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第102話 報告?いや、雑談かしら? ★リオ SIDE
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ほんの数日、カミルと離れていただけなのに、彼のエスコートにドキドキしてしまう。フッと彼を見上げれば、しっかりと目線が合ってから顔を赤くしていた。2人して初心かよ!って突っ込みたくなったわ……
そんなこんなで、執務室に到着してからもお互いの距離感が掴めない。おかしな行動をする私とカミルに、キースがソワソワしている。クリスはいつも通りまったりしていたが、「陛下がリオ様をお呼びのようです」と伝言を伝えてくれた。隣国の報告をする為の謁見で、陛下のお時間が空くのを待っていたのだ。こういう時に伝言の魔道具って便利よね。日本の病院に導入したら喜ばれそうなシステムだと思うわ。
「じゃあ行こうかリオ」
「えぇ」
またぎこちなくエスコートされながら謁見の間に向かった。
「やぁ、久しいね。我が義娘よ。元気になったかな?」
「お久しぶりです、国王陛下。私はとても元気ですわ」
元気になった?毎日元気一杯なんだけどなぁ?と首をコテンと倒して答えた。
「リオ、恐らく忘れてると思うけど、リオは体調不良で中々熱が下がらなかったから、静養の為に精霊の国に行ったんだよね?」
「え?あぁ!そうだったわ。私、到着した翌日には精霊王に治療して貰って直ぐ治っちゃったから忘れていたわ」
「クックッ、相変わらずだな、リオよ。そなたを見ていると安心するよ」
「え?そうですか?威圧するよりは良いですかね?」
「ぶふっ!リオ、間違ってはいないけど、ね?あはははは!」
「もう、カミル!報告に来たんじゃないの?私また出掛けたいから、やるべき事はどんどん終わらせたいのよ」
婆やにもお礼を言いに行きたいし、ダンジョンに行く準備もしたいし、必要な素材と作り方を日本語のメモから、こちらの言葉で書き写したかったりとやる事は沢山あるのよ。
「そうなの?悪かったね。じゃあ報告を終わらせてしまおうか」
「そんなに急がなくても良いではないか!私もリオとゆっくり話がしたいぞ?」
「父上、駄目ですよ!やっと帰って来たんだから、最優先は僕との時間です!」
ふんっ!と胸を張り主張するカミルは少し幼く見えた。私は忙しくしてたから気にならなかったけど、寂しがらせてしまったかしら?でも先ずは報告よね。
「今回、精霊界で沢山の事を学びました。一番印象的だったのは『おにぎり』でしたけど、精霊王の召喚者であったコテツさんが残した資料は私の国の言葉で書かれていて、とても興味深い内容の物などがありました」
「ねぇリオ、『おにぎり』って食べ物なんでしょう?」
「そうよ。実物を見せた方が早いかしらね?ちょっとまってね『ソラそら!』」
ステンドグラスの派手な扉からおにぎりをのせたお皿を出す。普通より少し小ぶりのおにぎりが3つ。これは夜食用に作ったおにぎりなのよね。試食には丁度良さそうだと思い出したから出してみたわ。亜空間に入っていたから、まだ湯気が出ていて美味しそうね。
「な、なんと、リオは亜空間も使えるのか?そう言えば、婆さんも使えたか……この国で亜空間を使えるのは2人しかいないから内密にな?」
「あ、そうなんですね?かしこまりました」
亜空間って便利だけど使えない人が多いから目立つって事かしらね?誰もいない時に出し入れするようにしよう。
「これはリオが作ったの?」
「そうよ。食べてみる?中の具材が『梅干し』って言って、かなり酸っぱくてしょっぱいから苦手な人もいると思うんだけど……」
「リオの故郷の味なの?食べてみたいな。材料もあったの?」
私はおにぎりと『味噌汁』もカミルの前に出した。王様が少し寂しそうな顔をなさったので、『味噌汁』を王様の前に出すと、とてもいい笑顔でおにぎりと味噌汁を手元へ引き寄せていた。
「精霊王がね、コテツさんを思い出しては懐かしみながら『米』や『味噌』などを作っては亜空間に保存していたらしくて、大量に材料が貯めこんであったのよ。精霊は食事は魔力なので、増える一方だったそうで、大量に頂いて来ました」
「おぉ!これは美味いな!『コメ』と言ったか?塩加減が良いな。中の酸っぱいのも慣れると癖になりそうだ」
「あぁ、梅干しも大丈夫みたいですね。沢庵も食べてみますか?パリパリ?コリコリかな?してて美味しいですよ……って、毒見しなくて大丈夫なんですか?」
「リオ、食事に毒を入れなくても、リオなら魔法で即死攻撃が出来るでしょ?陛下もリオを信用しているからここにいられるんだ。そうじゃなかったら、本来謁見すら出来ないんだよ」
「そ、そうだったのね?私の国では王様に会える人は少なかったから、当然私も会った事が無くて良く分からないのよね」
「普通はどこの国でもそうだから仕方ないよ。会える人間が少ないのに、どんなルールがあるのか知らなくても同然なんだし」
「それより、リオよ。そなたは食事も作れるのかい?なんでも出来る器用な子だな」
「器用貧乏な方ではありますが、私の国では、男性でも一通りは料理も習うのですよ。掃除も学校でしますし、お裁縫も男女関係なく学ぶのが当たり前だったんです」
「へぇ!それは新しい考え方だね。学校ってのは学園の事だろう?どれぐらい裕福なら行けるんだい?」
「学校に通うのは義務でしたよ。小学校が6年間、中学校が3年間で9年間を義務教育と言いました。その上の高校と更に上の大学は、金銭的に余裕がある家の子が行くのは同じかもしれませんが、高校までは行かせようとする親が多かった様に思います」
「それは凄いな。識字率はどうなんだい?」
「ほぼ100%ですね。目が見えない人も、点字と言って浮き上がってる点の密集具合を指先で触れて読む事が出来る技術もありましたし、話せない人は手話と言って、手の動きや表情で話が出来たりしました。お金も大きさが微妙に違って、見えない人でも分かる様になっていたりしましたね」
「先進的だね……我が国も識字率から上げて行かなければと思っているが……」
「私の侍女達は読み書き出来ますよね?」
「そうだね。最低限は数も数えられるはずだが……」
「それではレベルが分からないですね?どこまで出来ているか分からなければ、本人も勉強のしようがないでしょうに」
「なるほど?リオの国のショウガッコウは小さい子が行くのだね?同じレベルの勉強を皆が同時に学ぶって事かい?」
「そうよ。この国の学園は何歳から行くの?小学校は6歳から12歳までよ」
「学園は15歳から20歳までだね。内容も、各家庭の資金量で家庭教師の質が変わるから、学園に入る前に学園の勉強を終わらせてる子もいるね。全く分からない子はさすがにいないかな。入れるのは貴族のみで、試験を受けて入るからね」
「その中には学びたいのに学べない子もいるのかしら?」
「あぁ、意欲があるのに勉学に励む事が出来ず、家業を手伝う子もいるね」
「それは早く取り掛からなきゃ駄目ね……」
「リオよ、何故早くやるべきなのだ?もう何百年も変わっていないものを急いで変える必要があるのか?」
「はい陛下。こういった試みは、何十年もかけてやっと実現するものです。今からでも遅いぐらいだと思います。王国は今以上に発展するでしょう。であれば、識字率や算術をできる人間を増やす事で犯罪を減らしたりする事も考えなくてはなりません」
「え?識字率や算術は犯罪と関係あるの?」
「えっと、そうね……分かりやすいのは算術よね。リンゴが1つならお釣りも覚える事が出来るでしょう?でも5個とか10個になった時に、お釣りや料金を誤魔化されたりしないかしら?」
「確かに!算術が出来れば足りないのが直ぐに分かるから騙されずに済むって事だね」
「えぇ、そうよ。商売しているのが農家の子供たちであれば、頑張って作った作物が正常な金額で売れなくなるわ。それでは税金を払う時にも困るでしょう。それに文字が読めなくて、契約書が違法だった場合には確認する事すら出来ないのだから、利益が出ない家があってもおかしくないわね」
「なるほど、それは急ぐ必要があるね。ただ、貴族も教育が十分とは言えないのに、平民までとなると……」
「寺小屋でも作るしかないかしらね」
「テラゴヤ?」
「えっと、簡単に言うと、この国でなら女神信仰のある教会で、学ぶ意欲のある者に最低限の勉学を教えるのよ。奉仕活動の一環でやるから、お金は貰わないのよ」
「最低限ってどれぐらい?」
「読み書きと足し算引き算ぐらいかしら?せめて自分の名前を書けるようになれば、勉学も楽しめると思うんだけどね」
「ふむ。この件が落ち着いたら着手してみるか?カミルよ」
「かなり厳しいとは思いますので、構想を練ってからですね。この国でやるなら、先ずは貴族を黙らせないと、子供達が危ない目に遭う可能性がある」
「そうなのね!さすがカミルだわ。私じゃそういうのが分からないのよね……」
「リオの国は、王国の何歩も前を進んでいるからね。ここより治安も良いんじゃ無いかなぁ?徐々にだけど、リオがいた国に近づけたなら、きっとこの国はもっと暮らしやすい国になると思うんだ」
「そうね。出来る事から少しづつやって行きましょう。私もアイディアぐらいしか出せないけど力になりたいわ」
「ふふっ、リオがいないと進まない案件だからね?よろしく頼むよ、王太子妃殿下?」
「も、もう!カミルったら揶揄わないで!」
「カミルよ、親の前でいちゃつくのは勘弁しておくれ……」
「も、申し訳ありませんでした」
「いや、仲が良い事はとても良い事だからな。早く結婚式を挙げてやりたいのだが、ちょっと今年は厳しくてな……」
「私は急いでおりませんから大丈夫ですよ?」
「ぶふっ!そ、そうか。悪いな、宣言通り、来年の春にはと計画しているから待っていておくれ」
「はい。よろしくお願いします」
「ふぅ、さて……どこまで報告してもらったかな?精霊関係は隣国に報告書を出すと言ってしまったから、後で再度聞きながら書類を作らなきゃだね」
「え?もう出来てるわよ?」
「「え??」」
陛下とカミルが同じ格好で固まっている。こうやって見ると、やっぱり親子なんだなって思うわね。私は亜空間から書類の束を出してカミルに渡した。カミルは書類にパーッと目を通して溜め息を吐いた。
「うわぁ……完璧だね?謁見の必要あったのかなぁ?」
「どれ、見せてみなさい」
カミルは書類を陛下に渡して冷めた紅茶に口をつけてふぅと息を吐いた。
「時系列も分かりやすく、聞きたい事はすべて書いてあるな……」
「リオ、この書類を転写しても良いかな?」
「えぇ勿論よ。構わないわ」
「では、陛下。転写した書類で報告を終了とさせていただいてもよろしいでしょうか?さすがにリオも疲れてるでしょうから、早めの夕食を摂って休ませたいのですが」
「あ、あぁ、そうだな。疲れてるのに悪かったね、リオ。また祖国の食事をご馳走しておくれ」
「分かりました。次回はもう少し食べやすそうな物を作っておきますね!」
「僕は隣国にこの書類を届けるように手続きをして来ますね」
「それでは失礼します」
全く関係ない話ばっかりしてた様な気がするけど、最終的な報告は書類で大丈夫らしい。最初から書類を出していれば終わった話だったのかしらね?まぁ、ちょっと疲れたからお言葉に甘えて、ご飯を食べたら休もうと思うわ。
そんなこんなで、執務室に到着してからもお互いの距離感が掴めない。おかしな行動をする私とカミルに、キースがソワソワしている。クリスはいつも通りまったりしていたが、「陛下がリオ様をお呼びのようです」と伝言を伝えてくれた。隣国の報告をする為の謁見で、陛下のお時間が空くのを待っていたのだ。こういう時に伝言の魔道具って便利よね。日本の病院に導入したら喜ばれそうなシステムだと思うわ。
「じゃあ行こうかリオ」
「えぇ」
またぎこちなくエスコートされながら謁見の間に向かった。
「やぁ、久しいね。我が義娘よ。元気になったかな?」
「お久しぶりです、国王陛下。私はとても元気ですわ」
元気になった?毎日元気一杯なんだけどなぁ?と首をコテンと倒して答えた。
「リオ、恐らく忘れてると思うけど、リオは体調不良で中々熱が下がらなかったから、静養の為に精霊の国に行ったんだよね?」
「え?あぁ!そうだったわ。私、到着した翌日には精霊王に治療して貰って直ぐ治っちゃったから忘れていたわ」
「クックッ、相変わらずだな、リオよ。そなたを見ていると安心するよ」
「え?そうですか?威圧するよりは良いですかね?」
「ぶふっ!リオ、間違ってはいないけど、ね?あはははは!」
「もう、カミル!報告に来たんじゃないの?私また出掛けたいから、やるべき事はどんどん終わらせたいのよ」
婆やにもお礼を言いに行きたいし、ダンジョンに行く準備もしたいし、必要な素材と作り方を日本語のメモから、こちらの言葉で書き写したかったりとやる事は沢山あるのよ。
「そうなの?悪かったね。じゃあ報告を終わらせてしまおうか」
「そんなに急がなくても良いではないか!私もリオとゆっくり話がしたいぞ?」
「父上、駄目ですよ!やっと帰って来たんだから、最優先は僕との時間です!」
ふんっ!と胸を張り主張するカミルは少し幼く見えた。私は忙しくしてたから気にならなかったけど、寂しがらせてしまったかしら?でも先ずは報告よね。
「今回、精霊界で沢山の事を学びました。一番印象的だったのは『おにぎり』でしたけど、精霊王の召喚者であったコテツさんが残した資料は私の国の言葉で書かれていて、とても興味深い内容の物などがありました」
「ねぇリオ、『おにぎり』って食べ物なんでしょう?」
「そうよ。実物を見せた方が早いかしらね?ちょっとまってね『ソラそら!』」
ステンドグラスの派手な扉からおにぎりをのせたお皿を出す。普通より少し小ぶりのおにぎりが3つ。これは夜食用に作ったおにぎりなのよね。試食には丁度良さそうだと思い出したから出してみたわ。亜空間に入っていたから、まだ湯気が出ていて美味しそうね。
「な、なんと、リオは亜空間も使えるのか?そう言えば、婆さんも使えたか……この国で亜空間を使えるのは2人しかいないから内密にな?」
「あ、そうなんですね?かしこまりました」
亜空間って便利だけど使えない人が多いから目立つって事かしらね?誰もいない時に出し入れするようにしよう。
「これはリオが作ったの?」
「そうよ。食べてみる?中の具材が『梅干し』って言って、かなり酸っぱくてしょっぱいから苦手な人もいると思うんだけど……」
「リオの故郷の味なの?食べてみたいな。材料もあったの?」
私はおにぎりと『味噌汁』もカミルの前に出した。王様が少し寂しそうな顔をなさったので、『味噌汁』を王様の前に出すと、とてもいい笑顔でおにぎりと味噌汁を手元へ引き寄せていた。
「精霊王がね、コテツさんを思い出しては懐かしみながら『米』や『味噌』などを作っては亜空間に保存していたらしくて、大量に材料が貯めこんであったのよ。精霊は食事は魔力なので、増える一方だったそうで、大量に頂いて来ました」
「おぉ!これは美味いな!『コメ』と言ったか?塩加減が良いな。中の酸っぱいのも慣れると癖になりそうだ」
「あぁ、梅干しも大丈夫みたいですね。沢庵も食べてみますか?パリパリ?コリコリかな?してて美味しいですよ……って、毒見しなくて大丈夫なんですか?」
「リオ、食事に毒を入れなくても、リオなら魔法で即死攻撃が出来るでしょ?陛下もリオを信用しているからここにいられるんだ。そうじゃなかったら、本来謁見すら出来ないんだよ」
「そ、そうだったのね?私の国では王様に会える人は少なかったから、当然私も会った事が無くて良く分からないのよね」
「普通はどこの国でもそうだから仕方ないよ。会える人間が少ないのに、どんなルールがあるのか知らなくても同然なんだし」
「それより、リオよ。そなたは食事も作れるのかい?なんでも出来る器用な子だな」
「器用貧乏な方ではありますが、私の国では、男性でも一通りは料理も習うのですよ。掃除も学校でしますし、お裁縫も男女関係なく学ぶのが当たり前だったんです」
「へぇ!それは新しい考え方だね。学校ってのは学園の事だろう?どれぐらい裕福なら行けるんだい?」
「学校に通うのは義務でしたよ。小学校が6年間、中学校が3年間で9年間を義務教育と言いました。その上の高校と更に上の大学は、金銭的に余裕がある家の子が行くのは同じかもしれませんが、高校までは行かせようとする親が多かった様に思います」
「それは凄いな。識字率はどうなんだい?」
「ほぼ100%ですね。目が見えない人も、点字と言って浮き上がってる点の密集具合を指先で触れて読む事が出来る技術もありましたし、話せない人は手話と言って、手の動きや表情で話が出来たりしました。お金も大きさが微妙に違って、見えない人でも分かる様になっていたりしましたね」
「先進的だね……我が国も識字率から上げて行かなければと思っているが……」
「私の侍女達は読み書き出来ますよね?」
「そうだね。最低限は数も数えられるはずだが……」
「それではレベルが分からないですね?どこまで出来ているか分からなければ、本人も勉強のしようがないでしょうに」
「なるほど?リオの国のショウガッコウは小さい子が行くのだね?同じレベルの勉強を皆が同時に学ぶって事かい?」
「そうよ。この国の学園は何歳から行くの?小学校は6歳から12歳までよ」
「学園は15歳から20歳までだね。内容も、各家庭の資金量で家庭教師の質が変わるから、学園に入る前に学園の勉強を終わらせてる子もいるね。全く分からない子はさすがにいないかな。入れるのは貴族のみで、試験を受けて入るからね」
「その中には学びたいのに学べない子もいるのかしら?」
「あぁ、意欲があるのに勉学に励む事が出来ず、家業を手伝う子もいるね」
「それは早く取り掛からなきゃ駄目ね……」
「リオよ、何故早くやるべきなのだ?もう何百年も変わっていないものを急いで変える必要があるのか?」
「はい陛下。こういった試みは、何十年もかけてやっと実現するものです。今からでも遅いぐらいだと思います。王国は今以上に発展するでしょう。であれば、識字率や算術をできる人間を増やす事で犯罪を減らしたりする事も考えなくてはなりません」
「え?識字率や算術は犯罪と関係あるの?」
「えっと、そうね……分かりやすいのは算術よね。リンゴが1つならお釣りも覚える事が出来るでしょう?でも5個とか10個になった時に、お釣りや料金を誤魔化されたりしないかしら?」
「確かに!算術が出来れば足りないのが直ぐに分かるから騙されずに済むって事だね」
「えぇ、そうよ。商売しているのが農家の子供たちであれば、頑張って作った作物が正常な金額で売れなくなるわ。それでは税金を払う時にも困るでしょう。それに文字が読めなくて、契約書が違法だった場合には確認する事すら出来ないのだから、利益が出ない家があってもおかしくないわね」
「なるほど、それは急ぐ必要があるね。ただ、貴族も教育が十分とは言えないのに、平民までとなると……」
「寺小屋でも作るしかないかしらね」
「テラゴヤ?」
「えっと、簡単に言うと、この国でなら女神信仰のある教会で、学ぶ意欲のある者に最低限の勉学を教えるのよ。奉仕活動の一環でやるから、お金は貰わないのよ」
「最低限ってどれぐらい?」
「読み書きと足し算引き算ぐらいかしら?せめて自分の名前を書けるようになれば、勉学も楽しめると思うんだけどね」
「ふむ。この件が落ち着いたら着手してみるか?カミルよ」
「かなり厳しいとは思いますので、構想を練ってからですね。この国でやるなら、先ずは貴族を黙らせないと、子供達が危ない目に遭う可能性がある」
「そうなのね!さすがカミルだわ。私じゃそういうのが分からないのよね……」
「リオの国は、王国の何歩も前を進んでいるからね。ここより治安も良いんじゃ無いかなぁ?徐々にだけど、リオがいた国に近づけたなら、きっとこの国はもっと暮らしやすい国になると思うんだ」
「そうね。出来る事から少しづつやって行きましょう。私もアイディアぐらいしか出せないけど力になりたいわ」
「ふふっ、リオがいないと進まない案件だからね?よろしく頼むよ、王太子妃殿下?」
「も、もう!カミルったら揶揄わないで!」
「カミルよ、親の前でいちゃつくのは勘弁しておくれ……」
「も、申し訳ありませんでした」
「いや、仲が良い事はとても良い事だからな。早く結婚式を挙げてやりたいのだが、ちょっと今年は厳しくてな……」
「私は急いでおりませんから大丈夫ですよ?」
「ぶふっ!そ、そうか。悪いな、宣言通り、来年の春にはと計画しているから待っていておくれ」
「はい。よろしくお願いします」
「ふぅ、さて……どこまで報告してもらったかな?精霊関係は隣国に報告書を出すと言ってしまったから、後で再度聞きながら書類を作らなきゃだね」
「え?もう出来てるわよ?」
「「え??」」
陛下とカミルが同じ格好で固まっている。こうやって見ると、やっぱり親子なんだなって思うわね。私は亜空間から書類の束を出してカミルに渡した。カミルは書類にパーッと目を通して溜め息を吐いた。
「うわぁ……完璧だね?謁見の必要あったのかなぁ?」
「どれ、見せてみなさい」
カミルは書類を陛下に渡して冷めた紅茶に口をつけてふぅと息を吐いた。
「時系列も分かりやすく、聞きたい事はすべて書いてあるな……」
「リオ、この書類を転写しても良いかな?」
「えぇ勿論よ。構わないわ」
「では、陛下。転写した書類で報告を終了とさせていただいてもよろしいでしょうか?さすがにリオも疲れてるでしょうから、早めの夕食を摂って休ませたいのですが」
「あ、あぁ、そうだな。疲れてるのに悪かったね、リオ。また祖国の食事をご馳走しておくれ」
「分かりました。次回はもう少し食べやすそうな物を作っておきますね!」
「僕は隣国にこの書類を届けるように手続きをして来ますね」
「それでは失礼します」
全く関係ない話ばっかりしてた様な気がするけど、最終的な報告は書類で大丈夫らしい。最初から書類を出していれば終わった話だったのかしらね?まぁ、ちょっと疲れたからお言葉に甘えて、ご飯を食べたら休もうと思うわ。
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