【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音

文字の大きさ
157 / 211

第157話 王妃様との逢瀬 ★ギルバート国王 SIDE

しおりを挟む
 今日は月に1度だけ会う事を許された、我が妃との逢瀬の日だ。触れ合う事も許されず、抱きしめる事もかなわない愛しい女性ひと。来世は必ず幸せにすると誓った私に、「今も幸せよ」と笑顔をくれる優しい女性ひと。共に過ごした日々が宝物だと、はかなげに微笑む貴女を思い出すたび泣きそうになる。

 最近、王国はとても平和な日々が続いている。間違いなく、優秀な王太子と王太子妃候補が頑張ってくれているからだろう。彼らの事を陰から見守り……いや、『影』に見守らせ、それをネタに王妃と文通や『電話』でやり取りしていたりする。

 『電話』は言わずもがな、リオが考案してデュークが作った通信機器だ。これまでは短いメモを書く事でやり取りする事が出来る魔道具ならあったのだが、要件を簡潔かんけつに書くのが精一杯で。長文はさすがに手紙を書くしかなく不便だったのだ。それが、だ。『電話』ならば、なんと相手と会話が出来るのだ。『電話』のつつから王妃の声が聞こえた日、私は人知れずひっそりと泣いてしまうぐらい嬉しかった。

 それほど愛してやまない私の妃オリビアは、やまいせっている為、何もさせて貰えず暇で仕方がないらしい。そんな彼女が私に強請ったのが文通だったのだ。今では朝5分、夜15分の会話をする事が出来る。愛しい王妃がそこにいると確認して1日を始められ、存在を確認して1日を終えられる事がどれだけ安心できるか……リオは単純に『インカム』の上位版として作っただけだと言っていたが、私にはなくてはならないものとなった。

 王太子妃候補であり『大聖女』と『大賢者』の称号を持つリオには会った事もないはずの王妃だが、彼女の事をとても気に入ったらしく、小まめに話しを聞かせて欲しいと2回目のスタンピード辺りから強請ねだられていたのだった。なので最近の話題はもっぱら『大聖女様』で、毎日のように起こる……彼女が起こす奇跡の話しばかりだった。

「あぁ、今日も美しいね。私の最愛の王妃、オリビア。やっと会えた。今日という日を心待ちにしていたよ」

 美しく微笑む王妃の顔に忌々いまいましいあざが浮かび上がっていた。医者には不治の病と言われ、移るからと普段は隔離されて暮らしている。

「お久しぶりでございます、ギルバート様。今月もお会いする事が出来て、オリビアは果報者でございます」

「堅苦しい挨拶など要らぬから、そんな他人行儀な話し方はやめておくれ?寂しいではないか……」

「ふふっ。申し訳ありません……じゃなくって、ごめんなさいねギル。お手紙では詳しい内容が分からなくて物足りなかったの。今月も彼女の事を沢山教えてくださる?」

 嬉しそうにふわっと微笑むオリビアと結婚してから100年が経とうとしている。当然、私の気持ちは100年前から変わっていないが。いや、むしろあの頃よりも愛していると断言出来るだろう。

「あぁ、もちろんだよ。オーリィの為に、いつもより詳しく報告させたんだ。今回は、帝国の1000年以上解決出来なかった謎をカミルと一緒に解決した上に、帝国を味方につけてしまったんだ!」

「お手紙で頂いていた内容は、帝国の問題を解決した所まででしたわ。帝国を味方につけたとはどういう事ですの?」

 少し前のめりになって話しを聞いている彼女に、私は少し大袈裟に声を張って説明を始める。私の話しを聞き逃さない様に、小さく「うん、うん」と頷いている彼女は、元気だった頃と私に対する態度が何ひとつ変わっていない。

「元々カミルとジャン皇太子は仲良くしていたようなのだが、リオもアメリア皇女に懐いているらしくてな。2人は婆さんとも仲が良いから話も合うみたいだ。帝国の皇族一家が集まって、カミルとリオにお願いまでする仲らしいぞ。それも、アメリア皇女がデュークに惚れてるらしくてな?落とすのを手伝って欲しいらしい」

 両手を胸の前で祈る形に組み、目をキラキラと輝かせて少女の様にはしゃぐオリビアは可愛らしい。正直、顔の痣さえ無ければ、そこまで大病を患っているようには見えないのだ。まぁ、痛かったとしても、私にはその姿を見せないのだろうがな。

「あらまぁ!でも、それは既に勝ち戦じゃなくて?」

「だろうな。カミルとリオを味方につけた時点で勝ち確定ってやつだと思うが、まぁ試合は最後まで分からぬものだからな。こちらも今度からは監視させようかと思っているが、どうだろうか?」

 お伺いを立てるのはいつもの事だ。こうでもしないと、オリビアは自分がどうしたいのか教えてくれないのだ。カミルと同じく、必要な物は揃っているからこれ以上は要らないという考え方だな。そう言えば、リオも褒美を望まないなぁ。『類は友を呼ぶ』とはよく言ったものだ。

「影達も忙しいでしょうから、あまり無茶を言ってはなりませんよ?」

「それがな、リオが考案した『監視カメラ』のお陰で、影の仕事が減ったのだよ。その上、リオは影に気づいてしまうから、影のおさがリオを気に入ってしまってな……今では一緒に『練習装置・改』で遊ぶ仲なのだとか……」

「ふふふっ、そうなのね。先月『練習装置・改』を使っている『大聖女様』の動画を見せて貰いましたから、容易く想像が出来ますわね。そう……彼女が女神様に愛されているのは間違いなさそうね。わたくしも元気になって、彼女と一緒に遊びたいわ……」

 リオの動画を見せた時、オリビアはとても嬉しそうだった。カミルが少し後ろで愛おしそうにリオを見つめている事に気が付いたからだろう。王太子になったと聞いて、オリビアはとても心配していたからね。幼かった頃のカミルしか知らない彼女が心配するのは仕方がないが。まぁ、親はいくつになっても子供が心配な生き物なのだからな。それにリオを気に入っていて、一緒に遊びたいと希望をくちにしたのだ。であれば、必ず私が叶えて見せる!

「大丈夫、必ず治して見せるからな。カミルの結婚式はもちろん、デュークの結婚式も、カミルとリオの子の……私達の孫の結婚式も見る事が出来るのだからな!絶対に私がどうにかしてみせるから安心して養生しておるのだぞ?」

「ええ、分かっているわギル……国王陛下の寵愛を賜る身ですもの。貴方を信じていますわ、ギルバート」

 大きく頷き、美しく微笑んでいたオリビアの頬へ手を伸ばす。オリビアは寂しそうな顔をしてフルフルと首を振り、私に触られる事を優しく断るのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波
ファンタジー
小さい時から、様々な召喚獣を扱う召喚士というものに、憧れてはいた。 そして、遂になれるかどうかという試験で召喚獣を手に入れたは良い物の‥‥‥なんじゃこりゃ!? 個人的にはドラゴンとか、そう言ったカッコイイ系を望んでいたのにどうしてこうなった!? これは、憧れの召喚士になれたのは良いのだが、呼び出した者たちが色々とやらかし、思わぬことへ巻き添えにされまくる、哀れな者の物語でもある…‥‥ 小説家になろうでも掲載しております。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!

こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」  主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。  しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。 「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」  さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。  そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)  かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!

処理中です...