無関係だった私があなたの子どもを生んだ訳

キムラましゅろう

文字の大きさ
50 / 161
ミニ番外編

過去を振り返って……メロディのメロはメロメロのメロ

しおりを挟む
ルシアンは二歳の誕生日を迎えた。

予定日よりも少しだけ早く生まれたルシアンだが、体重がしっかりあったおかげで病気一つせずすくすくと育ってくれた。

これでもし予定日通りに生まれていたなら4000グラム近い大きな赤ん坊になり、華奢なハノンは難産となっていたかもしれない。

それを考えれば生まれる時からしてお利口さんな子であった。

ルシアンは首が据わるのも寝返りも腰が据わるのも一人座りも掴まり立ちも伝え歩きも一人歩きも全て標準よりも早い方であった。

おかげでハノンは初めての育児、しかも女手一つ(時々オネェの手アリ)での子育てながらも随分と助けられた。

たけどそんな体の発育は良いルシアンだが、言葉の発育だけはわりとのんびりさんであった。

二歳になるのでそろそろ二語文で話し出す頃だと思うのだが、ルシアンはまだ一語分でしか話さない。

主に話す単語は「まま」「くましゃ(くまさん)」
「おやちゅ(おやつ)」

そして、「りぃた(メロディちゃん)」である。


「イヤん♡ルッシーたら、ちゃんとアタシの名前を覚えてるじゃナ~イ!」


ハノンの同僚(ホントは先輩)で、シングルマザーのハノンを支えてくれる頼もしい友人でもあるメロディが感激してルシアンを抱き上げた。

ハノンはマフラーを首元に巻きながらメロディに言う。

「そりゃあこれだけ頻繁に接していれば覚えるわよ」

「嬉しいぃ~ン♡舐めずりまわしたぁぁ~いン♡」

「舐めないでよっ?」

感極まってルシアンのふくふくのほっぺにキスをしまくるメロディにハノンは釘を刺した。

メロディは舌先をペロッと出しながら答える。

「いやぁネ☆舐めないわヨ~♡」

「未遂に終わるも危ういシチュエーションが多々あったと思うんだけれど?」

「ウフフ♡」

「まぁいいわ……それよりゴメンねメロディ。休日なのに子守りを頼んで……」

「いいのヨ♪アタシがルッシーとイチャイチャしたくて引き受けたんだから。それよりもアンタは諸々の用事を済ませて来なサーイ」

「うん、ありがとう。じゃあいってきます。ルシー、メロディちゃんとお利口にしていてね」

「うん!」

ルシアンは元気にお返事をして小さな手をふりふりしてバイバイした。

今日はハノンはルシアンをメロディに預けて、溜まっている用事を一気に片付ける予定だ。


二人でお留守番をする事になったルシアンとメロディ。

積み木をしたり粘土遊びをしたり、
幼児相手といえど少しの手抜きも手加減もせず、全力で一緒に遊んでくれるメロディがルシアンは大好きらしい。

「りぃた」

ルシアンはメロディの名を呼んで絵本を差し出す。

「なぁに?この絵本を読んで欲しいノ?」

「うん!」

「どれどれ……アラ、チーターの親子のお話なのね。いいわヨ、読んでア・ゲ・ル♪」

メロディはそう言ってルシアンを膝に乗せて絵本の読み聞かせを始めた。


「ライオンのオジサンは言いました『ゴォラッ、ワシのタテガミを三つ編みにしたのは誰だぁぁっ!?』」

「きゃははっ」

メロディは声色を変え、役になりきって絵本を読むので相当面白いらしい。
ルシアンは大喜びで笑いながら聞いていた。

やがてルシアンは若いメスチーターのイラストを指差して言った。

「りぃた!」

「え?このメスチーターがアタシだっていうの?」

「うん」

ルシアンは頷き、そして絵本に描かれているメスチーターの絵をヨシヨシした。
それを見たメロディの心の琴線に何かが触れた。

「もう!なんでアンタはそんなにカワイイのっ!このアタシをメロメロにしてどうする気なのヨっ!アタシの心の母乳がブシャァァッと噴出するじゃないのサっ!!」

「りぃた!めよめよ!」

「めよめよ?……あ、メロメロね!もうダメ、カワイすぎるっ!!」

そう言ってメロディはまさにメロメロになりながらルシアンのおでこやほっぺにキスをしまくった。



そしてそれから2時間くらいが経過した頃、
用事を済ませたハノンが帰宅した。


「え?ルシーをお風呂に入れてくれたの?」

明らかに湯上がりでほかほかの息子を見て、ハノンは目を丸くしていた。

「あー……ウン、まぁネ☆もう夕方近いし、ルッシーの入浴が済んでいたらアンタも楽デショ?」

「助かるわ。何から何までホントありがとうメロディ」

ハノンがルシアンを抱き上げてメロディに礼を告げる。

するとルシアンがハノンに言った。

「りぃた、ぺよぺよ」

「え?ぺよぺろって…ぺろぺろって言いたいの?」

「うん!りぃた、ぺよぺよ!」

ルシアンはそう言って自分のほっぺを指差した。

ハノンはそれを見て察する。


「メロディ……あなた、ルシアンを舐め倒したわね。だからお風呂に入れたんでしょう?」

「ギャッ!バレた!でもだってルッシーてばカワイ過ぎてハンパないんだもん!」

「前々から舐めそうな勢いだと思っていたけど、とうとうホントに舐めるとは……」

ハノンがジト目を向けるとメロディはまた舌先を出して誤魔化した。


ハノンは呆れながらも、いつも自分たち親子を助けてくれるこの友人には感謝しているので不問に付す事とした。


その後、もうメロディがルシアンを舐め倒す事は無かったが、変わらずルシアンに対してメロメロのメロディであったという。


そしてハノンは後になって気付く。

ルシアンの記念すべき初めての二語文が

「りぃた、ぺよぺよ」であった事に……。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


父親不在であまりにもフェリックスが不憫になってきたので次回は一緒に暮らし始めた頃のルシアンとフェリックスの様子をお届けします。

次の更新は木曜日です。よろちくび♡

そして皆様、いつもお読みいただき、そして沢山のエールをありがとうございます!










しおりを挟む
感想 3,580

あなたにおすすめの小説

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

私の婚約者でも無いのに、婚約破棄とか何事ですか?

狼狼3
恋愛
「お前のような冷たくて愛想の無い女などと結婚出来るものか。もうお前とは絶交……そして、婚約破棄だ。じゃあな、グラッセマロン。」 「いやいや。私もう結婚してますし、貴方誰ですか?」 「俺を知らないだと………?冗談はよしてくれ。お前の愛するカーナトリエだぞ?」 「知らないですよ。……もしかして、夫の友達ですか?夫が帰ってくるまで家使いますか?……」 「だから、お前の夫が俺だって──」 少しずつ日差しが強くなっている頃。 昼食を作ろうと材料を買いに行こうとしたら、婚約者と名乗る人が居ました。 ……誰コイツ。

【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」 「恩? 私と君は初対面だったはず」 「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」 「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」 奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。 彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?

今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました

四折 柊
恋愛
 子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)

虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~

八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。 しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。 それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。 幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。 それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。 そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。 婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。 彼女の計画、それは自らが代理母となること。 だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。 こうして始まったフローラの代理母としての生活。 しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。 さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。 ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。 ※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります ※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)

(完結)あなたの愛は諦めました (全5話)

青空一夏
恋愛
私はライラ・エト伯爵夫人と呼ばれるようになって3年経つ。子供は女の子が一人いる。子育てをナニーに任せっきりにする貴族も多いけれど、私は違う。はじめての子育ては夫と協力してしたかった。けれど、夫のエト伯爵は私の相談には全く乗ってくれない。彼は他人の相談に乗るので忙しいからよ。 これは自分の家庭を顧みず、他人にいい顔だけをしようとする男の末路を描いた作品です。 ショートショートの予定。 ゆるふわ設定。ご都合主義です。タグが増えるかもしれません。

【完結】復讐は計画的に~不貞の子を身籠った彼女と殿下の子を身籠った私

紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
公爵令嬢であるミリアは、スイッチ国王太子であるウィリアムズ殿下と婚約していた。 10年に及ぶ王太子妃教育も終え、学園卒業と同時に結婚予定であったが、卒業パーティーで婚約破棄を言い渡されてしまう。 婚約者の彼の隣にいたのは、同じ公爵令嬢であるマーガレット様。 その場で、マーガレット様との婚約と、マーガレット様が懐妊したことが公表される。 それだけでも驚くミリアだったが、追い討ちをかけるように不貞の疑いまでかけられてしまいーーーー? 【作者よりみなさまへ】 *誤字脱字多数あるかと思います。 *初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ *ゆるふわ設定です

「君との婚約は時間の無駄だった」とエリート魔術師に捨てられた凡人令嬢ですが、彼が必死で探している『古代魔法の唯一の使い手』って、どうやら私

白桃
恋愛
魔力も才能もない「凡人令嬢」フィリア。婚約者の天才魔術師アルトは彼女を見下し、ついに「君は無駄だ」と婚約破棄。失意の中、フィリアは自分に古代魔法の力が宿っていることを知る。時を同じくして、アルトは国を救う鍵となる古代魔法の使い手が、自分が捨てたフィリアだったと気づき後悔に苛まれる。「彼女を見つけ出さねば…!」必死でフィリアを探す元婚約者。果たして彼は、彼女に許されるのか?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。