んだ物を贈り、喜んで貰った時には自分も嬉しくなるのだから不思議なものじゃ。ワシも昔は全く興味が無かったのじゃが、婆さんに贈って喜んで貰うのが嬉しくてのぉ……」
「そうだったのですね。その気持ちが今なら分かります。リオに贈るから楽しみだし嬉しいのですね。早くリオに見せたいと思いました」
「連絡が来たら、直ぐに執務室に教えに行ってやるからのぉ。楽しみに待っておるが良い」
「はい。よろしくお願いします」
僕は普段と違って、フワフワした気持ちで城に帰った。ドレスに併せたアクセサリーを何度か贈ってはいるけど、やっぱりそれとは違う、特別なアクセサリー。贈る僕の方がとても楽しみで嬉しいなんて、不思議な感情が僕にはまだあるんだね。
ふふっ、リオと出逢って、僕は色んな感情を教えてもらったね。これからもきっと、まだ知らない気持ちや感情を、リオと一緒に知って行くのだろう。そう思うと、未来がとても楽しみだと感じたのだった。
「さて、準備は良いかのぉー」
師匠が執務室に現れた。師匠の場合、隠密魔法をかけて移動するのが常だから、急に目の前に現れる事が多いのだ。毎回そうなので、もう今更驚く事も無い。
「えぇ、大丈夫です。行きましょうか」
「ここからかけて行くかのぉ?」
「そうですね。恐らくリオは練習場にいるとは思いますが、念のためここからお願いします」
師匠が『認識阻害』魔法をかけてくれた。最初から見ていたキース達には僕が認識出来るが、これから出会う人には僕も師匠も認識出来ないはずだ。師匠と同じスキルを持っていれば別だが『賢者』のスキルなので、問題無いと思われる。
「キース、クリス、行って来るね」
「「いってらっしゃいませ」」
城を出て、街へ向かう。師匠が街の手前まで飛行魔法で行こうと言うので隠密魔法をかけて貰って飛んで行った。
「カミル、どの宝石店に行くか決まっとるのか?」
「一応リサーチはしたのですが……宝石店に行った事が無いので、何処が良いのやら……」
「ふむ……それなら、最初はワシの知り合いの店に行ってみるかのぉ?基準があった方が良かろう」
「お知り合いのお店ですか?それはありがたいですね」
「それならば、その角を左じゃ」
2人で並んで歩く。そう言えば、師匠と出掛けるのは初めてだね。それも宝石店を案内して貰うなんて、少し前だったら考えられなかったよ。
角を曲がって少し進んだ場所に、こぢんまりとした可愛らしいお店があった。『宝石店』とだけ書かれた看板が見える。
店の扉を開くと同時に、カランカランと扉にについたベルが鳴る。中から「いらっしゃいませー!」と声がした。
「ワシじゃー」
「なんだ、爺さんか。今日はどうした?」
奥から茶髪で小柄な男の人が出て来た。師匠が見えていると言う事は、師匠だけ認識阻害魔法を解いたらしい。馴染みの店だから必要無いのかな。
「此奴が今度結婚するでのぉ。プロポーズの為の指輪が欲しいと言うておる」
「結婚前提のプロポーズならお貴族様か。そうだなぁ、やっぱり石がメインになるだろうね?幾つか縁起の良い石を出して来よう」
「お願いします」
店主らしき男はにっこりと笑って奥に石を取りに戻った。飾ってある宝飾品を眺めて待つ事に。
「お主はどんな指輪が欲しいのじゃ?」
唐突に師匠が話し掛けてきた。女性の付けるアクセサリーなんて全く分からないのだが……
「うーん、リオにはシンプルなデザインが似合うと思うのですが、婚約指輪が地味なのってまずいのかなぁ?と思ったりしてますね」
「あぁ、言いたい事は分かった。確かに嬢ちゃんにはギラギラしたのは似合わなそうだのぉ」
「えぇ。かと言ってシンプル過ぎると、あの程度の石しか貰えなかったとか面倒な貴族達に言われるかと……」
「本当に面倒なヤツらじゃのぉ……贈り物ぐらい好きな物を贈らせてやりゃー良いのにと思ってしまうわい」
「えぇ、本当に。贈り物は値段より気持ちだと思うんですけどね……」
「その通りですよ、お兄さん。贈り物は気持ちが籠っている事が大前提ですからね!」
ニコニコと奥から戻って来た店の男が僕の目の前に黒い布を貼った薄い箱を置き、石を並べた。真っ赤なルビーや深い緑のエメラルドなど、パッと見で質が良いと分かる石ばかりだった。
「あまり大きな石じゃ無い方が、普段から付けやすいだろうか?」
「そうですね。婚約者様の瞳の色は?」
「黄金色だよ」
「ふむ……お兄さんの瞳の色は?」
「僕は青紫とか深い紫って言われる事が多いかなぁ?」
「婚約指輪なら、お兄さんの瞳の色に近い方が良いでしょうね?ちょっと待っててくださいね」
男は直ぐに2つの石を持って来た。
「こちらがスピネルで、青紫色は特に珍しく希少な石となります。そしてこちらはアメトリン。紫色のアメシストと黄金色のシトリンが混ざった物で、これほど綺麗に色が出ている物は滅多にお目にかかれませんよ」
「ほぉ……これは綺麗だのぉ」
「これに決めます」
「早っ!どちらですか?」
「アメトリンの方で。僕と彼女の色が両方入ってるなんて、奇跡的な色だ……」
「うむ、ワシもそう思う。彼女にとても似合うじゃろ」
「かしこまりました!お兄さん、とてもタイミングが良かったですよー!この石、今朝入ったばかりなのです」
「それは運が良かったのぉ。昨日なら見られず、夕方には売れていたかも知れんからなぁ。こんなに神秘的な石じゃから、収集家が喜んで買いそうじゃからのぉ」
「えぇ、本当に。この石はお兄さんに買われる為に待っていたのでしょう」
「そんな気がするね。店主、この石で指輪を作ろうと思っていたのだが、指輪には少し大き過ぎるかなぁ?」
「うーん、確かに削るには勿体無いですよねぇ……」
「指輪とネックレスを同じようなデザインで合わせてはどうじゃ?指輪はデザインに拘って、この石でネックレスを作り、土台を指輪と同じデザインにするのじゃ」
「それは良いですね!指輪だと、アメトリンの美しさが半減してしまいますからね。2つで1つのデザインで統一感を出して、特別な贈り物にしましょう!」
「そうなると、また石を選ばなければならないな……」
「先程のスピネルはお気に召しませんでしたか?青紫色のスピネルは珍しいですし、指輪に加工して余った石でイヤリングも作りましょうか?」
「それは良いね。彼女の指は細いから、石は小ぶりで良いと思っていたんだ。加工出来るなら、イヤリングも同じデザインで作れるだろうか?」
「フルセットじゃのぉ……嬢ちゃんはあまり宝石類に喜ぶタイプでは無さそうじゃが……」
「そうなんですよね……なので、渡すのはバラバラにしようと思います。作っておいて、特別な日に分けて渡せば、そこまで気にしないでくれるかと……」
「なるほど、それは良い案じゃの。指輪とネックレスはセットで渡さんと貴族の連中に舐められるかも知れんが、イヤリングはいつでも良いからのぉ」
「えぇ。ネックレスがメインになっちゃいましたけど、どうしてもこの石はプレゼントしたいと思います」
アメトリンに一目惚れしてしまった様だ。僕の色とリオの色がこんなに綺麗に混ざっているなんて、奇跡的な色彩だと思えた。
「ここで決めてしまって良いのか?」
「えぇ。これ以上の石を見つけられるとは思えません」
「確かにのぉ。それじゃあ店主、これで頼むぞ。デザインは石に合わせて幾つか描いて貰うて良いかの?」
「あ!これを見て貰えますか?」
男は作業机の上から紙を2枚出した。
「こちらのデザインは、今朝この石を見て考えた物で、こちらは凝ったデザインをと思って描いた物です」
「ほぉ、どちらも素晴らしいのぉ……ここの店はな、婆さんがお気に入りの店なのじゃ。デザインセンスが合うからと、昔はいつもこの店で強請られたのじゃよ」
「久々に買ってあげたらどうですか?彼女も外に出る機会が増えると思いますし、お祝いとして贈っては?」
「おぉ!そうじゃのぉ。ワシも婆さんに何か贈るかの。店主、そちらの指輪は急ぎで欲しいが、ワシのは後で構わんからな?」
「えぇ、分かりましたよ。爺さんのはいつものデザインで良いのですか?」
「少しだけアレンジ出来るか?ほんの少し華やかにしてやって欲しい。婆さんが気付かない程度にな?」
「今時間はありますか?直ぐに描きますよ。爺さんは石を見ていてくださいね。お兄さんはデザインをどうするか考えておいてください」
師匠と2人して頷いて、師匠は石を、僕はデザインに目を落とした。アメトリンに合わせたデザインは、少し派手な気がするなぁ。凝ったデザインの方がリオのイメージには近い。だが、アメトリンのデザインの方が、やっぱりアメトリンには合う気がするのだ。
「さぁ、爺さん。出来ましたよ」
「おぉ!良いじゃないか!これで頼むぞ。石はこれとこれを周りに散りばめてくれるか?」
「かしこまりました。さて、お兄さんは如何ですか?」
「彼女のイメージはこの凝った方なのだが、石に合わせるならこっち。でもこちらだと、ちょっと派手に感じるんだ」
「なるほど、なるほど……ちょっと待ってくださいね」
店主は作業机に戻ってサラサラと描き始めた。あっという間に描き終えて戻って来る。
「凄いな……イメージ通りだ。こんなに早く描き終える技術も素晴らしいね。このデザインで任せても良いだろうか?」
「えぇ、勿論です。出来上がったら爺さんに連絡しましょうか?彼女には秘密なのでしょう?」
「あぁ。話が早くて助かるよ」
「ありがとうございます。予定では3日もあれば出来上がると思います。指輪とネックレスだけであれば、もう少し早く出来ますが?」
「あぁ、先に指輪は欲しいなぁ。指輪とネックレスだけ先に作って貰えるかい?」
「かしこまりました。出来上がり次第、爺さんに伝えますのでそれまでお待ちくださいね」
「あぁ、よろしく。完成を楽しみにしてるよ」
「ご期待に応えられる様、腕を振るいますからね!」
「店主、任せたぞ。さて、そろそろ戻らんとな」
宝石店を後にする。出来上がりがとても楽しみだ。
「どうじゃ?良い店じゃったろう?」
「えぇ、良い店を教えて頂きありがとうございました。師匠がいてくれてとても助かりました。アクセサリーって奥が深いのですね。初めて女性に贈り物をするので、知らない事だらけでした」
「相手に似合う物をと考えるのも楽しいじゃろう?こうやって悩んで選んだ物を贈り、喜んで貰った時には自分も嬉しくなるのだから不思議なものじゃ。ワシも昔は全く興味が無かったのじゃが、婆さんに贈って喜んで貰うのが嬉しくてのぉ……」
「そうだったのですね。その気持ちが今なら分かります。リオに贈るから楽しみだし嬉しいのですね。早くリオに見せたいと思いました」
「連絡が来たら、直ぐに執務室に教えに行ってやるからのぉ。楽しみに待っておるが良い」
「はい。よろしくお願いします」
僕は普段と違って、フワフワした気持ちで城に帰った。ドレスに併せたアクセサリーを何度か贈ってはいるけど、やっぱりそれとは違う、特別なアクセサリー。贈る僕の方がとても楽しみで嬉しいなんて、不思議な感情が僕にはまだあるんだね。
ふふっ、リオと出逢って、僕は色んな感情を教えてもらったね。これからもきっと、まだ知らない気持ちや感情を、リオと一緒に知って行くのだろう。そう思うと、未来がとても楽しみだと感じたのだった。
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