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第148話 浄化の祈り ★シルビー SIDE
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「これで全部だと思うが……」
一気に107個の『危ない魔道具』を呼び集めている、精霊と人間のハーフであるライトは、のんびりした口調で全ての魔道具が集まったと教えてくれたよー。
「ちょ、ちょっと待って!『黒いモヤ』が!」
「カミル!外へ出て、空高く魔道具を浮かせてから、ひとつずつ壊しなさい!複数一度に壊すと、壊した時に『黒いモヤ』が一気に広がって危険じゃ!」
凄いね~……この魔道具、たった1つでも『黒いモヤ』が気持ち悪かったんだから、これだけの数があればそりゃ~大変な事になるよね~。壊したら更に『黒いモヤ』が出て来るとか、地獄絵図ってヤツだねー。
「私が防御壁を張ります!聖女様と違って浄化出来る訳では無いので気持ちばかりの効果でしょうが……」
本当に気持ちばかりだね……『黒いモヤ』が防御壁を通り越して垂れて来てるよ……
「はぁ――、これじゃ駄目じゃな。リオが休んでから3時間ぐらい経ったかのぉ?浄化出来るのはリオだけなのだから仕方ない。シルビーよ、リオ達を連れて来れるかのぉ?」
疲れているリオとソラ様をゆっくり休ませてあげたかったのだろうね。じーちゃんは本当に申し訳無さそうにボクに頼んだ。
「うん、連れて来ないとヤバい事だけは確かだね~。逆に呼ばないと怒られるヤツ~。急いで呼んで来るよ~」
「悪いのぉ。よろしく頼む」
「は~い!」
ポンっ!とボクらがお世話になっている、帝国の宿へ移動する。リオ達の部屋には、一度カミル達の部屋に転移してからじゃないと入れなくなってるんだ。セキュリティーってヤツだね。今度はリオの部屋に転移するよ~。ポンっ!と。
「リオ~!ソラ様~!大変だよ~」
「んー…………シルビー?おはよう。どうしたの?」
少し寝ぼけていたけど、直ぐに覚醒したリオは話しを聞く姿勢になってくれた。さすがだね~。
「ライトが魔道具を全部集めたんだけど、何もしてなくても数が多過ぎて気持ち悪いし、破壊しちゃえば良いやって壊したら、『黒いモヤ』がブワ――――!って広がるんだ~。皆んな慌てた~」
「まぁ!それは大変だわ!ソラ、起きれる?」
「んー……スヤ~…………」
ソラ様は起きないねー。昨日は転移魔法で何度も複数のニンゲンを運んでるし、夢へ呼ぶのに生者だけでは無く、死者の間でも夢を繋いだりしたから疲れてるんだろうねー。疲れて眠るソラ様の姿にちょっとドキドキしてる。ボクも添い寝したい……
「昨日はソラにかなり無茶を言ったと思ってるし、疲れてるから眠いのは仕方ないわよね……ソラは私が抱いて行くわ。シルビー、私とソラを転移出来るかしら?」
優しくソラ様を抱き寄せるリオは女神様のようだ。ソラ様を見る目が慈しみで溢れている。心が綺麗じゃ無いと、こうはならないんだろうなぁ。カミルが惚れるのも分かるよねー。
「任せて~!ボクも強くなったんだよ~」
「ふふっ、そうなのね?じゃあ、よろしくねシルビー」
頼られるのって嬉しいよねー。何も聞かれてないのに、最初から出来ないでしょ?って言われるのが1番悔しいよねー。ソラ様と同じ様には難しいけど、ボクも随分と出来る事が増えたんだからねー!
「りょ~か~い!ホイっ!」
ポンっ!とカミル達の所へ転移した。ボクはソラ様を預かると、近くの長椅子の上に寝かせてタオルを掛けて差し上げた。じーちゃんが凄い勢いでリオの元へ走って来る。
「リオ!良く来てくれた!寝ていた所を悪いのぉ」
申し訳無さそうに眉を下げたじーちゃんがリオに謝罪している。リオは口を開けたまま固まっていた。
「呼んでくれて正解のようね……?空が……雲の上まで真っ黒だわ」
「そのー、地面に……この数では何処に置いても危なくてな。取り敢えずは空高くに浮かべて人体から離そうと思ったのじゃ」
前にリオが皆んなを何度も浄化してくれてるから、少し浴びたからって直ぐにおかしくなる事は無いと思うけどねー。まぁ、皆んな疲れてるみたいだから、用心するに越した事は無いかもねー。
「ええ、それが正解でしょうね。『黒いモヤ』を閉じ込める箱は用意しなかったの?」
「108個収めるのは無理じゃー。ライトが一気に全て集めてしまったからのぉ……まぁ、手伝ってくれているのだから文句も言えまい?ホッホッホ」
精霊に加減しろと言うのが無理だからねー。じーちゃんが言ってるのが正解。話しを聞く前に集めちゃってたもんねー。
「なるほどね。用心深いカミルや爺やがいるのにって思ってたのよ。逆に2人のお陰で、大きな被害は出てないって事ね」
「ホッホッホ。浄化出来るのは聖女だけだからのぉ。まさか、壊した魔道具から『黒いモヤ』が溢れ出るとは思わんかったから、準備不足だった事は否めないがのぉ」
これはやって見なきゃ分からなかったから仕方ないかなー。どんなに準備しても、分からない事まで対応するのは無理だもんねー。
「それは仕方ないわよ。『黒いモヤ』を浄化するのは大変かも知れないけど、壊すのが大変とか壊れないよりはマシでしょ?早く片付けたい案件だしね」
本当にそうだよねー。バケツに塩と水を入れて、それに魔道具を漬けるだけで壊れてくれるんだもんねー。最初にデュークが火球を魔道具にぶつけてたけど、焦げつきすらしなかったもんね。
「ふふっ、相変わらず前向きで素敵だよ、リオ。魔道具は僕とデューク、2人の魔力で浮かせてるから、浄化は無理せずゆっくりで大丈夫だよ」
カミルは出会った頃より魔力が安定してるんだよねー。リオが考えた『練習装置』をストレス発散に使ってるからだろうね…………
「ありがとう、カミル。王国にあるのを除けば107個よね。私もさすがに、一度でどれだけ浄化出来るか分からないから、ひとつずつ確実に浄化するわね」
「ワシがひとつずつ降ろして塩水のバケツに漬けるから、リオが浄化してくれるかのぉ?」
「ええ、分かったわ。辛くなったら、早めに言うわね」
「あぁ、無理はせんでおくれよ。婆さんに叱られるからな?ホッホッホ」
じーちゃんが、ばーちゃんに怒られてる所を見た事が無いんだけど、いつもばーちゃんに怒られるからって言うんだー。不思議だよねー。
「キレイだ…………」
ライトがボソッと呟いた。祈るリオから溢れ出る『純白の魔力』は本当に綺麗だもんねー。
「リオの祈りは本当に美しいからのぉ。カミルは毎回、リオが祈る度に見惚れておるからのぉー」
祈って無くても見惚れてるけどねー?普段も勝手に惚気てるしねー。
「し、師匠!リオが集中してるのに邪魔するのは辞めてください!」
カミルが今更ながらに顔を赤くしている。何故この程度で赤くなるんだろうねー?もっと恥ずかしい惚気話しとか、しょっちゅう聞かされてるんだけどなー。
「動揺してるのはカミルだけじゃぞ?ホッホッホ」
じーちゃんも楽しそうだねー。リオの周りは賑やかで良いねー。
「う、うっ……仕方ないでしょう?リオは世界一美しいのに、祈ってる時には更に美しくなるのだから……」
「まぁ、否定はせんわい。リオが美しいのは当然だからのぉ。ホッホッホ」
照れるカミルに揶揄うじーちゃんを眺めていたライトが、首を捻りながら口を開いた。
「カミルはリオが好きなのか?」
「そうだよ、ライト。リオは僕の婚約者なんだ。初めてリオを見た瞬間から、僕は恋に落ちたんだよ」
また惚気てる…………
「カミルはリオの花嫁?」
ん?カミルが花嫁?いや、リオが花嫁だよねー?
「リオがカミルの花嫁じゃな。カミルは婿じゃー」
じーちゃんはリオが浄化し終わったのを確認して、浄化した魔道具をバケツから出して脇に避け、空から魔道具をひとつ降ろしてはバケツに漬ける事を繰り返していた。ふざけたり、ライトと話したりしながらも、しっかり仕事してる所はさすがだよねー。
「じゃあ、カミルとリオは結婚するのか?」
「そうじゃぞ。来年の春には結婚式を挙げる予定じゃ」
「春?」
ライトには季節の概念が無いのかなー?精霊界は1年中、ずーっと暖かいから、季節を知らない子達も居るけどねー。
「そうじゃな……最近寒くなって来たじゃろ?今は秋じゃな。もっと寒くなったら冬じゃ。そして木の芽が芽吹く頃には暖かくなるじゃろう?その頃が春じゃ」
「木の芽が……木が緑色を増やした頃に結婚するのか」
「そうじゃ。ライトは賢いのぉ。おっと、それ、次の魔道具じゃ」
「えっと、『シショー』と言ったか?」
ライトから人と関わろうとしてる事に少し驚いたよ。リオもそうだけど、面倒見が良いニンゲンを好むのかなー?
「あぁ、ワシの事はじーさんでもじーちゃんでも爺やでも、好きに呼んでくれて構わんよ」
「そ、そうか。じゃあ、お、お爺さん…………」
「ホッホッホ!そんなに丁寧に呼んでくれるのかい?嬉しいのぉー」
ボクも吃驚したよー。お爺さんなんて丁寧に、呼んだ事が無いよねー。
「父上が、目上の人には敬意をはらえと言ってた。吾輩は1000年封印されてたから、実質50年も生きて無い」
50年も生きて無い?精霊であれば、50歳は生まれたばかりの赤ん坊と同じ扱いで、勉強すらまだやらない年だねー。半分はニンゲンだから、体の成長が早かっただけなのかなー?
「ほぉ?ライトは生まれてから50年くらいで封印されたのかの?」
「そうだ。吾輩はちゃんと数えて無かったから知らないが、母上が50年程度と言ってたからそれくらいだろう」
ライトは記憶力も良さそうだねー。精霊は長生きだから、ニンゲンよりも記憶力は良いらしい。精霊とニンゲンの良いとこ取りしてると良いねー。
「ライトは素直で良い子じゃのぉ。しっかり勉強すれば、どんな事にもチャレンジ出来るじゃろう」
確かに、ボク達と違って手先も器用に使えるよねー。出来る範囲は広がりそうだ。カミルのお手伝いとか出来るなら羨ましいなぁー。
「吾輩は知らない事が多過ぎて、何をしたいのかが分からないからな。これから色々経験出来たらと思うぞ」
「そうか、そうか。ワシらに手伝える事があれば、言うて来るんじゃぞ?出来る限り、手伝うからのぉー」
じーちゃんもライトを受け入れてくれるみたいだね。カミルはリオが受け入れた時点で右に倣うから問題無いねー。後は……王様達とお話ししなきゃ駄目かなー。
「あ、ああ。ありがとう、お爺さん。吾輩も、リオの手伝いをしたい。恩返しはどうすれば良いのか、まだ分からないけれど、リオの役に立ちたいと思ってるぞ」
素直にお礼も言える様になったライトを皆んなが受け入れてくれると良いなぁー。お勉強なら、ボクも教えてあげられるから頼って欲しいなぁー。お友達が増えて、きっと楽しい毎日を過ごせると信じているよー。
一気に107個の『危ない魔道具』を呼び集めている、精霊と人間のハーフであるライトは、のんびりした口調で全ての魔道具が集まったと教えてくれたよー。
「ちょ、ちょっと待って!『黒いモヤ』が!」
「カミル!外へ出て、空高く魔道具を浮かせてから、ひとつずつ壊しなさい!複数一度に壊すと、壊した時に『黒いモヤ』が一気に広がって危険じゃ!」
凄いね~……この魔道具、たった1つでも『黒いモヤ』が気持ち悪かったんだから、これだけの数があればそりゃ~大変な事になるよね~。壊したら更に『黒いモヤ』が出て来るとか、地獄絵図ってヤツだねー。
「私が防御壁を張ります!聖女様と違って浄化出来る訳では無いので気持ちばかりの効果でしょうが……」
本当に気持ちばかりだね……『黒いモヤ』が防御壁を通り越して垂れて来てるよ……
「はぁ――、これじゃ駄目じゃな。リオが休んでから3時間ぐらい経ったかのぉ?浄化出来るのはリオだけなのだから仕方ない。シルビーよ、リオ達を連れて来れるかのぉ?」
疲れているリオとソラ様をゆっくり休ませてあげたかったのだろうね。じーちゃんは本当に申し訳無さそうにボクに頼んだ。
「うん、連れて来ないとヤバい事だけは確かだね~。逆に呼ばないと怒られるヤツ~。急いで呼んで来るよ~」
「悪いのぉ。よろしく頼む」
「は~い!」
ポンっ!とボクらがお世話になっている、帝国の宿へ移動する。リオ達の部屋には、一度カミル達の部屋に転移してからじゃないと入れなくなってるんだ。セキュリティーってヤツだね。今度はリオの部屋に転移するよ~。ポンっ!と。
「リオ~!ソラ様~!大変だよ~」
「んー…………シルビー?おはよう。どうしたの?」
少し寝ぼけていたけど、直ぐに覚醒したリオは話しを聞く姿勢になってくれた。さすがだね~。
「ライトが魔道具を全部集めたんだけど、何もしてなくても数が多過ぎて気持ち悪いし、破壊しちゃえば良いやって壊したら、『黒いモヤ』がブワ――――!って広がるんだ~。皆んな慌てた~」
「まぁ!それは大変だわ!ソラ、起きれる?」
「んー……スヤ~…………」
ソラ様は起きないねー。昨日は転移魔法で何度も複数のニンゲンを運んでるし、夢へ呼ぶのに生者だけでは無く、死者の間でも夢を繋いだりしたから疲れてるんだろうねー。疲れて眠るソラ様の姿にちょっとドキドキしてる。ボクも添い寝したい……
「昨日はソラにかなり無茶を言ったと思ってるし、疲れてるから眠いのは仕方ないわよね……ソラは私が抱いて行くわ。シルビー、私とソラを転移出来るかしら?」
優しくソラ様を抱き寄せるリオは女神様のようだ。ソラ様を見る目が慈しみで溢れている。心が綺麗じゃ無いと、こうはならないんだろうなぁ。カミルが惚れるのも分かるよねー。
「任せて~!ボクも強くなったんだよ~」
「ふふっ、そうなのね?じゃあ、よろしくねシルビー」
頼られるのって嬉しいよねー。何も聞かれてないのに、最初から出来ないでしょ?って言われるのが1番悔しいよねー。ソラ様と同じ様には難しいけど、ボクも随分と出来る事が増えたんだからねー!
「りょ~か~い!ホイっ!」
ポンっ!とカミル達の所へ転移した。ボクはソラ様を預かると、近くの長椅子の上に寝かせてタオルを掛けて差し上げた。じーちゃんが凄い勢いでリオの元へ走って来る。
「リオ!良く来てくれた!寝ていた所を悪いのぉ」
申し訳無さそうに眉を下げたじーちゃんがリオに謝罪している。リオは口を開けたまま固まっていた。
「呼んでくれて正解のようね……?空が……雲の上まで真っ黒だわ」
「そのー、地面に……この数では何処に置いても危なくてな。取り敢えずは空高くに浮かべて人体から離そうと思ったのじゃ」
前にリオが皆んなを何度も浄化してくれてるから、少し浴びたからって直ぐにおかしくなる事は無いと思うけどねー。まぁ、皆んな疲れてるみたいだから、用心するに越した事は無いかもねー。
「ええ、それが正解でしょうね。『黒いモヤ』を閉じ込める箱は用意しなかったの?」
「108個収めるのは無理じゃー。ライトが一気に全て集めてしまったからのぉ……まぁ、手伝ってくれているのだから文句も言えまい?ホッホッホ」
精霊に加減しろと言うのが無理だからねー。じーちゃんが言ってるのが正解。話しを聞く前に集めちゃってたもんねー。
「なるほどね。用心深いカミルや爺やがいるのにって思ってたのよ。逆に2人のお陰で、大きな被害は出てないって事ね」
「ホッホッホ。浄化出来るのは聖女だけだからのぉ。まさか、壊した魔道具から『黒いモヤ』が溢れ出るとは思わんかったから、準備不足だった事は否めないがのぉ」
これはやって見なきゃ分からなかったから仕方ないかなー。どんなに準備しても、分からない事まで対応するのは無理だもんねー。
「それは仕方ないわよ。『黒いモヤ』を浄化するのは大変かも知れないけど、壊すのが大変とか壊れないよりはマシでしょ?早く片付けたい案件だしね」
本当にそうだよねー。バケツに塩と水を入れて、それに魔道具を漬けるだけで壊れてくれるんだもんねー。最初にデュークが火球を魔道具にぶつけてたけど、焦げつきすらしなかったもんね。
「ふふっ、相変わらず前向きで素敵だよ、リオ。魔道具は僕とデューク、2人の魔力で浮かせてるから、浄化は無理せずゆっくりで大丈夫だよ」
カミルは出会った頃より魔力が安定してるんだよねー。リオが考えた『練習装置』をストレス発散に使ってるからだろうね…………
「ありがとう、カミル。王国にあるのを除けば107個よね。私もさすがに、一度でどれだけ浄化出来るか分からないから、ひとつずつ確実に浄化するわね」
「ワシがひとつずつ降ろして塩水のバケツに漬けるから、リオが浄化してくれるかのぉ?」
「ええ、分かったわ。辛くなったら、早めに言うわね」
「あぁ、無理はせんでおくれよ。婆さんに叱られるからな?ホッホッホ」
じーちゃんが、ばーちゃんに怒られてる所を見た事が無いんだけど、いつもばーちゃんに怒られるからって言うんだー。不思議だよねー。
「キレイだ…………」
ライトがボソッと呟いた。祈るリオから溢れ出る『純白の魔力』は本当に綺麗だもんねー。
「リオの祈りは本当に美しいからのぉ。カミルは毎回、リオが祈る度に見惚れておるからのぉー」
祈って無くても見惚れてるけどねー?普段も勝手に惚気てるしねー。
「し、師匠!リオが集中してるのに邪魔するのは辞めてください!」
カミルが今更ながらに顔を赤くしている。何故この程度で赤くなるんだろうねー?もっと恥ずかしい惚気話しとか、しょっちゅう聞かされてるんだけどなー。
「動揺してるのはカミルだけじゃぞ?ホッホッホ」
じーちゃんも楽しそうだねー。リオの周りは賑やかで良いねー。
「う、うっ……仕方ないでしょう?リオは世界一美しいのに、祈ってる時には更に美しくなるのだから……」
「まぁ、否定はせんわい。リオが美しいのは当然だからのぉ。ホッホッホ」
照れるカミルに揶揄うじーちゃんを眺めていたライトが、首を捻りながら口を開いた。
「カミルはリオが好きなのか?」
「そうだよ、ライト。リオは僕の婚約者なんだ。初めてリオを見た瞬間から、僕は恋に落ちたんだよ」
また惚気てる…………
「カミルはリオの花嫁?」
ん?カミルが花嫁?いや、リオが花嫁だよねー?
「リオがカミルの花嫁じゃな。カミルは婿じゃー」
じーちゃんはリオが浄化し終わったのを確認して、浄化した魔道具をバケツから出して脇に避け、空から魔道具をひとつ降ろしてはバケツに漬ける事を繰り返していた。ふざけたり、ライトと話したりしながらも、しっかり仕事してる所はさすがだよねー。
「じゃあ、カミルとリオは結婚するのか?」
「そうじゃぞ。来年の春には結婚式を挙げる予定じゃ」
「春?」
ライトには季節の概念が無いのかなー?精霊界は1年中、ずーっと暖かいから、季節を知らない子達も居るけどねー。
「そうじゃな……最近寒くなって来たじゃろ?今は秋じゃな。もっと寒くなったら冬じゃ。そして木の芽が芽吹く頃には暖かくなるじゃろう?その頃が春じゃ」
「木の芽が……木が緑色を増やした頃に結婚するのか」
「そうじゃ。ライトは賢いのぉ。おっと、それ、次の魔道具じゃ」
「えっと、『シショー』と言ったか?」
ライトから人と関わろうとしてる事に少し驚いたよ。リオもそうだけど、面倒見が良いニンゲンを好むのかなー?
「あぁ、ワシの事はじーさんでもじーちゃんでも爺やでも、好きに呼んでくれて構わんよ」
「そ、そうか。じゃあ、お、お爺さん…………」
「ホッホッホ!そんなに丁寧に呼んでくれるのかい?嬉しいのぉー」
ボクも吃驚したよー。お爺さんなんて丁寧に、呼んだ事が無いよねー。
「父上が、目上の人には敬意をはらえと言ってた。吾輩は1000年封印されてたから、実質50年も生きて無い」
50年も生きて無い?精霊であれば、50歳は生まれたばかりの赤ん坊と同じ扱いで、勉強すらまだやらない年だねー。半分はニンゲンだから、体の成長が早かっただけなのかなー?
「ほぉ?ライトは生まれてから50年くらいで封印されたのかの?」
「そうだ。吾輩はちゃんと数えて無かったから知らないが、母上が50年程度と言ってたからそれくらいだろう」
ライトは記憶力も良さそうだねー。精霊は長生きだから、ニンゲンよりも記憶力は良いらしい。精霊とニンゲンの良いとこ取りしてると良いねー。
「ライトは素直で良い子じゃのぉ。しっかり勉強すれば、どんな事にもチャレンジ出来るじゃろう」
確かに、ボク達と違って手先も器用に使えるよねー。出来る範囲は広がりそうだ。カミルのお手伝いとか出来るなら羨ましいなぁー。
「吾輩は知らない事が多過ぎて、何をしたいのかが分からないからな。これから色々経験出来たらと思うぞ」
「そうか、そうか。ワシらに手伝える事があれば、言うて来るんじゃぞ?出来る限り、手伝うからのぉー」
じーちゃんもライトを受け入れてくれるみたいだね。カミルはリオが受け入れた時点で右に倣うから問題無いねー。後は……王様達とお話ししなきゃ駄目かなー。
「あ、ああ。ありがとう、お爺さん。吾輩も、リオの手伝いをしたい。恩返しはどうすれば良いのか、まだ分からないけれど、リオの役に立ちたいと思ってるぞ」
素直にお礼も言える様になったライトを皆んなが受け入れてくれると良いなぁー。お勉強なら、ボクも教えてあげられるから頼って欲しいなぁー。お友達が増えて、きっと楽しい毎日を過ごせると信じているよー。
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