【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音

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第134話 全力でフォローを! ★カミル SIDE

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 陛下の執務室から婆やの屋敷へ転移して来た僕達は、リオに着替えて来たらどうだろうかと促してから婆やに端的にこの度リオが得た称号の説明をしておく。

「あらあら、それは駄目ねぇ。先ずはリオちゃんが『大賢者』という素晴らしい称号を得た事を褒めてあげなきゃねぇ」

「婆や、この称号は凄いんだけど、スキルが……」

「そんなの関係無いわぁ。称号は、その人間がどの様に行動し、どう考えて生きて来たかによって発現はつげんするものなの。爺さんの『賢者』より上と言う事は、爺さんより素晴らしい快挙かいきょげたと言う事なのだからねぇ」

 見落としていた事を指摘してくれる存在は本当に有り難いよね。婆やの言う通りだ。リオが凄過ぎて、褒める前に『人が持つには強過ぎる力』に反応してしまった。

「あ……はい、そうですね。リオは素晴らしい快挙を成し遂げたのに……僕らは持つ力が与える影響ばかり気にしてしまっていたのか。なんて恥ずかしい……」

「爺さんや国王陛下もそうだったのでしょう?それは王族として、権力者としてきちんと勉強して来たあかしでもあるわ。恥じる事は無いのよぉ」

「でも勉強して来たのに……僕はリオを傷つけてしまったかも知れない。ちゃんと一から説明してあげたらリオも不安にならなくて済んだのに」

「カミルちゃん、今からでも遅く無いでしょう?ちゃんと今のうちに話してわだかまりを取っ払っておかないと駄目よ?『夫婦』になるんでしょう?」

 夫婦……なんて良い響きなんだ。婆やは昔から、僕をなぐさめたり、元気づけるのが上手いんだよね。僕が大事に思っている事を正しく理解してくれてるんだって嬉しくなる。

「はい!ちゃんとリオと話して来ようと思います」

「デュークちゃんは驚いたでしょう?婆やが説明してあげるわね。カミルちゃん、デュークちゃんは全てを知っても大丈夫でしょう?」

 デュークは既にリオの味方ではあるけど……リオを中心に動くと言う事は、魔導師団の団長としてよりも、リオを優先して貰わなければならないからね。

「うーん……、デューク」

「はっ!」

「今後は表立っても、かげからでも、リオの配下として働くと誓える?」

勿論もちろんです。リオ様の便利な手駒てごまとなる事をお約束しましょう」

「まぁ、既になってる気がするけどね……」

「『また』何かお願い事があると言う事でしたので、気分が沈んでいらっしゃる様であれば、そちらをたずねに参りますね」

「ありがとう、デューク。頼りにしてるよ」

「はっ!」

「それじゃあ、後は婆やに任せて良いかな?」

「えぇ、任せておいて。デュークちゃんがリオちゃんをサポートするなら、ちゃんと知っておかなきゃ駄目だからねぇ」

「よろしくね、婆や。僕はリオの所へ行くよ。シルビー」

「は~い!ばーちゃん、またね~」

 和やかに手を振りながらリオの部屋の前に転移した。シルビーは指示しなくても分かって行動してくれるのが凄いと思うんだよね。僕の頭の中をのぞいてるみたいだ。

「リオ、今大丈夫かい?」

 内側からリリアンヌが扉を開けてくれた。

「カミル…………」

「どうしたの、リオ?元気が無いね。『大賢者』なんて偉業いぎょうを達成したのだから、もっと胸を張って良いんだよ」

「でも……もう人が知っても良い範疇はんちゅうを超えている気がするわ……」

「言いたい事は分かるよ、リオ。それはスキルの話しだろう?婆やが言ってたけど、リオがこれまでに素晴らしい快挙を成し遂げたからこそ『大賢者』の称号を得られたのだと」

「私は功績も称号も要らないわ。ただ穏やかに暮らして行けたら良いだけなのよ……」

 リオの言いたい事は良く分かる。僕も王族でなければもっと自由に生きれたのではと悩んだ時期があった。ただ、それは貴族に生まれても、平民に生まれても変わらない、結局は無い物ねだりだと理解したんだ。

「そうだね、分かっているよ。良いかい、リオ。そのスキルは、今後誕生するであろう僕らの子供達を守る盾にもなり得るだろう?前以て起こると分かっていれば、対処のしようもあるからね。悪い事ばかりじゃ無いよ」

「…………そう言われるとそうね。家族や仲間のピンチを早めに感知して助けられる可能性は高くなるわね?」

「そうだよ。確かに国の今後なども見えてしまう事があるかも知れない。そんな時は僕に相談してくれたら良い。僕がヤバい時には、デュークやリズに相談してくれたら手伝ってくれる仲間も沢山いるよ」

「えぇ、そうね。悪い事ばかりでは無いわね」

 リオの表情が、少し安心したのか優しい微笑みに変わった。恐らくリオのくせなのだろう、困ったり悩んでる時に奥歯を噛み締めるみたいで、頬が少し強張こわばっていたんだよね。

「うん。前にリオが僕に教えてくれたよね?王になっても1人で政治をする訳では無いって。リオも『大賢者』になったけど、1人で背負う必要は無いんだよ」

「そうね……カミル、ありがとう。未来を見る事があれば報告するわね」

 ふんわりと微笑んでくれるリオは、相変わらず美しい。リオがいつも微笑んでいられる様に僕も全力で守るからね。

「うん。例え悩む内容だったとしても、1人じゃ無くて2人で悩んで解決して行こうね。それに、おおやけには『賢者』の称号を得た事になりそうだから大丈夫だよ」

「『大賢者』の称号は隠すのね?」

「あぁ。王国の王族だけで無く、国外の王族や皇族も『大賢者』のスキルの内容を知ってる可能性があるからね」

 他国でも禁書庫に置いてはあるだろうが、王族や皇族であれば知っている可能性があるからね。念には念を入れて『賢者』だった事にするのだ。『賢者』の称号でも、平民であれば貴族になれる程だし、貴族であれば貴族のトップである筆頭貴族になれるくらいの影響力や力がある。

「なるほどね。それは大変な事になりそうね」

「あぁ、それで陛下から……」

 コンコンとノックの音が響いた。

「どうぞ」

 師匠がニコニコと満面まんめんの笑みで立っていた。リオに対しての笑顔でなければ、何か企んでいるのでは?と怪しむレベルで、普段の師匠ならあり得ない笑顔だ。

「おぉ、リオ!『大賢者』の称号、おめでとう!本当に素晴らしい事だからの。さっきは驚き過ぎて反応出来なくて悪かったのぉ」

 どうやら師匠も先程の重苦しい空気を気にして来てくれたみたいだ。皆んなリオには甘いからね。

「爺や、ありがとう。迷惑をかける事があるかも知れないけど、その時はよろしくね」

「ホッホッホ、勿論だとも。いくらでも迷惑をかけなさい。家族なのだから、遠慮する必要は無いからのぉ」

 師匠と婆やがリオの家族になってくれて本当に良かった。師匠があの時決断してくれた事を心の底から感謝している。

「ありがとう、爺や」

 リオが落ち着ける場所、り所がある事は、僕にとっても嬉しい事だからね。気を張って貼り付けた様な笑顔も美しいけど、プライベートでの優しく陽だまりに包み込まれる様な笑顔も素敵なんだよね。

「あぁそうじゃ、陛下から手紙を預かって来たんじゃった」

「何かしら?」

「読んでみると良い」

 リリアンヌがペーパーナイフで封筒を開けてリオに渡してくれる。

「えっと、未来の義娘むすめが素晴らしい功績をまた達成した事を嬉しく思うって内容ね。褒美?禁書庫の鍵を借りれる権利?」

 さすが陛下。リオの性格も分かっておられる。気にするのであれば、最初から教えてあげた方が精神的にも悩まずに済むから良いと思う。

「リオの場合は王太子妃になった時点で与えられる特権ではあるんだけどね。その禁書庫に、リオが得た『大賢者』の称号の事を説明している古書があるんだよ。禁書庫は本の持ち出しが出来ないから、入る為の鍵が無ければ読めないんだ。陛下からの気遣いだろうね」

「それはありがたいわね。自分の事だもの、きちんと知っておかないと。カミルも入れるの?」

「うん。王族は禁書庫にも入れるんだよ。古語だから、読める人間は少ないんだけどね。リオもマスターしたから読めるだろう?恐らくアラン兄上は読めない……あぁ、それ以前に読書をしないね。知識として全く無いと思うから安心してね」

「それは王族としてどうかと思うけど、知らないのであれば良かったわ。時間がある時に一緒に行ってくれる?」

「勿論だよ。これからでも良いけど……デュークと合流したら、『お願いしたい事』があるのだろう?そちらが気になるから先に『お願い』を聞こうかな」

「ふふっ。カミルもなの?爺やもデュークも私が何かお願いするのを待ってるのよ。大した物じゃ無いと思うんだけど、皆んな大袈裟に喜ぶのよね」

「リオには普通でも、僕達からしたら感心する事が多いからだと思うよ。思い付いた事をドンドン言ってくれたらデュークが全力で作るんだから、是非ぜひ色々『お願い』して欲しいと思ってるよ」

 リオの発案した物は、全てリオの商会で売る予定だ。リオは商会で得た資金を使って、既に孤児院を建てたり、教会と協力して奉仕活動を積極的にお願いしたりと、自身で稼いだお金をしっかり使っている。僕と結婚して落ち着いてからになるが、リオも孤児院を運営したり、他の孤児院へ視察に行く予定だ。

「その通りじゃ。ワシも『監視カメラ』の案を聞いた時には感心してしまったのじゃぞ。影の苦労が減った事で、これまで先回しにしていた仕事が進むと喜んでいたからのぉ」

「役に立てたのなら良かったわ。最近、私の元にもしょっちゅう影の方達が入れ替わり立ち替わりいらしてたから大変だなぁと思っていたのよ」

 リオには影が何処に居るのか普通に見えるらしいからね。前より影が来る様になったから不思議だったのだろう。

「あぁ、アレはギルの趣味じゃ。気にせんで良いぞ」

「え?」

 師匠は父上の趣味で片付けちゃったよ。ただ、それじゃあ国王陛下としての威厳が……フォローになるか分からないけどフォローしておくかな。

「あー、父上がとても過保護なんだと思う。影が鬱陶うっとうしかったら言ってね?」

「鬱陶しくは無いわ。手を振ったら振り返してくれるし、皆んな良い人だもの」

 よし、話しは逸れたみたいだ。リオに見える事を前提として無かったから、影の存在がバレた時点で父上の行動はアウトだと思うけどね。

「あぁ、影を見える理由もスキルだったんだね。リオは魔力感知能力も高いから、どちらか分からなかったんだよね」

「そうなのね?私は何が凄いのか分かって無かったから、不自然な事にすら気が付かなかったわ……」

「リオは基準が自分しか無いからのぉ。今は仕方ない事じゃが、今度からは『普通』を知って行こうな?当たり前や普通を知る事も大事だからのぉ」

「そう言われるとそうね?知らない事で人外な行動をして、周りを驚かせたりする可能性が出て来るわよね?」

 師匠は優しい笑顔で頷いた。

「うむ、良く分かったのぉ。他にも今後、子供ができた時に、直ぐに褒めてあげる事が出来ないじゃろ?子供は褒めて欲しくて頑張る事もあるからの。良い所を見つけて沢山褒めてやって欲しいからのぉ」

「そ、そうね、分かったわ。今度から気を付けて覚える様にするわね。『普通』は『常識』だものね。侍女達にも指摘して貰う様に言っておきましょ」

 子供の話しに頬を赤く染めたリオが可愛い。そう言う僕も顔がちょっと熱いかな。師匠はリオにやって欲しい事を、リオが喜ぶ内容で今後必要だと上手じょうずに説明出来るから凄いよね。

「うむ、それが良いな。さて、デュークがこちらに向かって来る様だから、隣の応接室へ移動しようかのぉ。侍女を呼ぶ為のベルを鳴らしておくれ」

 王太子妃となるリオの部屋に独身の男が何人も居るのはよろしく無いからね。師匠がリオに対して配慮してくれたのだ。リオがベルを鳴らして少しするとリリアンヌ達が笑顔で現れた。

「応接室の準備が整いました」

 さすがリオの侍女、仕事が早い。応接室には人数分のお菓子などが並んでおり、先回りして仕事をしてくれるから不満が全く無いと言うリオの評価通りだと感心したのだった。
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